【子供を叱って後悔したときの基礎知識】叱りすぎる原因や対処法は?

子供が小さいうちは叱る回数が多く、つい叱りすぎてしまうことも。子供を叱って後悔した経験がある人は約8割に上るとされています。子供を叱って後悔したとき、その後どのように子供に接すれば良いのでしょうか。

叱って後悔したときのフォローの仕方や、叱りすぎてしまう原因、対処法などをまとめました。叱ったことに悩む人は、ぜひ参考にしてみてください。

子供を叱って後悔するのは誰にでもあること

後悔するママ

子供を叱って後悔するのは、誰にでもあることです。特に幼児期の頃は、子供とのコミュニケーションで衝突するシーンも多くあり、叱る回数が多いのも一般的。ベネッセコーポレーションが行ったアンケートによると、実に8割の保護者は、叱って後悔した経験があると答えています。叱る回数が多いときや、叱り方によっては自己嫌悪に陥ることがありますよね。叱ってしまった自分を責めるよりも、叱ったあとの対処法や、なぜ叱ってしまったのかを考えて、次につなげていくことが重要です。

子育てで叱ることは必要

子供を叱って後悔することがありますが、本来、子育てで親が子供を叱ることは必要です。子育て中に子供を叱るのは、どんなときでしょうか。例えば、子供が確認をせずに道路へ飛び出そうとしたときに叱るのは、子供の身の安全を守るときです。お友達が滑り台に並んでいるのに、横から割り込もうとしたときも叱りますよね。これは子供に社会のルールを教えるためです。

褒めて育てることが大切だと言われていますが、褒めて育てる育児のなかでも、子供や周囲の安全のためや社会のルールを教えるときなどは、ときとして子供を叱る必要があります。叱らず子育てをするのは、現実的に不可能でしょう。

距離が近いとさまざまなことが気になる

「ママは叱ってばかりだけど、パパは優しい」というような言葉を子供のくちから聞くと、叱って後悔するのが加速するのではないでしょうか。叱る回数が多いのは、子供と接する時間が長かったり、子供との距離が近かったりすると、さまざまなことに気が付くため、気になることも増えるためです。子供と寄り添って育児ができているからこそ、叱ることが増えると言い替えても過言ではありません。

叱って後悔したあとはどうしたらいい?

親子

子供を叱ったあと、「叱り過ぎたかも…」と、叱って後悔してしまうパパやママも多いものです。叱って後悔したときは、どのようにリカバーしていけば良いのでしょうか。ポイントをまとめてみました。

気持ちの切り替えは親から

叱ったあと気まずい思いをして、なかなか普段通りには子供に接することができないと悩んでいませんか?子供からのきっかけを待っているようでは、それは子供に対する親の甘えです。叱られたあと、どんな風に接したらいいかと不安になるのは子供も同じです。子供と大人の社会経験は、雲泥の差がります。気持ちの切り替えは、親から子供にパスを投げてあげましょう。

親も謝る習慣を

叱り過ぎたと、叱って後悔しているときは、親も子供にきちんと謝る必要があります。子供がいけないことをしたときに、「ごめんなさいは?」と謝る習慣をつけさせることがありませんか?子供に謝罪の言葉を求めるよりも有効なのは、親がきちんと子供に謝る姿を見せることです。

子供に謝るときは、言いわけなどをせずに、シンプルに「さっきは叱りすぎてごめんね」と伝えましょう。気持ちが溢れてしまって、泣いてしまってもOKです。うまく言葉が続かなくてもOKです。子供は親の間違いに、とても寛大な心を持っています。きちんと目を見て謝りましょう。親が謝る習慣を身に付ければ、子供も自然とごめんなさいが言えるようになりますよ。

子供の気持ちを聞く時間を持つ

叱って後悔しているときは、パパやママの気持ちもすでに落ち着いていることでしょう。気持ちが落ち着き、子供に謝罪したあとは、子供の気持ちを聞く時間を持ちましょう。子供はパパやママが気持ちに寄り添おうとしてくれていることが分かり、安心します。子供の気持ちを聞くときは、否定せずにしっかりと最後まで話を聞くのがポイントです。

子供の自尊心を傷付けないようにフォローする

子供を叱っているときは、子供の自尊心を傷付けるようなことを言ってしまいませんでしたか?例えば、「お兄ちゃんはもっとできたのに」と言われると、子供は兄よりも自分が劣っているから叱られたのだと感じています。叱って後悔したとき、子供の自尊心を傷つけたことを言っていないか振り返り、もしそのような言動があった場合は、しっかりとフォローすることをおすすめします。叱り過ぎて言ってしまったけど、本当はそんな風に思っていないという気持ちを子供にちゃんと伝えることが大切です。

叱る回数以上に褒める回数を増やすのも、子供の自尊心の回復におすすめです。叱って後悔したときは、叱ったとき以上のエネルギーで褒めてあげてくださいね。

大切な存在ということを伝える

叱ったあと、叱っていても子供はパパやママにとって、かけがえのない大切な存在であることを伝えることが大切です。親は子供の身の安全や生活のルールを教えるつもりで叱ったとしても、子供はその思いは理解できません。子供は単純に叱られた=パパやママは自分のことが嫌いなのでは?と感じています。そのまま放っておくと、愛情に対して不安を感じてしまいます。叱ったあとは、嫌いで叱っているのではないことを伝えることを忘れずに。しっかりと抱きしめてあげるのも有効です。

叱りすぎてしまった原因を考える

叱って後悔するときは、叱りすぎてしまったと感じているときではないでしょうか。叱りすぎてしまった原因を考えることで、今後叱りすぎないよう、自分でコントロールすることができるようになります。叱りすぎるときに多い原因をチェックしてみましょう。

疲労の蓄積

叱りすぎる原因の多くは、心の余裕のなさです。日常的な疲労の蓄積や不十分な睡眠は、自律神経のバランスを崩してしまいます。自律神経の乱れは心にも影響し、場合によってはうつ症状を引き起こすことも。疲労の蓄積は、育児においてもゆったり子供を見守り育てるという心の余裕を奪ってしまいます。

緊張感や不安感

子供の身の安全や健康は、親が与える影響がとても大きいものです。そのため多くのパパやママは、常に緊張感や不安感と隣り合わせで生活をしています。緊張や不安によるストレスが、感情を爆発させてしまうことも珍しいことではありません。

時間のゆとりがない

特にワーママに多いのが時間にゆとりがないことが、心の余裕を奪い、叱りすぎに繋がってしまいがちです。ワーママの場合、家にいる時間が限られており、そのわずかな時間でしなければいけないことが山積みに。育児は大人都合では進まないため、スケジュール通りに動いてくれない子供に対して、つい叱りすぎてしまい、叱って後悔するママがたくさんいます。

理想と現実とのギャップ

理想が高ければ高いほど、現実とのギャップが大きくなります。理想通りにならない現実にイライラが募り、つい叱りすぎてしまう方も少なくありません。育児は基本的に育児書通りには進まないことをしっかりと理解することがポイントです。

叱って後悔するのを繰り返してしまうなら相談を

前述したように、子供に叱って後悔したことがあるパパやママはたくさんいます。スタートは子供のためと思っても、気付いたら叱りすぎていて、叱って後悔してしまうのはよくあることです。その都度反省し、対処法を考え、次に同じことを繰り返さないように進んでいくのが理想です。

しかし、叱りすぎて叱って後悔するのを繰り返してしまうようであれば、周囲に相談することをおすすめします。エスカレートして子供に辛く当たってしまったり、自己嫌悪からうつ症状が出るなど、深刻さが増す前に、相談するのがポイント。

両親や身近な人に話しづらいという場合は、カウンセリングや自治体の子育て支援センターなども活用してみましょう。育児において、「できない」「つらい」「しんどい」を発するのは、決して恥ずかしいことではありません。

まとめ

子育ては、いつの時期でも悩みを抱えていることが多いものです。子供に優しくしたいと思っていても、さまざまな条件が異なり、つい叱りすぎてしまうこともあります。叱って後悔しているときは、大人も積極的に子供に謝る習慣を身に付けることが重要ポイント。しっかり目を見て、心を込めたごめんなさいを伝えてあげてくださいね。叱って後悔を繰り返してしまう場合は、一度周囲や専門家にSOSを発してみるのもおすすめです。心の余裕ができるよう、生活や環境を見直してみてくださいね。

【参考】

講談社現代ビジネスプレミアム「感情にまかせた「叱りっぱなし」が子どもをダメにする」

ダ・ヴィンチニュース「71.6%が「キツく叱りすぎて後悔」 自己嫌悪ママのための今日からできる伝え方テク」

保育のひきだし「意外と知らない「子どもの叱り方」を解説。子どもが納得する叱り方をしよう!」 

ベネッセ教育情報サイト「8割以上の保護者は叱りすぎてしまったことを後悔している!」

ベネッセ教育情報サイト「叱りすぎた時、子どもに謝ったほうがいい? [教えて!親野先生]」

NIPRO「疲労を考える」

ABOUT US
【監修】 公認心理師YUKA久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。