小学校の学習指導要領にも盛り込まれた「生きる力」「考える力」。今、急激に変化する時代を生きる子どもたちには、さまざまなテクノロジーや情報の中から「何が自分にとって適しているのか」を考えて選ぶ力が求められています。
そういわれると「うちの子はまだ小さいのに、その育児は早いのかも?」と不安になってしまいますよね。
ただ、一見難しそうなこの力は、人間なら誰しもが持っている「好奇心」が根本にあります。
今回はスタンフォード・オンラインハイスクールの校長を務める、哲学博士の星 友啓先生著『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』を参考に、子どもの好奇心を引き出す方法、楽しく前向きにやる気を出すポイントをご紹介します。
- 子どもが何に興味があるかいまいちわからないママ
- 子どもの好奇心をもっと満足させたいと思っているママ
- 子どもの根気ややる気に悩んでいるママ
- 子どもの好奇心ややる気を引き出す方法を解説
- 「やりなさい!」をなくす子どもとの向き合い方
- 子どもの好奇心とは何か、わかりやすく解説
子どもの「好奇心」とは?なぜ大切なの?
なぜ、本記事では「好奇心」と「やる気」を取り上げるのかというと、好奇心とはすべての始まりだからです。
子どもは考え方も柔軟で、周囲の刺激や教えたことをぐんぐん吸収します。特に「好き!」「楽しい!」と思ったものには特別な反応を示すでしょう。
記事冒頭では「考える力」が求められているとお伝えしましたが、この考える行為も好奇心がないと始まりません。まずは、好奇心とは何かをチェックしていきましょう。
好奇心には5つのタイプがある
これまでの心理研究によると、好奇心は5つのタイプに分けられるといわれています。
- 知らないことに敏感:知らないことに対して物足りなさを感じる気持ち、実際に知ると満たされる気持ち
- 探求を楽しむ:新しいものや知らないものを探す、調べることを楽しむ気持ち
- 他者を知りたい:周りの人のことを知りたいと思う気持ち、人間の社会性や仕組みに対する好奇心
- 未知のストレスに耐える:不確定なことや起こると怖いものを探り、ストレスに耐えるための好奇心
- スリルを求める:新しいものに対する恐怖や不安に興奮し、ワクワクする気持ち
こうしてみると、「うちの子は「危ない!」って言ったらかえって興味を持っちゃう」「知るというよりも、調べることが好きみたい」と発見があるかもしれませんね。
このように、好奇心には種類があり得意な好奇心と避けてしまう苦手な好奇心に分かれます。「①と②が当てはまるけれど⑤は苦手」と得意分野が出てくるでしょう。
さらに好奇心の4つのマインドを知ろう
先ほどの5つの好奇心タイプを知ったら、次の4つのマインドのうちどれに当てはまるかを考えます。
- ワクワクマインド:5種類の好奇心どれもに強く、好奇心があふれている
- 問題解決マインド:5種類の好奇心のうち、知らないことに敏感だったり未知数のストレスに耐えるものに強い。他者を知りたいは弱く、知らない物事を調べることに興味がある
- 友達マインド:好奇心の中で他者に対する関心が強く、未知のストレスやスリルを求めることには弱い
- 拒否マインド:5種類の好奇心のほとんどが弱め
どこを目指すとよい、というわけではなく、これは変えられないその人の個性であり、ママ自身や子どもの傾向を知るためだけに利用します。好奇心を引き出そうと思ったら、このマインドのうちどこに強み・弱みがあるのかを考えると、やりやすくなります。
好奇心があると幸福度もアップする
ここまで好奇心について解説しましたが、もう少し好奇心を学ぶためのモチベーションを考えてみましょう。好奇心は「すべての始まり」になると同時に、「自分が幸せに生きる」きっかけにもなります。脳科学では好奇心がドーパミンを分泌し、その結果集中力や記憶力を活性化させることもわかっています。
つまり、頭ごなしに「勉強しなさい!」といっても、心理学的にも脳研究の視点でも効果はあまりないといえるのです。子どもの好奇心タイプを知り、得意な分野でアプローチしたほうが、本人も勉強のハードルを乗り越えられるし楽に感じるはずです。
子どもの好奇心を引き出す3つのポイント
とはいえ「うちの子は何にも興味なさそう」「興味がころころ変わって集中できない」と思うことも多いですよね。せっかく新しい遊びを用意したのに、子どもは楽しまなかった…なんてことは育児でよく見られる場面です。
そこで、子どもの好奇心を引き出すためのポイントを3つ見ていきましょう。
子どもを「放置」しない、放任主義をやめる
基本的なことですが、「子どもの興味は子どもにしか理解できない」と親の介入をやめてしまうのはよくない例です。もちろん、「今日はこれで遊ぶよ。そっちはダメ」とママが決めつけてしまうのもよくありませんが、子どもへの放任主義を一度やめてみましょう。
自由にのびのびと遊ばせるのと、子どもを放置するのは意味が違います。遊びに迷っていたらサポートし、その遊ぶ方法が大人の常識と違っていても、1度は受け入れましょう。
また、小さな子は大人との対話でさまざまなことを学びます。
時間が許せば子どもとの時間を増やし、一緒に遊んでみるとさまざまな好奇心の特徴に気づけるかもしれません。
子どもの「当たり前」を少しだけ揺るがす
子どもに興味を持ってもらうには、「当たり前を少しだけ揺るがす」といいそうです。
実際にあった話です。夜になったとき「実は今、朝になったばかりでおはよーってする子どももいるんだよ」と話すとします。そのとき、子どもは「どうして?夜になったら起きる子なの?眠れないの?夜更かしできる子がいるの?幼稚園は夜にいくの?」とたくさん質問してきました。ここで時差を説明すると、たくさんの国があって、そこで同じように暮らしている子どもがいるとわかったのです。
子どもが興味を示すことに、大人はあまり口出ししてはならないといいますよね。ですが、好奇心を引き出すためには「実は〇〇なんだよ」と、子どもの知らない情報をママが教えてあげると新鮮な反応がかえってくるかもしれません。
「ここからどうなるかな?」と一緒にワクワクする
何かを試すとき、それから子どもが取り組んでいるとき。予測させる尋ね方や質問は子どもの興味をますます広げます。お絵描きをしているとき、ここからどうなるかな?と子どもに予想させてみましょう。「こうなる!」「あ、〇〇がない」「じゃあこれも描こう」とアイデアはたくさん出てきます。
子どもとどう会話を続ければよいのかわからないというママにも、この予想させる会話はおすすめです。想像力や発想力を刺激し、その予測が当たっていると一緒にママと喜べるし、外れていてもユニークなアイデを楽しむことができます。
子どものやる気を引き出す3つのメソッド
好奇心の次は、やる気を引き出すメソッドを見ていきましょう。日常生活で取り入れられるので、ぜひ試してみてくださいね。
成長マインドセットを親が見せる
子どもは親の背中を見て育つといいますが、ママが思っている以上に子どもは大人に影響を受けています。
好奇心ややる気を刺激するには、ママがその姿を見せるのが一番。毎日忙しくて無気力に過ごすのではなく、「ママも仕事が嫌だなって思う。でも頑張るね」と成長する姿を隠すことなく見せましょう。
ママが好きな趣味を楽しみ、その姿を見せることでも構いません。母親だからってゲームをしてはいけないわけでもありません。子どもと共有できる趣味があると、親子で楽しめるのでより成長を一緒に分かち合えそうです。
固定概念を子どもに押し付けない
「子どもはこうあるべき」というべき思考は、特にやめたい考え方だと当ブログもお伝えしてきました。
べきというのは、子どもに固定概念を押し付けている代表例です。子どもだからこういう好奇心を持つべき、楽しむべきという考えを一度捨てて、わが子をそのまま見つめ直してみるのもよいかもしれません。
子どもは元々、たくさんの好奇心を持っています。その好奇心とやる気の芽をつぶすのではなく、大人にもない視点があれば、ママのほうから興味を持って理解してみましょう。
効果的な褒め方を意識する
ママに褒められると、子どものやる気も好奇心も一段と上がるもの。ですが、褒めるというのはやり方を間違えると子どものやる気やモチベーションを下げてしまうものなのです。
「じゃあ褒めないほうがいい?」と悩むことも多いのですが、押さえるべき4つを守ればいくらでも褒めてOK!
- ごまかさず嘘をつかずに、正直に
- 結果ではなく、努力や過程を褒める
- 褒めてコントロールするのではなく、手放しに褒める
- 「〇〇ちゃんよりもすごい!」ではなく「昔のあなたよりすごい!」に
この点を意識し、ママがすごいと思ったら迷わず褒めて構いません。子どもはすぐにポジティブな反応があると強く記憶に残るため、「あとで褒めよう」ではなく今すぐがおすすめです。
まとめ
今の子どもや育児に求められる「考える力」。これを身につけるには、子どもの行動のきっかけである好奇心とやる気が欠かせません。
好奇心ややる気は、ポジティブなものだと子どもはどんどん成長します。親子の対話が欠かせない要素なので、ママもこの記事を参考に子どもへの理解を深めてみましょう。