ハヴィガーストの発達段階で育児のポイントが分かる!やさしく解説

ハヴィガースト 発達段階

育児をしていると、「今の時期の子どもに適した声掛け方法は何だろう?」「今、この子はどんな成長をしているんだろう?」と気になることがありますよね。

こうした悩みは、心理学者や教育者が提唱する「発達段階・発達課題」を参考にすると解消できます。

今回は発達段階の中でも、ハヴィガーストが唱える「人生を6つの段階に分けた発達段階」をご紹介。発達段階からヒントを得て、今の子育てに活かしてみましょう。

ハヴィガーストの発達段階とは?

幼児 親子関係

子育て中はもちろん、生きていると心や体の成長上悩みもたくさん出てきます。特に思春期はさまざまなことが気になって、「生活しにくい」「悩みが多い」と辛さを感じたママもいるのではないでしょうか。

こうした生きていく上での悩みや課題を解決するために、教育者のハヴィガーストは「6つの発達段階」を提唱しています。この発達段階とは何か、まずは詳しくチェックしていきましょう。

人間の心の成長を細かく分けたもの

アメリカの教育学者でありシカゴ大学教授のハヴィガーストは、人間の一生を6つの段階に分けました。

幼児期・早期児童期(0~6歳)

中期児童期(6~12歳)

青年期(12~18歳)

早期成人期(18~30歳)

中年期(30~60歳)

老年期(60歳~)

【ピアジェ、エリクソン、ハヴィガースト】発達段階と発達課題 vol.77 – 介護ラボ

各段階には発達段階と発達課題があり、この課題をクリアできれば社会に適応し、健全な成長ができると言われています。幸せに生きるために、必要な課題を年齢に合わせて提示しているというわけです。

身体的成長はもちろんですが、特に参考にしたいのは心の成長。見た目には出てこない心の成長は、課題として自分と向き直り解決しないと、将来的に「人への信頼感が薄い」「他者と良い関わりが持てない」など孤立を深める原因になってしまいます。

子育て中のママにとっては、我が子の健やかな成長は第一にサポートしていきたいですよね。とはいえ、「何をすればいいの?」と悩むことも多いでしょう。育児の壁にぶつかったとき、自分が何をすればよいのか迷ったときに参考になるのが、この発達段階です。

子育てママがチェックしておきたい発達段階とは?

ハヴィガーストの発達段階は6つの段階に分かれていますが、育児中のママがチェックしておきたいのがこの3つの段階です。

  • 幼児期・早期児童期:0~6歳
  • 中期児童期:6~12歳
  • 青年期:12~18歳

それぞれ課題は異なりますが、チェックしておきたいのは

  • 乳幼児期の課題は小学生になるまでにやっておきたいこと
  • 児童期の課題は小学生のうちにやっておきたいこと
  • 青年期の課題は中高生のうちにやっておきたいこと

といった風に、何歳までにこの課題をクリアしておくと目安を知っておくと便利でしょう。

確かに課題を無視して身体の成長のみにとらわれると、社会性や自律心、他者と関わる心が育ちません。ですが、もし課題を見逃していたら今から取り戻せば良いのです。また、「早く心が大人になって欲しいから」といって段階を無視して次のステップに行くのもおすすめできません。乳幼児が児童期の課題を理解できませんし、課題そのものも厳しいのが実情です。

同じような発達段階として、エリクソンの発達段階もあります。

エリクソンの発達段階は人生を8段階に分けたもので、ここでも段階に応じて心の変化・課題を示しています。エリクソンでは課題を心理社会的危機とし、この危機を乗り越えると人間として成長できるものです。

生きていく上で避けられない発達課題や発達上の心理的危機。ですが、こうした発達段階は社会的な環境に強く影響されます。「今の時代に合わない」「他にも課題がある」という場合も決して珍しくないため、周りの環境に合わせて我が子の成長を見守り、発達段階を参考にして課題をクリアできると理想ですね。

ハヴィガーストの発達段階を分かりやすく解説

虐待したくない

先ほどご紹介したハヴィガーストの発達段階。特に育児をするママにとって見過ごせない3つの段階をピックアップしました。

  1. 幼児期・早期児童期
  2. 中期児童期
  3. 青年期

この時期を詳しく分かりやすく解説していきます。今、子どもはどんな成長をしているのかを調べてみましょう。

幼児期・早期児童期

0歳から6歳までの乳児期・早期乳児期。この頃の課題とどんな成長をするのか、この時期にやっておきたいことを見てみましょう。

歩くこと、食べること、話すことなどの学習

まずは身体的成長から見た、やっておくべきことです。赤ちゃんは次第に離乳食を始めて食事の練習をし、1歳ごろから歩き始めて言葉を少しずつ覚えますよね。6歳になるとある程度の文字が読める、語彙も増えて自分の気持ちや他人の気持ちも言葉にできるように。こうした人間の基本的な生活を支える動作を習得することが望まれます。

また、排せつのコントロールを学ぶのもこの時期。トイトレを始める子も多いですが、小学生になるまでにゆっくり習得していくと良いでしょう。

両親やきょうだいの人間関係についての学習

「家族とは、ママがいてパパがいて弟がいる」といった家族の人間関係を学ぶのもこの時期です。6歳までの子どもは中心に家族・両親がいて、自分がいます。この頃はお友達の輪も大きくなく、また仲良くするお友達も頻繁に変わるかもしれませんね。

また、男女の区別も6歳までにつくようになります。性別の違いについて学ぶのもこの時期です。

善悪の区別、良心の学習

6歳までには、善悪の区別や何が正しくて正しくないのかを学ぶ必要があります。「お友達のおもちゃを勝手に取るのはダメ」など、遊びを通じて善悪の判断ができるようになるでしょう。

4~6歳ごろになると、「どうしてダメなのか」という人の気持ちを思いやる心も育まれます。ママは頭ごなしに「これはダメ!」と言いっぱなしにするのではなく、どうしてダメなのか、これをするとお友達やきょうだいはどんな気持ちになるのかまで子どもと一緒に考えると良いでしょう。

中期児童期

6~12歳の中期児童期。この頃の子どもは小学生です。小学生のうちにやっておきたい成長段階をご紹介します。

遊び・体育の授業を通じて必要な身体技能を学習する

遊びや体育の授業を経て、子どもは必要な身体技能を学びます。習い事としてスポーツに打ち込む子が多いのもこの時期かもしれませんね。

また、身体技能には個人差があり、苦手なこと・得意なことも分かるようになるでしょう。もし運動が苦手と思っても、得意もしくは好きなスポーツを探して子どもに楽しく身体技能を学ばせるのがポイントです。

親と自己を区別する、独立した個人になる

親と自己の区別がつくようになり、「自分は自分」といった自我の形成が進みます。行動に責任を持ち始めるのもこの時期で、これまで「家が近いから」「ママ同士の仲がいいから」と仲良くしていた友人関係から、「自分がこの子と仲良くしたいから」と主体的に人間関係を構築していく段階に入るでしょう。

交友関係も広がり、親が把握できないお友達も増えます。全てを把握するのではなく、子どもが悩んだときに客観的な意見を伝えられるように、そばで見守りたいものです。

良心や道徳性、価値観を発達させる

善悪の区別がついた幼児期を過ぎると、次は道徳観価値観を身につける段階に入ります。社会的な集団生活ではどのような態度を取るべきか、日常生活や学校生活の中で子どもは学習していくでしょう。

子どもの価値観を左右するのは、やはり家庭や周囲の環境です。一般的な考えを押し付けるのではなく、「我が子はどう社会とかかわるのが良いのか」を考えて、正しい方向に導けると良いですね。

青年期

12~18歳の青年期。この頃になると子どもは親の手を離れ、より独立した一人の個人としての精神的成長を確立させます。

男女の社会的役割を学ぶ、男女の人間関係を構築する

人間関係はより個人として発達し、この頃になると恋愛を始めることも多いです。親としては正しい性知識を教え、家庭によっては恋愛や性的特徴・性行為を「タブー化」しないのも正しい選択かもしれません。各家庭でできることを考えてみると良いでしょう。

市民・社会人として自覚し、責任のある行動をとる

社会的な立場をより自覚するようになり、18歳だと働く子も多いですよね。アルバイトを始めるなど、社会人としての自覚が深まるのもこの時期です。

この頃になると、自分の行動は自分で責任を持たなくてはなりません。親が管理できる範疇を超えているとはいえ、いつでも助けられるように精神的に支える姿勢を見せましょう。

倫理観や価値観の形成をする

倫理観・価値観を形成し、親と子は違う意見を持つ者だという認識が深まります。発達段階ではいつの時代も、「親から心身ともに独立する」ことが一つの課題になっています。

段階を踏みながら、子どもがゆっくり「親離れ」するのを見守っていきましょう。

まとめ

ハヴィガーストの発達段階は、今その子の課題を知るために便利です。「良い子育て」とよく言われていますが、一体何をしたらよいのかピンとこないママは多いはず。そんな時は、教育学者や心理学者の発達段階からヒントを得てみましょう。

ここでご紹介したことは、すべての子にきちんと当てはまるわけではありません。我が子の成長に合わせて、一番良い課題と解決方法を見つけてみてくださいね。

【参考】

【ピアジェ、エリクソン、ハヴィガースト】発達段階と発達課題 vol.77 – 介護ラボ

【易しめ解説12】ハヴィガーストの発達課題 | 教員採用試験対策(きょうさい対策ブログ)

【キャリコン】ハヴィガーストの発達課題【6つの成長段階を解説】

【解説063】ハヴィガーストの発達課題、コールバーグの道徳性の発達段階説、マズローの欲求階層説 | 教員採用試験対策(きょうさい対策ブログ)

ハヴィガーストの発達理論 人の6つの発達課題とは?

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。