子どもはいつからお手伝い始める?【公認心理師】がお伝えする幼少期からお手伝いをさせたい理由

子どもが少し成長してくると、ママのお手伝いをしたがるようになります。 ママと一緒にキッチンに立ったり、お洗濯ものを手伝ったり。 まだまだ、自分一人では上手に出来ない「お手伝い」も幼少期から始めるメリットがたくさん。

こちらの記事では、幼少期から始めたいお手伝いについてお伝えします。


お手伝いをする子 子どもがお手伝いをしたがったときに、子どものためにもなるべくさせてあげた方がいいだろうと思うけれども、一方でママにとっては余計に手間がかかることになるのは目に見えています。

子どもがまだ上手に出来ないときにお手伝いをやりたがると 「まだ難しいからママがやってあげるね。」 「危ないから、もう少し大きくなってからやってね。」 などと言ってはいないでしょうか。

正直「面倒くさい」という気持ちが勝ってしまうこともあるかもしれません。 まずはママの気持ちと時間のゆとりのある時だけでもいいので、少しずつ子どもの「お手伝い」を増やすことで、子どもに様々なメリットがあります。

1.自立につながる(生活スキルが身に着く)

お手伝いをすることによって、

  • タオルや洋服をたたむ
  • 食事の支度や料理をする
  • 掃除をする(ほうきではく、雑巾がけをする、汚れをふく、など)

などの生活スキルを徐々に身に着けていることが出来ます。

子どもは「成長したい」「出来るようになりたい」という気持ちを強く持っています。その気持ちがお手伝いに向いた時こそが、その子の生活スキルを身に着けていくチャンス。上手に出来ないからこそ挑戦したいのです。

お手伝いをし始めた時は、ママにとって手間が増えることばかりかもしれませんが、長い目で見た時には子どもがママの手を離れて自分でなんでも出来るようになるための道です。

2.自己肯定感が育つ

お手伝いをすることで、子どもは少し難しいこと、これまで出来なかったことが少しずつ出来るようになります。(もちろん、ママのサポートは必要ですが。) その経験を通して、子どもは「自分で出来た」という自信をつけていくことになります。

また、ママに認められる経験を積み重ねることによって、それが自尊心を向上させることにもなります。 「お掃除手伝ってくれたから、お家がピカピカになって気持ちがいいね。」 「タオルの半分こに畳むの、上手に出来たね。」 「お手伝いしてくれてありがとう。」 こんな声掛けをしていってあげたいですね。

3.育脳

お手伝いをするということは、あらゆる脳の使い方をします。

  • 自分のスキルを予測する
  • どのように課題が達成できるのか計画をたてる
  • どうしたら課題が達成できるのか考え、工夫する
  • 上手くいかなくても、試行錯誤をしたり、粘り強く挑戦する

このように、お手伝いをすることで、思考力・創造力・想像力・集中力・計画性・粘り強さなどの力を伸ばしていくことが出来ます。

そのためには、ママが子どもにとって、「少し難しいけれど、頑張れば達成できそうなレベル」のお手伝いを提供する必要があります。 いくら子どもが挑戦したがったからといっても、失敗ばかりが続くことや、到底達成できないような課題であると、子どものやる気を損ねてしまいます。

「難しいけれど、出来るかもしれない」と子どもが思えるレベル、これが子どもを育て、かつお手伝いをいつもする子に育てるコツです。

例えば、洗濯ものをたたむお手伝いをしたい子どもには、レベルによって次のようなお手伝いの提案をすることが出来ます。

1~2歳の子ども

ソックスのペアリング(ソックスの仲間探し) タオルをたたむ(まずは半分こ、から)

3~4歳以上の子ども

ママが教えるたたみ方で洋服や下着をたたむ 洋服ダンスにたたんだ洋服を片付ける

4.協調性が育つ(コミュニケーション力)

お手伝いをする時は、一人で黙々と作業をする時間もあるかもしれませんが、大抵の場合はママや他の兄弟と協力しながらやることが多いでしょう。

ただ、やみくもに何でもお手伝いをされてもママも困ってしまいますので、まずは子どもが「(お手伝いを)したい」ということをママに伝えます。 そして、それに対してママが「こんなお手伝いをしてくれる?」と提案します。 それに納得すれば子どももOKをするでしょうし、それではなく違うことをやりたいのであれば、そのことを子どもが伝えてきます。

このお手伝いが始まる前の部分だけでも、子どもが自分の気持ち(やりたい)をママに伝え、そして何が出来るのかということを交渉するコミュニケーション力が育つやりとりとなっています。

お手伝いをする過程では、わからなければママにきいたり、自分だけでは難しいと思った時に、どんなサポートをしてもらいたいのかママに伝えたり、と他の人と協力して何かを達成させる、という経験を積むことが出来ます。

また、このようなやりとりを何度も繰り返すうちに、ママがどんなお手伝いを喜ぶか、などといった想像力を働かせて、他者を思いやる行動を取ることも出来るようになります。

ママの心持ちで注意したいこと

お手伝いを見守るママ 上記でみてきたように、お手伝いは子どものあらゆる成長に繋がる、大切な教育の1つ。ママの関わり方次第でその絶好のチャンスを最大限に生かしていけることが出来ます。以下のポイントには気を付けていきましょう。

1.初めから「ちゃんと出来る」ことを求めない

お手伝いをしたがる年齢が小さければ小さいほど、当然ですが、初めから完璧に出来ることはありません。お手伝いをしたがるのは、子どもの成長欲が刺激されるから。つまり、「まだ出来ないからしたい」のです。

どんなお手伝いでも、最初は出来なくて当たり前。 まずはお手伝いに「挑戦すること」自体に価値があるという心持で、子どもに接していきましょう。

2.出来たことを(どんなに小さいことでも)褒める

子どもがお手伝いをしたい!と言ってきても、ママが期待するほど、もしくは子ども自身が自分で思っている程は実際に出来ないことも多いでしょう。

こんな時に、ママの観察力が試されます。 どんな些細なことでも出来たこと、前回よりも上達したこと、そんなことを見つけて指摘をする。ママがその子どもの「出来たこと」を認めることによって、子どもはお手伝いがますます楽しくなり、自信もつけて、実際に上達していきます。

上手く出来なかったことは気づきやすいですが、「出来たこと」に注目してそれを言葉に表す癖をつけていきたいですね。

3.ひたすら「待つ」ことを大切に

誰でも新しいこと、少し難しいことに挑戦するときは、初めはなかなかうまくいかないもの。そして時間もかかります。 幼い子どもは特に、手指がまだまだ発達過程。思うように身体を動かせないことも多いです。それでも一生懸命に作業にうちこむことで、身体や手指の使い方も上達していきます。

時間がかかってなかなか出来ない時に「ママがやろうか?」と言いたくなるかもしれませんが、子どもが助けを求めるまではただひたすら見守るくらいの心持で、待つことを大切にしましょう。

4.感謝の気持ちを伝える

子どもがお手伝いをする上でモチベーションとなるのは、子ども自身の成長欲と、やはりママからの「ありがとう」です。人の役に立つ喜びは、子どもにとって嬉しいものですし、自己肯定感を高めていくことにもなります。大好きなママからありがとうと言われることは、子どもにとって何よりものモチベーションですね。

どんな些細なことでも、ママが一人でやってしまった方が楽だし早かったことだとしても、子どもがお手伝いをしてくれたことに「ありがとう」を伝えましょう。

また、「偉いわね」や「お利口さんね」といった、上から目線の褒め方はしないように注意しましょう。「ありがとう」は対等な関係性からの感謝の言葉ですが、「偉いわね」などという上から褒めている言葉では、子どもにさせている感が出てきてしまい、子どもの自主性を気づかぬうちに奪ってしまうことになります。

ママが感謝の気持ちをいつも子どもに伝えていると、子どもも他人に感謝の気持ちを伝えられる人間に育ちます。

5.毎日すること

1歳などの小さい頃は難しいかもしれませんが、2,3歳と少し大きくなってきて、自分のこともある程度自分で出来るようになってきたら、お手伝いは毎日するように習慣づけましょう。

お料理やお掃除は時間のある時だけでもいいですが、食事の支度(食器やお箸を並べるなど)など、必ず毎日必要なことで、かつママの見守りが少なくても出来ることは、どんなに忙しいママでも毎日取り入れられるお手伝いです。

毎日やることで、お手伝いが習慣となります。 また、毎日お手伝いをすることで、子ども自身のスキルもどんどん上達します。子どもが出来ないことが出来るようになる上で最も大切なことは、体験数。いかに多く経験するかが影響します。

毎日お手伝いすることにより、子どもの出来ることは増え、忙しいママの戦力となる日も近づきます。また、お手伝いが習慣化することで、「家族」というコミュニティでの子どもの役割がうまれ、役割を果たす責任感もうまれてきます。

子どもが小さい時は何でもママがやってあげていて、色々と出来るようになってから家庭での役割を割り振っても、子どもの中で「面倒くさい」「(お手伝いを)やってあげている」という感情が出てしまうと、それから習慣化していくことは一苦労。

ぜひ、子どもが小さい時から「毎日」お手伝いを日々の生活の中に取り入れていきたいですね。

年齢別お手伝いの例

幼い子ども達がどのようなお手伝いが出来るのか、こちらでご紹介します。 年齢は、目安として提示していますが、子どもの成長は個人差が大きいもの。得意・不得意によっても変わるものですので、年齢にとらわれず、子どもの今のスキルに見合ったお手伝いの提案をしてあげてくださいね。

1歳

  • ソックスのペアリング
  • 箱に入れるなどのお片付け
  • 野菜を洗う

2~3歳

  • 洗濯物を干す(ハンガーにかける、洗濯ばさみではさむ)
  • 料理のお手伝い(まぜる、お米を洗う、卵を割る、野菜をむく、など)
  • 雑巾がけや窓ふき
  • カーテンを開ける/閉める
  • 洗濯物をランドリーバスケットに入れる
  • 食事の支度(台ふきんでテーブルを拭く、お箸などを用意する)
  • 花の水やり

4~5歳

  • 料理のお手伝い(包丁で切る、卵の殻が入らないように割る、計量する、こぼさないように混ぜる、焼くなど)
  • ペットの世話(ブラッシング、餌やミスやりなど)
  • 洗濯物をたたんで片付ける
  • 妹や弟の出したオモチャを片付ける
  • 掃除機をかける
  • お風呂洗い

まとめ

 

まだまだ幼い子ども、と思っていても、あっという間に成長してしまいます。お手伝いなどの習慣は、ぜひ幼いうちからつけることで、子どものスキルも状態し、様々な能力を伸ばすことができ、さらに将来的にはママの家事の負担がぐんと少なくなります!

初めはママの手がかかってしまうお手伝いですが、子どものために、将来のママのために、ぜひ今からたくさん取り入れていきましょう。

ABOUT US
久保田 由華心の相談室 こころラボ 代表
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。