「子どもは言うことを聞くもの」「親の言う通りに行動できる子こそ良い子」
そう思うママも多いかもしれません。確かに我が子と意思疎通ができ、理解し合えるのは理想的な親子像ですよね。
ですが、これが行き過ぎると避けたい育児の仕方である「コントロール型子育て」になってしまうことも。今回はコントロール型子育てとは何か、子どもに「強いる」ことが多いママが心がけたいポイントについてご紹介します。
コントロール型子育てになっていない?ママが陥りやすい状態とは
コントロール型子育てとは、名前の通り「子どもをコントロールする」ことを指します。
育児をするママなら身に覚えがあると思いますが、コントロールしようとしても、育児は予想外の連続で思うようにいきませんよね。また、我が子に対して「教えてあげないと心配」「つい口を出したくなる」とあれこれお世話したくなる気持ちはママならわかるはずです。
こうした過保護な考えが、以下のようなコントロール型子育てになってしまうのです。コントロール型子育ての特徴を見ていきましょう。
「必要な指導」と「押し付け」の区別がついていない
子どもをコントロールするのはよくない!と極端に考えると、途端に「子どもが何をしても許す」という叱らない子育てをしようとする方がいます。もちろん叱らずに子育てできれば理想かもしれませんが、子どもも社会で生きる一人の人間である以上、最低限の社会的なルール・マナーを教える必要があります。何をしても許す放任主義の考えもありますが、全部を許容するのは現実的ではありません。
この「必要な指導」は大切なものですが、行き過ぎると子どもの行動すべてをコントロールする「押し付け」が始まります。
こちらの記事でも紹介しましたが、子どものためを思って正しい道に導く叱ることと、感情をぶつけて子どもをコントロールする怒ることは違います。必要な指導なのか、大人の気分次第で子どもに当たる押し付けなのかを今一度考えなおしたいものです。
子どもに理想を押し付けるあまり行き過ぎてしまう…
感情のままに怒るだけでなく、子どもにママの経験からくる持論を押し付けることもコントロール型子育ての特徴です。例えば、
- 私は大学に行けなかったから子どもには有名大学に合格して欲しい
- 頭が悪いと良い所に就職できない!1日4時間は勉強しなさい
- 習い事は○○と○○を絶対にやるべき。辞めるのは許さない
子どもに理想を語るのは決しておかしなことではありません。ですが、こちらも行き過ぎると子どもの人生なのに親がすべてを決めつけてしまうコントロール型子育てになります。
もちろんママが心配するあまり、子どもに「勉強しなさい」「いい学校に合格しなさい」と言いたくなる気持ちは十分理解できます。我が子のことを考えた結果だとしても、あくまで子育ては子どもを支配するのではなく、子どもが自分で道を選ぶサポートをするのが主軸だと考えておきましょう。
コントロールできない場面でコントロールしようとする
コントロールできない場面とは、例えば親の目が届かないお友達付き合いや、子どもの個人的な情報です。事故やトラブル防止のためにある程度親の介入は必要ですが、仲良くするお友達を親が決めたり、子どもが所有するスマートフォンの中身を全部見ようとするのはやりすぎかもしれません。
こちらも根底には親が子を心配する気持ちがあります。次の項目で説明しますが、心配だからといって過剰に子どもをコントロールすると、子どもは「欲求が満たされない」と反発心を覚えます。親に隠れてトラブルを引き起こすことも多く、さらに親を頼れないために問題が大きくなりやすいのも、コントロール型子育ての持つデメリットです。
コントロール型子育てが引き起こす悪影響
現代心理学では「自己決定論」という考えがメジャーです。これは、
- つながり
- 有能感
- 自律性
の3つの欲求を誰しもが持っているとされ、これを否定すると強く「自己を通したい」と反発するものです。
コントロール型子育てはこの欲求を完全に無視して進むため、子どもにはストレスが大きく、かえって親の求めるようには育たないと言えるでしょう。コントロール型子育てを続けるとどうなるのか、解説します。
自律心がくじかれて強いストレスを受ける
人は誰しも心の3大欲求を持っています。「人とつながりたい」「何かができるようになりたい」「自分の意思でやりたい」と思うのは人間の基本です。コントロール型子育てはこのうち「自分の意思でやりたい」と思う子どもの自律心を挫いてしまいます。
子どもは親や大人からコントロールされると、
- 無理をして我慢する
- 親を拒否する
のどちらかに分かれます。親の厳しさに耐え抜き立派に生きるのは成功談にも聞こえますし、親のしがらみから抜けて自立するのも良い子に育つイメージがあるかもしれません。しかし、どちらの道をたどったとしても子どもが強いストレスを受け続け育ったことには違いなく、不安症やうつ病、摂食障害、大人になってからも幼少期がトラウマになりPTSDを発症するなど、心や体に悪い影響が出ます。
ママが必死になるほど逆効果に
コントロールするのは実は簡単ではなく、この子育てを子どもに強いるママは「育児に打ち込んでいる」と勘違いしがちです。本来なら子どもには誰でも楽しいこと、打ち込めること、進んでできることがあります。これを「誰よりもできるようにならなくちゃ」とママが必死になればなるほど、子どもは意欲を失くし逆効果になります。
この現象は心理的リアクタンスといい、リアクタンスとは反抗の意味を持ちます。先ほど自己決定論でもご紹介しましたが、「ダメと言われれば言われるほど、自分の思うようにやりたくなる」「○○しなさい!と言われたらやる気がなくなった」という命令に背き自分の意思を突き通したくなるのが心理的リアクタンスです。
理想的な子どもに育って欲しい、悪いことは悪いこととしっかり伝えたい、自分の経験上子どもには同じ道をたどって欲しくないと思うなら、コントロール型子育てを脱するのが実は一番の近道です。
結局子育ては「うまくいかない」と感じる
コントロール型子育てはうまくいくのかというと、決してそうではありません。一見立派に育ったように思えますが、親がコントロールした結果の人生は「子どもが自ら進んだもの」ではなく、いずれ破綻が起こるからです。さらに子どもが親からの支配に気付き、成長するといよいよコントロールできなくなるかもしれません。
こうなると、結局子育てはうまくいかないと感じてしまいます。コントロール型子育てはママにとっても負担が大きく、子どもには悪影響。さらに結果として「うまくいかない」とメリットが一つもないことがわかるでしょう。
じゃあどんな子育てが理想?目指したい子育てのタイプとは
アメリカの心理学者であるダイアナ・バウムリンドは子育てには4つのタイプがあると提唱しました。
- 服従型
- 無関心型
- 寛容型
- 民主型
このうち、子どもを親の言う通りに強いることなく、なおかつ手を掛けて信頼感を得る方法とは「民主型」と言われています。この民主型子育ての特徴をご紹介します。
見守る、マネジメント型の子育て
民主型子育てとは、親は見守り子どもを適切に管理することが中心。子どもの意思を尊重するものを指します。
子どもを管理するのは「コントロール」ではなく「マネジメント」です。我が子を掌握して思いのままに動かすのではなく、子どもが意欲的に行動したら、それを応援し環境を整えるのが管理する子育てと言えるでしょう。
対話を何より大切にする
民主型子育てでは対話を何より大切にします。親子の対話が十分であれば、「今うちの子は何に興味を持っているのか」「何がしたいのか」がわかります。どんなに小さい子でも主張は当然あるため、1度ママは子どもに尋ねて欲求を聞いてあげることを優先しましょう。
コントロール型子育てはどちらかというと親の一方的な欲求と押し付けが強いです。対話をすることで親と子が対等な立場になり、コミュニケーションによって意思疎通がよりスムーズになるでしょう。
言い聞かせではなくお約束を作る
民主型子育てをするあまり、寛容型:子どもに興味関心を持たず、何も言わない親になってしまうこともあります。民主型子育てはあくまで「子どもが主軸」なだけであり、「子どもの思うようにさせるだけ」ではありません。
言い聞かせをしなくてはならないシーン、子どもに社会的なルールを教えるべきシーンももちろんあります。この時は、言い聞かせではなく約束を作り、親子で守るようにしましょう。
- 「テレビを見ないで!ではなく、テレビは〇時までという約束」
- 「宿題をしなさい!ではなく、宿題が終わってから遊ぶ約束」
このようにルールを設けると、守ることで子どもには有能感が生まれます。ママとしても口うるさく言う必要がないため、語気を荒げず子どもを導きやすいですよね。
まとめ
子育てに正しい、不正解はないけれど、必ず避けたいのがコントロール型子育てです。さらに、理解していてもつい「子どもをコントロールしてしまう」というのはよくあること。今一度子どもに親の意見を押し付けていないか、民主型子育てができているかを見つめ直してみてくださいね。
【参考】
【絶対NG!!】最悪な子育ての習慣・ワースト3 | スタンフォード式生き抜く力 | ダイヤモンド・オンライン