なんとなく赤ちゃんから子どもになったとき、「自我が芽生えたのかな?」「自分の主張が始まったみたい」とママが成長を感じることがありますよね。
これは子どもの自己認知が始まり、「自分」という存在に気付いた可能性が高いです。
今回はそんな子どもの自己認知とは一体何か、自己認知が始まり「わたし」という存在を子どもが認識し始めた場合の接し方や向き合い方をご紹介します。
そもそも「自己認知」とは?
そもそも自己認知とは、言葉の通り「自分を認知すること」を言います。少し難しい言葉で馴染みのない方も多いですよね。かみ砕いて、分かりやすく解説します。
自分が自分であることを認識すること
自己認知とは「自分が自分であることを認識する」という意味を持ちます。自分のことだから何でも分かっているんじゃないの?と思われがちですが、自己認知とは無意識下で行われる自分の認識以上に、自分の長所や短所、考え方の癖やどういう思考経路をたどるのかという部分まで深く知る意味合いで使われます。
よくビジネスシーンでは「自己認知力を高める」などと言われていますが、この自己認知力とは自分を深く知り、自分がどのような社会的役割に長けているかなどを知る力を指します。自己認知力があると高いパフォーマンスを仕事上で発揮でき、社会的に優れた働きができるとも言われているようです。
今回ご紹介する子どもの自己認知とは、そうではなく「自分を意識する」という初期段階のお話。子どもの自己認知とは「鏡に映る誰かが自分であり、身体は自由に自分の意思で動かせる」ことに気付くのが自己認知の発達と言えるでしょう。
自己の芽生えとは?
自己認知と同じ意味合いで使われるのが、「自己の芽生え」や「自我の芽生え」です。特に2歳ごろの子どもは自我が芽生えて育児が大変!とよく言われていますよね。
この自己の芽生えは自己認知の過程の一つであり、「自分の意見」「自分の考え」を子どもが持つようになることを言います。わがままや自己主張と言われてママを困らせるイメージが強いのですが、子どもが自分の主張や考え、アイデンティティ(自己)を確立しているという大切な成長の一歩。確かにこれまでと子どもとの向き合い方を変える必要があり、イヤイヤ期も重なって育児で苦労することは増えますが、ママを含める周りの大人は適切に向き合う必要があります。
イヤイヤ期、自己の芽生えについてはこちらの記事もチェック▼
子どもの自己認知は何歳から?
では、子どもの自己認知とは何歳から始まるのでしょうか。また自己認知がどのように発達し、子どもの中でどんな考えが芽生えているのかも一緒にチェックしていきましょう。
1歳半~2歳ごろ
個人差が大きいのですが、子どもが「自分」を認識するいわゆる自己認知が始まるのは、1歳半~2歳ごろと言われています。
生まれたばかりの赤ちゃんはまだ視力も未発達で、ママの存在もぼんやりとしか認識していません。そのうち視界が広くなり、「おっぱいをくれるのはママ」「遊んでくれるのはパパ」「今動いているのは自分の手」と認知を増やしていきます。赤ちゃんが自分の手を見つけて遊んでいたり、声を出して遊んでいたりすることもありますが、これは自己認知を育てている最中だと言えるでしょう。
生後6か月ごろには、鏡に映った自分に反応する、声を出すという仕草が見られる子もいます。こうして自己認知力を育てていき、1歳半~2歳ごろには多くの子の自己認知が始まります。
2歳を過ぎると自分の名前を言えることも
2歳を過ぎると、子どもはおしゃべりが上手になりますよね。最初は「ママ」「パパ」といった単語だけのおしゃべりかもしれませんが、二語文や三語文と言葉が増えていくと「○○ちゃんは」と自分のことを呼ぶようになります。このとき、僕や私といった一人称を使うことは少なく、ママやパパが普段呼びかけている名前や愛称で自分を認識する場合が多いです。
私、僕と言わなくても、このとき子どもの中では自己認知が始まっています。お名前を言えるようになったり、お名前に「はーい」と返事ができるようになったりするのも目安のひとつです。あくまで目安ではありますが、2歳ごろには子どもは「自分を自分で認識する」ことができると覚えておきましょう。
自己認知は成長とともに変わっていく
自己認知はどのように発達していくのかというと、
- 自分が分かる→家族が分かる→お友達が分かる→社会的役割が分かる
こういった成長を遂げます。
まずはいつも一緒に暮らすママ、パパ、きょうだいを認識できます。自分とママは違う、自分ときょうだいは別の人、と次第に認識していくようになるでしょう。次に、集団生活を始めることでお友達とのかかわりも覚えていきます。2~3歳ごろの子どもはまだ一人遊びが中心で、4歳を過ぎるとお友達と協力して遊んだりルールや決まりを守りながら遊ぶようになると言います。ここで、お友達の中の自分、お友達と自分は違うという自己認知に成長します。
さらに大きくなると社会的な役割を含めた自己認知へと発展していきますが、これはかなり先の話。後ほど詳しく説明しますが、小学校高学年や9歳という区切りで「周囲から見た自分」を認知するようになります。
9歳の子どもには何が起こる?9歳の壁を解説した記事はこちら▼
子どもの自己認知力を高めるには?
自己認知力について立ち戻って考えると、ビジネスシーンでも注目されている自己認知力。子どもの自己認知力を高めるともちろん役立つことは多いです。
ここからは子どもの自己認知力を高めるためにできることをチェックしていきましょう。自己認知力が高まる時期の子どもとの向き合い方の参考にしてくださいね。
自己認知力、メタ認知力が高まるのは「小学校高学年」から
先ほども説明した通り、自己認知力は小学校高学年である小学4年生ごろから高まります。自己認知力の他にメタ認知力とも呼ばれる「自分を客観視できる力」は、意識すると子どもの人間的な成長を助けるでしょう。
子どもの自己認知が始まるのが幼少期なので、「小さなうちから自立させないと」と張り切るママもいるかもしれません。ですが、ある程度成長しないと子どもの自己認知力は高まりませんし、小さなうちはまだまだ成長途中です。
また、自己認知力を高めるといっても個人差があるので、子どもに無理強いするのはNG。我が子の成長をサポートする気持ちで、見守ってあげてくださいね。
具体的な目的や目標を考える
さて、メタ認知力や自己認知力は小学校高学年から大きな発達が見られるとご紹介しました。この時期は9歳の壁とも言われており、これまでの主観的な考えから客観的な見方が学習面でも私生活でも求められることが多くなります。
子どもには自分の好きなことを続けてもらう一方で、求められることに対して明確な目標や目的を考えるように促してみましょう。
自己認知力が高い子の特徴として、例えば「宿題はなぜやるのか」を考えるといったものが挙げられます。宿題をしないと先生やママに叱られるから、という感情的なメリット・デメリットだけでなく「○○の計算をもっと楽に解きたいから」「○○についてよく知りたいから」という先を見越した目標まで持てるとベストです。
子どもが何をやったらいいのか分からない、自分の得意なことや好きなこと、知りたいことが分からないと迷っている場合は、ママが声掛けや誘うことでより良い方向に導けると良いですね。簡単な指標・目標でも良いので、一度決めてみることをおすすめします。
これはやってよかったのか、具体的な方法を考える
目標や目的をはっきりとさせたら、それに行きつくまでさまざまな方法を取るでしょう。この方法を選び抜く力も、自己認知力を高めるために大切です。
例えば宿題を一つやるにしても
- ドリルの後ろに書いてある答えを写す…結局覚えられないからNG
- 自分で宿題の問題を間違えてもいいから解く…知識を得るには不十分
- 自分で宿題の問題を解き、間違えた部分はやり直して正解するまで解く…OK
といったように子どもが考えながら判断できると理想的。
もちろんこれは大人にも言えることです。自己認知力を高めるためのやり方は最初からできる子はいないので、ママと一緒に考えながら答えを探していけると良いですね。このときママをはじめとする周囲の大人は「こうしなさい」と一方的に考えを押し付けるのではなく、子どもが迷ったときは相談に乗って、「こうすればいいんじゃないかな?」とアドバイスして助けるのが大切です。
まとめ
子どもの自己認知は1歳半ごろから見られ、年齢とともに成長していきます。自己認知力は今ビジネスの面でも注目されている能力なので、高めたい!と思うママも多いかもしれません。
まずは子どもの自由な発想と成長を見守り、適したタイミングでアドバイスできるようにしましょう。親子で自己認知力を育み、生活に役立ててみてくださいね。
【参考】
子供が鏡の中の自分をわかるのは何歳から?|自己認知の発達 – Senwisdoms
自己認知とは?自己認知の定義と把握する方法を解説 – Well-Being Workers