下の子かわいい!でも上の子は?きょうだい育児の乗り越え方

家族が増えると始まるきょうだい育児。子供が二人に増えると、これまで一人の子供と向き合ってきたママは「二人同時に」「平等に」と接し方を変える必要があります。

すると、「下の子はかわいいのに、上の子がかわいいと思えない」などそれぞれの子供との関係性の違いに悩むことも。今回は、「下の子はかわいいのに上の子をかわいいと思えない」「上の子にイライラしてしまう」と悩むママに向けて、

  • 上の子がかわいいと思えない原因
  • きょうだい育児を乗り越える方法

をご紹介します。

下の子はかわいいのに…。上の子がかわいくないのはなぜ?

2人育児

下の子が生まれて始まるきょうだい育児。きょうだいを育てるママの中には、「下の子はかわいいのに、上の子はそう思えない。なぜだろう?」と悩む方がいます。まずはその原因を一緒に考えてみましょう。

下の子はまだしゃべらず“赤ちゃん”だから

下の子が生まれたばかりだと、言葉を理解した上の子よりも下の子が純粋に見え、口答えなどをしないことから「下の子がかわいい」という思いが強くなることがあります。一方で、赤ちゃんから成長した上の子は乳児と比べると「かわいい」だけでは済まされないことも。

上の子は下の子よりも年齢が高い分、「言わなくても分かるでしょう」と大人がつい期待してしまうことで、上の子にイライラすることもあるのです。

また、下の子が生まれたばかりのころは上の子が環境の変化に対応しきれず、ぐずったりわがままになったりと「赤ちゃん返り」が見られることがあります。この赤ちゃん返りで上の子育児が大変になります。これまで出来ていたことが出来なくなったり、ただでさえ下の子のお世話で忙しい時に「構って欲しい」という上の子の態度を鬱陶しく感じてしまい、そんな上の子と比較して「下の子がかわいい」という思う気持ちが加速するかもしれません。

上の子で育児に慣れているので余裕があるから

下の子が生まれると、睡眠は細切れに。昼夜問わず乳児と向き合う育児が始まります。しかし、上の子が自分にとって初めての子供だった場合、下の子は「二人目」ということもあり余裕が出てくるママがほとんどです。初めての育児では分からないことでも、二度目なら経験があるため気持ちにゆとりもあり、何かあった時でも慌てず対応することができますよね。

その結果、「上の子のときには眠れなかったけれど、下の子は手がかからず楽」と感じるために下の子のかわいさが加速するケースもあります。

きょうだい育児のストレスが上の子に向かうことも

一人からきょうだいに増えた育児は、想像するよりも大変なものかもしれません。上の子を見ながら小さな下の子を見ていると、ママは知らないうちにストレスや疲労をためていることも。

子供が生まれて数カ月までは、なかなか夜の睡眠をまとめてしっかりと取ることも出来ません。一人目の育児の時は、赤ちゃんと一緒に昼寝をすることで、夜に足りない睡眠を日中に確保することが出来ていました。しかし、二人目以降の育児となると、夜は赤ちゃんのお世話や夜泣きに付き合い、日中は上の子供を遊ばせるために外出しなければならなかったり、と睡眠不足の中でも活動が増え、ママにとって体力的にとても大変になります。

下の子がまだ意思疎通できないうちは、やりとりができる上の子にそのストレスが向きがちです。上の子をかわいいと思えない、と悩むママは、今一度自分の休憩できる時間が持てているか自分の体力、体調、休息時間などのバランスを見直すとよいかもしれません。

下の子かわいい!これって大丈夫?きょうだい育児の乗り越え方

下の子が可愛いママ

では「下の子がかわいい」と思う気持ちは抑えなくてはならないのでしょうか。ここからはどう気持ちを持って行くのか、きょうだい育児の乗り越え方をご紹介します。

「下の子かわいい」と思う気持ちを肯定してあげる

下の子がかわいいと思うあまり、上の子をないがしろにしてしまう。そう思うママは「下の子をかわいいと思ってはいけないのではないか」と考えがちです。ただ、ママ自身も分かっているように子供は上の子も下の子も大切な自分の子供ですよね。

下の子をかわいいと思う気持ちを否定するべきではありません。先ほどご紹介したように、さまざまな条件や環境が重なって子供たちへの愛情に差が出てしまうときはあります。
まずは、「下の子がかわいい」と思う気持ちを持つ自分も認めてあげて、自分を肯定してあげましょう。

大変な育児に毎日向き合う中で、母親であれ子供に対して様々な感情がうまれることもあるでしょう。その感情がポジティブなものであれば良いですが、ネガティブなものだった時、そんな感情を持つ自分はダメな母親だ、と思ってしまうこともあるかもしれません。ですが、ネガティブな感情が生じるのは、それだけ一生懸命に頑張っているからなのです。

まずは、毎日頑張っている自分をきちんと認めてあげ、そして一人で抱え込まないために何が出来るのか、対策を少しずつ考えてあげたいですね。

こちらの記事も参考にしてみてください。▼

ママの自己肯定感を高めるのはなぜ大切なの?【公認心理師】が解説

上の子が小さいときの写真を見返す

どうしても上の子をかわいいと思えないとき、上の子が小さい頃の写真を見返してみてはいかがでしょうか。今、きょうだい育児で悩むママは「どうしよう」と不安に思うかもしれませんが、上の子が小さいときの写真を見ると分かるようにすでに“上の子育児を乗り切った”のです。

「上の子も育てられたから大丈夫」と自分を励ますのもよいですし、「上の子もこんなにかわいいときがあった」「上の子も十分かわいい」と写真を見て思うところがあるはず。無理に自分の気持ちを変える必要はありませんが、上の子との関係性に悩んだとき、過去を振り返ってみるのは大切です。

それぞれと二人きりの時間を持つ

きょうだいを同時に育児していると、当然時間にも労力にも余裕がなく、悪いコンディションで子供と向き合う機会が多くなります。その上、育児には正解がなく何が起こるかは予想できません

ただ、そんな忙しい思いを経験したからこそ、きょうだいそれぞれと二人きりになると新しい発見があるものです。下の子を二人きりで思い切りかわいがることができたら、「上の子に会いたくなった」と思えるかもしれません。また、上の子との向き合い方に難しさを感じていたのに、いざ二人きりになるとかわいく思えることもあるでしょう。

育児に悩むからこそ子供と向き合う時間は大切ではありますが、上の子をかわいく思えなかったり余裕なく辛く当たってしまいそうだったりするなら、上の子と距離を取るのもひとつの手段です。育児疲れから心無いことを子供にぶつけてしまう前に、ママ自身子供との向き合い方を考え直してみましょう。

きょうだいはパパに預けたり、保育施設を利用したりして子供と一対一になれる場を作るのがおすすめです。

下の子・上の子それぞれの個性を大切に

違う個性を持つ兄弟

これまで「下の子がかわいいけれど上の子はそうではない」という悩みの対処法をご紹介しました。もちろんきょうだいに平等に愛情を向けられたらそれが一番ではありますが、タイミングや環境、ママ自身の余裕からきょうだいへの愛情を完全に平等にするのは、限りなく不可能に近いです。

子供は性格もしぐさもその子それぞれ。子供の個性を大切にして、向き合うとよいでしょう。決して「下の子がかわいいと思うなんてダメなママだ」と自分を否定するべきではありません。

性格の相性でも「かわいい」と思う気持ちは変わる

きょうだいを育てるママならわかりますが、いくらきょうだいでも、例えば双子だとしても、一人ひとり子供の性格は異なります。また、子供に個性があるようにママにだってもちろん個性はありますよね。

このママとの性格の相性でも、かわいいと思う気持ちは変わります。ですが、どちらも大切な子供でありどちらのことも嫌っていないのは事実であるはずです。

きょうだいを平等に好きになれないと悩んだら「相性の良しあしがあるのかもしれない」と思い直してみるのもよいでしょう。

「上の子がかわいくない」もいずれは終わる

また、上の子がかわいくないと思うことに罪悪感を抱くママは多いですが、この上の子がかわいくない状況も長くは続きません。子供はいずれ成長し、そしてママ自身もきょうだい育児に慣れてくるため、適切な親子関係や距離感の取り方を学べるからです。

すると、次は下の子がかわいくない時期に入るかもしれません。そのとき、上の子がかわいくないと悩んだママは「あのときも乗り切れたのだから」と自分の経験が自信に変わるはずです。今悩みのさなかにいる方は、「いずれ終わることだから」と自分を励ましてあげてください。

まとめ

下の子がかわいいと思うあまり、上の子への気持ちの在り方を悩むママは多いもの。ですが、子供それぞれの性格やママとの相性、成長具合などで親子関係は変わるものです。今下の子がかわいいと思う気持ちは否定せず大切にして、上の子との向き合い方も自分なりに考えてみましょう。

きょうだいの愛情差に悩む時期は、ずっと続くものではありません。悩みは尽きないかもしれませんが、子供が成長するとともにママ自身も成長できるので、今できる精一杯の工夫できょうだい育児を乗り切りましょう。

 

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。