【子育てに活かす心理学】ハーロウ(Harlow H. F.)について学ぼう!

ハーロウ Harlow H. F.

子育てにおいて、心の成長を学ぶ「心理学」はよく活かされることがあります。子どもにしかわからない感覚や欲求をママがあらかじめ把握しておくと、育児の「なぜ?」「どうして?」も解決しやすくなりますよね。

今回はそんな子育ての心理学に欠かせない心理学者、ハーロウ(Harlow H. F.)について詳しくご紹介します。ママの中でもハーロウは聞いたことがない、という方も多いのですが、ハーロウの考えを知ると今子どもに必要な要素が分かります。

ハーロウとはどんな心理学者?ハーロウの理論を子育てに活かすには?という点を詳しくチェックしていきましょう。

ハーロウ(Harlow H. F.)とは?

幼児 親子関係

ハーロウ(Harlow H. F.)とは、アメリカの心理学者です。ハーロウはさまざまな心理学実験を行いましたが、中でも子育てに関する興味深いものに「アカゲザルの赤ちゃんの実験」があります。

これは、なぜ親子に「スキンシップが大切なのか」を理論づけるもので、愛着形成にかかわる結果が出ています。ハーロウを知るために、まずはこの実験と実験の結果が私達に教えてくれることをご紹介しましょう。

ハーロウの行ったアカゲザル赤ちゃんの実験とは

ハーロウはアカゲザルの赤ちゃんを利用して、とある実験をしました。赤ちゃんの養育環境には2匹の代理母を用意します。

  • ひとつは哺乳瓶がついている針金製の代理母
  • もうひとつは哺乳瓶がついていないけれど、柔らかな布で針金を包んだ代理母

このうち、生後間もないアカゲザルの赤ちゃんは空腹を覚えると哺乳瓶がついた代理母の元へといきますが、成長に伴って布製の代理母を頼るようになりました。普段は布製の代理母の近くで過ごし、お腹が減ると哺乳瓶のついた母親を頼ります。

ときに赤ちゃんにゼンマイのおもちゃで驚かせてみると、頼ったのは布製の代理母でした。試しに布製の代理母のいない空間を作ってみても、彼女が戻ってくるまで落ち着かなかったほどです。

身体的接触、愛着形成とは

この実験を見ると、やや不思議に思うことがいくつかあります。

  • 赤ちゃんにとって母乳は最も大切なものなのに、どうして布製の代理母に懐いたのか
  • 母乳=母親と認識しているのなら、なぜ針金の代理母に頼らなかったのか

実験の結果を見るとわかるように、赤ちゃんにとっては針金の母乳だけ与えてくれる存在ではなく、柔らかく抱き着ける存在こそが安心できると思えます。これを人間関係に置き換えると、身体的接触は愛着を形成し、スキンシップこそが子育てにおいて大切な要素なのです。

また、別の実験では針金の代理母で育てたアカゲザルの赤ちゃんは何事にも怯えて意欲的な行動を示さなかったのに対し、布製の代理母で育てた赤ちゃんは代理母が「安心できるもの」と認識しているため、冒険心や行動範囲が広がったという結果も出ています。今では倫理観的に詳しく調査できないものではありますが、身体的接触と愛着形成は子どもの人格や行動にも影響するといえそうですね。

ハーロウの提唱する愛着とは?

オペラント条件付け

以上の実験から親子関係には「愛着」が大切だと分かりました。愛着を形成するのはスキンシップです。今一度実験の結論もふまえて、ハーロウが提唱する子育て論を掘り下げて考えてみましょう。

大切なのは心地よいスキンシップ

哺乳瓶さえ与えていればOKというわけではなく、母親には欲求を満たすだけじゃない身体的な接触が求められます。針金を包んだ毛布のように、子どもが安心できる心地よいスキンシップこそが大切です。

極端にいうと、「物さえ与えていれば愛着形成ができる」というわけではないのです。子育てにおいて私達が学べるのは、子どもを大切に思う気持ちを毎日伝えて、抱きしめたり撫でたりキスしたりというスキンシップで愛着を築いていくことでしょう。

動物のようにじゃれ合うのが理想的

ハーロウはもう少し踏み込んで、身体的接触には動物のようにじゃれ合うのが理想としています。日本人はよく「愛情表現が控えめ」と言われますよね。海外の方を見てみると、大人同士でも再会すると抱き合って頬にキスを送り、「会えて嬉しい」と愛情表現をします。

これを子育てにも取り入れてみましょう。オープンな場所で大げさなスキンシップをすることこそ大切というわけではありませんが、家の中だとどんなに身体的接触をしても大丈夫。ママが普段思っている感情を子どもに思い切りスキンシップで伝えてあげましょう。

特に、愛着形成は子どものうちに発生します。アカゲザルの赤ちゃんにも同じことが見られましたよね。小さなうちはオーバーなほど愛情表現をし、今だからこそぎゅっと抱きしめられる時期を長く楽しみましょう。

抱き癖、甘え癖がつくのでは?

よく言われる抱き癖がつく、甘え癖がつくというもの。特に赤ちゃんは「泣いたら抱っこすると覚えたらママが大変」と言いますよね。寝るときのスキンシップである添い寝にもいろいろな考えがあり、添い寝すると将来一人で眠れなくなる、自立が遅くなるとも言われています。

ですが、スキンシップはそういった「悪い癖」が付くものではありません。子どもが愛情を求めるとママが返してくれる、ママとパパは安心できる存在と確信を得ることが愛着形成であって、むしろ安全基地のある子どもは外の世界へと向かう意欲が高まる傾向にあります。子どもの自立を促すにはこのように「何があってもここに戻ってくれば大丈夫」と大人が示してあげることが大切で、スキンシップは抱き癖や甘え癖のような心配とは真逆に、子どもを成長させる一歩になるのです。

ハーロウから学ぶ子育て論とは

自己認知 他己認知

これまでご紹介してきたことを踏まえて、ハーロウから学ぶ子育て論をまとめてみましょう。ママが子どもにできることは大きく分けて3つあります。

言葉が分からない赤ちゃんにも声掛けを

言葉がわからない赤ちゃんだとしても、「母乳をあげるだけの針金の母親」になってはなりません。声を掛けて毎日愛情を伝えてあげると、赤ちゃんにもきちんと届くはずです。

この時期に母親をまだはっきりと認識していないから、と抱っこを怠ったり我慢したりするのではなく、たくさんのスキンシップを取ってくださいね。

ハーロウの実験からもわかるように、「母乳じゃないから」と最初から諦める必要もありません。母乳でもミルクでも次第に子どもは必要としなくなり、それよりも母親との心の繋がりや愛着関係に頼るようになります。

たくさんハグする、キスする

たくさんハグして、キスしてあげましょう。子どもへの心地よい身体的接触こそが成長を促します。時々、「いつまでこうしたスキンシップをとってもいいの?」と悩むママもいますが、子どもが嫌がらなければ何歳になってもかまいません。

ママ自身にも身体的接触は効果がある!

子どもの心の成長にも欠かせないスキンシップは、子どもだけによい影響があるのではなく大人にももちろん好影響があります。例えばハグしたときにはβエンドルフィンやオキシトシンなどのホルモンが分泌されますが、これは「幸せホルモン」とも呼ばれる人への関心を高め、思いやる気持ちを強くするもの。幸福度にも影響するホルモンで、身体的接触が起きたときこそ分泌されます。

あたたかな子どもをぎゅっと抱きしめてあげると、ママにも何とも言えない幸福感がありますよね。子どもに普段うまく褒められない、大好きって伝えるのが苦手という方も、抱きしめて愛情を表現してみてください。

まとめ

心理学者ハーロウの行った実験から、スキンシップには大切な要素が詰まっていることがわかりました。ママの中にも、この子育て論を知り気持ちが楽になったり今やるべきことが分かった方も多いのではないでしょうか。

親子にとってメリットの大きな身体的接触。上手に生活に取り入れて、親子の愛着を育んでいきましょう。

【参考】

スキンシップはなぜ大切なの?アカゲザルの親子の実験から分かったこと | Conobie[コノビー]

親子関係をはぐくむ脳のはたらき 子育てと愛着の相互作用 黒田公美

ハリー・ハーロウ「身体的接触と愛着形成」

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。