自己否定癖はどう治す?脳科学から見る「思考の癖」修正方法

自然体験 子ども メリット

自分を否定する考えが止まらない「自己否定」。一度自分を否定して、「何をやってもダメだ」と諦めてしまうのは、実はとても簡単です。だからこそ自己否定は繰り返してしまい、自己否定癖になってしまいますが、これを止める方法はあるのでしょうか。

今回は脳科学の観点から、思考の癖を修正する方法をご紹介します。

いけない考えと分かっているけれどネガティブシンキングが止まらないママは、ぜひ参考にしてくださいね。

自己否定癖とは?

分離不安 子ども

自己否定とは言葉通り「自分を否定する」ことを指します。行動のひとつひとつに自分で「NO」を出し、認めてあげられない状態が自己否定です。

では、自己否定癖というとこの考えが脳の思考癖になっており、無意識のうちに自己否定してしまう状況が近いでしょう。まずは、自己否定癖について詳しく考えてみます。

無意識のうちに脳に癖がついている状態

自己否定が癖になっている「自己否定癖」とは、無意識のうちに自分を否定しておりその考えが「普通」になっている状態です。そもそも、この脳の認識とは前提として正しく使えば「自分を否定する」ことはありません。

脳を正しく使うというのは、自己認知が正常に機能している状態。自己認知は自分で自分を認識する力なので、これがあれば他者からの評価や判断に左右されることなく、自分で自分を正しく判断できます。自己認知が崩れてしまい「他者と比較して自分の方が優れていないと正しいと思えない」「必要以上に他者からの承認を求めてしまい、そうでない現実が受け入れられない」となれば自己否定が癖になっていると言えるでしょう。

認知の歪みは自分で修正できる?

自己認知が崩れてしまう、歪んでしまうのは誰しも起こることです。分かりやすく言うと「自分を見失っている状態」ですが、これに心当たりがある方は多いですよね。誰でも、1度足りとも自分に自信を失うことなく、堂々と行動できるとは限りません。この認知の歪みは自分で修正できるのでしょうか?

結論から言うと、認知の歪みは正すことができます。凝り固まった考え方を変えるのは簡単ではなく、時にはカウンセリングなど専門家の力も必要ですが、自分で意識付けるだけでも改善は期待できるでしょう。

認知の歪みを直すには、

  • 失敗した時「貴重な体験だった」とポジティブに受け止める
  • どう自分の認知が歪んでいるのかを認め、正そうとする

などが大切です。どちらも「失敗体験を肯定する」「自分を肯定する」という思考が働いていて、すぐに自分を変えようとするマインドではありません。

自分の意識だけを少し変えると、認知は正せると思うと気が楽になりますよね。さらに自己否定癖を直すために、もっと踏み込んで自己否定について考えてみましょう。

なぜ自己否定癖があるの?

アンダーマイニング効果

なぜ、自己否定は癖になりやすいのでしょうか。自己否定癖がどうして存在するのか、原因から考えてみましょう。

自己否定は「自分を守る」こともある

自己否定はやるだけなら確かに簡単です。それ以上に自己否定は「自分を守るため」にも使われます。

心理学者のアドラーは、「自己否定とは人間関係で傷つかないための保険のようなもの」と言っています。これは「嫌われるのは分かっているから、実際に嫌われても驚かない」と自己否定で未来や起こる悪い出来事を予測し、心の傷を最小限に抑えることを指します。

「どうせ私だからできるわけない」と高いハードルに挑戦しなければ、もちろん失敗はしません。自分にがっかりすることも、自分に対して落ち込むこともありませんよね。

このようにネガティブ思考は完全に悪いわけではなく、コントロールすれば自分のためにもなるのです。ここで成功体験を覚えると、自己否定癖のきっかけになることも想像に難くありません。

とはいえ、反対に言うと自己否定癖は「自分は傷ついていて、保険をかけなくてはならない状態」とも言えます。気分の落ち込みを伴う自己否定が止まらないのは、ママの心のSOSなのかもしれません。

私達の文化から自己否定が始まることも

自己否定で悩むことは特別珍しくありません。もしかすると多くのママが「自分の育児に満足できない」「何をやっても私はダメだ」と悲観的な思いを抱いたことがあるかもしれません。

これは、日本文化が影響しているとも考えられています。

国内の文化では、他人と比較して「いえいえ、うちの子なんて」と引く方が礼儀正しいと考えられがちです。自慢するのは恥ずかしいことで、慎み深さこそ美徳とされています。

こうした文化に寄り添う暮らしをしていると、無意識のうちに子どもを下げてしまったり、自分のことも「私なんて」と言ったりしてしまうかもしれませんよね。自己を過小評価して相手を持ち上げるのが適切な場面ももちろんありますが、繰り返すと癖になり自己否定が止まらなくなるのも頷けます。

自己否定癖をなおしたい!ママが今すぐできること

分離不安 いつから

自己否定癖を直したい!と思ったら、ママは今すぐできることがあります。ここからは自己否定癖を直す方法、できることを見ていきましょう。

自分の「認知の歪み」を正しく理解する

自分の認知の歪みはどうなっているのか、これを正しく理解して直すようにすると歪みを修正できます。

  • あなたの「強み」「弱み」とは?
  • 大切にしている「価値観」と「価値基準」とは?
  • あなたの興味や好奇心の対象とは?

こうした自分に対しての疑問に答えていき、できれば書き出しておきましょう。

もし強み・弱みを書くうちに「弱みしか見つからない」となっても、消す必要はありません。もちろん時間をかけて強みを探すのは大切ですが、ここで出た自分の欠点や理想とは異なる部分を「否定する」のは絶対にNG。ありのままの自分を見つめ、認める練習をしてみてください。

就寝前に自分のことを褒める

自分が今日したことや思ったことを何よりも理解していて、覚えているのは自分自身です。1日の行いを振り返ってみて、褒めるべき部分を褒めてあげましょう。

とはいえ育児で忙しいママは、なかなかゆっくり考え事も難しいですよね。そこで、おすすめは就寝前に頭の中で褒めるべきポイントを見つけることです。

寝る前の数分で、

  • 今日は子どもといつもより少し長く遊べた
  • 今日も1日頑張った
  • 今日は○○がここまで進められた

と些細なことでも良いので自分を褒めてあげてください。入眠しやすくなるため、おすすめです。

セルフコンパッションを身につける

次に、セルフコンパッションを身につけることです。セルフコンパッションとは、自分自身を労わり他人にするように優しく大切に思うという意味を持ちます。心理的な自己へのアプローチの一つで、自分自身を無意識のうちに愛せるようになるのがセルフコンパッションです。

これは、自分の方をマッサージしたりハグしたりするだけでOK。特に不安な気持ちになったり寂しさを感じたりしたら、自分で自分を抱きしめるような動作を取るようにしましょう。

また、言葉がけも大切です。自己否定癖がある方は「私なんて」「どうせ」「でも」と否定から入ってしまいますが、1度立ち止って否定する言葉を飲みこみ、自分に対して優しい言葉をかけてあげてみましょう。

今日あった「良いこと」を日記につける

最後は今日あった良いことを見つめ直す日記です。日記というと手帳に手書きするイメージがありますが、余裕がなければスマートフォンのアプリでもかまいません。気軽な方法で、今日あった良いことだけを日記にしていきましょう。

もし思いつかない場合は、短文でも構いません。最初のうちは1行書くので大変、と思うかもしれませんが、慣れてくると次第に長くなっていきます。この日記の良い所はポジティブシンキングが身に付くだけでなく、子どもやパパにも「良い面」を見つけやすくなることです。

子どもの褒めたいポイントをたくさん見つけられると、より良い育児ができそうですよね。ママが笑顔でいることこそ、子どもにたくさんの幸せを与えることができます。

まとめ

自己否定癖は誰しもなりやすく、また自己否定はやってしまえば簡単です。だからこそ自己否定とは何かを正しく理解して、自分の認知を修正できるとベストです。

今、思考の癖がついていても直すことはできます。できることから一つずつ始めて、自分を労わってあげてくださいね。

【参考】

脳の名医が教える「自己否定」を追い出す方法、脳の癖で錯覚しないで | 要約の達人 from flier | ダイヤモンド・オンライン

自己否定が癖になっている | 心理カウンセリングルーム・リフレイム|名古屋|re:frame

なぜ人は自己否定をしてしまう? 自己肯定感を高める方法と改善習慣は? | Domani

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。