ママの自己肯定感を高めるのはなぜ大切なの?【公認心理師】が解説

子どもには自己肯定感の高い人間に育って欲しい。そう思い子育てをしているママがとてもたくさんいます。子どもの自己肯定感を高めるために、とても大切なことは、ママ自身の自己肯定感が高いこと。

こちらの記事ではママの自己肯定感を高める大切さについてお伝えします。

「自己肯定感」って何?

自己肯定感の高いママ 子育てにおいて「自己肯定感」を高めることが大切、ということはよく耳にするけれど、自己肯定感が何なのか、きちんと説明できるママは意外と少ないものです。

自己肯定感とは、自分を認めている、自分が好き、ありのままの自分でOKと思えているような感覚です。

自己肯定感の高い人は、人に褒められた時に素直に喜び相手に感謝することが出来ます。また、怒られた時にもあまり落ち込まず、指摘を認め改善に結びつけていくことが出来ます。

一方で、自己肯定感の低い人は、人に褒められた時にその言葉を受け取ることが出来ず、逆に相手にネガティブな感情を持つこともあります。そして、怒られた時にはとても落ち込んで、指摘を拒絶したり、ミスをしないようにと完璧主義者になろうとすることもあります。

どんな自分でも認められる。そしてそのままの自分で大丈夫と思える。失敗した時にも落ち込みすぎずに回復出来る。それが自己肯定感の高い人です。

自己肯定感に影響する3要素

心理学者のバウマイスターの研究より、自己肯定感に大きく影響しているのは以下の三つがあげられています。

  • 自己効力感(自分ならきっと出来るだろう)
  • 良い親子関係
  • 幸福感

この中で、最も大切なことは良い親子関係と言えるでしょう。親からの無条件の愛を感じて育った子どもは、「自分は自分のままでいい。価値のある存在だ」と思えるようになります。

自己効力感は、成功体験を重ねることで育ちます。小さな目標や課題をたくさん設定し、ひとつずつ「出来た」という体験にしていくことで、自己効力感を高めることが出来ます。

そして幸福感、これを生活の中に見出せる人は自己肯定感も高いのです。

良い親子関係のために

良い関係の親子 良い親子関係が出来ていると、子どもは「無条件の愛」を感じて育つことが出来るということですが、「無条件の愛」を伝えるには具体的にどのように子どもと関わればいいのか、少しわかりにくいですね。

「無条件の愛」の言葉がけ

「無条件の愛」の逆の「条件付きの愛」ということは想像しやすいと思います。 「良い子にしているから(ママの言いつけを守るから)好き」 「クラスで一番かけっこが早いからかっこいい」 などと、何かの条件を提示した上で子どもを認めるような愛情の与え方です。

子どもに無条件の愛情を伝えるためには、どのような言葉がけが出来るでしょうか。私がよく子どもにかけている肯定的な言葉がけは以下のようなものです。

  • 「大好きだよ」
  • 「マミーの宝ものちゃん」
  • 「頑張ってるね」

そして、何か上手くいかずに苛立っている子どもには、 「うまくいかなくて悔しいね」 などという子どものネガティブな感情を言葉にして伝えその気持ちを受け止めてあげましょう。

このことにより、子どもは自分がありのままで受け入れられている、ネガティブな感情も含めて、ありのままの自分を受け入れられるようになります。

スキンシップ

そして、たくさんのスキンシップをとりましょう。 子どもはママのハグが大好きです。不安になった時、悲しくなった時、寂しくなった時、疲れた時、むしゃくしゃする時、どんな時でもママにギュッと抱きしめてもらえることで心が落ち着きます。ママからの愛情がダイレクトに伝わるのがスキンシップです。

お散歩の時には手をつないだり、おんぶや抱っこをしたり、膝の上に座らせて絵本を読んだり、こちょこちょくすぐったり。 日常生活の中にちりばめられたスキンシップを通じて、子どもはママからの愛情をたくさん感じることが出来ます。

愛情を伝えられるママは「幸せなママ」

幸せなママ 子どもに無条件の愛を伝える言葉がけ共感スキンシップ、これらは誰かに教わっていなくても、大抵のママは自然と出来ているのです。 出来るけれども、いつも出来ているわけではない。どんな時に出来なくなるかというと、それはママの余裕が無くなっている時ではないでしょうか。

愛情を伝えられないママ

仕事が終わって急いで子どもをお迎えに行き、急いで夕飯の支度をしている時に 「ママみてみて!」と何度も何度も言われると、 「ご飯作ってるのわからないの!」 「いい加減にして!」 なんて言葉が口から飛び出してしまい、子どもが寝た後に、寝顔を見ながら後悔。なんてエピソードは、多くのママが抱える悩みです。

ママが子どもに無条件の愛のを与えることは、ママがイライラしていたり、落ち込んでいたり、涙をしていてはなかなか出来ません。子どもと良好な親子関係を築くために、無条件の愛を与えるためには、まずはママ自身が幸せでなければなりません。

愛情を伝えられるママ

幸せなママは心のゆとりがあるので、子どもにたくさんの愛情を伝えていくことが出来ます。子どもの自己肯定感を高めるためには、まずはママ自身が幸せであることが不可欠なのです。

ママ達の現実

しかし、多くのママはママになった時から「子ども優先マインド」が出来てしまうのです。赤ちゃんのお世話のために睡眠時間を削り、トイレにも自由に行けずに、ましてや気分転換のためにフラッと家を出ることさえしない。それが「当たり前」となっているママ、とてもたくさんいるのです。

こうして「子ども優先」でママ自身の欲求や幸せはいつも後回し。そんな生活の中で我慢や欲求不満がたまり、ママの気持ちのゆとりがなくなって、子どもに本当は笑顔で接していたのに、そう出来ない。。。そしてその現状に後悔と反省の繰り返し。そんな毎日に陥ってはいないでしょうか。

家族のために、子どものために、と自分のことはいつも後回しで頑張っているママは、実は幸せとは逆方向に向かっているのです。

飛行機に乗ると必ず見る「機内安全ビデオ」。酸素マスクが出てきたときに、必ず大人が自分の分を装着してから、子どもの酸素マスクを装着するように言われます。大切な隣の命を守るためには、まずは自分の命が守られている必要があるのです。幸せも同じです。自分の周りの大切な人を幸せにするためには、まずは自分が幸せでいる必要があるのです。

幸せは伝染する

アメリカ、カリフォルニア大学のジェームス・フォーラの研究によると、「幸せは伝染する」ということが科学的に証明されています。

あなたが「幸せでない」から「幸せである」に変わると、その幸福感は友だちの友だちの友だちにまで影響することがわかったのです。

そして、それはお隣に住む人にまで34%の確率で幸福感があがるのです。仲の良い友人であれば63%の確率です。

一人の幸せが、その仲の良い友人や、ただ隣に住むだけの人にも影響する、ということは、我が子への影響はそれは大きなものであるに違いありません。

子どもよりも自分の幸せを優先していいのだろうか、そんなママは母親失格なのではないだろうか、そんな不安に悩まされる必要はないのです。

子どもの幸せのためには、まずはママが幸せであること。それがまず大切なのです。そして幸せなママの自己肯定感は高くなり、その子どもの自己肯定感も高くなる

つまり、子どもの自己肯定感を高めるためには、まずはママの自己肯定感をたかめてあげることが必要なのです。

まとめ

ママはいつも子どものために一生懸命。一生懸命に頑張りすぎて、疲れてしまってママの心は悲鳴をあげているのに、それでもまだ「子ども優先」で頑張ろうとするママがとてもたくさんいます。

「まずはママ自身が幸せになって!」

声を大にして伝えたい、とても大切なことです。 ママがまずは幸せになり、自己肯定感を高めてあげる。子どもの自己肯定感を高めるためにも、ぜひ今日から取り入れていってくださいね。

ABOUT US
久保田 由華心の相談室 こころラボ 代表
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。