自己肯定感の低いママ達

子どもの自己肯定感を高めたい! そう思って、幼少期から子どもに対しての接し方に気を付けているママはたくさんいます。しかし、ママ自身の自己肯定感について聞いてみると「低い(低め)」というママが多い現実。 こちらの記事では自己肯定感に影響する日本文化の1つについてお伝えします。

日本文化

日本文化 こちらのブログを読んでくださっている方の多くが日本人でしょう。現在の私のクライアントさんの大半は日本人です。日本人である皆さんは、産まれながらに日本文化の影響を受けてきています。 それぞれの文化にはそれぞれの特徴があります。そのひとつひとつが「良い・悪い」ということではありませんが、こちらでは自己肯定感に影響する要素にのみスポットライトをあてますが、何事も「長所短所は裏表」ですので、良い面もあることは忘れないでくださいね。

日本の文化ー謙遜の文化

日本文化の中で、私が一番自己肯定感に影響を与える要素だと思うのは「謙遜」の文化です。 人から褒められた時には「そんなことない」というような返事をすることが多いかと思います。相手の「褒め」をそのまま素直に受け入れないことが美徳とされる文化。 子どもについて褒められた時にも親として誇らしい気持ちを持ちながらも、周りには「全然大したことじゃないんですよ」という態度で接することが多いのではないでしょうか。 また、何か手土産などを渡すときに「つまらない物ですが」と言葉を添えることも多いでしょう。相手に対して負担を軽減する配慮(こんなにしてもらって、申し訳ないと思わせないようにする気を遣った言葉)かもしれませんが、本当につまらないと思ってはいないのに、自分の行動を過小評価した表現を使いますね。

アメリカの文化ー身内を褒める

私がアメリカ生活でとても驚いたことは、みんな家族のことをべた褒めすることです。自慢とは違い、とにかく褒める。「私の夫はすごく優しくて」「賢い子なの」「世界一の母親」そんな言葉を常に聞きます。初めはその身内の褒めっぷりに驚きましたが、もっと驚いたのは自己PRのすごさ。 アメリカで大学院卒業後、就職活動をしたので、いわゆる履歴書や就活のための自己PR文の作成にとても苦労し、学校や友人、仲の良い先生たちも随分お世話になりましたが、アメリカ人の捉え方と表現力は本当に勉強になりました。 例えば、子どもと関わる仕事に就職したくて、ちょっと子守をした経験がアピールポイントとなりそうと思った時、あなたならどう書きますか? 「高校生の頃から親せきの子どもの面倒を見る機会も多く、子どもと関わる難しさと大切さに気付き、将来は子どもと関わる仕事をしていきたいと思っていました。」 「高校生の頃から、ベビーシッターという経験を通して幼児の安全や発達についての知見を増やしてきました。子どもの予期せぬ行動があった時にもいかに安全を確保するのか。あらゆる可能性を考慮し、常に子どもの言動に注目することで子どもの安全を確保し、その中で子ども自身がいかに楽しめるのかということを考えることで創造性も養ってきました。子どもの発達において周りの保育者がいかに関わるかということが子どもの発達に影響することに気づき、将来は子どもの成長を促す仕事につくことが私の使命だと感じていました。」 上の文章を読んだとき、下の文章を読んだとき、おそらく違った印象を受けるのではないでしょうか。「子守」という経験から自分のしてきたことをどう捉え、どう表現するのか。同じ経験をしながらも、その捉え方や表現の仕方が変わってくると、それが自己肯定感に影響しているのです。 自己肯定感は自分を肯定的に捉えること。出来ることは出来た、出来ないこともそれを含めて自分は自分としてそれでOKと捉えられること。 自己肯定感が高くなるためには、まず自分の出来たことを「出来た!」とどれだけ言ってこれたかということも影響しています。 しかし、日本文化においては、自分の出来たことを「出来た!」とアピールすることはあまり好ましいことと捉えられないことも多いです。 そして、親や身内などが子どもの良い所を外に向かって言うということがあまり美徳とされないこの文化においては、「親から褒められる」という経験が圧倒的に少なくなりがちとなってしまうのです。 その観点から、「謙遜が美徳」とする日本文化の中で育ったママたちの自己肯定感が低めになるのは、当然の流れなのかな、と思います。

日本文化で子育てする時に気を付けたいこと

日本文化 上記では「謙遜の文化」について自己肯定感に及ぼす影響について書きました。 それでは、そんな「謙遜が美徳」とする日本文化で子どもを育てる時にどのよなことを気を付けたらいいのでしょうか。

子どもの能力をへりくだって言わない

ママ友や親せきに子どもを褒められた時、 「そんなことないですよ」 「まだまだ…」 「〇〇ちゃんに比べたら」 というように、我が子の「出来た!」や能力を謙遜する発言をしてしまいがちです。 こんな時にこそ 「ありがとうございます。」と褒められた言葉を受け取ってみたり、 「最近、一生懸命練習してたんですよ。」とその過程について伝えてみたり、 まずは褒められた内容を肯定しましょう。 子どもはママの会話をとてもよく聞いています。 ママが他のママから自分のことを褒められているのに「大した事ないんですよ」というような反応をしていると、子どもは「大したことじゃないんだ」と子ども自身の自己評価が下がってしまいます。 そして、子どもとしては「出来た!」と嬉しく思っていたことが、ママからは(ママが直接子どもに言った言葉でなくても)「大したことじゃない」というメッセージを受け取ることで、自分の中の感情とママからの評価の不一致が生じます。 小さい子どもにとって、親というのは絶対的な存在です。子どもの内的体験とママからの評価が異なる場合に、子どもは自分自身を歪めて、ママの言葉を受け入れるように無意識のうちにしてしまいます。 この経験が、子どもの自己肯定感を低めてしまうことに繋がるのです。 まずはママがママ自身や子どものことに関して、必要以上に周りの人に謙遜しない。出来れば子どもの良いことを誰の前ででもきちんと認める態度をとることが、子どもの自己肯定感を高めることになります。

子どもを褒められない理由

そうは言っても、ママ友や親せきにどう思われるのか気になってしまう。 そんなママもいるでしょう。 そんな時には、何がママ自身の子どもを認める態度を取ることを妨げているのかよく考えてみてください。
  • 親ばかだな、と思われる?
  • 本当は大したことないと思われているかと不安?
  • 非常識な人と嫌われてしまう?
理由は一人ひとり違うと思いますが、おそらくほとんどは「ママ自身がどう思われるか、どう見られるか」ということと関連づいているのではないでしょうか。 ママ自身のことも大切ですし、ママ友や親せきとのお付き合いも大切ですが、ママ自身が割り切れることと、子どものために出来ることを考えた上で、どのような行動・態度を取るのか決めていきたいですね。

まとめ

文化というのは、産まれた時からその環境にいると、特に意識をしないことも多いです。だからこそ、ちょっと意識をすることによって、子どもの育て方に大きな影響が出ることもたくさんあります。 自己肯定感が低めだな、と感じたママこそ、これまでの「当たり前」を少し変えてあげるだけで子どもの自己肯定感を高めていってあげることが出来ます。 ぜひ、今日から何か1つでも「これまでとは違う」を取り入れてみてくださいね。
ABOUT US
久保田 由華心の相談室 こころラボ 代表
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。
これまでに9500ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。
その活躍からメディアからの取材や出演多数