子供の自我形成を詳しく解説!5歳で社会性が身につくって本当?

自我形成

子供を育てていると「自我の芽生え」「自我形成」という言葉をよく耳にするかもしれません。「自我」とはイヤイヤ期など反抗期を迎えると「自我が芽生えたから」と言われていますよね。

この自我は大人にも子供にもあり、一人ひとり異なります。普段は意識していませんが、ママだって自我を少しずつ形成し今があるのです。

子供にとって自我形成はとても大切な成長要素。そこで今回は子供の自我形成はどのように起こるのか、自我形成する中で子供とどう向き合うのかをご紹介します。

子供の自我形成はどうやって行われるの?

家族で過ごす

まず自我形成はどうやって行われるのか、生まれた時からさかのぼって見てみましょう。

子供の「自我の芽生え」は2歳ごろと言われていますが、掘り下げて考えると自我自体は生まれた時から存在します。

乳児期:「笑う」「泣く」という主張からどんなポジティブな反応が周囲から得られるか

生まれたばかりの赤ちゃんは、歩けず言葉も話せないので自分の感情をうまく伝えることができません。また、放っておくと一人では生きていけないのでママやパパ、周囲の大人のお世話が必須ですよね。

この頃の赤ちゃんでも自我形成は行われています。赤ちゃんは「笑う」「泣く」という感情表現をしてコミュニケーションを取っているのです。自分が快感感情を覚えたら笑って不快だと泣くことで、ママをはじめとする大人はあやしたり一緒に笑ったりとやりとりできます。

赤ちゃんの笑う・泣くという主張こそが自我です。この自我が成長するためには、周囲から「あやされたり」「一緒に笑ったり」「お世話されたり」といったポジティブな反応を得る必要があります。この自我の主張にポジティブな反応が返ってくることで、赤ちゃんはベーシックトラストと呼ばれる基本的信頼感を育むのです。ベーシックトラストを分かりやすく言うと、「親は無条件で自分を愛してくれている」という親子の信頼関係です。

幼少期:社会的なルールとの葛藤が生まれる

笑う・泣くといった少ない感情表現から、複雑な主張に切り替わるのが2~3歳ごろの幼少期です。簡単な言葉なら話せるようになり、自分で歩き手先も器用になり、幼少期の子供はできることがたくさん増えます。

自我形成は「相手からの反応を待つ」だけのものから「社会的なルールと自己主張との間に葛藤が生まれる」段階に入ります。

  • お友達が嫌なことはやってはいけないよ
  • ママのお手伝いをしてね
  • おやつは時間を決めて食べよう

2~3歳になるとこのような家庭・社会のルールやマナーを教えることも増えるでしょう。ただし、分かっていても自我が芽生え形成途中の子供には社会的ルールを守らないといけない気持ちと「〇〇したい」「〇〇はしたくない、ヤダ」という自己主張がぶつかってしまうのです。

これがいわゆるイヤイヤ期の始まり。「自我の芽生え」はこの時起こると言われているのは、自我が強く表れる時期だからです。ママも育児で悩みを持つ方も増え、叱ったり言い聞かせしたりすることもあるでしょう。

例えこの時期にルールやマナーを教える上で叱られたとしても、先ほど説明した親子の信頼感であるベーシックトラストが育まれていれば「どんなに叱ってもママはわたしを愛してくれている」と子供は認識できます。

幼少後期:社会性の基本ができる

題名でもお伝えしたように、幼少後期を迎える4~5歳ごろには自我形成は進み、社会性の基本ができあがります。いつまでも子供は幼いと思っていたのに「5歳でもう社会性が身につくの?」と驚いた方もいるかもしれません。

これまで幼稚園や保育園に通っていたとしても、集団の中で一人遊びを繰り返した子供は4~5歳になると集団遊びを始めます。お友達と役割を分担しておままごとをしたりチームを組んでルールに則ったスポーツや遊びをしたりと、その中で自我形成は進んでいくのです。

性別の違いを認識し早い子だと「〇〇くんが好き」と恋愛感情を自覚できることも。悪いことをしたら「ごめんなさい」ができるなど、社会のルール・マナーが少しずつ守れるようになるのです。

この頃になると「うちの子、イヤイヤ期を抜けたかも」と感じるママも多いかも知れませんね。その通り、大体の社会性は身についているのが幼少後期の子供の特徴です。

自我形成のために大切なこととは?

ボールドーム 子供

大人と同じように赤ちゃんの頃から自我を持ち、成長の中で子供は自我を形成していきます。この自我形成の過程において、大切なこととは何でしょうか。成長ごとにポイントをまとめました。一緒に見ていきましょう。

乳児期:子供を無条件に愛しポジティブな反応を返す

乳児期で大切なのは、基本的信頼=ベーシックトラストをしっかり育むことです。ベーシックトラストはイヤイヤ期の親子の信頼関係にも影響しますし、子供の今だけでなく将来にも大切な要素です。親子の信頼関係は自己肯定感を高めることにも関係すると、以下の記事で解説しました。

自我形成において、乳児期に子供にやってあげたいことは「無条件に愛してポジティブな反応を返す」です。特別なことはいりません。どのママも我が子を愛して毎日一緒に過ごしていますよね。

覚えておきたいのは自我形成は赤ちゃんの頃から始まっています。「赤ちゃんだから」と思わず一人の人間として子供と向き合い、泣く・笑うに対してポジティブな反応を返しましょう。

幼少期:子供の葛藤を見守る、口を出し過ぎない

幼少期の2~3歳ごろは特に子供との関係に悩みを感じやすいです。イヤイヤ期で気持ちがまいっていたりイライラするママも多いでしょう。魔の2歳児という言葉もあるように、子供の自己主張とルールの葛藤はこの時期に目立ちます。

保育園・幼稚園に通う子も増えて、子供同士のいざこざも起こりやすいかもしれません。しかし、ここでママがやっておきたいのは

  • 口を出し過ぎない
  • 子供の葛藤を見守る
  • 子供と“一緒に”どう問題解決するかを考える

です。この時期の自我形成は「社会のルール」と「自分の主張」とのぶつかりあいをどう解決するのか学ぶことで育まれます。

もどかしいと思う方もいるかもしれません。ですが、子供を信じて見守ってあげましょう。

幼少後期:たくさんの経験をさせてあげる

子供の遊び

幼少後期は社会性の基本ができあがるとお伝えしました。この頃の子供にはたくさんの経験をさせてあげましょう。

子供は「遊び」からルール・協調性を学びます。自我形成と子供の遊びの関係性について、子供の発達を研究される先生方はこんな言葉を残しています。

劇遊びも自己をしっかりもちながら他者になりきりその上で協力しあうことを要請されることから自我と第二の自我との自己内対話を育くむ6歳期の大切な遊びである。

幼児の自我形成における遊びと生活活動の意義と内容について 野原 由利子 倉田 左恵子 小牧 和美

イヤイヤ期も落ち着き気持ちが安定するのも幼少後期のころ。気持ちが落ち着くと、次は子供は「知りたい」「やってみたい」と好奇心が湧いてきます。その感情を大切にして、親子でさまざまな体験を重ねてみてください。

まとめ

大人と同じように、小さな赤ちゃんでも自我を持って生まれます。自我の芽生えや自我形成で最も大切なのは、子供の変化を広い心で受け止めて認めてあげる大人の「受容」です。

時には自我を通そうとするあまり、親子で衝突が起こるかもしれません。マナーやルールを教えるのは簡単なことではなく、心配や怒りの感情を持つママだっているでしょう。

それでも子供を見守ってまず信頼することで、子供にも大人を信じる感情が芽生えます。子供の得る経験ひとつひとつを大切に、我が子の自我形成をそばで応援してあげてくださいね。

【参考】

パーソナリティはどうやって創られるのか? 大人になったあとも役に立つ心理学的アプローチ|オンラインMBAなら『ビジネス・ブレークスルー大学大学院』

子どもの自我意識の芽生えのとき、大人はどう接したらいいのか|お役立ち保育コンテンツ|保育士の転職求人なら「保育ぷらす+」

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。