子どもが時間の概念を身に着けるためにしておきたいこと

子どもが自分で食事やお着替え、支度が出来るようになっても、なかなか朝、出発の時間までに用意が出来ない。「早くして!」「急いで!」なんて急かしてしまうこと、忙しいママにはあるかもしれません。

子どもが時間の概念を習得して、時間的に計画して物事を進められるようになるのは小学校に入って以降。

この記事では時間の概念の習得がスムーズにいくように、幼少期のうちに身に着けておきたいことについてお伝えします。

因みに子どもを急かすことの弊害についてはコチラのコラムをお読みください▼ 

「早くして!」子どもを急かす弊害と急かさない方法を【公認心理師】がお伝え

数の習得

数

まずは数の概念を習得しましょう。 数の習得において、幼少期では2段階があります。

  • 数唱(数が言えること)
  • 数の音と実際の個数が結びついていること

数唱

数を覚え始めに、多くのママが取り入れることが「10まで数えたら○○しよう」といったこと。 お風呂を出る前に一緒に数えたりしますよね。 この「いーちー、にーいー、さーん、しーいー、…」は数を習得する上でとても大切なステップですが、10まで言えるようなったことと、数を理解していることは別次元です。

この段階では、子どもはただ音を暗唱しているだけ。 とは言え、数の概念を学ぶためにはまず数唱が出来るようにならなければなりません。

お風呂は毎日入ることですので、お風呂の中で数える習慣をつけることも良いことですが、お散歩の途中に階段を上り下りする時には、ぜひ数を数えながら上り下りしましょう。

脳が記憶をする際に、有酸素運動と組み合わせることや、デュアルタスク(二つのことを同時にすること)で記憶力が向上するという研究データがあります。 階段での運動を取り入れながら数唱をすることで、脳も活性化するのです。

数字の音と数の結びつき

数唱によって数が言えるようになったら、まずは1つ2つ、とその違いを見せながら「数」は個数を表していることを教えてあげましょう。

新しいことを学習する際には、必ず学習させたいこと以外の条件はなるべくそろえてあげるようにします。

数を教えたい場合は、数以外の要素は同じにする。 つまり、リンゴで教えるのであれば、同じリンゴを2つ用意して、 1つ見せて「(リンゴ)1つ」 2つ見せて「(リンゴ)2つ」 と教えてあげてください。

この時に、リンゴを1つみせて「1つ」 リンゴとみかんを見せて「2つ」 といったように、違う要素をまぜてしまうと教えたい「数」ではなく、「みかん」に注目してしまうかもしれません。

混乱をさせないためにも、他の条件をそろえて(青リンゴと赤いリンゴでもなく、色も形もなるべく同じもので)数だけをあえて違い見せてあげることで、「違い」を理解しやすくなります。

時間の感覚の習得

時間

1歳、2歳と子どもが成長してきたら、時間の感覚を培ってあげましょう。

「あと5分で朝ごはんの支度出来るよ。」 「あと10分でお家に帰ろうね。」

といった声掛けを頻繁にすることで、どれくらいの時間が5分なのか、10分なのか、という感覚が養われます。 注意しておきたいことは、ママが「あと5分で~」と言いながら、15分が経過したり、30分が経過したり、その言っている分数とかけ離れた現実が繰り返されると、当然のことながら子どもの時間の感覚は身に付きません。

あと5分と言ったら、なるべく5分で宣言通りの行動(朝食なり、帰宅なり)をするようにママ自身も時間を守って声をかけましょう。

あと10分で帰るよ、と言っても、子どもの気持ちの整理がつかずに公園を去ることは出来ないかもしれません。

それでも、約束の10分が経過したら、「お約束の10分が経ったから、ママは公園の出口で待ってるね。」と声をかけるなど、時間はきっちりと伝えることが大切です。

自宅であれば、「あと3分」「あと5分」といったときに、砂時計を活用するのも一つの手です。 砂時計であれば、目で見ながら時間が経過していること、残りが少なくなっていることを捉えることが出来ます。

幼稚園に入り、3歳、4歳と成長する中で、5分、10分の感覚が身についてきたら、あと30分、など少しずつ伝える時間を長めにしていくことで、少し長い時間の見通しを持って行動できるようになってきます。

過去・現在・未来

子どもが言葉を覚え始めると、絵本などで出てきた言葉や、ママやパパのよく使う言葉を会話の中にたくさん取り組んできます。

その時に、「明日」「今日」「前に」「さっき」などと時間を表す言葉が出た時には、その時系列が理解出来るように、繰り返し伝えましょう。

初めは今を基準に前の「過去」であるのか、 今「現在」であるのか、 それとも、今より後にくる「未来」のことなのか、

そのカテゴリーを意識して、教えてあげることで子どもは理解しやすくなります。

時計が読める

時計をよむ

数字が読める

子どもの興味によって、何が先になるかは変わってきますが、数に対しての興味が増してきたら、数字「1」という形が「いち」と読む、「2」は「に」、「3」は「さん」、などというように、数字が読めるよになります。

散歩に出かけると、道路標識や看板などにたくさん数字があるので、知っている数字を見つけることが楽しくてお散歩が楽しくなる子もいます。

家庭では、絵本のページに数字があることをみつけたり、あらゆる商品(牛乳パックやお水のペットボトルなど、子どもが日常目にする物)にもバーコードの下に数字があったり、と少し注意を向けると私たちの生活には数が溢れています。

折をみて、知っている数字のあてっこゲームなどを取り入れることで、あっと言う間に覚えてしまう子どももいるでしょう。

アナログ時計を読む準備

時間や時計の概念を学ぶ上で、アナログ時計が必須となってきます。

まずは短い針のみで、「7時には朝ごはん。」「12時になったからお昼ご飯」「3時になったからおやつ」などというように、決まった時間に決まったことを毎日している、ということを気づかせてあげることが第一段階。

時計の針がさす数字が「時間」というもの、ということがなんとなくわかってきます。

次に、長い針に注目して、「長い針が赤いシールのところにきたら△△しよう」というように、進むのが早い長針で、時間を本人が確認する癖や、ここまで針が進んだ、ということを実感することが出来ます。

この段階で数が読めているようであれば、「長い針が6のところに来たら」など伝えてもいいですが、数字を学び途中であると、

  • 数字を認識すること
  • 時計の針の動きを確認すること

と複数のタスクをかけもちとなってしまい、混乱してしまう可能性があるため、出来れば目印のシールをその時設定したい時間のところに貼る、などした方が、子どもにとっては針の進み具合だけに集中することが出来ます。

まとめ

子どもが色々と理解をしてくると、時間の概念を教えなくては、時計を読めるように教えなくては!と思うママもいますが、その前提条件として、これらのことを身に着けておくことで、スムーズに時間の概念を習得していくことが出来ます。

小さい頃からの、ちょっとした関わりの中でもママの意識、とても大切ですね。

ABOUT US
久保田 由華心の相談室 こころラボ 代表
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。