上の子が可愛くない!そんな時にはどうする?

子供が増えると、楽しさや嬉しい出来事も増えますが、その一方で二人目、三人目の赤ちゃんが産まれてから、 上の子へのネガティブな感情に悩まされるママがたくさんいます。

こちらの記事では、公認心理師YUKAがなぜ多くのママがこの悩みを抱えるのかという脳科学的背景や、上の子にネガティブな感情が生じた時の対処法についてお伝えします。

上の子へのネガティブな感情

「下の子が生まれたら(もしくは下の子を妊娠してから)上の子が可愛く感じられなくなった。」 というご相談を受けることがしばしばあります。  こういった悩みを多くのママが抱えるのには、どういった背景があるのでしょうか。妊娠が分かった時からのママの気持ちや身体の変化を見てみましょう。

妊娠初期のママ

一人目の子どもがお腹に宿ったとき、そのことを知った時にあなたはどういう感情をいただいたでしょうか。予定をしていなかった人は、戸惑ったり母親になることへの不安を感じることもあったかもしれませんが、嬉しくて嬉しくて、楽しみだったお酒もすぐにやめて食事に気を付けて、体に気を付けてその妊娠期間を過ごしたママもたくさんいたでしょう。

つわりや妊娠中の身体の不調

悪阻や妊娠からくる体の不調で、気持ちがネガティブになったり、不安が強くなることもあったかおもしれません。人間、身体の不調があると、気持ちもネガティブになりがち。とくに初めてのことに対して、人間は不安感を感じやすいもの。 これからどうなるの?本当に、この痛みや辛さはいつか治まるの?赤ちゃんは元気に育っている? 様々な不安が頭をよぎることもあるでしょう。この期間は一人目の妊娠であれば、自分の体調を最優先にゆっくり過ごすことで、辛い時期を乗り越えていくことが出来ます。

赤ちゃんとの対面

様々な妊娠期間を経て、待ちに待った赤ちゃんとの対面の日。 陣痛からくるママ 破水からくるママ 入院して準備に入るママ みんな、それぞれの「お産」があります。

赤ちゃんの顔を見たとき、産声を聞いたとき、壮絶な痛みが何時間もあったけれど 無事に生まれてきてくれた喜びと安堵、無事に生まれてきてくれてありがとう、元気に育ってくれればそれでいいそんな風に存在自体を大切に思う、「無条件の愛情」ということを初めて知るかもしれません。

「上の子」に対する気持ちの変化

子供が生まれた時には、ただただ元気に育って欲しい、いてくれるだけでいい、という「無条件の愛」を感じていたはずなのに、下の子の妊娠や出産、育児の開始などとともに、気づいたら上の子に対して「可愛くない」なんて思ってしまっている。 上の子に対して何かとイライラする一方で、上の子に対してネガティブな感情を抱いている、そんな自分に自己嫌悪。

そんな思いをなかなか夫にでさえも打ち明けられずに、人知れずイライラと罪悪感自己否定の気持ちに悩まされているママは実はたくさんいるのです。

上の子にネガティブな感情が生じる理由

下の子が出来てから、上の子に対してネガティブな感情が生じてしまう、それも実は仕方のないことなんです。妊娠するとママの脳にはオキシトシンというホルモンが増えて 「赤ちゃんを守らなくては」と勝手に脳が赤ちゃんを守ることを優先させるのです。

脳の指令はママの意思ではどうしようもないのです。ですから「今までのように上の子が可愛くない」と思ってしまうことに 罪悪感や自己嫌悪を感じなくてもいいのです。

自分ではコントロールの出来ない感情ということがわかれば、ママ自身の中に生じる罪悪感が小さくなり、この状態で出来ることに前向きに取り組めそうですね。

上の子にネガティブ感情が強い時に試したいこと

脳内に分泌されるホルモンの影響で、上の子に対してネガティブな感情が生じてしまうことが仕方のないことだということはわかりましたが、それではそんな感情が生じた時にはどのようなことでママの感情や上の子との関係を良い方向にもっていってあげることが出来るのでしょうか。こちらでは、そんな時に取り入れたい活動についてお伝えします。

上の子とママの「二人時間」

オキシトシンというホルモンのお話をしましたが、このホルモンの影響は、乳児に対してだけあるわけではありません。 上の子と個別に接することで 上の子に対しての効果も期待できます。たまには下の子をパパに預けて おばあちゃんに預けて上の子だけとの時間を作ってみてください。下の子を気にすることなく向き合う時間を作ることで、改めて上の子の良さや 愛おしさを感じることが出来ます。

上のお子さんも、普段ママに甘えられない分 存分に甘えて愛情を独占することで満たされます。子どもは心が満たされると、外に向かって行動を広げることが出来ます。下の子がいるとどうしてもそちらに手がかかってしまいますが、上の子の心が満たされているとこういったと時に ママから離れて活動ができるようになります。

下の子のお昼寝時間に、上の子としたい遊び

下の子を預けるのが難しい場合、下の子がお昼寝をしている間など ちょっとした時間でも構いません。 次のような遊びを積極的に取り入れてみましょう。

  • 絵本を読む
  • 折り紙を一緒にする
  • 上の子のごっこ遊びに参加する

このように、ちょっとだけでもママと上の子だけで関わる時間を確保してください。

下の子が寝ている間に家事をしたい、などやりたいことはあるかもしれません。でも、何が今一番重きをきたいのか、遠回りに見えても本当に今必要なことは何か、それを考えて優先順位を決めましょう。

時間は作るもの

子育てママにとって「暇な時間」というものはなかなかやってきません。ママが何かをしたい、と思ったならば、積極的にその時間を作り出さないとその時間は5年10年とやってこないでしょう。 「いつか」 「時間のゆとりが出来たら」 「後で」   というのは忙しいママにはやってきません。

上の子との時間を、意識して意図的に作ってください

上の子に対しての自分の態度に後悔した日は

また二人が寝静まったときに「上の子にきつく接してしまって、ごめんね」という思うようなときそんな時にはお産の日のことを思い出してみてください。無事に生まれてきてくれた感動を、ただ元気に育ってくれればいいと思ったあの日、アルバムをめくりながらそんな日々を思い出してみてください。 そして次の朝からまずはポジティブな声掛けをしましょう。

人間の感情は言動から大きな影響を受けます。嫌だな、イライラするな、となる前にママ自らポジティブな空気を作ります。上の子の長所を、口に出して褒めてみましょう。当たり前のことでも、お兄ちゃん、お姉ちゃんとして頑張っている上の子の行動を認めてあげましょう。 「一人でお着替え、頑張ってるね」そんな風に認めてもらえることで、上の子自身ももっとママに褒められたい!と気持ちも前向きになります。ママ自身も、ポジティブな言葉に囲まれることで、気持ちが良い状態でいやすくなります。

上の子が可愛くないと感じてしまう、いわゆる「上の子可愛くない症候群」については以下の記事もぜひお読みくださいね。

いつまで続く?「上の子かわいくない症候群」を解決する方法

上の子にイライラしてしまう…。「上の子かわいくない症候群」とは?

二人目妊娠・出産で上の子ストレスに。二人育児の乗り越え方

まとめ

2人(以上の)育児というのは、体力的にも、ママにとっては大変なことです。家族が増えるというのは、楽しいことばかりではなく、その分苦労が増えることもあります。その上、ホルモンの影響でママが精神的に不安定になりやすかったり、攻撃性が増すこともあるのです。 そんな時にこそ、上の子にも、下の子にも、パパにもポジティブな声掛けをるすことで ママのポジティブなマインドが作られます。今日からママが自分でポジティブ環境 作っていきましょうね!

ABOUT US
久保田 由華心の相談室 こころラボ 代表
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。
これまでに9500ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。
その活躍からメディアからの取材や出演多数