子供の泣き声にイライラするママ。どうしてイライラするの?その理由を心理学的に解説

子どもが泣いた時に、「どうしたのかしら?」という気持ちよりもイライラ感が強く出てくるママ。そして、イライラすることに罪悪感を感じたり、子どもとの関わり方がトゲトゲしくなっているママ。

こちらの記事では、そんな子どもの泣き声にイライラしてしまうママがなぜイライラするのか、またその気持ちの対処法についてお伝えします。

泣く我が子にイライラする時

イライラ

イライラパターンは十人十色

子どもとママの性格は十人十色なので、様々なパターン、シチュエーションがありますが、その中でも共通してみえるママ側の要素と、子ども側の要素があります。

赤ちゃんは泣くのが仕事。 頭ではわかっていても、いくらあやしても泣き止まない我が子。

オムツはキレイ。授乳もしたばかり。眠いのかな?暑いのかな?何が不快なのかな?と原因を考えても思い当たる節がない。 一生懸命抱っこであやして、ゆらゆら、トントン。 部屋を変えてみたり、景色を変えてみたり、お気に入りのオモチャを与えてみたり。 いくらママが頑張っても泣き止まない我が子。

日中も辛くなることはあるけれど、睡眠不足で眠い中、真夜中に何度も起きて、何時間も泣かれると、ママの方が泣きたくなってしまうことも。 そんな日が続くと、愛しい我が子のはずなのに、泣き声を聞いただけでイライラしてしまうことも。

少し大きくなってから、何でも自分で!というのに、上手く出来なくて泣く我が子。

洋服を着替える時、靴を履く時。 まだ一人では難しいかな?と思って手伝おうとすると 「自分で!」と手伝いを断る我が子。

それなら、自分で頑張ってね、と手を引くと間もなく 「ママやって!」と泣き出す我が子。

やっぱり難しかったんじゃない、と手伝おうとすると、また「自分でやるの!」と。怒り出す我が子。

手伝っても、手伝わなくても泣き叫ぶ我が子に、いい加減にして!とイライラ。

ママにとっては「ささいなこと」にいちいち泣く我が子。

お絵描きの途中で色鉛筆が折れて泣く我が子。 お友だちにオモチャを貸してあげない、と言われただけで泣く我が子。 朝食にご飯を食べたかったのに、パンだったから泣く我が子。 洋服がチクチクする、と泣く我が子。 ちょっとママが離れただけで泣く我が子。 お友だちと手が少しあたっただけで泣く我が子。

「どうしたの?」「嫌だったね」「悲しかったね」 ママが共感的な言葉がけをしてもなかなか泣き止まなかったり、あまりにも頻繁に泣いていると、その泣き声、泣き顔にイライラ。

公共の場で大泣きをする我が子

スーパーにお買い物に行く度に、あれが欲しい、これが欲しい、と大泣きをする我が子。 「これ買って!」と目につくものを片っ端から言う我が子。 「ひとつだけね。」と言っても、次から次に買い物カゴへ品物を入れてくる。

「こんなにたくさん買えないよ。」と伝えると、決まっていつもの大泣き。 「やだー!全部欲しい!」 大声で、周りの買い物客もあきれ顔。どうにか納めなくては、となだめたり、きつい口調で言っても効果なし。

同じような年ごろの子どもを連れている、他のママはニコニコ楽しそうに買い物をしているのに、なんでいつもうちの子はこんなに大泣きなの?いい加減にして!  

これらを抑えて、イライラすることを減らしていってあげたいですね。

イライラするママ側の理由

イライラママ 子どもが泣いた時にイライラするのには、どのような背景があるのでしょうか。

現代の社会では、子どもが小さい時は特に、ママに育児の負担がほとんどかかっています。育休をとる男性が増えているとは言え、それはほんの一握り。現実的には、長期育休をとるのはママです。

朝から晩まで子どもと二人っきり。そんなママもたくさんいます。ちょっと洗濯物を干す間、ご飯を作る間、そんなちょっとした時に子どもを見てくれる人もいない孤独な育児

子どもをあんまり泣かせていると、ご近所に迷惑になるのではという心配から、子どもが泣いたらすぐに泣き止ませないといけない、というプレッシャー

ずっと一緒にいるのに、子どもが泣いた時に泣き止ませることが出来ないのは、ママ失格なんではないかという恐怖心。

このような社会背景やママの心理的プレッシャーが、ママを必要以上に苦しめているかもしれません。

子ども側の泣く理由

泣く子ども 一方で、子ども側にはどんな泣くり由があるのでしょうか。

自己主張のため

子どもにとって泣くということは自己主張のためです。まだ言葉の未発達な子どもにとって、自分の何かを主張出来る手段は泣くことだけなのです。

0歳の赤ちゃんであれば、生理的欲求(お腹が空いた、眠い、不快感がある、など)を訴える手段ですし、1~2歳の子どもであれば、それ以外にも、何かをしたい、上手くできないストレス、そんなことの表現方法が泣くことなのです。

感情の発散のため

また、幼い子どもは感情コントロールが未発達です。自分の中で沸き起こった感情を上手く捉えられなかったり、それを表現することが学習過程なのです。 何か嫌な体験をした時に、それが「悲しい」のか、「悔しい」のか、「怖い」のか、「退屈」なのか、どんな感情なのかということをまだ知りません。

人は感情を学ぶことによって、その感情を言語化することによって、その感情をコントロールしていけるようになります。

しかし、まだその感情のコントロールが発達段階にある子どもにとって、心の中のモヤモヤしたものを「泣いて発散」させることが出来ないのです。

時間の概念が未発達なため

子どもが何かをしたい、と言った時に「後でね」「また明日ね」などと伝えても泣き止まない時があります。

これは子どもが時間の概念が未発達なためです。「後で」というのが具体的にいつくるのか、「明日」というのがどれくらい先なのか。時間の概念がよくわからない1~4,5歳の子どもは、その言われていることが理解(想像)出来ずに、「ダメと言われた」というようにしか捉えられずに泣き続けることもあります。

過去の体験からの学習

そして最後に、「泣くことが一番ママが要望を叶えてくれる」と子どもが学んでいるケース。これまで、子どもが泣くのをどうにかおさめようとして、結果的に「子どもが泣いたら、子どもの要望を通す」ということを繰り返してきてしまった場合、子どもが「泣けば思い通りになる」と学習して、意図的に大泣きしていることもあります。

子どもは羞恥心よりも、自分の「したい、欲しい」が強いことが多いです。 そんな子どもにとって、「泣いたらママがしてくれた」という経験は大きな気づきです。

公園であろうが、スーパーであろうが、大泣きすれば欲しいものが手に入る、となれば、大泣きして要望を通そう、としているのかもしれません。

 

泣く子どもにイライラする時の対処法

子どもに接する母 子ども側の泣く理由、そしてイライラしてしまうママ側の背景、があることがわかりましたが、それではイライラしてしまう時、どのようにしたらいいのでしょうか。

子どもは泣くもの。泣いてもいいし、泣かしていてもいい。

まずは、ママの中で、子どもが泣くことの許可を与えてあげましょう。 赤ちゃんが泣いて、すぐにあやしてあげられる時はそうすればいいですが、そう出来ない時は、すぐに泣き止ませられなくてもそれでいい、としてあげましょう。

ママの気持ちにゆとりがなくなっている時であれば、安全な場所に子どもを置いて、部屋を出て一呼吸つくのもいいでしょう。

イライラしている気持ちを押し殺して、仮面の笑顔で子どもに接していても、その我慢は長続きしませんし、子どもはママが心からの笑顔でないことに気づきます。気分転換をして、イライラレベルを少し下げて、それから子どもに向き合うことも時には必要です。

住宅環境によっては、ご近所の目や迷惑になることが気になるかもしれません。 そんな時は外に出た時、ご近所の人に合った時に、 「いつもうるさくてすみません。最近夜泣きがひどくて。」などとコミュニケーションをとっておきましょう。

普段からコミュニケーションをとり、良好な関係を築いている相手に対しては、人は寛容になる傾向があります。

ママのストレスレベルをモニターする。

ママの気持ちがどのような状態にあるのか。体調がどうなのか。ママのストレスレベルを常に確認する癖をつけましょう。

同じママでも、気持ちにゆとりのある時と、気持ちのゆとりがない時ではイライラの感じ方も許容度も随分違います。

一生懸命頑張るママほど、自分のことが後回しになって、自分の状態に気づいていないことがよくあります。イライラが爆発した後に、後悔してしまわないためにも、まずはママのストレスレベルがどうなのか、毎朝確認する習慣をつけましょう。

ストレスレベルが高くなってきたら、なるべく早めにパパと相談して、ママが一人になれる時間を作るようにしましょう。 自分の時間を大切にすることで、心のバランスを取り戻し、家族にも優しくなれます。

ママのイライラ時のプチ解消法

イライラした時に、自宅で簡単にイライラを解消できる方法を10個以上、みつけておいてあげましょう。

  • 深呼吸をする
  • 部屋を離れる
  • トイレに行く
  • 氷を食べる
  • ガムを噛む
  • お茶を飲む

大きな気分転換も大切ですが、小さな子どもを育てるママにとって家を出ること自体がストレスとなることもあります。 まずは、自宅で簡単にできる、プチストレス解消法をいくつも用意しておき、ケースによって、組み合わせて使うことで、イライラを下げてあげましょう。

子ども自身の課題を抱え込まない

子どもが小さいうちは、ママがお手伝いしないといけないこともたくさんあります。ママがやってあげることが当たり前、となっていることでも、気づくと子どもが自分で挑戦出来るようになっていることもあります。

大切なのは、ママが少しずつ「子どもの全てをお世話してあげる」状態から、子どもが自分で自分のことは何でも出来て、自分で考え決断出来るように自立をしていくことです。

突然、洋服を自分で着替えられるようになる子も、食事を一人でキレイに食べられるようになる子もいません。 少しずつ、洋服を脱ぐことや、手づかみ食べから練習して、子どもが手指や手足の身体の使い方を上達させ、そして徐々に自分で出来るようになります。

この練習段階においては、子どももなかなか上手く出来ないことでイライラしたり、ママにほんの少しだけ手伝って欲しい、という難しい状態にいます。

この時に、ママが「やってあげよう」という気持ちが強いと、もしくは、子どもが失敗しないようにしてあげよう、という気持ちが強いと、なかなか子ども自身が自分で挑戦して、試行錯誤することが出来なくなってしまいます。

「まだ〇歳だから」というママの考えが、結果的に子どもの自立を阻むことになっていることもあります。

子どもが子ども自身のことが出来るようになることは、子どもの課題です。(だからといって、ママが全くサポートしないでいいというわけではありませんが。)着替えも、食事も、トイトレも、子どもの課題であり、子どもが主体のことです。

子どもの問題を、ママ自身の課題のようにとらえると、ママと子どものペースの違いや、思い通りにならないもどかしさなど、様々な点でママの中にもイライラが生じやすいですが、「子どもの課題」と線引きをすることによって、少し冷静に見ることが出来るようになります。

まとめ

子どもには子どもなりに泣く理由があり、ママにはママなりのイライラ感じてしまう背景がある。お互いに真剣にぶつかり合うからこそ、感情が高ぶることもありますが、それぞれがどのような事情、背景があるかを知ることで、少し距離を置いて見つめなおすことも出来るかもしれません。

まずは子どもの状態をよく理解し、ママ自身の心身の状態を意識することも大切にしてあげてくださいね。

ABOUT US
久保田 由華心の相談室 こころラボ 代表
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。
これまでに9500ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。
その活躍からメディアからの取材や出演多数