小1の壁とは?「退職」したママも…。リアルな体験談をご紹介

小1の壁 退職

小1の壁」という言葉を聞いたことがありますか?メディアやSNSでもよく見かけるこの言葉、ママの中には「なんとなく知っているけれど、子供がまだ小さいから分からない…」と思われる方も多いかもしれません。

特に小1の壁を感じやすいのは、働いているママたちと言われています。今回は小1の壁によって「仕事を退職したママ」と「仕事を継続したママ」に話を聞いてきました。小1の壁とは何か、ママのリアルな体験談とあわせてご紹介します。

ママの悩み「小1の壁」とは?

小1の壁 悩み

そもそも小1の壁とは何なのでしょうか。みなさんも知っているママ、よく分からないママとさまざまかもしれません。

これは、子供が保育園や幼稚園から小学生に上がるために、ママのライフワークバランスが変化することを指します。保育園では18時にお迎えに行っていたのに、小学生になると午前中に帰ってくることも…。そのために、「学童保育に入れないと」「仕事時間を調節しないと」と大変な思いをするので、小1の壁と言われているようです。

どんな悩みが起こるのか、まずは3つのママにとっての壁をご紹介します。

学童保育に入れず子供の預かり先がない…

これまで子供を保育園・幼稚園に通わせて働いていたママは、「居残り保育」を利用していたことでしょう。小学校では、放課後や長期休みの間に適切な学習・遊びの空間を提供してくれる学童保育が用意されています。働きながら小学生を育てるママにとって、この学童保育は必須です。

学童保育・放課後児童クラブの登録者数は、厚生労働省調べによると2021年度に過去最高を記録しています。

引用元:学童保育の待機児童1万3,416人、登録児童数は過去最多  リセマム

学童保育の施設数も増えていますが、利用できない登録者も多く「学童保育待機児童」は地域によっては深刻な問題となっているのです。

さらに施設によってサービス内容やかかる費用、ルールは異なります。希望する学童保育に入れないために別の学童保育に預けたら、「給料のほとんどが料金でなくなってしまう…」という事態に悩むママも。このように学童保育との兼ね合いで、預ける先がなく仕事の在り方を見直すママも多いです。

児童安全活動で仕事に間に合わない

学童保育に入れたから、これで大丈夫!そう思ったママでも、小学校によっては朝の交通安全見守り当番やあいさつ運動などで、出勤時間を守れないシーンで悩むことも多いです。また、PTA役員などを務めることになればその分時間を作らなくてはならず、思うように自由に仕事できないかもしれません。

職場との話し合いが必須になりますが、こうした保護者の活動は多くて月に2~3度回ってくることも。特に保育園では働くママがほとんどなので保護者の出番も少なく済んでいたかもしれませんが、小学生になったら保護者活動についても考える必要が出てきます。

子供の宿題を見ないといけない!仕事していられない

例えば両親のサポートが受けられ、学童保育に入らなくても仕事と子育ての両立ができたとしましょう。しかし、小1の壁というのはママだけが感じるものではなく、子供も同じように悩むものです。

これまでにはなかった宿題や、明日の準備、大勢のお友達との集団生活。座学が始まったことで、子供も小学校に慣れるための時間が必要です。子供を見ておく必要があるので、仕事をセーブせざるを得ないママも多いかもしれません。

小1の壁で退職したママ。メリットとデメリットとは?

働くママ

「小1の壁、どう乗り切ろう…」と悩むママのために、今回は入学と一緒に退職したママと、仕事を継続させたママにお話を聞いてきました。

まずは、小1の壁で退職したママから、見ていきましょう。退職を選んだメリットとデメリットを教えてもらいました。

学童に入れず、退職

これまでフルタイムで働いていたママのAさん。子供は幼稚園に通わせ、園で行われる習い事や課外保育などを利用して仕事を続けていたと言います。子供が小学校に上がるタイミングで学童保育に切り替えようと思っていましたが、学区内にある公営学童保育はどこも待機児童が出るほど人気で、入るのにここまで厳しいとは思っていなかったようです。

民間学童保育も考えましたが、通える範囲の施設はオールイングリッシュでサービスが手厚く、安心して通わせられる代わりに「料金が高い」のがネックだったそう。給料のほとんどが学童保育料金になるために「無理して働きながら学童に入れる必要はあるのかな?」と思い、退職を決意したそうです。

デメリットは「再就職」が怖いこと

これまで働いていた会社は、子供を出産前から勤めていたAさん。育休・産休を取得して続けていたために、辞めるのはとても惜しかったといいます。子供が小3くらいになったらお留守番もできるようになると思い、また働きたい意思はありますが、問題は「3年間キャリアが分断されて社会復帰できるのかな?」という点です。

「パートタイマーくらいから始めてもいいかな、と思うけれど、正社員時代と給料や待遇を比べて自分が乗り越えられるかが不安」と話してくださいました。このままずっと働かないことになりそう、就職先があるのかも不安に思うのが退職したデメリットです。

メリットは子供の様子が分かること、気持ちにも余裕が出たこと

しかし、Aさんとしてはデメリットよりもメリットの方が大きいそうです。退職したメリットは

  • 小学生に上がったばかりの精神的不安定な子供のサポートができる
  • 自分自身の気持ちに余裕ができた
  • 家族に目を向ける時間が増えて家庭が円満になった

など。Aさんの子供は大人しい性格で、小学校に上がると保育園時代よりも「楽しくない」「お友達なんていない」と慣れるまで時間がかかったのだそう。もし退職しなければ、子供の小さな変化にも気付けずいずれ破綻していたかもしれません。

幸いにも夏休み前には子供も小学校生活に慣れ、Aさん自身も余裕が生まれました。これまで忙しいことを理由にパパに八つ当たりしたりもありましたが、夫婦それぞれが思いやりを持って接することもでき、Aさんにとってはメリットの方が大きいと感じているようです。

小1の壁克服したママも!

祖父母 放課後

小1の壁で退職したAさんとは異なり、仕事を続けたママもいます。次は子供が小学生になってもそのまま仕事を続けたBさんのケースを見ていきましょう。

在宅勤務にシフト。退職せずに子供は小1に

働くBさんにとっても小1の壁は高く、そのままのフルタイムの仕事だと「続けるのは難しい」と思ったそうです。そのため、会社に在宅ワークに切り替えられないかと相談。会社は受け入れてくれました。

「だけど、仕事内容や裁量が微妙に変わったり、リモートでのやり取りに慣れるまで苦労したりと最初は大変でした」とBさん。小1の壁はワーママにとって悩みの種、というのを実感したと言います。

早朝や午前中は全力で仕事!家事は時短家電に頼る

上の子は小学生、下の子は幼稚園に通うBさんは、在宅勤務といってもオフィスにいたころよりも就業時間を長く取れません。そのため、早朝に起きて仕事をしたり、子供が学校・幼稚園に通っている間は全力で業務に当たります。

突然子供が風邪を引いたり、保護者会の会議で呼び出されたりも対応できますが、すると家庭内のことがおろそかになるシーンも。洗濯物は乾燥機付き洗濯機に頼ったり、掃除はロボット掃除機を活用するなど、時短家電を利用してできる限り省略しているそうです。

仕事とプライベートの時間・空間はしっかり分ける

Bさんの生活を聞いていると「仕事しながらでも小1の壁は乗り越えられそう」と思えますよね。しかし、Bさんは学童保育を利用していないため小学生の上の子は給食後すぐに帰宅することもあります。

「そのために書斎を作り、プライベートと仕事場を空間で分けました。子供にも「ママは仕事するから宿題をしていてね。〇時になったら一緒におやつを食べて休憩しよう!」と言い聞かせています」など、プライベートと仕事の時間・空間しっかり分けることを徹底しているそうです。

時にはWEB会議などでどうしても仕事しなければならない日もあり、その場合はパパに早上がりしてもらうなど、夫婦の協力も欠かせないそうです。

まとめ

小1の壁とは何か、小1の壁によって退職したママと仕事を続けたママの体験談をご紹介しました。育児には壁がつきものですが、ママとしては子供のことも、そして自分自身のことも大切に考えておきたいものです。

親子にあった対策を考えて、小1の壁を無理なく乗り越えられるようにしましょう。次第に親子も小学生生活に慣れていくため、壁も低く思えるようになります。

【参考】

小学校に入る前に対策を!ワーママが直面する「小1の壁」 | Regulus by タカラレーベン

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。