人一倍繊細なHSCと呼ばれる子ども。これはハイリーセンシティブチャイルドの略であり、子どもの生まれつきの特性を指します。
敏感で周囲からの影響を受けやすい分、HSCの子育ては壁を感じることもあります。例えば集団生活でなじめず不登校気味になったり、登園しぶりをすることも。
こんなHSCの子育てにおいて、壁を感じたとき親はどう対応すればよいのでしょうか。今回はHSCの親の対応と、子育ての仕方について詳しく考えていきます。
HSCとは?
ハイリーセンシティブチャイルドであるHSC。まずはこのHSCとはどういう意味を持つのか、今一度一緒にチェックしていきましょう。
特別過敏な子どもの特性
HSCとは、人よりも敏感で繊細な特性を持つ子どもを指します。特徴としては、以下の「DOES」と呼ばれるものがあり、大きく4つにまとめられます。
- 【D】深く処理する
Depth of processing
- 【O】過剰に刺激を受けやすい
being easily Overstimulated
- 【E】感情の反応が強く、特に共感力が高い
being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular
- 【S】ささいな刺激を察知する
being aware of Subtle Stimuli
この特徴はほとんどのHSCが持っている側面であり、育ってきた環境やしつけ次第で直せるものでも、また発出するものでもありません。
登園しぶりや不登校の原因になることも
人一倍繊細な分、HSCの育児には悩みが付きません。赤ちゃんの頃は物音や環境の変化に敏感で夜間あまり寝なかったり、幼稚園や保育園といった集団生活が始まるとその環境になじめなかったりします。また、人が多くにぎわった場所に行くと人よりも倍疲れを感じやすいのもHSCの特徴です。
特にHSCでは、しばしば不登校や登園しぶりが見られます。集団生活はHSCを持たない子にとってもストレスがゼロではなく、一方でHSCだと余計に疲れてしまうのは想像に難くありませんよね。分かっていてもこのとき親の対応はどうして良いのかわからず、悩むママも多いです。
「人より繊細な感覚」には才能が隠れていることも
HSCの特徴をご紹介しましたが、この「DOES」はよく考えると大きな強みにもなります。
- 【D】深く処理する→じっくり物事を考察できる
- 【O】過剰に刺激を受けやすい→繊細に物事を感じ取れる
- 【E】感情の反応が強く、特に共感力が高い→人の気持ちを理解する力が強い
- 【S】ささいな刺激を察知する→慎重な行動がとれる
もちろんこれが強みだからといって子どもの才能を無理に決めつけるのはNGですが、「我が子は困ることもあるけど、繊細な感覚という大きな才能を持っている」と思うことも大切です。決して困りごとや弱点だけではないので、特性を生かしてあげてうまく向き合えると良いですね。
HSCに対する正しい親の対応とは
我が子がHSCで悩んでいる、もしかするとHSCかも。そう感じるママもいるかもしれません。HSCは5人に1人と言われており、決してこの敏感な性質は珍しくないのです。
では、HSCに対して親はどんな対応をすればよいのでしょうか。子どもとの向き合い方や親の対応についてご紹介します。
子供の不安、心配を受け止める
自身がHSCであり現在HSP(ハイリーセンシティブパーソン:HSCの大人)の自覚がある方によると、親の対応次第で「生きにくい」と思ったものの不登校になることなく成人できたと言います。その親がしてくれたのは、子どもの心配や不安をとにかく受け止めることです。
HSCの心配事は尽きず、また敏感な性格ゆえに心配性で完璧主義も見られます。「○○だったらどうしよう」と今後のリスクが気になって怖がる子もいるでしょう。
このとき、親としては不安や心配を「そんなこと」と跳ねのけず、すべて受け止めて大丈夫だよと言ってあげましょう。親が絶対的な安心を与えることで、家庭が子どもの安心できる居場所になるはずです。
子どもに対してイライラをぶつけない
「何で普通にできないの?」「どうしてそんなことが怖いの?」と、HSCに対して理解できずイライラすることもあるかもしれません。このイライラ自体は決しておかしなことではなく、子育て中のママなら怒らず育児する方が不可能です。
イライラする怒りの感情は認めてあげて、子どもに対しては絶対にぶつけないようにしましょう。不機嫌な態度を見せるのも絶対にNGです。
特にHSCは人の不機嫌な感情を過敏に受け取ります。イライラは子どもがいないところでうまく解消し、我が子には笑顔で接するよう意識してくださいね。
子供のことで親同士が喧嘩しないようにする
HSCの子育てにおいて、パパとママで意見が一致せず喧嘩になることもあります。
「男の子でもスポーツしなくていいじゃない。この子は勝負ごとが苦手なのに」
と子どもの特性を理解しているかどうかで、意見が分かれるのもしばしば。
とはいえ育児の方向性を合わせる上でパパと衝突することもあるかもしれませんが、子どもの前で言い合いするのは絶対に控えましょう。話し合いは子どもがいないところで、落としどころを見つけるのが大切です。まずはHSCをママとパパ二人が正しく認識し、子どもへの対応を二人で揃えることから始めてみるのがおすすめです。
親は親で自分の楽しみを見つける
最後は親は親で楽しみを見つけ、子どもに依存しないことです。HSCという特性上どうしても「ずっと面倒を見てあげなくちゃ」と子どもの生き方まで口出ししたくなる場面もあります。ですが、良い意味で子どもの意見を尊重し、親は親で楽しく生きるのが大切です。
親も楽しく生きていると、子どもはそれを見習って精神的に自立できます。子どもは親が考えている以上に親の背中を見て育つため、楽しく日々を過ごしていると子どもも楽しみを見つけやすくなり、良い循環も生まれやすいです。
HSCの特性でもお伝えしましたが、HSCとは考え方によっては強みを持って生まれた子です。しかし、親が子どもに依存すると人生の選択や生き方を勝手に決めてしまうかもしれませんよね。こうした過度な期待や強制をせず、HSCでも自由に生きられるようサポートすることが重要です。
まとめ
子どもの特性であるHSC。生まれつきの性質で、育った環境や育て方、親の対応で直るものではありません。また、HSCは一般的な子育てよりもちょっとだけ考えること、困ることもあります。
ですが、HSCを含めたすべてがその子の個性。正しい親の対応をして、子どもの個性を認め、尊重する育児を心がけていきましょう。
【参考】
HSC(Highly Sensitive Child)ハイリー・センシティブ・チャイルド | 仙台の心療内科・精神科・美容内科マドレクリニック
HSCだった私が幼少期に親からしてもらって感謝していること – 保育士ごんちゃん | Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム
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