育児中どうしてストレスがたまるのか?心理学的な解説と対処法

どうしてストレスがたまるのか

子どもを育てているときは、毎日予想外の出来事だらけ。どんなに細かく計画を立てていても、思い通りになることなんてひとつもありません。

そんな毎日を過ごしていると、ママとしては「子どもはかわいいのに、いつもイライラしちゃう」と自分のストレスに悩むのではないでしょうか。

今回は育児中のママがどうしてストレスがたまるのか、心理学的に原因と対処法を解説します。笑顔で過ごせる時間を増やし、子どもとより良い関係を築いていきましょう。

毎日イライラ。どうしてストレスがたまるのか?

旦那 なぜイライラ

いつもイライラして、自分のご機嫌がなかなか取れない…。家事に育児に仕事に、と毎日頑張るママにとって、育児中の日々はストレスフルです。

どうしてストレスがたまるのでしょうか?まずはストレスとは何かを詳しく知っておきましょう。

ストレスとは?

「ストレスが溜まって辛い」「毎日ストレスフル」そんな使い方をされるストレスなので、ネガティブな印象を抱く方は多いですよね。ストレスとは厳密にいうと、

ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のこと

1.ストレスって何?|セルフケアでこころを元気に|メンタルヘルスへのとびら|メンタルヘルス|厚生労働省

を指します。単純に怒りの原因になったりイライラしたりすることではなく、外部から何らかの刺激を受け、それによって体や心が緊張する状態のことを指します。

スポーツ選手などは、このストレスとうまく向き合うメンタルが求められます。一発勝負の試合の現場では、体が常に緊張状態。神経が研ぎ澄まされ、自分の持つ力を緊張によって発揮できるようトレーニングすることもあるほどです。

しかし、このストレス状態が日常的に続くと、体も緊張しっぱなしで疲れてしまうでしょう。ストレスが解消されず常に気持ちが焦った状態、リラックスできない、というのは大きな精神的・身体的負担になります。

ストレスの原因とは?

ストレスとは「外部の刺激を受けたとき」に感じるため、日常生活で起こる変化忙しさ人間関係などが原因となります。例えば

  • 会社の人間関係がうまくいかない
  • 受験を数カ月後に控えている
  • 新しい環境に引っ越したばかり

こういった刺激はストレスの原因となるでしょう。

育児中のママから見ると、「外部からの刺激」は常に受けていると言えます。子どもは自分の思い通りにならず、子どもに「夜七時には寝ようね」といっても素直に聞いてくれるとは限りません。子どもの体調次第では自分の仕事、生活を犠牲にすることもありますし、好きなときに好きなことをする自由は一つもないでしょう。

こうした育児中のストレス原因とは限りなく存在し、イライラせず過ごすことのほうが不可能です。

ストレスをためやすい性格の人もいる

ストレスが溜まりやすい育児中に加えて、ストレスをためやすい性格のママもいます。特徴をあげてみると、

  • 完璧主義でなんでも計画通りに進まないと気が済まない
  • 真面目几帳面、すべてに全力を出してしまう
  • 自分の感情を抑えがち

どれもママとしては一見立派な姿なのですが、自分や子どもへのハードルを高く設定しがちな方ほどストレスはたまりやすいです。

けれども、これはストレスをためやすい「性格」の話。もし当てはまることが多くても、ストレスとの向き合い方を変えるだけで軽減できます。

ストレスフリーに育児がしたい!ママができること

赤ちゃん 成長

育児中はストレスを感じやすいといっても、毎日イライラしながら子どもと向き合いたくはないはずです。ときには声を荒げて怒ったり、子どもをひどく叱ったりする場面もあります。

ですが、できるなら毎日笑顔で過ごしたいですよね。いつも子どもを叱っていたいママは誰一人としていません。

そこで、ストレスフリーに育児をするために、ママができることをいくつかピックアップしました。一つずつ見ていきましょう。

行動はコントロールする、感情は受け止める

怒りの感情には、発生するのに仕組みがあります。そもそも怒りとは二次感情であり、

  • 不安や焦り
  • いらだち
  • 悲しみや寂しさ

こうした一次感情が溜まった結果、怒りとして現れます。

こちらのブログでも解説しましたが、

怒りはバケツの中の水に例えられます。一次感情である不安や焦り、いらだち、悲しみは日々少しずつ蓄積し、バケツの中に黒い水として溜まっていきます。バケツの容量がいっぱいになると、怒りの感情として爆発してしまうのです。

この怒りの感情は、育児中のママを考えると抑えるのはなかなか難しいでしょう。そもそも育児とはストレスがかかるもので、ストレスそのものを断つのは簡単にできることではありません。

そこで、自分の中の負の感情は肯定するようにして、行動のみコントロールしましょう。怒りを感じたら子どもから離れる、自分がリラックスできる環境に逃げ込む、感情のピークが過ぎ去るまで一呼吸置くことも大切です。

疲労や寝不足など怒りの根本原因を解決する

怒りとは「一次感情がバケツからあふれた結果」だとご紹介しました。つまり、怒ることそのものの回数を減らしたいのなら、不安や焦り、いらだち、悲しみといった一次感情そのものに目を向けましょう。

イライラする本当の原因は子どもでしょうか?最近うまく休息が取れておらず、ママが睡眠不足だったり体調不良だったりするかもしれません。パパが育児に協力してくれないイライラも含まれているかもしれませんね。こうしたママの一次感情は無視されがちで、繰り返し育児にストレスを感じるようなら、そのイライラの根本原因をよく考えて、原因から解決していく必要があります。

比べるのは「過去のこと」だけ!自分なりの育児を

先ほど、完璧主義ですべてに全力を注がないと気が済まない性格の方は、ストレスをためやすいとご紹介しました。育児を完璧にこなさないと!と思うママは、何を基準に育児の完璧さを求めているのでしょうか。

  • 周りにいる子どもと同じ年のご家庭
  • 育児書やネット上の情報
  • 世間的な「ママとはこうあるべき」といった概念

こうした一見理想的に見える育児と自分の家庭を比べてもまったく意味はありません。環境は人それぞれ異なり、ママによってもできること・できないことは違います。

こうした周りと比べる育児はストレスをためやすいもの。比べていいのは、親子が作ってきた過去だけです。

「まだもっと頑張らないと」「子どもをしっかり育てなきゃ」と未来のことばかり見るのではなく、たった今子どもができるようになったこと、必要なことのみに注目してみてください。育児は自分なりで大丈夫。育児には正解・不正解はないということをよく頭に留めておきましょう。

自分がどれだけストレスフルなのかを自覚する

育児中は子どもばかりに目が向きがちですが、ママ自身がどれほどストレスを感じているのかもチェックするのは大切です。怒りを感じるタイミングやストレスサインが自覚できれば、爆発する前に自身でコントロールできますし、不必要に子どもに対して感情的に接することを防げます。

こうした自分自身に目を向けるのは、心理学の世界では「セルフウォッチング」といいます。育児中は自分のことは後回しにしがちですが、子どもの笑顔を守るには、まずはママが笑顔でいなくてはなりません。

ストレスの度合いはネット上で公開されているチェッカーなどでも図ることができます。その他にも

  • 4月を迎えて、環境の変化に不安になっている
  • 生理前は毎回イライラしてしまう
  • 朝や夕方、焦りを感じると怒りっぽくなりがち

といった、ママが自覚しやすいストレスサインを自分で知っておくのも大切です。

ママ一人の時間を定期的に作る

最後は育児から離れる時間を作ることです。

子どもは確かにかわいくて、育児は大変ですがやりがいもあります。ですが、24時間365日続く育児を、常に全力で行うのは不可能です。

ストレスがたまっている自覚が持てたら、まずはママ一人の時間を作りましょう。パパに育児を代わってもらったり、保育園や幼稚園など育児施設を利用しても構いません。定期的にママ一人の時間を作り、ストレスを解消することが大切です。

こうした育児の息抜きは、1度きりではなかなか解決できません。週に1度、月に2度と定期的に作ることが重要。ママはストレスの辛さを一人で抱えこむことなく、家族や周囲に相談して正しくSOSを出せるようにしましょう。

まとめ

育児中のストレスはなかなか回避できないもの。子どもに対して毎日イライラして、辛い思いをするママはたくさんいます。どうしてストレスがたまるのか、その原因や仕組みを知るだけでも日々の生活に役立つことはあります。

ストレスを感じる自分は認めてあげて、ストレスを正しく発散できるようにしましょう。子どもとの笑顔で溢れる生活のために、ぜひ参考にしてくださいね。

【参考】

ストレスって何?|セルフケアでこころを元気に|メンタルヘルスへのとびら|メンタルヘルス|厚生労働省

ストレスの原因とは?正しいストレスケア方法について紹介! – lafool mindfulness

なぜかストレスを感じやすい…その原因は性格だった!?|Stress magazine|ヤクルト

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。