育児に疲れたと感じるママは少なくありません。どんなときに育児疲れを感じるのでしょうか。育児に対する考え方を少し変えるだけでも、心にのしかかる負担が大きく改善されることがあります。
育児に疲れたときのストレスコントロールや育児疲れへの対処法などを、まとめてご紹介します。育児に疲れたときは、ぜひ参考にしてみてください。
育児疲れを感じるのはどんなとき?
育児疲れを感じて、心に負担を抱えるママが少なくありません。多くのママは、どんなときに育児疲れを感じやすいのでしょうか。2019年に山口大学医学部保健学科の研究グループが調査をした結果をもとに、内容を整理してみました。
夫の育児に対する不理解
核家族化がすすみ、夫婦ふたりで家庭を整えていくなかで、夫の育児・家事への協力や理解が足りず、育児に疲れたと感じるママが多くいます。子供が小さなうちは、時間に追われながらママ1人で家事も育児も、ケースによっては仕事をしながらこなすことも珍しくなく、まさに「ワンオペ育児」を母親が担っていることも多いのです。すべての責任がのしかかることで、疲れを感じやすくなります。
子供が少し大きくなると、育児にかかる時間や手間は乳幼児より減るものの、夫との教育方針の違いで、乳幼児期とは異なる悩みが増える傾向にあります。
育児書通りに進まない育児への不安
多くの方がご存じの通り、実際の育児は育児書通りにはすすみません。子供の能力や性格は子供によってさまざまで、発達の早さも異なります。理想と現実との違いを感じて、育児に疲れたと感じることが多くあります。
さまざまな情報が溢れる現代では、育児の仕方もまわりと比較できる機会が多くなり、育児に手を抜きたいと感じる自分を責めてしまうことや、完璧に育児や家事をこなさなければならないというプレッシャーが心に負担を与えてしまいがちです。
スケジュール通りにすすまない
言い聞かせても思い通りに動いてくれない子供や、子供の機嫌が悪くなることで、スケジュール通りに進まないと感じる方も多いのではないでしょうか。育児でスケジュールが変更になることで、仕事へ影響を与えることもあります。
ママひとりのスケジュールで動くことができなくなると、時間の先読みができず、不安感やストレスを感じる方も少なくありません。
体が休まらない
家事には終わりがありますが、育児は追求型で完結も正解もないところが難しいところです。夜泣きや子供の問題行動が見られる場合は、特に体が休まる機会がなく、育児に疲れたという感情が大きくなる傾向があります。
夫の家事育児への不理解や非協力が重なると、ママのワンオペ化が進み、ますます体を休められることが減ってしまいます。
やる気が出ないときでもやることが多い
女性の体はホルモンバランスによる影響を大きく受けます。出産前はやる気がでないときには休むことができましたが、育児をしていると、やる気が出ないときでもしなければいけないことが多くあり、それが心身への負担になってしまいます。
体調と環境の調整ができずに、育児疲れを感じるママも多くいます。
育児に疲れた心が楽になる考え方とは?
考え方を変えることで、育児との向き合い方が変わり、育児に疲れた心が楽になることがあります。育児が楽になる考え方を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
65点でもOK!
育児は正解も終わりもないものなので、完璧にしようとすればするほど、満足感を得るのが難しくなります。完璧主義をやめて、「これぐらいでいいかな」と思えるレベルを目標にするのがおすすすめです。
完璧な人なんていない!
育児でうまくいかないことがあると、ママは自分のせいのように感じてしまいがちです。罪悪感や自己嫌悪から、育児に疲れたという気持ちが生まれてしまうことも。ひとりで背負って、原因を自分のなかに見つける必要はありません。
~なときもある!
母親だから「~すべき」「~でなくてはならない」という考え方は、自分に厳しくなってしまいます。「~すべき」という囚われから解放されて、「~なときもある」と現実を捉えられるようになると、心が楽になりますよ。
できたところを見つける
自分の育児を0か100かで見てしまうと、できたことに気が付きにくく、自己肯定感が下がってしまいます。できたかできてないかではなく、できたところに目を向けるようにすると、自分の育児や子供への向き合い方にも自信がわいてきます。
自分にできるのはこれ!
どんな情報もスマホひとつで手に入る時代です。他人の子育てや他人の子供と、自分の状況を比較してしまう機会もすぐそばにあります。他人と比べたところで、自分の置かれている環境や自分の性格、子供の性格が変わるわけではありません。他人と比べて評価を下すのではなく、自分にできることはこれだと、自分を認めてあげることで心が楽になるでしょう。
育児に疲れたときはストレスコントロールが重要!
ストレスコントロールという言葉をご存じでしょうか。ストレスの原因になるもの(ストレッサー)を見つけ出し、ストレッサーに対応する考え方を身に付けたり、症状として現れたストレス反応に対処していき、ストレスに対抗するというものです。
ストレスコントロールができていないと、心身はさまざまな反応でSOSを発するようになります。ストレスコントロールがうまくできないと、血圧の上昇や過敏性腸症候群、自律神経失調症、うつ病などを発症してしまうことも。育児の場合は、産後うつや育児ノイローゼを引き起こしてしまうこともあります。早めの対処でそれらは改善できますので、育児に疲れたと感じる自分を見つけたら、ストレスと向き合える対策を取るのがポイントです。
育児に疲れたときの4つの対処法
育児に疲れたときは、どのように心身を癒すと良いのでしょうか。育児に浸かれたときの4つの対処法をご紹介します。
誰かと話す
人に話すことで、自分の考えや感じていることを整理でき、自分が育児の何に疲れたのかを知ることができることがあります。また、悩みを共有してもらうだけでも、自分の気持ちが受け止められたとホッとすることも少なくありません。
夫に話して一緒に悩みを解決していくことがベストですが、ほかにも、ママ友と出かけて相談したり、第三者のほうが言いたいことが言えるという場合は、カウンセリングや心の相談室、育児相談室などを利用するのもおすすめ。日記に書き出すだけでもすっきりしますよ。
家事・育児を手伝ってもらう
ワンオペ育児で育児に疲れたという場合は、夫に家事・育児を手伝ってもらうか、交代してもらうのがおすすめです。普段ママがどれだけたくさんのタスクを抱えて大変なのかは体験しないと分からないこともたくさんあるため、一度身をもって知ることで今後の家事や育児への取り組み方が変わる可能性があります。
夫の不慣れな手つきや様子にダメ出しをしてしまうと、夫のやる気がなくなってしまうことがあるので要注意。夫の共感を得られるように、話し合うことをおすすめします。
一人になる時間を作る
家事をする妻、育児をするママという立場ではなく、本来の自分自身を取り戻して英気を養うために、一人になる時間を作るのもおすすめです。ショッピングやカラオケ、映画など、子供と一緒にいるときにはできないことを楽しむことがポイントです。
短時間でも、「楽しい」と思える自分の時間があるのとないのとでは大違いです。自分の時間を楽しんでみてくださいね。
ストレス対策に良いという習慣を取り入れる
ストレスコントロールでは、ストレス症状を沈める、または出にくくする行動を対処法として取り入れることがあります。
- 子供のお世話を夫に任せてゆっくりお風呂に入る
- ストレッチやウォーキングなど適度な運動をする
- 1週間に1度はたっぷりと睡眠や休息を取る
- マインドフルネス(瞑想)
など、ストレス対策になる習慣はたくさんあります。環境に応じたもので、できるものから取り入れてみてください。
まとめ
育児に疲れたと感じるときは、どんな場面でそれを感じることが多いのかを自分自身で振り返ってみましょう。疲れたと思う原因が分かったら、改善策が見つかりやすくなるためです。育児・家事の負担を1人で抱え込まず、考え方を少し変えてみて、育児や家事を客観的に捉えるのがおすすめ。ストレスを適度に発散しながら、心と体が少しでも楽になれるような日々の過ごし方を探してみてくださいね。
【参照】
「乳幼児を持つ母親の育児ストレスに関する要因の分析」村上京子 飯野英親 塚原正人 辻野久美子/小児保健研究/2019年
文部科学省「CLARINETへようこそ 第2章 心のケア 各論」