2歳前後になると、大抵の子ども達にやってくる「イヤイヤ期」。
何を言っても嫌。するも嫌。しないのも嫌。好きな食べ物もとりあえず嫌。
一日中「いやいや」が続くと、ママの方が「もうイヤ!」と言いたくなってしまうかもしれませんね。
こちらの記事では、イヤイヤ期がなぜ起こるのか、そして周りの大人はどのように対応していけばいいのかお伝えします。
イヤイヤ期が子どもの成長の中で大切な理由
早い子どもだと1歳半の頃から始まるイヤイヤ期。このイヤイヤ期は世界中のママが体験するもの。つまり文化に関係なく子どもはこの時期を迎えるのです。それは一体なぜなのか。人間の「脳」の発達が関わっているからなのです。
イヤイヤ期は脳(前頭前野)が発達中だから起こる
出典:Active Brain Club 人間らしく生きるためには「前頭前野」が大事
人間の脳は、3歳までに80%が作られます。脳は部位ごとに、その主な役割が異なりますが、このイヤイヤ期は、前頭前野が発達過程であるために起こるのです。前頭前野とは、おでこの近くの脳の部位で、考えることや、感情や行動を抑制すること、記憶すること、などを担っています。ここが発達すると(一般的には4歳頃まで)、感情コントロールなどが出来るようになり、「抑制機能」が働くようになります。
つまり、これが発達過程にある小さい子どもは、「したい!やりたい!」という気持ちが自分でコントロールすることがまだ出来ないのです。そのために、自分の中でも持て余してしまったものが「イヤイヤ期」の「何を言ってもいや!」になって表れているのです。
このことを知らないと、ママが
「私の育て方が悪かったのかしら?」
「ものすごくワガママな子どもなのではないか」
「こんなんじゃ幼稚園に入れないのではないか」
などといった不安が出てきてしまうかもしれません。
また、ママが何を言っても「いや!」の一点張りの子どもにイライラして
「もう勝手にしなさい!」なんて怒ってしまうこともあるかもしれません。
脳が発達することで落ち着くこととは言え、ママとしてはどう対応していいのか困ってしまうこともあるでしょう。また、この期間にどう接するかも今後の親子関係や子どもの成長に大きく影響する要素です。ぜひ、次のポイントを抑えて子どもの我慢する力を伸ばしてあげてくださいね。
イヤイヤ期の子どもへの対応
我が家にも3歳と5歳の娘達がいますが、特に下の子はとても意志の強い子どもです。上の子とのやりとりに気を取られていて、うっかり下の子に適当に返事をしてしまうとそれはもう全力のイヤイヤで返ってきてしまうことも多々ありました。
ママは子どもとの関わりの中でどのようなことに意識をしていけば良いのでしょうか。
まずは子どもの言葉と気持ちを受け止める
子どもがイヤイヤ期に突入している時は特に子どもの発言を否定せずにまずは受け止めることが大切です。
そして、背景にある子どもの気持ちを出来るだけ言語化してあげることも大切です。
「お天気いいからお散歩行こうか!」というママの誘いに「いや」
「じゃあ、お部屋で遊ぼうか。」というママの返答に「イヤ!」
「本当はお外行きたいんでしょ?」「イヤなの!」
なんて会話、よくあるパターンですね。
子どものためを思って、子どもが喜ぶだろうと思うことをしようと誘ってもいちいち「イヤ」と言われると、ママもイヤになってしまいます。
しかし、ここで大切なのは、「いや」と言う子どもの言葉を否定せずに受け止めること。
子どもが好きなことを提案して「イヤ」と言われると、
「本当はしたいんでしょ」などと、先回りして子どもの気持ちを探り当てる発言をしてしまいがちですね。
しかし、このような時は「イヤって言いたい気持ちなのね」とその発言と気持ちを受け止めてあげてください。子どもがイヤと言ったのは何故でしょう?
- ママに命令されるのがイヤ。
- ママが先に思いついたのがイヤ。
- 眠くて何もしたくないから全部イヤ。
そんな気持ちを受け止めるのもいいでしょう。
気持ちを受け止めてもらえるという体験を積み重ねていくことで、子どもはママはどんな自分でも受け止めてくれる。モヤモヤした嫌な気持ちの自分のことも受け止めてくれる、ということを実感していきます。
この受け止めてもらえる体験の積み重ねが子どもがママの言葉に耳を傾けるきっかけにもなっていくのです。
上手く靴が履けなくて、「もうイヤ!」と言う子どもには、
「一生懸命しても履けないと悔しいよね。なげだしたくなってしまうね。」
など、「悲しい気持ち」「悔しい気持ち」「イライラする気持ち」「もどかしい気持ち」「鬱陶しい気持ち」といったことを、ママが感情の言葉として伝えてあげることが、子どもの中での前頭前野の発達を促すことにもなります。
クールダウンする時間・空間を与える
イヤイヤスイッチがはいってしまうと、もう手がつけられなくなる。ママの言葉も一切耳に入らない。そんな子どもは、少し時間や空間をあげましょう。
子どもがヒートアップした自分の感情を「自分で」落ち着かせられるようになることは、とても大切です。そのために、子どもに時間と安全な空間を与えてあげましょう。
「もうどうしたらいいかわからなくなっちゃったね。落ち着いたらママの所にお話に来てね。あっちで待っているね。」と穏やかに声をかけて、少し離れた場所から見守りましょう。
「イヤイヤ!」となっている子どもに「いい加減にしなさい!」など怒鳴って子どもをコントロールしようとすることは逆効果です。まずは、ママが穏やかに落ち着いた声のトーンで語り掛け、そして子どもがお話が出来るように待ってあげましょう。
子どもがわかりやすいルールを示す
自分の意志で決めることや自分で物事をコントロールすることを重視しているこの時期の子どもには、まずはルールを伝えてあげることで、自分自身で決める選択肢を与えてあげることが出来ます。
公園に遊びに行くのはいいけれど、帰ろうとすると「いやいや」がマックスに。泣き叫ぶ我が子を抱きかかえて帰る毎日に疲れてしまいました。そんなママの声を聞くこともあります。
何かをしたい、やりたい、の気持ちをコントロールすることがまだ難しいこの時期は、少しでも子どもがわかりやすいルールを事前に作って、子どもに同意を得ることが大切です。
公園についたら、時計を見せて「長い針が6のところに来たら、お家に帰ろうね」と、子どもが目で見てわかるなどわかりやすいルールを示してあげましょう。
ルール(「長い針が6になったら家に帰る」)を事前に知っておくことで
- 子どもはいつ遊びを切り上げるか
- どのように遊びを終わるか
など自分で決められるようになります。何でもママから言われてやるのがイヤなこの時期だからこそ「自分で終わりにする」力を養っていける時期でもあります。
理由を説明して、子どもが納得できるようにする
慌ただしい生活の中で、ママは合理的に物事を進めようと無意識のうちの動いていることも多いです。その中で、子どもの言動は大人の「合理的」なものとは正反対であることもよくあります。
そんな時に、まだ1歳(2歳、3歳)だからわからないだろう、と説明を飛ばしてママのプランだけ伝えても、子どもは「うん」とはなかなか言えません。
どうしてそうする必要があるのか、その理由を子どもの月齢に合わせたわかりやすい言い方で説明をして、子どもが納得した形で我慢をさせるシチュエーションを作りましょう。
子どもも、納得できていることは、子ども自身の中で「~だから、○○まで我慢しよう」というモチベーションがあります。このモチベーションを持って、我慢をして、お約束の時間まで我慢が出来るという成功体験が、子どもの抑制機能を高めていってくれます。
そして我慢が達成できた時にはたくさん褒めてあげることも忘れずに。
出来ないことに対しては、注意をするけれど、出来たことはサラッと流してしまうママも意外とたくさんいます。
子ども自身の中で、「出来た!」と達成感を感じることも大切ですし、それを周りの大人が認めてあげることで、さらに子どもは「認められたい」という承認欲を満たすことも出来ます。
また、下記のページではイヤイヤ期の期間、心理学的成長、子どもへの向き合い方について解説しています。興味のある方は読んでみてくださいね。
https://cocololabo.com/blog1/201212/
まとめ
イヤイヤ期。終わりが来るとわかってはいても、子どものエネルギーに毎日直面するママにとっては、なかなか大変な時期でもあります。イヤイヤ期の現れ方は個人差が大きく、上の子では困らなかったのに、下の子では大変!なんていうママもいます。
上記の対応のポイントを抑え、子どもの成長を促しながら、この「前頭葉成長期」、「自己主張期」を乗り越えていきましょう。