子育てママのお悩みベスト5にも入る、子どもの「イヤイヤ期」。
子どもの脳と心の成長の証とは言え、毎日毎日何を言っても「いや!」しか返ってこない子どもとのやりとりは精神的に疲れてしまうもの。
こちらの記事ではイヤイヤ期の期間とママの関わり方についてお伝えします。
イヤイヤ期の期間~いつからいつまで?~
イヤイヤ期とはいつ頃はじまっていつ頃には終わるものでしょうか?
我が家の3歳になったばかりの次女はものすごく意志の強い子どもで、寝付いてくれると、「はぁ~」と心の底からため息が出るような日もありました。
いつか終わりがくるとわかっていても、もう少し具体的に目処を知ることで「今だけ」という気持ちで大変な子どものママでも乗り切りやすくなるかもしれませんね。
イヤイヤ期。早い子は1歳半頃から
イヤ期というと一般的には「2歳」というイメージを持っている人も多いかもしれません。英語でも「terrible two」何ていうように、世界的にも2歳のイメージが強いものですが、イヤイヤ期というのは、子どもの意志の表れでもあります。
1歳を過ぎて、子どもが子ども自身の「したい」「やりたい」などの意志が表れてくる1歳半くらいの頃から、イヤイヤ期の予兆を感じているママもたくさんいます。
博報堂が行った1万人近くへのリサーチによると、2人に1人が1歳後半にイヤイヤ期に突入しているようです。
イヤイヤ期のピークは2歳
1歳台から2歳にかけて多くの子が突入するイヤイヤ期。そのピークはやはり2歳。
「お着替えしようか」
「いや」
「じゃあ先に朝ごはん食べようか」
「いや」
「じゃあ、ママ先に食べてるね」
「いやー!」
なんて風に何を言っても提案してもその返答は「いや」。
家の中のイヤイヤも大変ですが、買い物中や公園遊びなどから変える時などに毎回繰り返されるイヤイヤには本当に疲れてしまいますね。
イヤイヤ期は3,4歳で落ち着く子が多い
何もかもがイヤイヤのイヤイヤ期ですが、子どもの身体能力や言語能力の成長と共に、3,4歳の頃には落ち着いてくると実感する親がほとんど。
上のグラフからもわかるように、1歳後半から3歳前半にかけての半数以上の子どもがイヤイヤ期に入っていますが、4歳後半には30%をきり、5歳に突入するとイヤイヤ期にあるのは4人に1人以下の割合。
幼稚園に入園するような年頃になると、子どもとのコミュニケーションを会話で成り立たせることが出来るようになってきます。自分の気持ちや考え、やりたいこと、したいことをきちんと自分の言葉で表現できるようになると「イヤ!」という言葉を使わなくてもよくなるのですね。
乳幼児期の発達を心理学的に解説
1歳半から3,4歳ころまでがいわゆる「イヤイヤ期」となる子どもが多いということがわかりましたが、何故この年齢なのでしょうか。この年齢の子どもがどのような発達をしているのか、こちらでは心理学的に解説します。
どうして1歳半頃から変わるの?1歳半頃から変わる心理学的発達段階
この1歳半という月齢は、心理学的にみるとどんな発達段階にあるのでしょうか。
心理学者のE.H.エリクソンは人間は人生を8つのステージ(発達段階)に分けることができ、それぞれのステージで課題があり、それをクリア出来るか出来ないかでその人の人生は大きく変わるという理論(心理社会的発達理論)を提唱しています。
第1ステージ「信頼感vs不信感」
このエリクソンの最初のステージが乳児期、0歳~1歳半頃となります。
このステージの課題は「基本的信頼感」です。
人間の赤ちゃんは周りの人にお世話をしてもらわないと生きていけない無力な状態で産まれてきます。
赤ちゃんはお腹が空いたり、オムツが気持ち悪かったり、眠かったり何かある度に泣いて、ママや周りの人にお世話をしてもらいます。
このステージでは赤ちゃんが泣いた時に適切なケアをしてもらうことによって、赤ちゃんはお世話をしてくれる人たちへ信頼感を得ていきます。
第2ステージ「自律性vs羞恥心」
エリクソンの第2ステージは幼児前期、1歳半~3歳の頃となります。
このステージの課題は「意欲」です。
これまでママや周りの人に何でもお世話をしてもらっていた子どもですが、少しずつ自分で出来ることが増えてきます。
トイトレなど、これまでは自分でコントロールすることなく一方的にお世話してもらっていたことを、親のしつけと子ども自身の挑戦で自分でコントロールする(自律する)ことを身に着けていきます。
このステージでは子どもが自分で出来るようになることで自信をつけ、子どもの自律性が育っていきます。
第3ステージ「積極性vs罪悪感」
エリクソンの第3ステージは幼児期、3~5,6歳の頃となります。
このステージの課題は「目的意識」です。
幼稚園や保育園という集団生活が始まり、子ども同士でも活発に関わり合い遊ぶ時期ですね。それまでの一人遊びからお友だちと関わり合いながら遊ぶことが増え、それと同時に様々なことにも興味を持つようになります。言葉をたくさん覚える中で「なんで?」の質問攻めに親が困ってしまう程の子も多くいます。自ら様々なことに挑戦して、親や先生から注意をされることもたくさんある時期。
このステージでは子どもの自主性や積極性が育っていきます。
子どもの成長を促すイヤイヤ期への関わり方
心理社会的発達の視点からみても、1歳半頃から4,5歳にかけて子どもが自立性、自主性、積極性を養っていく上で子どもの意志が表現されたり、それをコントロール出来るように葛藤するということはとても大切であることがわかります。
とはいえ、毎日イヤイヤされるとママとしてはその対応に困ってしまいます。子どもの個性もありますが、親の関わり方で子どもの心の成長を促しながら、このイヤイヤ期を子どもにとっても親にとってもストレスを小さくすることが出来るのです。
「イヤイヤ期」は「自己主張期」
私がクライアントさんからイヤイヤ期の相談を受ける時に必ず始めること。それは「イヤイヤ期」を「自己主張期」と言い換えることです。
「イヤイヤ期」という言葉を聞いて、どんなイメージを持ちますか?
- 子どもがママに何でも「イヤ!」と言っている様子
- ママが困り果てた様子
- お店で癇癪を起している子どもの様子
そんなネガティブな親子の様子が頭に浮かんだのではないでしょうか。
そもそも「イヤイヤ期」というのは、子どもと親とのやり取りがストレスフルな状態が続いて、子どもも親も行き詰った状態で、子どもは「イヤ」と言うことしか出来ず、ママもその態度を無理矢理納得するために「イヤイヤ期だから仕方ない」といった考え方をしている時の表現方法だと思うのです。
一方で、「自己主張期」という言葉を聞いて(多くの方は初めて聞く言葉かもしれませんが)、どのようなイメージを持ちますか?
- 子どもが自分の意志や気持ちを主張している様子
- 子どもの成長の一過程
このように「成長」などポジティブなイメージが浮かんだのではないでしょうか。
言葉や思考というものはとてもパワーがあります。まずはこの時期に直面した時に、それをネガティブなイメージを持つ「イヤイヤ期」という言葉ではなく、子どもの成長という点を大切にした「自己主張期」という言葉に置き換えることで、親の心持ちも印象も随分と変わってきます。
まずはこの時期に突入してきたと感じたら、「イヤイヤ期」ではなく「『自己主張期』に入ったんだわ」と捉えるようにしましょう。
子どもの行動をよく観察する
イヤイヤ期の子どもの対応として「子どもの気持ちを尊重しましょう」ということが一般的に言われています。ママが子どもの気持ち尊重することは大切ですが、それよりも大切なことは子どもの行動をよく観察して、子どもがどうしてその行動をしているのか理解をすること、子どもがどんな気持ちにあるのか理解をすることです。
これまで説明してきたように、子どもはこの時期に自分の「やりたい!」という気持ちが強くなり、それが何らかの原因で出来ないことがフラストレーションとなり何でも「イヤ!」になります。
そんな時に、ママからも「それは危ないからダメ!」「これはダメ!」と言われてしまうと子どももママもお互いイライラ。負のスパイラルに入ってしまいます。
だからと言って、ママが何でも「いいよ」と子どもの気持ちを尊重していては、いつまでたっても公園から帰ることが出来なかったり、ご飯が何時間も進まなかったり、お出かけの時間に間に合わなかったり生活に支障が出てきてしまうでしょう。生活が上手く回らないと、それはまたママにとっても大きなストレスとなり、いつかはイライラが爆発してしまいます。
大切なことは、まず子どもが何をしているのかよく観察をして、子どもの行動の意味をみつけてみてください。
子どもを観察することで
- 子どもの遊びの意図が理解出来る
- 子どもがどこにつまずいているのかわかる
- 子どもに最低限の手伝いをオファーすることが出来る
- 子どものスキル不足によるフラストレーションが低下
- ママも子どもの気持ちがより理解出来る
- 親子の葛藤が低下する
というように子ども自身もママもこの時期のやりとりがスムーズになり、子どもの成長を促すことが出来るのです。
また、下記の記事ではイヤイヤ期の子どもへの具体的な対応の仕方について解説しています。
まとめ
子供が成長する過程で、意志を表現したり、行動や感情をコントロール出来るようになるまで、脳が成長するまでは葛藤することもたくさんあります。その時期をママがどう関わっていくか次第で、子どもやママが感じるストレスレベルというものは大きく変えることが出来ます。
ぜひこれらの関わり方のコツを取り入れて、子どもの成長を楽しみながらこの時期を乗り越えていきましょう。