【年齢別】子どものけんかにどう介入する?親ができることとは

子どものけんか

きょうだいけんかやお友達とけんか。子どもを育てると、子どものけんかは必ず目にするものです。みなさんはママとして、子どものけんかにどう対応しているでしょうか。

今回は子どものけんかにどこまで親が介入してもよいのか、年齢別にご紹介します。誰しもトラブルは避けてしまいがちですが、子どものけんかは「経験するとメリットもある」といいう点もあわせて考えていきましょう。

幼児期の子どものけんかはクールダウンする時間を持つ

卒乳

未就学児は保育園や幼稚園に通う中でお友達とトラブルになったり、下の子・上の子がいればきょうだいけんかにもなりやすいです。

この時期の子どもは、まだ自分の感情に折り合いをつけたり相手を思いやる気持ちは成長途中。つい親が力づくで介入したくなりますが、けんかを次第に自分たちだけで解決できるようになる練習だと受け止めて、あたたかく見守るようにしましょう。

よくも悪くもトラブルが多く、解決しやすい幼児期

幼児期の子どもはけんかが多いです。我が子だけ?きょうだいで顔を合わせるとすぐにけんか…とママが悩むことも多いのですが、「トラブルは多いもの」と割り切りましょう。

幼児期に保育園や幼稚園で集団生活を経験する子もいますが、一切けんかなしにトラブルを起こさず、譲り合って生活するのはこの頃の小さな子には不可能に近いです。また、どうしてお友達にひどいことをしたの?と聞いてみても、大人から見ると理解できないめちゃくちゃな理論であることも多いでしょう。

大切なのは、とにかく言い分を聞いて子どもの気持ちを受け止めることです。例え「それはあなたがおかしい」と指摘したくなるほど破綻していても、この時期の子は感情そのままに行動します。一度大人が話を聞いてあげて「そうだったんだね」「そんなことがあったんだね」と子どもの行動を肯定しなくても、気持ちは受け止めてあげましょう。

けんかの状況を整理する

けんかの状況をしっかり整理しましょう。子どもの言うことは的を得ていなくてよくわからなくても、事実を確認することが大切です。大人が見た一部分だけを切り取って「誰が悪い」と断定するのはよくありません。

まずは誰と誰がけんかしたのか、いつ、何が起こってけんかになってしまったのか、それぞれの立場から見える「事実」を確認しながら、原因を公平な気持ちで探るようにしましょう。

判断するのは子どもに任せる

いくら小さな子のけんかでも、判断は大人が下すべきではありません。けんかをしたり怒ったり悲しい思いをしたりするのは子どもであり、その場にいなかったママではないからです。「○○ちゃんが悪いよね?」「お兄ちゃんがいけないんだ!」と乱暴に感情をぶつけられたとしても、その意見だけでママは判断しないでおきましょう。

だからといって、「その場を見ていないしママはわからない」と突き放すのではなく、子どもに解決するきっかけを作るのが大切です。「○○って言われて、お兄ちゃんはどう思うかな?」「イヤな気持ちになったら、今度からやらないでおこうね」とけんかについて子どもに考えさせるきっかけを作り、その後は気持ちが落ち着くまで時間を置きましょう。

幼児期の子どもはヒートアップするきっかけが多く我慢ができないために、けんかに発展することが多いです。けれども、小さく純粋な子が多いからこそ、時間を作るとけんかを忘れて他の興味に移ることもあります。クールダウンする時間やゆっくり考える時間を作り、けんかにならないためにはどうしたらよいのかを親子で考えましょう。

小学生以降の子どものけんかは相手の気持ちを考える時間を持つ

ハヴィガースト 発達段階

小学生以降になると、友人関係はより複雑になります。ママと離れる時間が多くなることから、親が子どもの交友関係すべてを把握するのも難しくなるでしょう。

だからこそ、「うちの子がいじめられていたらどうしよう」「仲間外れにされているのでは」と不安になる方も多いです。また友人同士のトラブルは長引きがちなので、親としては子どものけんかにうまくアドバイスをして、解決まで導きたいものです。

まずは子どもに任せて判断を

子どもが小学校から帰ってきたら、「友達とけんかしてきた」と報告されたらママは焦りますよね。あれこれと聞き出して、親が子どもの友人関係に口出ししたくなるかもしれません。

ですが、まず「子どもは子ども、親は親」という区別をはっきりさせましょう。子どもがいくら頼りなくても信じて任せる気持ちが大切です。子どものけんかは子どもの成長機会であり、社会に出ると意見があわず周囲と折り合いがつかないことも、理不尽に感情をぶつけられることも、それらを自分で解決しなくてはならないこともたくさんあるのです。その練習を今しているのだと捉えて、社会性を身につけるためにも親の口出しは最小限にとどめておくべきでしょう。

聞き役を徹底する

ママができることは、とにかく聞き役に徹することです。子どもが話したくないようなら、その気持ちを尊重しましょう。とはいえ、子どもがたった一人で解決できるトラブルではないため、ママが解決へと導いていけるとよいですね。

けんかをしたといっても、「喧嘩両成敗」という言葉があるようにどちらにも落ち度があることがほとんど。まずは子どもを責めず、しっかりお話を聞いてあげましょう。もし全部話してもらったら、「話してくれてありがとうね」ときちんとママの気持ちを伝えてください。

ここでママが一緒に感情的になって、「それは相手が悪い!」と怒るのはNG。解決になりませんし、子どもが「ママにいえば相手をやっつけられる」と誤解するかもしれません。冷静に真剣に子どもと向き合いましょう。ママの真剣な姿勢は、子どもの興奮した気持ちも落ち着かせるかもしれません。

気持ちが落ち着いたら、相手の気持ちを想像して解決策を一緒に考える

気持ちが一度落ち着いたら、次はけんか相手の気持ちを考えます。「どうして○○って言われたんだろう?」「なんで相手は怒ったのかな?」と考えるきっかけを与えます。この一緒に考えることこそが大切で、例えママが一気に確信までわかったとしても、子どもに正論を押し付けるべきではありません。子どもには子どもの世界があり、それを大人が完全に理解するのは不可能なのです。

解決するという目的に向かって、一緒に気持ちを整理することが大切です。子どもに抱えきれないほどの負担がかかっていれば、ママが一緒に考えてあげましょう。その結果、「じゃあ明日相手に○○って伝えよう」と答えを出せたのなら、親としてベストな対応といえるでしょう。

子どものけんかは成長のチャンス?

空間認識能力

どうしても避けがちな子どものけんか。きょうだいけんかでも毎日トラブルばかりだと、ママも滅入って「どうにかけんかしないように」と避けてしまいますよね。

ですが、子どものけんかとは実は大きな成長のチャンスです。その理由をいくつか見ていきましょう。

社会性を育むきっかけになる

けんかをした子どもは「イライラする!」「いやな思いをした」だけでなく、そのあとでけんかの原因や相手がどう思ったのかを少なからず考えます。どんな小さな子だって、自分の行動で相手が泣いたら「これがいけなかったんだ」と学ぶでしょう。

これこそが社会で集団生活をするための社会性を育む一歩で、人と人とが暮らしていく限り、かならず身につけたいスキルです。

けんかを親が止めてしまう、トラブルになる前に取り上げてしまうのは、社会性を育む機会をなくしているので、実はとてももったいないことなのです。

トラブルが起きたとき、どう立ち回るのかの練習になる

生きていく以上、ライフステージが上がると周りの環境もより複雑になります。子どものけんかとは思えないほどのトラブルと対面するときもあるでしょう。

そうしたとき、どう振る舞えば場が収まるのか、また自分の怒りをどう対処するのが適切なのかわかっている子は、トラブルが起きてもすぐ立ち直れます。自分がどう動けばいいのかを学ぶのは、まさに「子どものけんか」のときが最適です。

けんかはときに逃げてもいい

ここまで子どものけんかのメリットを挙げましたが、だからといって「わざとけんかさせる」「きょうだいを対立させる」のは違います。子どもにとってもいつかは忘れることとはいえ、子ども同士のけんかはイヤな思い出です。

けんかはときには逃げてもいいし、何を言っても聞き入れてくれないお友達とは、適度に距離を取る選択もあります。みんなが全員思いやれる世の中は確かに理想的ですが、そうはいかない現実も大人にはよくわかりますよね。このことも、ママは子どもと一緒に考えて解決に導いてあげるとよいですね。

まとめ

どこまで仲介したらよいのかわからない子どものけんか。大人は一歩下がって冷静になるように子どもを手伝い、解決まで導く「サポート役になることが大切です。どんなにもどかしくても、子どもの成長の機会だととらえて一緒に考えてあげましょう。

【参考】

子どもの喧嘩を仲裁するには?幼児の社会性を育むために [子育て] All About

ベネッセ 教育情報サイト|育児から受験に役立つ情報まで

幼児のケンカとめないで!ケンカで子どもたちは社会性を高めている? | ほいくらいふ

子どものケンカは成長のチャンス!とっさに「仲裁に入る」前に、子どもの「学びのサポート」を考えよう | Conobie[コノビー]

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。