「自動思考」とは?チェックすると「ママの極端な考え」を修正できる!

自動思考 チェック

普段生活をしていて、「ポジティブシンキング」「前向きな見方」は育児に大切だと感じる場面は多いですよね。子どもの良い面を見て、能力を褒めて伸ばしましょう!と言われても「どうしても悪い方向にしか考えられない…」という悩みも珍しくありません。

実はこの思考の癖は、「自動思考」と呼ばれる浅いレベルの認知をチェックすると、自分のことがよくわかるようになるのです。

今回はママがやっておきたい「自分の極端な考え」を修正する方法、自動思考のチェックをご紹介します。

この記事はこんな方におすすめです▼

  • いつも極端な考えを持ってしまうママ
  • 子どもと接するのに固定概念を持ってしまうママ
  • もっと柔軟な性格になりたいのに…と悩むママ

この記事ではこんなことがわかります▼

  • 自動思考とは何か
  • 自動思考から自分の思考のクセをチェックする方法
  • 認知の歪みを修正する方法

浅いレベルの認知「自動思考」とは?

ペアレンティング とは

自分の思考のクセや考え方のパターンから、「私はネガティブな人だ」「なんでマイナス思考になってしまうんだろう…」と悩むことがありますよね。それは、物事や状況に対してとっさに感じるイメージや思考である「自動思考が作用しているからです。

この自動思考には自分の考え方のパターンや思考のクセがたくさん隠れていますが、まずは自動思考とは何かをご紹介します。

意識せずに思考すること

自動思考とは、「無意識のうちに行われる認知です。認知行動療法でも使われることのある概念であり、人それぞれ違う自動思考を持ちます。

例えば、街の中で出会いたくない人を見かけたとしましょう。すると、

  • 「なんでこんなところにいるんだろう?近くに住んでいるのかな?」
  • 「こんなところで顔を合わせるなんて最悪。今日はついていない」
  • 「イヤだな。気づいていないふりをしなくちゃ。迂回しないと」

とさまざまな考えがとっさによぎります。これが自動思考です。

自動思考をチェックすると「認知」に気付ける

出会いたくない人を見かけたときに起こる自動思考。ここをチェックしてみると、自分が根本で何を考えているのかがわかります。例えば「まあどこで出会っても、軽く挨拶してさっと別れたらいいや」と捉えていれば、気付いていないふりや迂回は必要ないはずです。そんなことを思いもしないでしょう。

今回はネガティブな例えをしましたが、ポジティブな自動思考もあります。例えば「ここで嫌な思いをしたから、今日はいいことしかないかもしれない!」「この時間にこの場所にいると嫌な思いをするのだから、次からは回避できるな」といった前向きな思いも、もちろん自動思考のひとつ。このチェックにより、自分が物事や出来事をどう認知しているのかがわかるようになるのです。

自動思考から見る「認知の歪み」をチェック

ウィニコット Winicott D. W.

ポジティブな自動思考ができればママの悩みはありませんが、どうしても育児でストレスフルな毎日を送る方は、自動思考がマイナスに向かいがちで認知にも歪みが生じます。

「どうして私は周りと比べてできないママなの?」「うちの子は育児本のようにうまくいかない…」など、こうした心を病ませるのは認知の歪みが原因です。

そこで、ママが自分を自分で傷つけてしまう価値観を生まないために、認知の歪みチェックをしてみましょう。アメリカの医学博士であるアーロン・T・ベックが提唱する10のパターンをご紹介します。

ベックが提唱する文言は、正しくはやや難しい言葉です。今回はわかりやすいように、簡単な説明でチェック項目を作成しています。

完璧主義者になっていない?

最初のチェック項目は自動思考が0が10かの極端な考えになっていないか。例えば「ママなら食事は全部手作りするのが当たり前。子どもを失敗なく、ずっと見ていなくちゃいけない」といったものごとを白か黒か極論化して考えるものを指します。

ただ、当たり前ですが完璧に育児をこなせるママは世界中探してもどこにもいません。自分の欠けている部分や失敗を「そんなこともある」と認められないのは、認知の歪みが隠れているかもしれません。

思い込みが激しい

これは「一般化のしすぎ」と言われ、一度自分に起こった不幸がこの先も繰り返されるような思い込みを指します。特にネガティブな思考に傾くのが特徴です。

「外で遊ぼうとしたら雨が降ってきて、洗濯物も濡れるし子どももぐずぐず。この先何をやってもうまくいかない…」こんな自動思考が現れていたら要注意です。

また、物事だけでなく一度イヤな人と思った相手の全部が嫌いになる「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というのも、この思考のクセから生まれます。

悪いところだけを見ていない?

自動思考をチェックすると、たくさんの成功があるのにたった一度の失敗ばかりに目が向き「私はこんなこともできない」と思い込んでしまう自分にも気づけます。ちょっとしたミスや日々のうまくいかないことでひどく落ち込むママは、もしかすると「心にネガティブなフィルター」がかかっているのかもしれません。

マイナス思考になっていない?

マイナス思考が強いと、どんなポジティブなことでも自分でネガティブなものに塗りかえてしまいます。

例えば子どもの誕生日はとても喜ばしいこと。しかし、認知の歪みがあると「この先はもっと大変。イヤイヤ期も始まるしトイトレもしなくちゃいけない。きっとうまくいかないだろうな…」と思ってしまうのはマイナス化思考が進んだ状態と言えるでしょう。

勝手に人の気持ちを想像していない?

とっさに思考するクセとして、事実とは違う悲観的な結論に飛躍してしまうものが挙げられます。例えば「挨拶を無視された!きっと私が嫌われているからだ」と思ってしまうのは、勝手に人の気持ちを想像し行動の意味をネガティブに解釈しすぎているからかもしれません。

人の気持ちはポジティブにも想像できます。あまりにも行き過ぎたネガティブ思考が止まらない場合は、もう少し前向きに意識ができるとよいですね。

失敗を大げさにとらえていない?

ちょっと失敗したりうまくいかないことがあったりすると、実際には良いところもたくさんあったのに失敗しか認識できないのは、認知の歪みのひとつ。悪いことが起こるとすべてが台無しになり、次もきっとうまくいかないと考えが飛躍してしまいます。

例えば褒められたときに「いえいえ、私なんて…」と必要以上に謙遜して評価を受け入れられないのは、失敗を大げさに捉えて自己評価を下げてしまう認知の歪みです。

不安感や不信感だけを信じていない?

物事の良しあしは自分の価値観で決定できますが、感情的な部分特に不安や不信だけを信じてしまうのも、避けた方がよい思考のクセです。「○○してもずっとうまくいかない。一生このままに違いない」といったものや「○○しても私はどうせ治らない」と思っているのが代表例です。

この思考をそのままにしておくと、自分にどんどん自信がなくなり、新しいことに挑戦する気力がわかなくなります。また、不信感によってリスク回避できると我が子にも「だから言ったでしょう」とよりマイナス思考を信じてしまうため、注意が必要です。

べき思考に陥っていない?

べき思考とは、「○○すべき」「○○できて当たり前」という考えを指します。

ママの中でも特に多いこのべき思考。べき思考で「母親とはこうあるべき」と考えてしまうと、間違った価値観や偏った意見で自分を縛ってしまい、さらに生きづらさを感じてしまうでしょう。

べき思考は無意識のうちにイメージしてしまうため、自動思考に気付いて自分で少しずつ修正する必要があります。このブログでもべき思考について解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

「どうせ○○なんて」と思っていない?

どうせ私なんて、どうせうちの子なんて、という行き過ぎた謙遜は、「何をやってもうまくいかない」という不名誉なレッテルを自分自身に課している状態です。失敗すると、失敗がそのまま自分の価値になってしまうような錯覚にも陥ってしまいます。

その人の性格や行動の一部だけを見て決めつけようとせず、柔軟な考え方を持てるよう行動できるとよいですね。

全部自分のせいにしていない?

最後は「不運である」「子育てがうまくいかない」「今日も雨が降った」「また子どもがぐずっている」など、すべての悪い出来事を全部自分のせいだと決めつけてしまう思考のクセです。

何か自分にとっての不都合とは、原因を考えるのはとても難しいもの。忙しいママは「じゃあ全部自分のせい」と極端に考えてしまいがちですが、それは決して事実ではありません。

子どものことや自分に起こったこと、自分ではどうしようもないことまでママ自身が背負うべきではなく、自分ができる範囲のことを整理して、前向きに捉えるように意識できると理想的です。

まとめ

無意識のうちに思い浮かぶ自動思考。これを修正するのは少し手順が必要ですが、ママ自身が直そうと思ったときに自分に目を向けるだけで認識は変わります。認知の歪みは自分を生きづらくするだけでなく、ママだと一緒に過ごす時間が多い子どもにも影響することを考えて、できる範囲で修正してみるとよいでしょう。

【参考】

自動思考をチェックすれば、変化する手がかりになる | きくこといいこと

認知のゆがみとは?10パターンの具体例や原因、治し方、チェック【公認心理師監修】 丨コグラボ- Cognitive Behavioral Therapy Lab

極端な考え方になっていない? 認知の歪み10項目をチェック! – オンラインカウンセリングのcotree(コトリー)

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。