2歳前後からスタートする子供のイヤイヤ期。特にイヤイヤ期癇癪が強い子供の場合、それに対処しようとするパパやママの心が疲弊してしまいやすくなります。イヤイヤ期癇癪は、なぜ起こるのか、どのような種類があり、どう対処したら良いのかを知っておくと、乗り越えやすくなりますよ。今回は、子供のイヤイヤ期癇癪について、癇癪が起こるメカニズムや癇癪の理由、対処法などをご紹介します。
イヤイヤ期癇癪とは?
これまで大人の言うことを素直に聞いていたのに、2歳前後になると、急に反抗的な態度にでるようになる時期をイヤイヤ期と呼び、思うようにいかないことに対して、子供が癇癪を起こすことがあります。イヤイヤ期癇癪を起こすのは、特定の子供に限ったわけではなく、多くの子供に共通してみられる行動のひとつです。
パパやママは、それまでお利口さんだった子供の態度の急変にびっくりすることが少なくありませんが、ごく一般的な成長の兆しですので、必要以上に不安になる必要はありません。
イヤイヤ期癇癪でありがちな子供の行動とは?
乳児期のころに子供が癇癪起こすことがありますが、乳児期とイヤイヤ期とでは、癇癪でも行動の内容が異なります。イヤイヤ期癇癪では、子供が泣きやまなかったり、人や物を叩いたり蹴ったりする、物を投げる、奇声を上げる、床にひっくりかえって泣きわめくなどがよくある行動パターンです。
イヤイヤ期癇癪はなぜ起こる?
癇癪とは、ただ単純に子供が泣きやまないという、ひとつの行動というものではありません。癇癪は、子供にとってそのような行動を引き起こしてしまう不都合な事柄が原因にあります。その不都合な事柄を取り除こうとして起こす行動が癇癪であり、癇癪を起した結果、子供の理想通りに物事が運べば、目標が達成されたことになります。癇癪とは、原因と手段、その目標の達成という一連の行動すべてを合わせて認識する必要があります。
なぜ泣きやまないのか、子供にとってどんな不都合があり、どのような結果を望んでいるのかを理解することで、泣きやませる方法が見えてくることがあります。イヤイヤ期癇癪は、乳児期とは異なり、不都合なことを取り除くために行なっているコミュニケーションの手段です。お利口さんだった子供が癇癪を起こすと、成長が逆戻りしたかのように感じられるかもしれませんが、立派な成長の証なので、安心してくださいね。
イヤイヤ期癇癪の3つの種類
自分にとって不都合な現実を取り除くために子供が起こす癇癪ですが、イヤイヤ期の癇癪は、コミュニケーション手段としての役割があると言えます。一見、すべて同じように見える癇癪ですが、子供の目的によって、注目・要求・拒否の大きく3つの種類に分かれます。それぞれを細かく見ていきましょう。
注目
例えば、以前に癇癪を起こすことで周りの大人が優しく接してくれたなどがあると、かまってほしいときに素直に甘えるのではなく、泣き叫んだり暴れたりすることがあります。抱きしめてほしい、優しくしてほしいなどの理由で起こす癇癪は、「注目」という種類になります。
要求
お菓子やおもちゃを買ってほしいとき、自分でやりたいとき、まだ遊びたいなど、要求があるときにも癇癪を起こしがちです。2歳前後のイヤイヤ期の頃は、言葉の発達が著し時期でもありますが、自分の気持ちを言葉だけで表すことがまだ完全にはできません。そのため、言葉よりも先に感情が行動として現れやすくなり、結果的に癇癪を起こしてしまうことに繋がります。
拒否
おもちゃを貸したくないときや、言われたことを聞き入れたくないなど、嫌な気持ちや受け入れたくない状況を伝えるのが、拒否の癇癪です。納得がいく理由があったり、代替え案に賛成の気持ちが現れると、ぴたっと癇癪が止まることも少なくありません。
イヤイヤ期癇癪への対処法
度々起きる子供のイヤイヤ期癇癪には、大人の心も疲弊してしまいます。イヤイヤ期癇癪で泣き叫ぶ子供を前に、大人が感情的に引きずられてしまうと、大人もイライラしたり心が乱れて、つい大きな声で叱ってしまったりしてしまいがちです。イヤイヤ期癇癪を乗り切るには、対処法を知っておくのがポイント。保育士さんや幼稚園の先生が、子供の癇癪に向き合っている方法をヒントに、家庭での対処法を探ってみましょう。
子供の気持ちを受け止める
イヤイヤ期癇癪は、前述したようにコミュニケーション手段として子供が使っているのがほとんどです。そのため、理由を理解せずに感情的に怒ってしまうのはNG。まずは、子供の不快な感情や自己主張を認めて、受け止めてあげることが大切です。
子供の要求を飲む・飲まないに関わらず、「そうだね」という言葉をカギに、子供の気持ちを受け止めてあげてください。子供の主張が聞き入れられるものでない場合は、「そうだね」のあとに、なぜできないのかという理由を冷静に説明するとOKです。子供の要求を飲めない場合は、代替え案を提案したり、いくつか選択肢を用意して子供に選ばせると子供も納得しやすくなります。
例えば、まだ遊びたくて寝たくないと癇癪を起こすときには、「そうだね。まだ遊びたいよね。でももう夜遅くになってしまったから、明日いつもより少し早起きして楽しく遊ぶのはどうかな?」と気持ちを受け止めつつも、代替え案を提案するようにするのがおすすめです。
脅し・否定・交換条件・命令はNG
いくら代替え案を提案しても、選択肢を用意しても癇癪が収まらないからといって、脅しや否定、交換条件、命令を出すなどは、イヤイヤ期癇癪の対処法としてはNGです。「怒った鬼がやってくるよ」や理由もなく「ダメ」と否定だけをする、「お菓子をあげるから言うことを聞きなさい」などは子供の心を傷付けたり、恐怖心を植え付けたり、ご褒美がもらえると誤認識することに繋がりやすくなります。
どうしても癇癪が収まらない場合は、環境を変えてあげるのがポイント。窓を開けて空気を入れ替えたり、お水を飲ませたり、ほかに興味を持ちそうなもので子供の関心を引くなどがおすすめです。いったん冷静になると、意外にもスムーズに言うことを聞くことも珍しくありません。
注目目的のイヤイヤ期癇癪には毅然とした態度で
イヤイヤ期癇癪の対処法として、一番気を付けたいのが、注目目的で起こす癇癪です。悪いと分かっていながらする癇癪には、大人が過剰に反応をしないのが大切です。必要以上に声かけをしたりかまってしまったりすると、癇癪を起こすと優しくしてもらえると誤認識してしまい、同じことを繰り返してしまうことに繋がりかねません。
注目目的のイヤイヤ期癇癪には、毅然とした態度で接し、冷静に子供の行動が誤っていることを言い聞かせることがポイント。注目目的のイヤイヤ期癇癪は、子供が落ち着けたときに、しっかりと褒めてあげることがとても大切です。癇癪を起こすと優しくしてもらえるというのではなく、癇癪を沈めることで受け入れてもらえるということをしっかりと教えてあげてくださいね。
自分の力で乗り越えられたことを褒められると、子供だけでなく大人でも、自己肯定感が高まりやすくなります。大人になったときに、自信をもって壁にぶち当たって行ける力になりますので、しっかりと褒めて自己肯定感を高めてあげてください。
まとめ
イヤイヤ期癇癪は、突如として起こるものなので、ママやパパはびっくりしてしまいますよね。子供の成長の証ということを頭で理解していても、感情的に引きずられてしまうと、大人の方もストレスが溜まって、心が疲弊してしまいがちになります。
イヤイヤ期癇癪がどういうものなのか、なぜ起こるのか、どのように対処すべきなのかを知っておくだけでも、気持ちに余裕が生まれやすくなります。イヤイヤ期癇癪が起こったときには、心の距離を上手に保って、冷静に対処するように心がけてみてください。
【参照サイト】
発達ナビ「子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめ」