子供の「自律性を育てる」とは?自分で考える心を育む方法

自律性を育てる

今、育児に求められるものは「言われた通りにできる子」ではなく、「自由な発想を応用力で表現できる子」にシフトしているといわれています。少し難しい考え方ですが、子供の自主性を尊重しながら成長してもらうのが、親の一番の思いですよね。

今回はそんな育児に求められる「自律性を育てる」ことに注目します。

自律性とは何か、自律性を育てるためにはどうすればよいのか、よく一緒にされる自立性との違いもチェックしていきましょう。

「自律性を育てる」の自律性とは?

卒乳

自律性を育てるとは、育児書や育児指南サイトでよく見かける言葉です。

自律した性質のこと、それ自身だけで調整したりコントロールしたりすることができるような性質や傾向のこと。

自律性の意味や定義 わかりやすく解説 Weblio辞書

自律性はこれからの育児に大切な要素ですが、今一度自律性の意味を紐解いてみましょう。

自分の考えを発せられること

自律性とは、文字通り「自分を律すること」を指します。律するとは自分に対して指示を出すという意味を持ち、「他人に言われた通りにすること」ではなく「自分の考えを持ち、決定して行動できること」を自律性があるといえるでしょう。

自律性が育つ子は、自分の考えを発せられます。「ママが選んで」「ママがやって」と親任せにせず、自分の考えを持てるという特徴があります。

自分の意思で道を選ぶこと

自律性が高い子の特徴として、「選び抜く力」があります。普段何気なく生活している中で、「自分の求めるほうを選ぶ」というのは頻繁に起こるもの。この決定ひとつとっても、自律性が育っていないと選ぶことができません。

自分の意思で「こっちがいい」と表現できると、子供の考えもよくわかりますよね。これは、普段から選ぶ機会があるかどうかで左右される能力です。

なぜ「自律性」が注目されているの?

自律性の意味を考えると、「子供にとってポジティブな効果のある言葉」とわかります。ですが、現代では育児だけでなく、教育やビジネスシーンでも自律性を育てる意味が重要視されています。

なぜ、自律性が注目されているのかというと、社会全体の指針として「作業をしっかり暗記し言われた通りに動ける人」よりも「自主的に自分が効力を発揮できる場面を見極め、表現できる人」が求められつつあるからです。自律性が高いと困難や挫折を経験しても自分で乗り越えられるため、子供にとってはたった今の能力を高めるだけでなく、将来的な能力にもなります。

また、この自律性を育てるには特別なカリキュラムやテキストは必要ありません。ママと子供のコミュニケーション次第で我が子の自律性は育つので、次にご紹介する「自律性を育てるためにしたいこと」を参考にしてみましょう。

子供の「自律性を育てる」ためには?

ママ 自己肯定感

子供の自律性を育てるために、ママができる3つのポイントをまとめました。

  1. 子供にとって安心できる存在になる
  2. 普段から選ぶ機会をたっぷり用意する
  3. ママはまずは「見守る」「話を聞く」

一つずつ見ていきましょう。

親は子供の「安全基地」になる

子供が自主的に何かを行動できるのは、「失敗してもママ、パパは味方でいてくれる」「家に帰ったら安心」と絶対的に信頼しているからです。自律性を高めようと突然突き放したり子どもの好きにさせたりすることもありますが、これは正しくはありません。まずは、ママ自身が子供の安全基地になりましょう。

困ったときは子供にアドバイスをする、助けてあげるなど、サポートは必要です。また、言葉だけでなくときには行動でママとしての応援する気持ちを表してあげましょう。

普段から選ばせる、子供の意思を尊重する

普段からできる自律性を育てることは、子供に「選ぶ」機会をたくさん与えることです。どんな些細なことでもよいので、選択肢を与えましょう。

  • 今日の服はこれとこれ、どっちにする?
  • 今からお片付けする?おやつのあとにする?
  • どっちのおもちゃで遊ぶ?

さまざまな選択肢がありますが、ポイントは子供の年齢に合わせて選択肢をあらかじめ絞ることです。

3歳くらいの子に「自分で着たい服を選びなさい」と大雑把に選ばせても、なかなかうまく選び取れません。2つくらいのアイデアをママが提示して、「どっちにする?」と聞けばほどよい選ぶ体験になるでしょう。

イヤイヤ期など自己主張期にはうまくママも対応できないかもしれませんが、一度子供の意見を聞いてみると自律性を育てることにつながります。

まずは見守る、話を聞く

あれこれ口出ししたくなりますが、まずはママが見守り、子供の話を聞くことが大切です。急いでいるときにはなかなかできないかもしれませんが、可能な限りで子供の意見が出るまで待ってみましょう。

時間がかかっても自分でしっかり考え自分で行動を選ぶことを繰り返すのは自律性を育みます。手出し、口出しがしたくなっても、1日のうち1回でいいので見届けてあげるとよいでしょう。

年齢を重ねるごとに、子供は思考が上手になります。今は時間がかかって大変、待つことがなかなかできない…という方でも、次第に手が離れて子供の成長を実感できるでしょう。

自律性と自立性の違いとは

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自律性とは、ご紹介したように「自分の意思で自分の行動を決定し、実行できる」ことを指します。自律性を育てる重要さも、子供の将来を考えると理解できますよね。

この自律性は、しばしば「自立性」と表現されることもあります。同じ意味合いとして使われることもありますが、自律性を正しく理解するために、自律性と自立性の違いを考えてみましょう。

自律性は「ルールを守り、自分の意思を持つ」こと

自立性と自律性、どちらも読み方が同じであり、同じ意味として扱うこともあります。とはいえ両者には明確な違いがあり、それが

自律性には規律・ルールが存在する

点です。

どちらも個人の意思を持つということは共通していますが、自律性とはあくまで「社会の中で基本的なルール、マナーを踏まえた上で自分の意思を持つ」ことを指します。何がなんでも自我を貫き通すのは自律性が高いとは言えず、周囲のことを考えながら自分の意見を訴えられるのが自律性です。

自立性は「他に頼らず、独り立ちする」こと

一方で、自立性とは「他に頼らず、独り立ちする」ことを指します。自立性も自律性と同じく育児に必要な要素であり、この要素なくしては一人の社会人として上手に生きてはいけないでしょう。

例えば、親の助けなく自分で働いて稼ぎ、生活するのも自立性です。社会的な自立だけでなく、「ママに言われなくても自分で課題を見つけ、学習に取り組める」というのも自立のひとつ。この自立性も、自律性と同じく親が安全基地であるからこそ、やる気や挑戦欲とともに育っていくといわれています。

子供はすぐには自律性も自立性も育ちません。長い目で見て、子供の意思やその子の持つ個性を上手に主張できるような場面を増やしていきましょう。

まとめ

よく見られる「子供の自律性を育てる」という言葉。一見難しそうな育児の方針ですが、紐解いてみるとどんな年齢の子にも大切で、自律性を育てるためには難しいことは一切必要ありません。

自律性は子供だけでなく大人にも求められることが多いため、親子で成長し、生きやすい環境を作っていきましょう。

【参考】

子どもの「自律性」を促すため、すぐに実践できるたったひとつのコトとは? – 放課後等デイサービスASTEP(アステップ)・ASTEP長岡京 公式ホームページ

「自分で考える」子どもの自律を育む子育て術 | しゅふJOBナビ

子どもの成長を阻む日本の学校教育、自律した子どもを育てるには | 要約の達人 from flier | ダイヤモンド・オンライン

社員の自律性を育成するポイント7選|自律型人材が増えるメリットは? | ITエンジニア派遣ならオープンアップITエンジニア

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。