ママなら一度は「乳腺炎」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。乳腺炎とは授乳中のママに起こる症状のひとつで、皮膚炎の一種と言われています。
乳腺炎の原因はさまざま。繰り返し起こるものなので、気を付けていてもママの悩みの種になります。さらに、乳腺炎が起こりやすい時期とは断乳・卒乳後といった「授乳をストップさせたタイミング」とも言われているのです。
そこで今回は、断乳と乳腺炎の関係をご紹介します。乳腺炎とは何か、断乳時の乳腺炎の防ぎ方を一緒にチェックしていきましょう。
乳腺炎とは?
まずは乳腺炎とは何かを知っておきましょう。
「乳腺炎」とは、乳汁を分泌する乳腺で炎症を起こす病気です。
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このように、乳腺炎は皮膚の内部が炎症を起こすもの。授乳中は乳汁が分泌されているので、赤ちゃんが飲み残したりママの分泌量が多くなったりすることで、乳腺が詰まりトラブルが起こるのです。
乳腺炎にかかるママは、全体の2~30%と言われています。こう考えると「そこまで確率は低くないのかも」と思うかもしれませんね。しかし、誰しも乳腺炎を引き起こす可能性はあるため注意が必要です。
乳腺炎は2種類に分けられます。2つの乳腺炎について、ここからはご紹介します。
うっ帯性乳腺炎
1つめのタイプがうっ滞性乳腺炎。これは乳腺の中に乳汁が溜まる=うっ滞して引き起ります。ママの母乳分泌量は十分なのに、赤ちゃんがうまく飲めなかったり母乳が通る道である「乳管」が十分に開いていないことが原因です。
症状は、
- 乳房が赤く腫れる、硬くなる
- 乳房を押すと痛みがある、授乳中に痛みが伴う
- 微熱が出ている
など。乳腺炎のはじまりとも言われているため、授乳中のママはおっぱいが「痛い」と感じたら、放っておかずに適切なケアをすることが大切です。
化膿性乳腺炎
もうひとつは化膿性乳腺炎。こちらは皮膚内で炎症が起きているだけでなく、細菌に感染し引き起るものです。乳房が何かのタイミングで傷ついていたり、赤ちゃんが授乳中に噛んだりして傷ができ、ここから細菌に感染し化膿性乳腺炎になるとも言われています。しかし、ほとんどは先ほどのうっ滞性乳腺炎が誘因しており、皮膚で起こる感染症の中で「最も症状が激しい」と言われているため注意が必要です。
主な症状は
- 強い悪寒や震え
- 38度以上の高熱
- 乳房が大きく腫れる、激しく痛みが起こる
など。これらの乳腺炎は何度も繰り返し、治りきることなく次の乳腺炎が引き起ると「慢性乳腺炎」になります。化膿性乳腺炎を経験したママによると、育児もままならないほどの高熱が続くとのことで、すみやかに受診するようにしましょう。
乳腺炎は断乳中・後になりやすい?
乳腺炎を防ぎたいのは、断乳中や断乳後など「授乳リズム」を変えるタイミングです。断乳と乳腺炎の関係性をチェックしてみましょう。
授乳の間隔が空きすぎると乳腺炎は起こりやすい
断乳の際に乳腺炎が起こりやすいのかというと、授乳の間隔が空くために可能性は高まります。先ほどの2つのタイプの乳腺炎のうち、うっ滞性乳腺炎は断乳の際に起こりやすいもの。母乳量は出産後に高まり、次第に赤ちゃんが求める量とママの分泌量のバランスが取れてきますが、母乳量が一定数ある場合に突然断乳すると乳腺に母乳が溜まりやすくなるのです。ここで詰まると、乳腺炎にかわります。
うっ滞性乳腺炎を放置していると、化膿性乳腺炎になることも。卒乳や断乳のやり方にも影響するため、「突然授乳をストップする」といったやり方ではなく、おっぱいをケアしながら進めていく必要があります。
次第に母乳分泌は減る
断乳・卒乳直後は乳腺炎になりやすいものの、次第に母乳分泌量は少なくなっていき乳腺炎が起こる可能性も低くなります。個人差がありますが、母乳は72時間出していないと分泌されなくなるので、断乳後に乳腺炎にならないためには母乳の分泌量を落としていく必要があるでしょう。
断乳後最終的に母乳は最初におっぱいが出る初乳のような濃い母乳になります。これが出るようになったら、ママのおっぱいも断乳が完了した証拠。いつまでも母乳が分泌されるわけではないため、乳腺炎を心配するのは「断乳した後数日」でOKです。
断乳の乳腺炎を防ぐには?
断乳後の乳腺炎を防ぐためには、
- 痛みを我慢しない
- 適したケアをする
- 早めに対処する
以上が必要です。断乳の際に乳腺炎にならないように防止する方法を知っておきましょう。
適度に搾乳する
乳腺炎は母乳が詰まることで起こるもの。断乳した瞬間に母乳の分泌がぴたっと収まるわけではないので、痛みや張りを感じたら適度に搾乳するようにしましょう。
赤ちゃんを産んだ直後、乳管を開けるために強くおっぱいをマッサージすることがあります。あの時のように無理やり搾乳するのではなく、断乳後は「軽くガス抜き程度」にしておきましょう。
すべてを搾乳してしまうと、母乳はまた作られてしまいます。大きく胸を包むようにして、おむすびを作るように搾乳するやり方が推奨されているので、ぜひ試してみてください。
痛みを我慢しない
痛みが出たら、「断乳中だから」といって無視するのは絶対にNGです。うっ滞性乳腺炎を放っておくと症状がひどい化膿性乳腺炎に繋がります。例えば断乳後に、
- 胸が垂れないように、と締め付け感の強い下着を付ける
- 痛いけれど何も対策を取らない
- 搾乳をしない
このように放っておくのは痛みを逆に悪化させます。痛みは搾乳や冷やすことで緩和できるので、対策をしつつ断乳を進めていくとよいでしょう。反対に温めると痛みが悪化することも。胸が痛む場合は入浴をシャワーにするのも効果的です。
あまりにも痛かったら受診を
あまりにも痛かったり、そのために断乳が進まなかったりしたら、迷わず受診しましょう。「熱が出てからでいいか」と放置すると、乳腺炎は慢性化し育児にも影響が及びます。
乳腺炎の相談ができるのは
- 産婦人科医院
- 母乳外来のある病院
- 自治体が運営する相談窓口
など。児童館などで開かれる育児相談の場でも断乳の話は聞くことができるため、ぜひ参考にしてください。また、乳腺炎は投薬で治療することもできます。受診すると悩みが解決することもあるため、身近に相談できる機関がないかをチェックしてみてください。
断乳自体は悪いことではありません。どのタイミングで断乳しても、断乳するための理由はそれぞれあるはずです。それよりも断乳時のママの痛みを取り除くことが優先なので、我慢せず、しかるべき場所に相談してみましょう。
まとめ
断乳中に起こりやすい乳腺炎。ママにとって耳の痛い症状であり、いつ起こるかもわからない乳腺炎ですが、対策すれば必要以上に怖がるものでもありません。予防や薬によって治すこともできるため、断乳中の乳腺炎の症状は我慢せずに適したケアを行ってくださいね。
【参考】
卒乳・断乳後起きる乳腺炎!症状や対処法 【公式】母乳育児向け専門ハーブティー、アロマ、マッサージオイルAMOMA natural care通販サイト