子どもには、様々な才能を伸ばして欲しい、賢く育って欲しい、
そんなママの声をよく聞きますが、そもそも人間の知能とは何なのか。
知能を伸ばすために、どのようなことを意識していけばいいのか。
そこについては、漠然としか知らないママがたくさんいます。
こちらの記事では、そんなママのために、幼児期から知って意識して関わっていきたい「知能」についてお伝えします。
知能とは
知能指数 IQ とは
人間の知能を測ろうという試みは昔からありました。
IQという言葉を聞いたことがあるママは多いでしょう。
ウェクスラー式知能検査や田中ビネー式知能検査などで測られる知能指数のことを英語でIntelligence Quotientといい、その略がIQです。
このIQは学力との関係性が高いと言われていて、これまではこのIQが重視されていました。
一昔前までは、学校の成績が大切で、勉強が良く出来ることに価値を高くおかれていましたね。今でも学歴にこだわる人も根強くいますが、人工知能や技術の発達により、人間よりも計算などはコンピューターの方がずっと早く正確に出来る現代社会では、これまでのIQ以外の人間ならではの知能に注目されるようになってきました。
IQではない知能
IQは言語的スキルや数学的スキルに重きを置かれていることや、測り切れていない知能がある。人間の知能にはこのIQや学校の成績だけではなく、他の知能もあるということで、ハーバード大学のハワード・ガードナー教授が多重知能(Multiple Intelligence)理論を提唱しました。
多重知能理論とは
ガードナーはIQは学校成績との関係は強いが、その後の人生においてはあまり関係がないことや、IQでは測り切れていない想像力、発想力、リーダーシップなども大切だと考えました。
そして、1つだけではなく、様々な知能と、そしてその知能と深く関係した職業を提唱しました。
- 言語的知能
- 論理数的知能
- 音楽的知能
- 身体運動的知能
- 空間的知能
- 対人的知能
- 内省的知能
- 博物学的知能
今はこれ以外の知能についても追加されていますが、メジャーでわかりやすい上記の8つの知能についてこちらではご紹介します。
言語的知能
話し言葉や書き言葉など、言葉を使いこなす知能。
言葉を使って表現したり、目的を達成するために言葉を用いる能力が高い。
絵本を読むことや、文字を書くことが好き。
おしゃべりが好き。
電車の名前、植物の名前、人の名前など覚えることが得意。
将来の職業:弁護士、演説家、作家、詩人など
論理数学的知能
論理的な物事を考える知能、仮説など数学的知能。
抽象的な概念に対応したり、科学的に究明する能力が高い。
計算や数が得意。
問題を論理的に分析したり、物事の規則性や関係性を探ることが得意。
将来の職業:数学者、論理学者、科学者など。
音楽的知能
音楽のパターン(メロディーやリズム、ピッチなど)を認識する能力。
演奏、作曲、音楽鑑賞などの知能が高い。
歌うことが好き、音楽を聴くことが好き、楽器を演奏することが得意。
将来の職業:作曲家、演奏家、音楽家など。
身体運動的知能
自分の身体全体や、身体の部位を使って問題を解決したり、作りだしたり、表現する能力。
手先を器用に使うことが出来る。
動き回ることが好き、運動神経が良い。
将来の職業:ダンサー、俳優、スポーツ選手、外科医など。
空間的知能
空間のパターンを的確に認識したり、その認識を自由に操作する能力。
絵や図を描くのが得意。地図や図、グラフをよく理解する。
組み立てや設計が得意。
将来の職業:パイロット、航海士、彫刻家、チェス・プレイヤーなど
対人的知能
他人の気持ちや欲求を理解する能力。
表情、声、ジェスチャーを敏感に読み取り、他人との関係を上手くやっていくことが得意。
たくさんの友人を作ることが出来る。グループに参加することが好き。
将来の職業:外交販売員、教師、臨床医、政治的指導者など
内省的知識
自分自身について理解する能力。
自分の関心を追求することが好き。
周りに気にとられることがなく、マイペースに行動をする。
将来の職業:経営者、心理学者など。
博物的知能
身の回りの物を違いや共通点を認識する能力。
自然が好き。動物が好き。
地理や気象について学ぶことが好き。
将来の職業:博物学者など
子育てで意識したいこと
子供は産まれながらに親から受け継いている遺伝という要素がありますが、上記の知能を育てていくときに、それと同様に大切なのは、幼少期にどのような体験をするかということです。具体的に子育ての中で意識したいことを解説します。
多様な経験をさせる
こちらでご紹介した知能だけでも、8種類の知能があります。この何か1つに絞ってその子の個性を磨いてあげることよりも、幼少期には、まんべんなく色々な経験をさせてあげることで、将来の子どもの可能性を広げてあげることが出来ます。
親の得意不得意や好き嫌いは子供の経験に影響します。なぜなら、意識をしていないと、親と言えども自分が楽しいと思うことに自然と子どもを誘うからです。
スポーツ大好きだけれども、読書はあんまり、というパパであれば、「ちょっと子ども達と遊んでて」と言われたら、「公園にでも行くか!」と運動遊びに子どもを誘いたくなりますよね。
逆に、外遊びが苦手で、お料理やお家遊びが好きなママだったら、子供とおままごとをしたり、一緒にお菓子作りをしたりするでしょう。
こうして、親の好きなことや得意なことは意識しなくても子どもに経験させる機会も多く、また大好きなママやパパが楽しそうにしているアクティビティに関しては、子供もポジティブな感情を抱きやすくなります。
親の苦手なこと、興味のないことを意識して体験させる
ママやパパの得意なことや好きなことは、意識をしなくても自然と子どもも経験することが日常の中であるでしょう。しかし、ママやパパが苦手なこと、もしくは興味のないことについては、意識をしていないと子供があまり経験しないまま成長してしまいます。
子どもが大きくなってから、自分で興味を示し、そこから熱中してその分野の知能を磨くことももちろん出来ますが、人間の脳は6歳までに成人の90%ほどまで成長すると言われています。
3歳までの、脳が急激に成長する期間に体験したことというのは、脳がまだ柔軟なので、習得しやすくなっています。この期間に少しでも経験させることが、将来子どもがその知能を伸ばしやすくする土台となるのです。
とはいえ、なかなか自分の苦手なことを子どもに体験させてあげるのは大変かもしれません。そんな時は、周りを見渡して、パパやおじいちゃん、おばあちゃん、など自分以外の人の「好き」「得意」があれば、ぜひ子どもとそれに関する遊びで関わってもらいましょう。
まとめ
人間の知能は一通りではなく、複数あるということは納得が出来ますね。
これらのどの知能が得意であるかを知ることによって、得意分野や、学習しやすいやり方を考えることもできます。
(例えば、音楽的知能が高い人の場合、外国語を学ぶときにテキストから学ぶよりも、曲を覚えることから学び始めるなど。)
得意分野を伸ばすためにも、不得意分野をどう克服していくかの手段を考えるためにも、この多重知能理論は役立ちそうですね。
そして、子供が将来どの道にでも進んで行けるように、これらの分野があることを頭の片隅にいれ、子供にまんべんなく色々な体験をさせてあげることを意識していきいたいですね。
【参照・参考サイト】
ハワード・ガードナー オフィシャルホームページ
多重知能理論とは? MISAWA&コビープレスクール&東京大学 第 1 回勉強会