持って生まれた気質とは?子どもの個性を生かした子育てをするために

自己認知 メタ認知
  • 「遊園地に連れていったら子どもは喜ぶと思ったのに、つまらなさそうでお出かけがうまくいかなかった」
  • 「なんでこの子は私にとっての問題行動ばかり起こすのだろう?」
  • 「どこに行っても人見知りばかり…」

子育て中に感じるこんなお悩み、ママがどんなに手を尽くしても子どもが変わらないこともありますよね。この育児の「にらめっこ」には、子どもとママの持って生まれた気質が関係しています。

今回は「子どもの個性を生かした子育て」の“個性”って何?という点を、詳しく解説します。

持って生まれた気質によって起こる育児の悩みごと

卒乳

ママにとってあるあるの悩みとは、実は持って生まれた気質が原因である場合が多いです。

持って生まれた気質とは、「個性」です。生まれつきの性質であり、本人や周囲が手を尽くしてもなかなか変えることはできません。

まずは持って生まれた気質をより具体的に理解するために、気質によって起こる育児の悩みごとをご紹介します。

夜寝ない、癇癪が激しい

なかなか夜に寝てくれなかったりお昼寝の時間が安定しなかったり。寝る子は育つとも言われているので、ママとしては子どもの睡眠時間確保に一生けん命になりますよね。

癇癪が激しい、気性が安定しないのも、もしかすると持って生まれた気質が理由かもしれません。生まれつき寝ることが苦手な子や、すぐにご機嫌が悪くなる子もいます。

ママと意見が合わない、我が子が何を考えているか分からない

「ずっと一緒に暮らしている我が子だから、ママの気持ちは分かってくれる」と親子の相互理解を当たり前と受け止めていませんか?しかし、子どもにはそれぞれ持って生まれた気質があり、ママにも持って生まれた気質はあるので、例え我が子でも意見が合わない部分や分かり合えないことは当然出てきます。

子どもが何を考えているのか分からないというのは、「子どもをしっかり見ていないから」「育て方の問題」ではなく、ママも子どもも簡単には直せない部分をどうにかしようとして、理解し合えていないのかもしれません。

登園・通学しぶり

周りの子は気楽に登園できているのに、我が子はいつまでたっても登園しぶりばかり。ずっと問題なく通えていたのに、ある期間から学校を嫌がるようになった。子どもの持って生まれた気質とは複雑な心境が隠れており、登園・登校ができなくなる子も当然います。

無理やり「学校に行きなさい!」と登校を強制させても、それは子どもの持って生まれた気質を無視する行動です。ママがどんなに言葉を尽くしても叱ったとしても、そう効果はないかもしれません。

子どもの「持って生まれた気質」とは?

虐待したくない

持って生まれた気質とは、具体的にどんなことを指すのでしょうか。ここからはいろいろな心理学者や精神科医が研究した気質の提唱内容について、ご紹介していきます。

トーマスの9つの気質

トーマスとはアメリカの心理学者・精神科医です。心理学、特に教育に関する心理学で重要視されるのが「トーマスの9つの気質」です。

これは子どもの生まれ持った気質を9つのグループに分けたもので、

  1. 活動の活発さ
  2. 注意の逸れやすさ
  3. 粘り強さ
  4. 新環境への反応
  5. 規則正しさ
  6. 変化に対する順応
  7. 五感
  8. 喜怒哀楽の度合い
  9. 基礎的な気質

個性とは、この9つの分類が複雑に絡み合ってできていると言われています。当ブログでもトーマスの9つの気質について詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

幼児期特有の気質とは

幼児期特有の気質という分類も、よく見られるものです。これは乳幼児から3歳までの行動は7割が持って生まれた気質の影響を多分に受けるという前提からできており、3つのタイプとその3つが混合されたタイプに分けられると言われています。

手のかかるタイプ

一つ目は手のかかるタイプ。全体のおよそ10%が扱いが難しい気質を持つと言われています。特徴としては、

  • 癇癪を起こしやすい
  • 反発をしやすい
  • 寝食のスケジュールなどが確立しにくい

のがこのタイプです。

手のかからないタイプ

手のかからないタイプとは、手のかかるタイプとは逆の存在です。多くの子がこのタイプに分類され、全体ではおよそ40%ほどと言われています。

  • 親の言うことをよく聞いてくれる
  • 規則的な行動に早く慣れる
  • 人見知りや場所見知りがさほどひどくない

登園しぶりで悩むのは「周りの子と比べてうちの子は手がかかる…」という比較かもしれませんが、手のかからない気質の子は全体の半数近くもいるとされており周りの子は一般的だと分かると納得できるかもしれませんね。

順応が遅いタイプ

新しい物事に取り組むスピードが遅くて、内気な子と判断されるタイプです。全体のおよそ15%がこのタイプに当てはまります。

混合タイプ

ここまでタイプを見てみると「うちの子はどれも当てはまらない」と思うママもいるかもしれません。混合タイプとは、ある場面では手のかかるタイプだけど、この場面では手のかからないタイプであったり、普段は手のかからない子だけど内気な部分があるといったりしたタイプが絡み合ったものです。

子ども全体の約35%がこのタイプと言われています。

Doingタイプ、Beingタイプ

次はDoingタイプとBeingタイプです。持って生まれた気質を大きく2種類に分けたもので、

  • Doingタイプ…行動に起こすことで感情を満たすタイプ
  • Beingタイプ…何もしなくても感情を満たせるタイプ

こういった特徴を指します。

子どもがどちらのタイプかを見極めることで、ママの育児アプローチを子どもに合わせたものにできるでしょう。

持って生まれた気質は変えられないが行動は変えられる

オペラント条件付け

さて、持って生まれた気質というものがあると知ると、ママとしては「だからあの声掛けがうまくいかなかったんだ」「手がかかると思っていたのはこれが原因なんだ」とさまざまな発見があるかもしれません。

子育ての悩みのほとんどは、親子の理解がすれ違っていることです。育児はしばしば簡単には直らない生まれ持った気質を覆そうとして足踏みすることがあり、これを見直すだけで悩みが解消されることもあります。

気質とは「生まれつきの個性」

気質とは生まれつきの個性です。例えば気質的に外で元気に遊ぶことを苦手とする子に対し、「1週間予定を詰め込んで、習い事もお勉強もしっかりさせたい!」と大人が働きかけても思ったような効果が見られません。ママとしては手を尽くしているのにどうして、と悩むことになるのです。

大切なのは、子どもの個性をしっかり見つめて向き合うこと。個性とは誰かとまったく同じではなく、ママと重なるものでもありません。また、気質を考えながらアプローチの仕方を変えると今までよりもずっとママの声が子どもに届きやすいです。

周囲の影響が子どもの行動を変える

気質は生まれ持ったものであり、簡単には変えられないとお伝えしました。子どもの気質は変えられませんが行動は変えることができます

外が苦手な子に対して、「それでも運動して欲しいな」と思ったら「みんなで遊ぶのが苦手なのか」「外の気温や風が苦手なのか」「スポーツが苦手なのか」と細かく気質を理解してみましょう。ここで子どもの苦手を避けて外遊びができれば、子どもは苦手意識を持たず外遊びに自信ができるかもしれません。

このような周囲の影響が、子どもの行動を変えます。個性を無視する子育てではなく、個性を理解し合わせた子育てを心がけましょう。

まとめ

持って生まれた気質、子どもの個性とは「ママとは違うもの」「その子それぞれで異なるもの」「簡単には変えられないもの」です。子どもの個性を生かした子育てというのは一見難しく思えますが、子どもの本質を見つめ直せば、普段一緒に暮らすママならわかるはずです。

この記事でご紹介した持って生まれた気質も参考に、我が子はどんな子なのかを今一度考えてみましょう。

【参考】

我が子はどのタイプ? 個性がわかる「9つの気質」の組み合わせから、子どもを伸ばす方法が見えてくる!

DoingタイプかBeingタイプか、子どもの気になる性格とどう向き合う? – 育児情報誌 miku(ミク)

あなたの子どもはどんな気質?気質は変えられるの? – 子育て&教育ひと言コラム – 伸芽’Sクラブ – 受験対応型託児所 –

なぜあなたの話はかみ合わないのか?人が生まれ持つ気質「理論型」「感覚型」「行動型」3タイプを理解すれば人間関係はうまくいく(婦人公論.jp) – Yahoo!ニュース

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。