断乳のスムーズなやり方とは?卒乳と断乳の違いもご紹介

断乳 やり方

子供の歯が生え始めたタイミング、おっぱいをあまり欲しがらなくなった、ママが授乳できない事情ができた。子供は成長とともに授乳をやめ、おっぱいとバイバイする時期がやってきます。

このとき、授乳をやめることを「断乳」と呼びますが、断乳のやり方や始めるタイミング、卒乳との違いをご存じですか?

今回は子供の「おっぱいバイバイ」である断乳について、詳しくご紹介します。

断乳と卒乳は違うの?断乳のタイミングとは

母乳 ママ

ママのおっぱい、授乳をやめることを断乳と呼びますが、同じ意味合いで使われる言葉に卒乳があります。子供を産んだママなら、一度は聞いたことのある言葉ではないでしょうか。

この断乳と卒乳とはどう違うのかをまずはチェックしてみましょう。

卒乳と断乳の違い

断乳と卒乳とは、

  • 卒乳……赤ちゃんが自然と授乳を欲しがらなくなるまで待つこと
  • 断乳……日やタイミングをママが決めて授乳をストップさせること

といった違いがあります。

断乳は卒乳と比べて親の意思で授乳を止めさせるため、最近では「自然な卒乳を待った方がいい」とも言われています。しかし、断乳は多くのママが行っており、事情によっては断乳しなくてはならないこともあるでしょう。

例えばママが風邪を引いたとき、授乳中だと投薬できる種類が限られます。下の子を妊娠した場合も授乳はストップさせなくてはなりませんし、おっぱいトラブルが続きどうしても授乳できなくなることもあるでしょう。ママの職場復帰がある場合も、保育施設に通っているのなら授乳はできなくなります。

卒乳が推奨されているとはいえ、断乳という選択肢も決して間違った判断ではありません。

断乳のタイミングは人それぞれ

断乳を考えたとき「まだ生後1カ月なのに断乳は早い」「1歳までは授乳を続けるべき」などいろいろ悩むかもしれませんね。断乳のタイミングには「適した時期」は存在せず、ママの判断で断乳を決めても良いのです。

周りのママを見てみると、10カ月で断乳したり3歳まで授乳したりとさまざま。私自身も双子を育てたママの一人ですが、投薬の必要があったため6カ月で二人とも完全ミルク育児に切り替えました。その他にも、ママのおっぱいが続かなかったり授乳に時間がかかりすぎたり、「夜間の睡眠時間を確保するために断乳する」という選択肢があっても良いでしょう。

断乳を始める前にチェックすること

赤ちゃん ミルク

断乳はどのタイミングで行っても構いませんが、始める前にいくつかチェックしたいことがあります。ママ自身のおっぱいトラブルを引き起こさないため、子供がスムーズに断乳に慣れるために、準備を徹底しておきましょう。

母乳以外で子供が栄養を摂れているかどうか

下の子の妊娠やママの体調不良、ママのおっぱいトラブルなどで「やむを得ず断乳」する場合に気になるのは「授乳をやめて、子供の栄養面が不足しないかな?」という点ではないでしょうか。極端に言えば、母乳だけからしか得られない栄養はなく、母乳の代わりにミルクでも離乳食でも栄養面は補えます。

ただし、断乳をする場合は子供が哺乳瓶拒否をしないか、ミルクの種類はどれにするか、あらかじめチェックしておくと安心です。哺乳瓶はさまざまな種類があります。どのメーカーが良い、どの形が良い、というのが一概にあるわけではく、子供によってその好き好きは様々です。子供の好みの哺乳瓶や乳首を見つけたり、できる限り授乳と同じ環境にすると子供も受け入れやすいですよ。

離乳食が進んでいるかどうかもチェックすべきポイントです。母乳の代わりにお茶など水分が摂れるようであれば、断乳を進めてもよいでしょう。

ママと子供の体調が良いかどうか

断乳するとママが決めたとき、親子の体調不良がないかどうかもチェックしておきましょう。例えば子供の体調が悪いときは、必要以上におっぱいを欲しがることも。それでも断乳を決行すると子供の栄養不足につながるかもしれないため、体調が整ったタイミングで進めるのがおすすめです。

子供の泣き声を聞くと、おっぱいが痛くなるというママも多いですよね。ママ自身の体調が悪く授乳以外であやす手段が見つからない、というときも、無理に断乳を進めるべきではありません。親子のタイミングが合ったときで大丈夫です。

乳腺炎などおっぱいのトラブルがないかどうか

断乳をすると、段階的に行ったとしても授乳量は減ります。元から乳腺炎などトラブルが起きている場合、母乳の分泌が減ることで悪化することも考えられるでしょう。

痛みが出てきて搾乳したけれど、それでもやっぱり解消できない。ママも辛くて、断乳を決めたのに「ついあげちゃった」なんてことも起こるかもしれません。おっぱいトラブルがない時期で、授乳量も安定しているタイミングを見直すのも大切です。

意思疎通できそうなら子供に「おっぱいバイバイだよ」と伝えて

生後数か月の子供にはまだ伝わりにくいかもしれませんが、1歳近くの子供なら「断乳する」という意味が分かることがあります。これまで無条件におっぱいをもらえていたのに、ある日突然断乳が始まると子供が戸惑ってしまうことも。

子供の月齢に合わせて子供に伝わりやすい言い方で、子供に「この日でおっぱいはバイバイするよ」「明日おっぱいはさようならしようね」と断乳のタイミングを伝えてみましょう。中には断乳の日を知らせるために、カレンダーにしるしを付けるママもいます。

断乳後に気になるのは「子供がおっぱいを欲しがって、泣いたりしないかな?」という点。意外と伝えてみると、子供も分かってくれるものです。断乳はママ一人が頑張るのではなく、子供と一緒に乗り越えていくもの子供自身に心の準備をしてもらうためにも、事前にその予定について伝えておきたいですね。

焦らない断乳のやり方とは

乳児育児

断乳をする準備が整ったら、実践してみましょう。とはいえ、断乳は「授乳をストップする」と完了です。いきなり断乳するとさまざまなトラブルが起こるので、ここからは焦らず行う断乳のやり方をご紹介します。

断乳に向けて徐々に授乳回数を減らす

突然断乳しなくてはならない場合を除いて、「そろそろ断乳しなくちゃ」と準備期間があるときは、断乳に向けて授乳回数を徐々に減らしていきましょう。1日6~8回程度が平均と言われていますが、断乳直前は1日1~2回まで減らしておくとスムーズです。

また、母乳量は個人差が大きいもの。母乳がよく分泌されると感じるママは授乳を減らすスピードをゆっくりにし、数か月かけて減らしていくと張りや痛みも少なく済みます。

この間に、子供が哺乳瓶に慣れてくれるかどうか、離乳食を進めておくなど、子供の準備も進めておくとよいでしょう。

授乳のない生活に慣れてもらう

断乳前に授乳のない生活を一度思い描いてみましょう。授乳すると寝ることが多いから、寝かしつけの手段になっていないでしょうか。断乳後は「おっぱいを飲んで寝る」といったルーティンを変えなくてはならないので、一度パパに代わってもらうのもひとつの手段です。授乳以外で子供をあやせる手段を見つけておいたり、夜泣きの覚悟もしておくと心強いでしょう。

断乳後は子供も慣れないので、もしかするとこれまで見られなかった夜泣きがあるかもしれません。けれども、これも一時的なものです。次第に親子で慣れていき、生活も整うのでまずは焦らず対応してみてくださいね。

トラブルが起きたら受診を!

断乳したあと、痛みが出るママは多くいます。軽く搾乳したり冷やしたりといったケアで痛みは緩和しますが、我慢できない痛みや発熱が起こる、しこりやひどい張りで眠れないほど…といったおっぱいトラブルが起きたらまずは受診しましょう。

また、何度断乳チャレンジしても断乳が進まない場合も、病院では相談に乗ってくれることがあります。断乳はママ自身のタイミングで行いますが、「赤ちゃんの生活」に直接かかわることなので悩みも多いです。

一人で抱え込まず、適切な対処をしてくれる病院や相談窓口を、あらかじめチェックしておきましょう。例えトラブルが起こらなくても、「相談できる場所がある」と知っているだけで安心できます。

まとめ

断乳は親の目線で決めることですが、子供にとってもママにとっても成長したひとつの証です。また、一度始めたら「やっぱり授乳を続けよう」とあいまいにせず、子供にも断乳に慣れてもらうようさまざまな工夫を行ってみてください。

おっぱいに痛みやトラブルが起きた場合は、無理せず受診を。これからの子供の成長のために、親子にとって無理なく断乳を進めてくださいね。

【参考】

母乳育児の継続に影響する要因と母親のセルフ・エフィカシーとの関連 中田かおり

断乳の仕方は? 上手なやり方や進め方・おすすめのおっぱいケア方法 [母乳育児・授乳] All About

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。