「子供を否定せず、認めて、褒めて育てる」のが良いとはよく聞かれます。育児中のママなら常に「何が正しい育児なんだろう?」と悩みながら日々過ごしているかもしれませんが、この答えでありヒントとなるのが「自己肯定感」です。
育児書だけでなく、ネットニュースやSNSでも自己肯定感の言葉を目にするのは、珍しくなくなりましたよね。ただ、みなさんは自己肯定感の持つ意味を正しく理解できているでしょうか。
今回は自己肯定感の意味を詳しく解説。さらに、「なぜ育児において自己肯定感が大切なのか」もあわせて説明します。
自己肯定感とは?
まずは自己肯定感とは何かを見ていきましょう。
自己肯定感は「自分を認める力」のこと
自己肯定感とは、簡単に言うと「ありのままの自分を受け入れる感覚」「自分を認めてあげる感覚」です。ありのままの自分を受け入れる、認める…少し抽象的なので、具体的にどのようなものかをイメージしにくい方もいるかもしれません。
例えば、大きな不運に見舞われたり、大きな失敗を経験したりと言ったとき、みなさんはどう物事を受け止めますか?もうダメだ、おしまいだ、と諦めてしまうのではなく、それでも人生は続いていくので何とか立ちなおる必要がありますよね。
この時、自己肯定感があれば「失敗した自分」を受け入れられるのですぐに精神を安定させ、立ち直ることができます。自己肯定感とは自分の中の芯であり、家屋そのものです。自己肯定感が高いと芯がぶれず、何かあっても安心して過ごせます。家屋が頑丈なら嵐が起きても、幸せに室内で生活できます。
自己肯定感が高いとどうなるの?
自己肯定感が高いと、先ほど例えに出したように
- 大きな壁や失敗
- 自分にとって耐えがたいこと
- 辛いことや悲しいこと
が起きても、すぐに立ち直すことができます。社会で生きる以上、失敗やリスクは最小限に抑えたいけれどどうしても起きてしまうものです。挫折や断念は必ず誰にでもあること。その時に自分を許し、無条件で自分を認めてあげられると、比較的早くダメージから回復できます。失敗を恐れないようになるため、前向きでチャレンジ精神も高く、さまざまなことに挑戦できるのも自己肯定感の高い方の特徴です。
ポジティブな思考を持つため、自分だけでなく他人のことも「良い面に気付きやすい」「その人の特性を受け入れられる」のも特徴のひとつ。このように自己肯定感が高いと強く、幸せに生きていくことができます。
自己肯定感が低いときは?
自己肯定感が低い方は、高い方の逆です。人生に困難を感じると精神的に不安定になりやすく、落ち込む自分自身も許せない、と感情が保てなくなる場合もあるでしょう。
また、簡単に傷つくためすべてのハードルも低くなり、簡単な楽しさ、らくちんさを求めるのも低い方の特徴です。物事に関心がなくなり、チャレンジ精神も失われ、リスクを考えるあまり行動の萎縮が見られます。
自己を肯定する・否定するのはどちらも簡単です。特に自己否定は「何もかもおしまいだ。全部諦めよう」と投げ出すのはたやすく、癖づきやすい点にも注意しておきましょう。とはいえ、自己肯定感が低い意識がある方は「もうダメだ」と落ち込むことなく「高められる余地がある」と前向きに捉えるのがおすすめです。
決して取り返しのつかないことではないため、今からでも自分や子供の自己肯定感が気になったら、すぐ高める意識を持つと良いでしょう。
育児と自己肯定感の関係性とは
自己肯定感が注目されている中で、「自己肯定感を高めるよう」育児するのは今や常識です。自己肯定感とはやや捉え方が難しい面もありますが、「子供の自己肯定感を高めることもできるの?」「どうやって子供の自己肯定感を高めたらいいの?」と思う方も多いですよね。
ここからは育児と自己肯定感の関係性を解説します。
幼少期の親との関係で子供の自己肯定感は決まる
なぜ育児において自己肯定感が大切だと言われているかというと、幼少期の親との関係性によって子供の自己肯定感が決まるからです。もちろんこれがすべてではありませんが、大きく影響していることは頭に入れておくと良いでしょう。
自己肯定感とは「どんな自分でも大丈夫」と感じる力です。赤ちゃんを考えてみると分かりますが、乳児は「お腹が減った」「おむつを替えて」とママにさまざまなことを訴えます。これをママや周りの大人は、否定せず受け入れて成長をサポートしますよね。少し大きくなると、「これが食べたい」「あのおもちゃでママと遊びたい」と要求は多様に広がります。ママはそれに、条件が許せば受け入れて叶えてあげるはずです。
このような幼少期に受ける親からの絶対的な肯定感こそが、「自分を認める力」のベースになります。この時期は自己肯定感の根幹を育む大切な時期なので、声掛けや接し方は十分考えておきたいものです。
子供の自己肯定感は「褒め方」「叱り方」で大きく左右される
では、子供の自己肯定感のベースとなる幼少期に、子供はどんなコミュニケーションを親と取るでしょうか。考えてみると「褒める」「叱る」の二つに大きく分けられますよね。
この二つはどちらも大切です。幼少期の子供との付き合い方において、必ず起こるコミュニケーションと言えるでしょう。
褒め方、叱り方にはそれぞれNG行為、OK行為があります。以下の記事で具体的にまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
どちらにも言える大切なことは、「子供を信じる」ことです。子供扱いせず、一人の人間として向き合い声掛けの仕方を工夫しましょう。
例えば叱る時は、一人の人間として子供を信じていれば人格を否定したり、子供にとって直せないことを叱ったりするのは避けられるはず。褒める時も、親にとって都合の良いことをしたときだけ、結果を残せたときだけ褒めるのではなく、過程や頑張ってきた姿を見ているママならではの目線で、正しくすべてを褒めてあげることが理想です。
信じてくれる親がそばにいることで、子供は「ありのままでいい」「自分は愛されている」と自己肯定できます。
ママの自己肯定感を高めるには?
幼少期の子供との接し方は、自己肯定感を高めるために重要。もう一つ大切なのが、ママ自身の自己肯定感です。
自己肯定感は親子で大きく影響し合います。自分を認める感覚が備わっているママは、子供にとっても「どうすれば自分を認めてあげられるのか」「自分を受け入れられるのか」を上手に教えられるでしょう。
子供だけでなく自分の「強み」「良い所」をチェック
「子供の自己肯定感を高めよう!」と、褒めるところを探した時「なんだかうまくポイントが見つからない」「良いところが分からない」となるママも中にはいるでしょう。そんな時は、一度自分自身の強みや良い所をチェックしてみるのも一つの手段です。
「せっかちですぐ失敗する」が自分にとっての弱点だとしても、「素早く行動でき、フットワークが軽い」という強みが隠れています。「何事にも時間がかかってしまう」が悩みだとしても「丁寧で慎重に行動できる」という良い面もありますよね。
自分の褒められる点や良い所を積極的に探し、チェックしてみましょう。自分自身の良い点に目を向けられるようになると、他者や子供の良い点も見つけやすくなります。
リフレーミングでポジティブシンキングを意識する
リフレーミングとは、心理学の中で「枠組みを換え、感じ方をも変える」フレームワークのことを指します。自己肯定感を高めるためには前向きな姿勢、ポジティブな思考が重要になりますが、どうしても自分にとってマイナスなことが続くと、後ろ向きな思考になりがちです。
例えば雨が降っていて、その中で子供を自宅で見ておかないといけないシーンがあったとしましょう。
- 「外は雨で何もできない」
- 「部屋の中だと遊び方もワンパターンで、子供も退屈になる」
と嫌な面や不満ばかりに目を向けるのではなく、
- 「家の中で遊べる工作をやってみよう。早めにお風呂に入り、子供とお風呂場で遊ぶのもいいかも」
と雨が降ったからこそできる点に目を向けるのが、リフレーミングです。
すると、「雨が降って憂鬱」といった視点が「雨が降ったからいろいろできる」とポジティブに変わります。どんな場面でも使える思考なので、前向きな考えを持ちたいときは「今だからできること」を探してみると良いでしょう。
自分を大切にする、認める
この記事を読んでいるママは、自己肯定感の意味を知り育児や自分の生活に役立てたいと考えていますよね。自己肯定感の意味を知ると分かるように、まずは自分を大切にして無条件で認めてあげることこそ、最も大切なポイントです。
自分を信じられるママは、子供のことも信じてあげられます。ママが笑顔なら子供も笑顔でいられるように、我が子のことを考えるならまずは自ら自己肯定感を高めてみましょう。
すぐには自分のことを認めてあげられないかもしれません。繰り返しになりますが、「自己否定」も「自己肯定」もどちらも簡単なのです。少しずつで良いので自分を信じてあげる意識がけを続けてみましょう。
まとめ
気になる自己肯定感の意味、育児との関係性をご紹介しました。少し複雑な印象を受ける「自己肯定感」ですが、実は子供だけでなくママ自身にも高めるとポジティブな影響が期待できます。
自己肯定感を育む子供との接し方、自分の自己肯定感を高めることは、今すぐ実践できるものばかり。ほんの少し意識を改めるだけで子供だけでなくママの生きづらさも和らぐので、できるところからぜひ試してみてくださいね。
【参考】
自己肯定感とは? 自己効力感との違い、背景、高い人の特徴やメリット、低い人の特徴やデメリット、高める方法やトレーニングなどについて カオナビ人事用語集