非認知能力、生きる力。子どもに求められる「生き抜く力」とは?

生き抜く力 子ども

新学習指導要領で「生きる力」が盛り込まれ、幼児教育の世界では数字では測れない非認知能力が注目されるなど、今育児シーンは「生きやすくなるための」生き抜く力が求められています。

もちろん賢い子に育って欲しいというのは、ママとしては当たり前の感情です。それ以上に、子どもが自分でやりたいことを見つけ生き生きと過ごして欲しいのは、理想の形かもしれませんね。

今回は少し漠然とした「子どもの生き抜く力」を解説。わかりやすく説明するので、いまいちピンとこないママや子どもとの向き合い方で悩んでいるママは参考にしてください。

子どもの生き抜く力とは?

ママ 自己肯定感

冒頭でもお伝えした「子どもの生き抜く力」。みなさんも経験したからこそわかりますが、いくら勉強ができてもよい大学を出ても、社会を生きるためにはそれとは異なる能力も求められますよね。国際社会、多様性が広がる現代では、知能だけでない生き抜く力が必要です。

まずはこの「生き抜く力」とは何か、少し具体的にご紹介します。

学習指導要領には「生きる力」が盛り込まれる

10年に1度改訂される学習指導要領。2021年には新学習指導要領が公表され、ここにはこれまでなかった「生きる力」が盛り込まれました。

生きる力とは、文部科学省は「学習のその先」と定義しています。学校で学ぶのは日本語や算数だけでなく、将来を見越した外国語授業やプログラミング学習に重きが向いており、「教える」のではなく「子どもに考えてもらう力」をつけるのが目的です。

非認知能力への注目が高まる

幼児教育の業界では、非認知能力への注目が高まっています。非認知能力とは、IQや点数では言い表せない能力全般のこと。

  • 自分で目標を見つける力
  • 目標にむかってやり抜く力
  • 他者と助け合い活動する力
  • 自分の感情をコントロールしモチベーションを維持する力

などを身につけるのが、非認知能力と言われています。

頭の回転がよくお勉強ができることも、もちろん生き抜く力が強いと言えます。その上で、「自分で好きなことを見つけられる」非認知能力も備わっていると子どもはもっと生きやすくなるのです。

生き抜く力とは困難や失敗を乗り越える力のこと

今は教育を受けるだけの子どもかもしれませんが、いずれ一人の社会人として生きていかなければなりません。その社会にはママが及べない困難や挫折が数多くあります。

生き抜く力とは、こうした困難や挫折を自分で正しく受け止め、乗り越えられるための力を指します。そのためには学習以上の経験が必要で、その点に注目しているのが新学習指導要領の「生きる力」、主に幼児教育で注目されている「非認知能力」といえるでしょう。

子どもの生き抜く力をはぐくむには?

子供 虐待しそう

子どもの生き抜く力は大切だと説明しましたが、「分かってはいるけれどどう育むの?」と疑問に思いますよね。子どもの学力を上げるには塾に通う、習い事をすると手段が思いつきますが、数値にできない生き抜く力を育てるのはいまいちピンとこないものです。

ただ、子どもの生き抜く力は特別なカリキュラムが必要なわけではありません。生き抜く力を伸ばすために重要な要素をチェックしてみましょう。

失敗から学ぶ

まずは失敗から学ぶことです。どうしても我が子が心配、子どもがかわいそう…と私たちママは子どもの失敗を先回りして遠ざけてしまいます。

  • あの遊具は滑りやすくて危ないから、行かせないようにしよう
  • この遊びはこの子がうまくできないから、こっちで遊ばせよう
  • 子どもが手を出したら時間がかかるから、お手伝いはさせないでおこう

子どもが失敗を経験しないと、そもそもの生き抜く力が発揮される困難や挫折に対して、耐性がなくなってしまいます。

もちろんわざと過酷で危険な状況に子どもを追いやる必要はありませんが、失敗から子どもはさまざまなものを学ぶことは頭に入れておくとよいでしょう。

成功体験から学ぶ

次に、成功体験です。失敗体験でも同じことが言えますが、この成功の体験からは「成し遂げた喜び」「充実感」などポジティブな経験が得られます。

またこの達成感とは、親はついつい与えようとしてしまいがちです。そうではなく、子どもが自分自身で決めたことを達成したからこそ得られるのが成功体験。子どもに対して目標を一緒に決めて「こうすればどうかな?」とアドバイスを出すだけにして、あとは子どもに任せるのもママとしては大切です。

ありのままの自分を認める

IQや点数で表される頭の良さは、どうしても基準があり比較する世界です。もちろんこの学習がどの程度できているかも重要なのですが、生き抜く力には基準がなく比べる対象もありません。

例え失敗してくじけたとしても、ありのままの自分を認められるとその苦い経験を乗り越えられます。「誰からも必要とされていない…」と心に病む人が多い現代ですが、子どもにはありのままの自分を自分自身が認めてあげられる人になって欲しいですよね。

この自分を認め肯定する力を育むには、まずはママが子どものありのままを認めてあげることが大切です。

子どもの生き抜く力、ママはどう向き合う?

子どもの生き抜く力は、家庭でも十分高められます。少しの意識で子どものよいところもたくさん見つかり、親子で肯定しあって過ごせるので、ここからはママができることを見ていきましょう。

子どもに選択させる

まずは子どもに選択させます。

なんでもママが選ぶのではなく、子どもが選ぶ機会を大切にしましょう。日々の着るお洋服や遊ぶおもちゃ、公園に行くかおうちで遊ぶかなど、さまざまな選ぶ体験を重ねることで子どもは次第に「自分で選ぶ責任」「選択力」を培えます。

漠然とした選択は子どもも悩む時間が増えてしまいます。慣れてきたら「自分のことは自分で決める」を習慣にするとして、まずは「どちらがいい?」「この中から選んでね」と選択肢を狭めるとよいでしょう。

子どもに相談する

我が子に相談。経験のあるママはいるでしょうか?意識していなかったけれど、「思えば子どもに相談したことはなかったかも…」と気づくママもいるかもしれません。

相談するのは何でも構いません。「今日の晩ご飯、カレーとお魚とどっちがいいと思う?」「パパの日があるけれど、プレゼントは何がいいかなあ?」など軽い相談事を持ちかけてみるとよいでしょう。

きちんとした答えがかえってくるかはわかりません。素晴らしいアイデアを出してくれるかもしれませんし、「わからない」と答えが出ないこともあります。それでも、ママから相談されたという自信と、相談事を考えたという経験こそが大切です。

どんな結果だったとしても、ママは「お話を聞いてくれてありがとう」とお礼を伝えましょう。次第に子どもも考える力が鍛えられます。

ちょっと離れて放っておく

あれこれ口出しすると、ママは子どもが心配なあまり

  • 失敗を遠ざけて
  • 先回りして選択肢を奪い
  • 親の言う通りにさせる

ようにしてしまいます。これは決して悪いというわけではなく、ママが子どもを一番に考えているからこそ。しかし、少しだけ子どもから離れて放っておくと、子どもは一人でも考えて生き抜く力を身につけようとします。

最初はちょっぴり不安かもしれませんが、いくら親子といっても子どもは次第に親の元を離れ、その子だけの人間関係を構築し人生を歩んでいきます。そのための練習と大切な経験だと割り切って、少しだけ子どもと距離を取るのもおすすめです。

まとめ

漠然とした印象のある「生き抜く力」。これからの時代を生きる子どもにとって重要な力ですが、そう難しい概念でもありません。頭が良くていわゆる「いい子」に育つのももちろん大切ですが、変化が激しいこれからの社会を生きる我が子に、数字では表せない生き抜く力を身につけさせてあげましょう。

【参考】

子どもの「生き抜く力」「乗り越える力」はどうしたら身につく? | BRAVA(ブラーバ)

非認知能力を育むーパパとママに伝えたい、子どもの生き抜く力の育て方 | ON-KEN SCOPE 音楽×研究

子どもの生き抜く力を育てる! 指示待ち人間にならないためのポイント|ベネッセ教育情報サイト

学習指導要領「生きる力」:文部科学省

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。