子供のやり抜く力「GRIT」とは?根気を育てるための4つの方法

やり抜く力

業界で有名な大企業が職員採用の際に、またアメリカの有名大学が入学試験の際に基準としている能力があります。それは学歴や知能指数などではなく、人間が本来誰でも持っている「やり抜く力」です。これはGRITと呼ばれ、今社会人だけでなく教育の世界でも重要視している能力となっています。

子供を育てるママのみなさんも、「子供には何事も根気強くやり抜いて欲しい!」と思いますよね。今回はそんなやり抜く力GRITを引き出す方法、伸ばす教育について詳しくご紹介します。

やり抜く力、GRITとは?

やり抜く力

GRIT(グリット)とは、何事も諦めずにやり抜く力、根気や忍耐力を指します。この能力はお勉強を長時間やって得るような知的能力でもなく、人間ならだれでも持っている底力と言えるでしょう。

GRITに長けている人は将来的にも成功しやすく、就職や進学がうまくいきやすいのだそう。それだけでなく、人生の中で困難にぶつかったときも適切に対処し、再びチャレンジできます。

このやり抜く力とは何か、いまいちど詳しくご紹介します。

忍耐力、情熱があること

GRITとは「やり抜く力」という意味を持ちます。根気や忍耐力、情熱をもって物事に取り組める力のことを指し、アメリカの心理学者であるアンジェラ・ダックワース氏によって提唱されたものです。

GRITはやり抜く力を構成する4つの力の頭文字を取ったもので、

Guts (根性):困難に立ち向かう力

Resilience(回復力):失敗してもくじけない粘り強さ

Initiative(自発性):自ら取り組む積極性

Tenacity(執念):最後までやり遂げる力

お子さんは「GRIT(やり抜く力)」を持っていますか? | 保育士を応援する情報サイト 保育と暮らしをすこやかに【ほいくらし】

上記のような能力に長けていることを表しているのです。

やり抜く力とは、単純な知能指数で評価できるものではありません。また、早期幼児教育や高度な教育によって得られるもの、先天的なIQとも異なり、誰でも努力すれば身につけられる能力です。

ご覧の通りやり抜く力GRITは社会生活を送る上で欠かせない能力であり、あれば人生が豊かになるでしょう。海外の大企業や有名大学では、入試や採用試験の際にGRITを重要視する動きも見られます。

やり抜く力はなぜ大切?

やり抜く力はなぜ大切なのでしょうか。社会で生きる上で当然必要な能力ではありますが、単に「決められたことを最後までやり遂げる」だけでなく、ここでいうGRITには物事に「情熱をもって」取り組める能力という意味が込められています。

やり抜く力があれば、生きる中でたびたび出会う困難にも、立ち向かい自分なりの解決方法にたどり着けます。また漠然と生きている人と比べて、努力の末に大きな成果を上げることもできるでしょう。自分の望む生き方がしやすくなり、幸福度も高まります。

今やり抜く力を身につけさせたい、という動きが教育の中でも注目されていますが、将来的に大きな影響を与えるからこそ、我が子にはやり抜く力を持って欲しいと思いますよね。また、繰り返しになりますがこのGRITは特別な訓練や教育は必要なく、意識するだけで誰でも身につけられる能力です。

小さいうちは「やり抜く力」は身に付けている途中

こうして見てみると、「うちの子もやり抜く力を身に付けて欲しい!でも、今のところかなり飽きっぽい性格みたい」「親がやり抜く力がないのだから、我が子にも備わっていないかも」と思うママも多いかもしれません。確かにやり抜く力、底力が性格的に強い子もいるでしょう。しかし、この能力は生まれつきの才能でも、遺伝的に持っている能力でもありません。

子供のやり抜く力を伸ばしたいという方にお伝えしたいのは、「最初から忍耐力の高い子はいない」という点です。子供は興味が多く好奇心も旺盛、ひとつの遊びを最後まで続けられる子は稀だと言えるでしょう。

もし我が子のやり抜く力を引き出したい、伸ばしたいと思うのなら、ママも根気強く付き合う姿勢が大切です。そして、ママ自身も子供と一緒に意識を高めてみると良い好循環が生まれそうですね。

子供のやり抜く力、GRITを引き出す方法

やり抜く力

では、どうやって子供のやり抜く力GRITを引き出せばよいのでしょうか。家庭でも簡単にできる、やり抜く力を引き出す・伸ばす方法を4つ解説します。あわせて、GRITを持つ人の特徴もチェックしていきましょう。

成功体験、達成感を得る出来事をたくさん経験させる

子供にとって「やり遂げた!」と思える出来事こそ、成功体験そのものです。「できた!」「やった!」という体験、達成感をたくさん経験させるようにしましょう。

これは例え簡単なことでも小さなことでも構いません。とある幼稚園では「お休みの日も幼稚園の日も、毎日自分で日付の部分にシールを貼る」という取り組みをしており、「どのくらいシールを貼って1日を大切に過ごしたか」を可視化できるようにしているのだそうです。立派な絵を描かなくても、テストで満点を取らなくても、日々子供は頑張って元気に過ごしています。その過程を子供にも見えるようにし、1年や1か月など溜まったときに「毎日頑張ったね!」と成功体験が得られるような取り組みです。

このように、些細なことでもかまわないので、子供に成功体験を重ねてもらいましょう。家庭でも子供が取り掛かりやすいお手伝いや役割を与えて、できたら一緒に喜ぶことで、子供に自信をつけてもらえますよ。

結果よりも過程を褒める

先ほど成功体験を重ねることが大切だとお伝えしましたが、子供が「できた!」と感じたとき、ママは可能な限り早く気付いてあげて一緒に喜びましょう。「すごいね!」と褒めるのも大切です。何かをやり遂げたら、ママが喜んでくれた。褒めてくれた。こう感じることで、子供はまた次も頑張ろうとやり抜く力を育めます。

ただし、褒め方には注意が必要です。例えば絵を描いたときに「とても上手にできたね」「賞を取れたからすごいね」と結果を褒めていないでしょうか。褒め方によっては子供の目的が「ママが褒めてくれる」という点に絞られてしまい、それ以上の成長をしなくなるという弊害もあるのです。

これを防ぐには、「子供が何かを成し遂げた」という結果に目を向けるのではなく、「子供自身」を褒めるようにしましょう。絵を描こうと思った取り組みがすごい、最後まで描いたことがすごい。このように過程を褒めることで、子供も諦めずに物事に取り組む意識が生まれるはずです。

失敗してもすぐ立ち上がる経験をさせる

やり抜く力

成功体験が大切とは分かっているものの、何かに挑戦した結果、子供なので失敗することもたくさんあります。ジャングルジムに勇気を出してチャレンジしたけれど、途中で怖くなって諦めるかもしれません。料理に挑戦するとき、包丁で手を切らない子供は少ないです。

このような失敗を恐れて、その場で立ち止ってしまってはせっかくの経験がもったいないでしょう。「失敗は成功のもと」という言葉があるように、ここでもう一度チャレンジして成功できれば、子供にとって大きな好影響を与えます。

子供向けの乗馬クラブでは、最初のうちは落馬することもあるのだそうです。危険の伴う競技なのでもちろん安全が優先されますが、一度失敗すると「ネガティブなイメージ」「恐怖心」が強くなってしまうため安全確認のあとでまたすぐに乗るようにしています。すると2回目は「どうすれば落馬してしまうのか」が理解できるようになり、「落馬しても大丈夫」という自信にもつながるといいます。

失敗は取り返しのつかないことではありません。大人はもちろんそれを知っていますし、子供にも理解して欲しいポイントのひとつですよね。失敗したらそこで大人がストップをかけるのではなく、子供の様子や安全を確認したうえで、立ち上がって再チャレンジする経験も大切にしましょう。

わがまま、甘えは毅然と断る

やり抜く力は無理に植え付けようとすると、それは親の一方的な押し付けに他なりません。ただ、だからといって子供が「やめたい」と言い出したらその意見を尊重するべきかというと、これは慎重に見極めなくてはなりません。

子供自身が決めたことや、1度やりたいと言ったことには最後まで付き合いましょう。わがままや甘えは毅然と断り、「最後までやり抜く姿」を親も見せるのがおすすめです。やり抜く力を子供に身につけたいと思うと、親もかなり大変。ですが、途中で甘やかさず一緒に頑張ってみると能力は高まります。

まとめ

今注目の能力である「やり抜く力」「GRIT」。「うちの子は飽きっぽいから」と諦めず、ご紹介したやり抜く力を引き出す方法を試してみても良いかもしれません。また、子供の根気を育てるには何よりもママの忍耐力も試されます。親子で能力を高める工夫をして、子供の将来に役立つ能力を身につけてみましょう!

【参考】

お子さんは「GRIT(やり抜く力)」を持っていますか? | 保育士を応援する情報サイト 保育と暮らしをすこやかに【ほいくらし】

やり抜く力(グリット)を育む6つの子育て方法 [子育て] All About

子供が目標を乗り越える為に必要な「最後までやり抜く力」を育むための親の関わり方 | お受験TOWN

「やり抜く力がある子」の親がしている5大習慣 | 子育てベスト100 | ダイヤモンド・オンライン

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。