子どものイヤイヤ期にママのイライラ増加。子育てに活かしたいアンガーマネジメント

イヤイヤ期に突入した子どものイヤイヤは、時としてママにとってとてもストレスフルになります。子どもの成長過程で大切なこの時期に、ママがいかに自分の気持ちを巻き込まれずに関われるのかは、このイヤイヤ期を乗り越える上でも大切なポイント。こちらの記事ではママのイライラについてアンガーマネジメントの観点からお伝えします。

アンガーマネジメントとは

1970年代にアメリカで認知行動療法をベースに作られた心理トレーニングで、現在はビジネス、スポーツ、医療、司法、教育など様々な分野で取り入れられています。

1.自分の中にある感情を整理・理解をして
2.相手の気持ちも理解し
3.伝えたいことを適切な表現方法で伝えること
が出来るようになることです。

アンガーマネジメントを「怒らないようになること」と
勘違いしている人がたまにいますが、
怒らないのではなく、必要な怒りは適切な形で表現することも大切です。

怒り(感情)の仕組み

怒りというのは二次感情と言われています。
不安、悲しみ、苛立ち、寂しさ、恥ずかしさ、などの感情が根底にあり
それらの感情が「怒り」として表れてくるのです。

水の入ったバケツ

バケツの中にたまった水をイメージしてください。
このバケツは感情のバケツです。水は不安(青)、悲しみ(黄色)、苛立ち(赤)、寂しさ(紫)、心配(緑)などの感情の色水です。
様々な感情が溜まっています。

(注)色は説明のためにランダムにつけたため、色と感情の関係性はありません。


ここに、次々に色水が足されます。スプーン一杯の水ではバケツの水は溢れません。
しかし、違うバケツに入った大量の水が足されたら、このバケツの水はあふれ出してしまいます。

このあふれ出てきたどす黒い水が「怒り」というものです。
追加される色水、これは子どものイタズラによるものだったり、上手くいかない育児からくるものだったり、夫の非協力的な言動によるものだったりします。

バケツの水があまり溜まっていない時であれば、水があふれることはあまりありません。
つまり、怒りが出てくることはありません。

しかし、バケツの水がいっぱいの時は、小さじ一杯の水でも足されると、「怒り」は出てきてしまうのです。

そして、追加される色水はそれぞれのカラーがありますが、それらが混ざってあふれ出た水はどす黒い色をしているのです。

ママが出来ること

怒りを発散するママ

それでは、怒りを感じた時にママが出来ることはどんなことがあるでしょうか。

1.7秒カウント

人間の感情はピークがあり、そのピークは長続きしません。
一般的に怒りの持続は6秒と言われています。
そのピークを越えることで、多少は冷静さを取り戻すことが出来ます。

イライラ怒りのピークが来た!と思ったら、心の中で7秒数える。

(気持ちが高ぶっている時には1秒を早くカウントしすぎることが多いので1秒プラスで6秒ではなく7秒をお勧めします。)

まずはこの7秒カウントで心を少し落ち着けましょう。

2.感情の整理をする

バケツからあふれ出てきた黒い水(怒り)を見せられても、子どもにはママの気持ちや伝えたいことは伝わりません。

もともと、この黒い水がどんな色水だったのか、もともとの感情を見せてあげることで伝わりやすくなることもあります。

子どもがママとの約束を破りキッチンに入り、ガスコンロをいじっていたとします。
それを見つけたママが
「何しているの!」と大声で怒ったとします。
ママには怒りのどす黒い水で溢れています。

この時、ママの怒り(黒い水)の根底にはどんな感情があるでしょう。

・ 約束を守らなかったことへの悲しさ。(黄色の水)
・ もし火が点いて、子どもが火傷をしたら、という心配。(緑の水)
・ 子どもから目を離した自分への苛立ち。(赤の水)
他にも掘り下げていくと様々な感情があるかもしれません。

まずママ自身が自分のこの感情たちを洗い出してあげること
そして、黒い水ではなく、それぞれの色の水を見せてあげることで子どもは理解しやすくなります。

「ママとのお約束覚えている?
キッチンには危ないものがたくさんあるから一人で入らない約束だったよね。○○ちゃんがお約束守れなかったこと、ママはとても悲しいよ。
もし、ここ(コンロ)の火が点いて、火傷したらと思うとても心配になったよ。」
このように伝えられたら、子どもも理解しやすいですね。

3.バケツのサイズを大きくする

怒りが爆発しない=バケツの水が溢れ出ないようにするためには、
1.水を注がない
2.バケツを大きいバケツにする
方法があります。

1に関しては、水が注がれるかどうかは子どもや周りの言動しだいなので、ママ側ではコントロールが出来ません。

それでは、2に関してはどうでしょう。
このバケツのサイズは、実はママの「べき思考」に左右されているのです。

「べき思考」とは、ママの中にある「~すべき」「~しなければならない」という考えのことです。

例えば、
・ 子どもは8時までに寝るべき
・ 残さず食べるべき
・ 歯磨きを毎食後きちんとすべき
・ オムツは〇歳までにはずすべき
・ 部屋は片付けるべき

このべき思考を緩めてあげることが出来ると、このバケツのサイズが大きくなります。

「子どもは8時までに寝るべき」という考えのママにとって、子どもがいつまでも夕飯を食べない、お風呂に入らない、寝る支度をしない、というのは大きなストレスです。

なぜなら、寝る時間「8時」が刻々と近づいてくるからです。
子どもがいつまでも遊んでいると、だんだんイライラも強くなり、
「早くして」「急いで」「さっさとして!」と段々口調も強くなってしまいます。


このママが、「8時までに寝る」を少し緩めてあげることが出来たら、どうでしょう。

「出来れば(目標として)8時に寝よう。」
「(8時ではなく)9時までに寝よう」というように、多少時間に猶予を持たせたり、

「しなければならない」ではなく、「目標程度」に捉えることが出来れば、子どもが夕飯やお風呂や寝る準備に多少時間がかかっても、大きなイライラではなくなります。

4.溜まっている水をこまめに捨てる

バケツに水がたくさん溜まっていると、ちょっとした追加の水でもすぐに溢れてしまいます。

溜まっているマイナス感情をこまめに捨ててあげることで、怒りの黒い水が溢れ出ることは少なくなります。

深呼吸、外の空気を吸う、リラックスできる音楽を聴く、スィーツを食べる、ストレッチをする、などなんでもいいので、こまめにマイナス感情を発散させてあげましょう。

まとめ

アンガーマネジメントは心理トレーニングであり、この記事を読んだからと言ってすぐに出来るようになることではありません。

しかし、日々意識をして、練習をすることによって、身に着けていくことが可能です。

少しずつ自分の感情を整理したり、細かく理解したり、それを適切な方法で表現する力を身に着けてアンガーマネジメントをマスターしましょう!

ABOUT US
久保田 由華心の相談室 こころラボ 代表
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。