子供がある程度大きくなると、お友達やきょうだいと意見がぶつかり子供のケンカが起こることがあります。そのとき、みなさんならどう向き合いますか?
今回は子供のケンカに対して
- 親がするべきこと
- 子供のケンカを収めるためのポイント
ご紹介します。「自分がどう立ち回ってよいのかわからない…」と悩む方は、ぜひ参考にしてみてください。
子供のケンカ、何歳から起こる?
子供のケンカは何歳ごろから起こるのでしょうか?実は、子供のケンカはそう珍しいものではありません。
3歳ごろから子供同士の主張がケンカになる
大体3歳ごろから、子供同士のケンカが怒ります。厚生労働省が発表している子供の成長の目安、保育所保育指針にはこう書いてあります。
おおむね2歳
行動範囲が広がり探索活動が盛んになる中、自我の育ちの表れとして、強く自己主張する姿が見られる。
2歳ごろから自我の主張が芽生え、さらに3歳では保育園・幼稚園に通う子も増えますよね。自己主張ができたうえでお友達と遊ぶ機会が増えるため、子供のケンカが起こりやすいのです。
小学生低学年までは子供のケンカはよく起こる
子供のケンカは珍しいものではありません。3歳ごろの小さなうちから、小学校低学年までは子供のケンカはしょっちゅうです。何度もお友達とトラブルが起きているからといって、子供の性格に問題があったり成長がおかしかったりするわけではありません。
ケンカが多いというのは、自分の意見を持っておりそれを主張できる環境が整っているということ。また、ケンカをすることで「言葉の持つ暴力性」や「他人とのかかわり方」などといった社会性を子供は学んでいきます。
大切なのはこの子供のケンカを、子供の大切な成長ポイントととらえることです。次に、子供のケンカで親が「やってはならない」NG行動を解説します。
子供のケンカ。親が言ってはいけないこととは?
子供のケンカを見ていると、つい親が介入し無理やり収めたくなることは多いでしょう。ただ、言ってはならない言葉があります。
「あなたが悪い」「それはおかしい」
まずは頭ごなしに子供を否定すること。繰り返しになりますが、ケンカとは「自己主張のぶつかり合い」です。子供のケンカを収めたいがあまり、子供の主張を頭から否定し聞き入れないと、子供は自分への自信をなくすでしょう。
ケンカはイジメとは異なり、相手と対等な立場で意見がぶつかることです。状況的に一方的な攻撃をしていたり、やり返せない方法で相手を陥れたりするのなら否定もおかしくはありませんが、親がその状況を正しく判断するのはとても難しいもの。
まずは、双方の言い分と状況をしっかり把握することを優先させましょう。
「ママが代わりに言ってあげる」
子供のケンカを親が代わりに収めるのもNG行動のひとつ。もちろん度が過ぎた暴力があったり、事態がどうしても収まらなかったり、お互いが幼すぎてケンカの収め方がわからなかったりすると親の介入は必要になります。ですが、ケンカ相手への報復を親が代わりに務めるのは少し違います。
もし謝るべきシーンだったり、やられて嫌だったことを相手に伝えたかったりするのなら、親は見守るだけにして子供自身の口から伝えるのがおすすめです。その方が相手にも正しく伝わりやすく、親同士のトラブルにもなりません。
「とにかく謝りなさい」
こちらも、言葉は違っていますが最初にご紹介した「あなたが悪い」と子供を否定するものと一緒です。謝る=ケンカに負けるわけではありません。しかし、子供の気持ちや主張を無視してまで謝ることに徹するのはおすすめできない行動です。
いずれの場合も、ケンカをしている子供どちらともの言い分をしっかり聞くことが大切。つい自分の子供に肩入れしたくなったり、ケンカをすぐに収めるために叱ったりしたくなりますが、一度我慢して状況を整理しましょう。
子供のケンカを収めるための3つのポイント
では、子供のケンカに対して親はどのように行動すればよいのでしょうか。子供のケンカはケースバイケースで、大人が向き合うには難しい場面がたくさんあるでしょう。
ここからは、そんな子供のケンカを収めるためのポイントを3つに絞って解説します。
親は冷静な視点を持ち、落ち着いて行動する
子供のケンカを収めるためには、親はだれよりも落ち着いて冷静に立ち回ることが大切です。一緒になって子供のケンカ相手に怒ったり、「注意してみていなかった親が悪い」と怒りの矛先を変えたりするべきではありません。
とはいえ、落ち着いた考えを持っていても親がケンカに介入するのは程度が難しいものです。教育評論家の尾木ママこと尾木直樹さんは、子供のケンカの介入ポイントをこうまとめています。
幼児期は、状況を整理してあげて、自分の感情を理解させる。
児童期は、共感してあげて、ケンカが起きた理由を一緒に考える。
思春期は、自分たちで解決できるようサポートする。
3~5歳の幼児期だと、まだ自分が相手の言葉でどんな気持ちになり、相手がどんな気持ちで言葉をぶつけたのかわかりません。親や周囲の大人が状況を「解説」することで、ケンカの原因やケンカの収め方を子供が学ぶようになります。
児童期は自分たちでケンカを収める手段を身に着ける時期。親はケンカで起こった気持ちに対して共感し、「何が原因なのか」を一緒に考えるとよいでしょう。
思春期では親は直接介入すべきではありません。子供の成長に合わせて徐々に介入の度合いを下げていき、ケンカを収めるすべを子供と一緒に学んでいくのはいかがでしょうか。
お互いの言い分をしっかり聞く
次はお互いの言い分をしっかり聞くことです。例えケンカの原因が自分の子供だと親が思っても、子供の主張は異なるかもしれません。
この主張は、完全に出し切るまで聞きましょう。最初のうちは子供も興奮状態で、どう対処してよいのか誰も分からないことがほとんど。意見を出すうちに次第に興奮は冷めるので、その状態から「ケンカの原因は何かな」「どんなことをしたらケンカにならなかったかな」と子供と一緒にケンカを考えましょう。
ただ、どうしても意見が偏ったり双方の言い分に矛盾が出たりする場合があります。子供同士が幼いとなおさら意見は食い違うでしょう。
このとき、親が状況を判断するのはとても難しいもの。一体何が起きたのか、幼稚園・保育園の先生や学校の担任の先生など、第三者の大人の意見を聞くのも一つの手段です。
気を付けたいのは親が子供の気持ちを代弁すること。ケンカに介入しすぎると、親同士のトラブルに発展する恐れもあります。注意しておきましょう。
お友達に対する「ルール」を教える
ケンカを収めるときは、お友達に対するルールを教えるようにしましょう。特に幼児期の子供は、基本的なルールを知らない場合がほとんどです。
- お友達は叩いてはいけない
- 容姿や性別など、相手が直せないことを非難してはいけない
- ケンカといじわる(イジメ)は異なる
など、今後の生活でも守るべきことはしっかり教えてあげましょう。
このため、ケンカは子供の成長を促すチャンスです。積極的にケンカをおすすめするわけではありませんが、「子供がすぐお友達と衝突するので、一緒に遊ぶのを避けている」というママがいればちょっとだけ考え方を変えてみるのはいかがでしょうか。
最初は子供のケンカにとまどう親も多いです。ただ、繰り返すことで子供は人とのかかわり方を学べ、親も「どの程度介入すればいいのか」「どう立ち回れば収まるのか」が分かるようになります。
子供のケンカを通じて、親も子供も一緒に成長できるとよいですね。
まとめ
子供のケンカは、親としてもどうしてよいかわからないもの。しかし、今回解説したように介入するべきポイントはいくつかあり、ケンカを乗り越えることで子供は他人とのかかわり方を学べます。
繰り返しになりますが、子供のケンカは成長のチャンスです。親も一緒に子供のケンカを考えて、お友達やきょうだいとの適切な距離感を掴んでいきましょう。
【参考】
NHK 「ウワサの保護者会 子どものケンカ そのとき親は?」