生まれたばかりの赤ちゃんは授乳によって、母乳やミルクを飲んで成長します。そんな生活も、半年以上過ぎれば離乳食が始まり、母乳・ミルクでは足りない栄養を補うことになるでしょう。
授乳中のママにとっては、気になるのが「卒乳いつがいいの?」という点。今子どもと暮らしているママの中にも「卒乳や断乳の時期に迷っている」という方も多いかもしれません。
今回は卒乳いつがいいのか、断乳・卒乳のタイミングと流れについて解説します。
断乳・卒乳は「いつまでに」と決まっているわけではない!
結論からいうと、断乳や卒乳は「いつまでに終わらせましょう」と期間が決まっているわけではありません。確かに生後6カ月ごろから離乳食が始まりますが、子どもの成長はその子それぞれ。
「我が家では離乳食が進まなかったから、1歳まで授乳していた」「数カ月でおっぱい拒否が始まり、結局自然と断乳の流れになりミルク育児をしていた」という方は珍しくありません。
2歳を過ぎても授乳している子もいる
目安としては、断乳・卒乳とは「離乳食が完了して、幼児食になる」1歳6カ月ごろと言われています。ただし、これは離乳食が育児書や一般論通りに進んだ場合。子どもを育てたママならみなさん経験があるかもしれませんが、ネット上や育児書に載っている「基本的な子どもの育ち方通り」にうまくいくことは少ないですよね。
そのため、離乳食が完了しても、離乳食が例え進まなかったとしても、断乳・卒乳が1歳6カ月を過ぎても構いません。ママの中には「2歳ごろまで、寝る前の授乳がどうしてもやめられなかった」と答える方もいます。
授乳は赤ちゃん・子どもにとって、栄養を補う意味も大きいのですが、「ママとのコミュニケーション」「不安から守ってくれる安心できる行為」と捉えることもできます。卒乳とは自然な授乳からの卒業。子どもの自我が生まれると、いつかは必ず授乳の必要はなくなるので自然にまかせても良いかもしれません。
反対に0歳未満で断乳せざるを得ないことも
一方で、0歳のころから「断乳しなくてはならない子」もいますし、「自然と1歳になる前に卒乳完了した子」もいます。ここでも考えておきたいのが、目安がたとえ1歳6カ月だからといって、その時期まで無理に授乳を続ける必要もないということです。
さまざまな理由で、授乳が難しいこともあります。筆者の子どもは双子ですが、当然授乳量が足りずに「断乳するべきかもしれない」と何度も考えたことがありました。1歳未満で授乳をやめても、ママは自分を責めずに「授乳以外のコミュニケーション」で子どもと向き合えると良いですね。
断乳・卒乳いつまで?「しなくてはならない時」とは
先ほどもお伝えした「断乳しなくてはならない時」について、詳しくチェックしていきましょう。
しなくてはならない時とは、
- 子どもの成長を妨げているとき
- ママの暮らしを妨げているとき
- そのほか
の3つに分けられます。一つずつご紹介します。
授乳が子どもの成長を妨げているとき
まずは授乳が子どもの成長を妨げているときです。考えられるのは、
- 離乳食がなかなか進まない
- 夜間授乳が頻繁でねんねのリズムがうまく作れない、子ども自身睡眠不足で体調を崩しがち
- ママのおっぱいを通じて、子どもにアレルギー反応が出た
などの場合。生後6カ月から離乳食が始まりますが、授乳で満たされていると離乳食を完食してくれない、なかなか進まないとトラブルも起こりやすいです。あまりにも離乳食が進まず、ママにとってストレスなら授乳頻度を落としてもよいかもしれません。
また、いくら自然な卒乳を目指していたとしても、ママが食べたものによって授乳を通じて子どもがアレルギーを起こすとお医者さんから断乳を進められるケースもあります。
授乳がママの暮らしを妨げているとき
次に、授乳がママの暮らしを妨げているときです。
- 妊娠や下の子を望んでいるのに生理が再開しないとき
- 薬を飲む必要があるとき
- 夜間眠れず日中の育児にまで影響が及ぶとき
- お仕事を再開するとき
こうした場合は、断乳・卒乳の計画を立てる必要があります。
授乳を続けられる限りは良いのですが、夜間授乳が頻回だとその分ママが疲れてしまうことも。「ママなんだから授乳は続けないと」と追い込む方もいますが、その反動が日中の育児に影響したりママのストレスが溜まったりすると本末転倒です。より良い子どもとの暮らしのために、ママのタイミングで断乳・卒乳を決めても良いのです。
また、お仕事を再開する場合は保育園などに子どもは通いますが、その間授乳はできません。授乳中は生理が止まってしまうので、妊娠の計画がある方も断乳せざるを得ない場合もあるでしょう。
そのほかの理由
その他にもさまざまな理由で断乳・卒乳する場合があります。
- 子どもの風邪(ノロウイルスなど)で授乳ができなくなり、自然と卒乳
- おっぱいトラブルが多く卒乳せざるを得ない
- 授乳量がいつまでも増えないとき
そもそも、「最初から授乳量が多くなく、タイミングがうまく掴めずミルク育児になった」という方は意外と多いもの。どれも授乳を無理に続ける必要はなく、事情があって授乳をやめてもママは何も悪くありません。
断乳・卒乳の時期をセンシティブに感じるママもいます。「本当はまだ授乳できたのに、私が風邪を引いたせいで……」と悪く受け止めるのではなく、断乳・卒乳は子どもの成長のひとつ。これを乗り越えたことで、親子で大きくステップアップできると捉えるようにしてくださいね。
断乳・卒乳の流れ
断乳・卒乳は一体どういう風に進めていけばよいのでしょうか。自然な流れをご紹介します。
まずはママの体調を整える
最初に行うのは、ママの体調管理です。特に授乳中はおっぱいのトラブルは起こりやすいもの。
- 胸が張っていないか
- ママ自身体調不良ではないか
- 乳腺炎など、おっぱいの病気に罹っていないか
授乳量が少なくなっている時期を選んだとしても、断乳・卒乳するとこれまでとは母乳の分泌量は減ります。搾乳などで分泌を減らしつつ断乳を進めることもできますが、今授乳量がある程度ある場合は突然やめたりせず、ママの調子を整えてから断乳・卒乳するようにしましょう。
子どもの状況を確認する
次に、子どもの様子です。断乳・卒乳しても授乳が必要な場合は、ミルクの味・哺乳瓶を使う感覚に慣れていないと心配が大きいもの。ミルクを拒否していないかどうか、断乳前に確かめてみるとよいでしょう。
また、断乳・卒乳すると「ちゃんと栄養が摂れているのかな?」と不安になりますよね。母乳以外の水分であるお茶などが飲めているかどうか、離乳食がきちんと進んでいるかどうかをチェックしておきましょう。
「3日間だけ」と決めて断乳・卒乳スタート
準備が整ったら、早速断乳・卒乳をスタートします。断乳直後は夜間も寂しがって子どもが泣くかもしれません。また、授乳をストップしたためにママのおっぱいが痛んだり張ったりする場合も考えられます。
そこで、「まずは3日間だけ」と決めてスタートすることがおすすめです。これなら様子を見る期間もあり、ママとしても寂しさを覚えにくいでしょう。3日経って何のトラブルも起きないようなら、このまま断乳を進めます。
避けたいのは、「たった1日だけ断乳しておいて、すぐに元に戻す」ことです。これでは子どもにとっては「なぜか授乳を拒否された」としか覚えられず、かえって寂しがらせることもあります。
断乳・卒乳が完了しても、子どもとは授乳以外のコミュニケーションを楽しみましょう。一緒に遊んだり抱っこしたりしてもかまいません。一緒に食事を楽しむのも、おすすめですよ。
断乳・卒乳後はおっぱいケアもしっかりと
断乳・卒乳後は授乳量が少なくなったタイミングであり、乳腺炎をはじめとするおっぱいのトラブルが起こりやすい時期でもあります。
そのため、断乳・卒乳後はしっかりケアして、トラブルを防ぐようにしましょう。張りが強いときやおっぱいが痛む場合は、軽く搾乳して母乳を詰まらせないようにします。授乳をやめてから72時間くらい後には分泌されなくなるため、初めて母乳が出たときのような色の濃い母乳が出てきたらケアは完了です。
もし断乳・卒乳後に強い痛みを覚えたり、発熱やおっぱいに違和感が出た場合は迷わず受診しましょう。もし何かトラブルが起こる前でも、断乳・卒乳に関する相談に乗ってくれる母乳外来もあります。
卒乳後のおっぱいケアについてこちらの記事も参考に▼
まとめ
卒乳いつごろがいいのかしら、と悩むママ。卒乳・断乳は極端にいうといつでも構いません。「断乳が早いから」「遅いから」といって自分を責める必要はなく、さらに断乳・卒乳はいつかは必ず経験するものです。
ママと子どもにとって、大きな成長のひとつである断乳・卒乳。無理なく自分たちのペースで進められるよう、子どもの様子に気を付けて挑戦してみてくださいね。
【参考】