オペラント条件付けを解説!子供にベストなタイミングで褒める方法

オペラント条件付け

何かを達成したとき、うまくいったとき、子供を思い切り褒めて伸ばしてあげたいと思いますよね。また、子供が「褒めて欲しい!」とサインを出すこともあります。

ですが、子供を褒める行為は実はとても難しいもの。適切なタイミングで褒めないと子供には伝わりませんし、褒め方次第では大人が納得のいかない受け取り方をしてしまうこともあるのです。

こうした褒めるやり方は、「オペラント条件付け」に学びましょう。褒める心理学とも言われているオペラント条件付けを育児に活かす方法をご紹介します。

「褒める」心理学、オペラント条件付けとは

オペラント条件付け

褒める心理学と言われているオペラント条件付け。一体どんなことを指すのか、まずは詳しく解説します。

オペラント条件付けという心理現象

オペラント条件付けは、みなさんの中で聞きなじみの少ない言葉かもしれませんね。これは行動心理学者のスキナー氏が発見した心理現象であり、子供だけでなくどんな人間にも見られることです。

簡潔に説明すると「自発的に出た行動の直後に何が起こるかによって、その行動が繰り返されるかどうかを決める」のがオペラント条件付けです。例えば…

  • ある行動の直後に良いことが起きた。ならばその行動を繰り返そう
  • ある行動の直後に悪いことが起きた。ならばその行動は避けよう

これがオペラント条件付けです。

特にオペラント条件付けは上記のうち一例目の直後に起こる「良いこと」が強化因子として考えられ、行動が繰り返される頻度が変わることを重視しています。

子育てに見られるオペラント条件付け

子育てにもオペラント条件付けはよく見られます。

  • 嫌いなピーマンを食べたらママが褒めてくれた!次も食べて褒めてもらおう
  • お片付けをしたのにママは知らんぷり。もうお片付けは自分からしないでおこう
  • お絵描きをしたらパパがとっても喜んでくれた。またお絵描きしようかな
  • 弟を叩いたら言うことを聞いた。次も叩いて言うことを聞かせよう

子供の行動が繰り返される「良いこと」には、親から褒められたりご褒美があったりすることが大きく影響します。また、「○○をしたら叱られた」というのも条件付けに入るもので、子供のしつけをする場合にもオペラント条件付けは現れています。

また、例に挙げた2番目の「良いことをしたのに、思った結果が得られなかった」点にも注目しておきたいですね。オペラント条件付けを知ると、育児中にどのタイミングでどのように褒めればよいのか、しつけをするとよいのかが分かってきます。

オペラント条件付けから学ぶ、正しい褒め方

オペラント条件付け

先ほども軽く触れましたが、オペラント条件付けを知ると正しい褒め方がわかるようになります。難しいとされる「子供の褒め方」を褒めの心理学であるオペラント条件付けから学んでみましょう。

達成したご褒美は「言葉」にする

オペラント条件付けだと「良いこと」が起これば行動は繰り返される。なら、子供が良いことをしたらどんどんご褒美を与えて、良い行動を繰り返してもらおう!そう思う方も少なくないでしょう。

ですが、このご褒美には注意が必要です。

この記事でもご紹介しましたが、褒め方次第では子供を受け身の人間にしてしまい、それ以上の成長が望めないことも。特に避けたいのは、オペラント条件付けに使われた「褒める手段」がおもちゃなどのご褒美である場合です。

何かを達成したときに褒めるのは確かに大切ですが、そのご褒美を物にするといつか限界がやってきます。「この前おやつを買ってもらったから、次はおやつじゃないものがいい」と子供もご褒美を選ぶかもしれません。その点達成したご褒美がママからの「すごいよ!」「ママも嬉しい」「偉いね!」という言葉なら、ずっと充足感を得られることができるのです。

褒めるときは「過程」と「努力」に対してアプローチを

行動すると良いこと(褒めてもらえた)が起きた。だから行動を繰り返そう。このオペラント条件付けには弊害もあります。例えば

  • 絵を描いたら「ここが上手!」と褒められた。でも、次も同じものは描けないかもしれない。褒められないから描くのをやめよう
  • テストで100点をとったら褒められた。でも、80点は褒められなかった。勉強が楽しくないな

褒めた結果が子供の価値観を左右してしまうのは、褒める弊害とも言えるでしょう。このとき、「結果」だけを見て褒めているためにこのような現象が起こってしまうのです。

絵を描いたことを褒めるのなら、「たくさん絵を描いてすごい!」「お絵描きに挑戦できてすごい!」と過程や努力にアプローチするようにしましょう。テストでは何点を取っても構いません。テストに向けて頑張って勉強したことや、毎日の宿題に対して褒めると、子供も次のチャレンジにつながります。

他人と比較して褒めることは決してしない

褒め方にも注意すべき点があって、他人と比較して褒めるのは決してやってはならないことです。

  • お兄ちゃんが〇歳のときよりも頭がいいね
  • ・○○ちゃんよりもできていたね

こうした比較で褒めると、目的が「周りよりも優れていれば良い」に代わってしまい自分を高めることをやめてしまいます。また、比較対象にされたきょうだいやお友達を自分より下に、バカにしてしまうデメリットも。

他人と比較して褒めるのは絶対にせず、比べるのは過去の自分だけにしましょう。「3日前よりもたくさんできているね。毎日頑張ったからできたんだね」と過程と一緒に褒めるようにすると、やってきた成果が分かりやすく子供のやる気も引き出し、モチベーションを保つことも簡単です。

オペラント条件付けから見る褒めるときのベストタイミング

ママ 自己肯定感

これまでもご紹介したように、褒めるときには適したタイミングがあります。オペラント条件付けはどのくらいの時間が有効なのか、最後に褒めるタイミングという視点から褒めの心理学を考えてみましょう。

60秒以内に褒める

「子供が良いことをした。褒めよう」と思ったら、1分以内にすぐ気づけるようにしましょう。そうでないと例に出したように、

お片付けしたのにママが気付いてくれなかった。もうお片付けしない

と悪い条件へと変わってしまいます。

ただし、気付いたら子供に伝えるのは良いことに違いありません。「お片付けしていたんだな」と思ったら「お片付けしてくれたんだね。ありがとう」と声掛けしてあげましょう。

とはいえ、この褒め方だと「褒められたからまたやってみよう」という行動の繰り返し効果が薄いのは確かです。行動と褒められるという「ご褒美」はなるべく短い時間内でセットにされることで、その「ご褒美」としての価値も強くなります。とは言え、忙しいママは子どものことばかりをずっと見ているわけでもありません。まずは目標として1分以内に」とするとよいかもしれませんね。

理想は1秒以内!すぐに褒めてみよう

究極の理想は、すぐに褒めることです。このオペラント条件付けの発見により、「いつ褒めたら行動の繰り返しが見られるのか」は秒単位で研究されてきました。5秒後、10秒後、15秒後と数秒でも遅くなると、その分褒める効果は薄れていくことが分かっています。

特に子供は好奇心旺盛で、興味の移り変わりも早いもの。子供が「褒められた!」と自覚しやすいように、もったいぶらずにすぐに褒めるのが理想的です。子供の行動直後にママが目ざとく気づき褒めることで、子供は自分の行動に自信が付きます。「褒められたからまた挑戦してみよう」と好循環が生まれ、オペラント条件付けを有効活用できるのです。

まとめ

オペラント条件付けという現象、聞きなれない言葉かもしれませんが実は育児においてとても重要な心理現象です。ママに限らず日本人は「褒めるのがうまくない」と言われているので、褒めることで得られる効果を正しく理解するようにしましょう。

褒め上手になると、子供にとってもメリットが大きくさまざまなことに挑戦する心をはぐくめます!育児がより楽になるように、褒める心理学を味方につけてみましょう。

【参考】

ほめるべき? 叱るべき? ー子どもの発達・成長を支えるために|じんぶん堂

オペラント条件づけで考えるNGな子育て | 東京都新宿区四谷ニューロフィードバックとQEEG専門施設

オペラント条件付けとは? 子どもを上手くほめるタイミング例 [子育て] All About

子どもはほめられると進んでお手伝いをするようになるってホント?〜オペラント条件付け〜 | 日めくり子育てひろば

子供の褒め方! 子供のためにならないNG例5つ [子育て] All About

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。