SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?方法や気を付けるポイントを解説

SST とは

SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは、人が生きていく上で避けて通れない社会的なつながりを持つスキルを鍛えるトレーニングです。どんな人にも効果が期待できますが、特に神経発達症(発達障がい)のある子に対して、その子の特性を認めながら活かし生活するのに効果的といわれています。

ママの中にも「SST」という言葉を知っている方も多いかもしれませんが、今回は子どもも親も生きやすくなるSSTとは何か、方法やSSTを家庭にも取り入れるやり方を解説します。

SSTとは?

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SSTとはソーシャルスキルトレーニングの略称です。発達支援センターやカウンセリングなどで良く取り入れられるトレーニング方法で、人が他の人とかかわりあいながら生きていくために、欠かせないスキルを訓練するものを指します。

まずはSSTとは何か、概要から見ていきましょう。

SSTとは「生きるための訓練」のこと

SSTとは、生きていく上で必要なスキルを習得するためのトレーニングです。

普段何気なく社会の中で人と関わり合い生きていくかもしれませんが、その中で「初対面の人にいきなり失礼なことを言う」「知り合いでもない人に慣れ慣れしく接する」「適切な言葉遣いをしない」という行動など、してはいけないこととしてよいことは自然と使い分けていますよね。こうした当たり前の常識は誰しもが持っているわけではなく、発達障がいなど特性のある子はこの常識をスムーズに身につけることは難しいです。

例えば、遊びの中で子どもたちが設けたルール。これを守りながら楽しむのが難しい子もいます。授業は座ってやるもの、お友達を叩いてはいけない、この場ではおしゃべりをしてはならないなど、日常生活でも細かなルールは散見されますが、このルールを理解するのに時間がかかる子もいるのです。

こうした特性のある子どもにとって、効果的といわれているのがSSTです。SSTは、

  • なぜルールを守らないといけないのか
  • 遊びには勝ち負けがある
  • 悔しく思ったり腹が立っても自分の感情をコントロールする

などの日常生活における人との関わり合いスキルが身につくトレーニングです。

子どもの持つ障がいや特性上、「周りの子にできることが、我が子にはできない」と諦めてしまうママも多いでしょう。しかしこれは少し違っていて、特性のある子どもは「一般的な教え方では社会的なスキルが身につきにくい」だけなのです。そのため、その子にとって適切なアプローチ方法を考え、わかりやすく教えられるのがSSTといえます。

SSTが受けられる場所とは?

SSTは病院や療育センターで取り入れられています。専門家が在籍する施設では、SSTが受けられると考えておきましょう。

一方で、SST自体はそこまで難しいことではなく、専門家のみが行える療育ではありません。トレーナーやセラピストが行うこともありますが、やり方さえ理解していれば小学校の先生やママだって実践できます。

SSTの民間資格は存在しますが、実行する分には資格がなくてもOK。今すぐ試せるものなので、のちのやり方の一例を一度チェックしてみてください。

SSTの対象者とは

SSTが対象とするのは、社会上で人との関わりを苦手とする人全般です。

  • 指示を理解するのが苦手
  • 相手がなぜ怒っているのかどうしても理解できない
  • 衝動的な行動が多く、自分のコントロールが苦手
  • 得意なことと不得意なことに大きな差がある
  • 人と関わること、話すことや集団行動に強い苦手意識がある
  • 運動が苦手であり引きこもりがち
  • 情緒が常に不安定で安定しない

といった人には、SSTの効果が高いといわれています。以上のように子どもだけでなく大人にもSSTが行われることがありますが、今回は子どものためのSSTを知りたいママに向けてご紹介します。

SSTの方法とは

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SSTはさまざまな方法があり、実践する子どもにとって「何が分かりやすいか」を考えた上で方法を選びます。そんなSSTですが、ここでは大きく3つの種類に分けてSSTの方法をご紹介します。

行動を「見える化」する

多くのSSTでは、「遊んでいる子どもが描かれたカード」「食べ物や乗り物のカード」「表情が描かれたカード」など、行動や感情を絵や記号で表したものを使います。これはゲームのルールなどが口頭では理解しにくい子の特性に合わせられており、絵などでは頭に入りやすく覚えやすいという子に対して配慮しています。

例えば「この番号が出たら走る」という指示ではなく、すでに走っている姿のカードを用意して行動に移すなど、行動を見える化がポイントです。家庭でもこの見える化は取り入れやすく、ゴミ箱に「燃えるもの」「燃やせないもの」など言葉で説明するよりも、「こんなゴミをここに入れてね」とイラストを描いておいた方がうまくいくといった事例もあります。

ゲームや遊びを通じてルールなどを学ぶ

SSTとは「トレーニング」だから、授業のような勉強の側面が強いというイメージも持たれがちです。しかしSSTはそうではなく、簡単なゲームや遊びを取り入れながら進めていきます。

例えばすごろくやかるたなどといったボードゲームは代表的なSSTの手法のひとつ。体を動かすのが不得意な子でも楽しく遊びながら社会的なルールを身につけることができ、勝ち負けのない遊びであれば感情的にならず遊び続けられます。

また、この方法では「周りの子に「早く!」と言わない」「パスは3回までOK」など難易度を調整する独自ルールを設けることもあるでしょう。ゲームに使用するすごろくそのものやカードなどは販売もしているため、子どもの毎日の遊びにさりげなく使えるのがポイントです。

大人がロールプレイをし、その後実践する

最後のSSTの方法とは、劇のように日常を大人が再現して見せて学ぶものです。日常の場面を大人が複数人で再現し、「このとき○○と言われたら、悲しい気持ちになります」と表情のカードを見せたりすることで暗黙の了解や自分と他人の気持ちを理解するよう促します。

他人の感情を思いやるのが難しい子の場合、単純に「この場面では○○って言ったらダメ」と指示されてもなぜそれがいけないのかという理解までは到達しません。大人が見せることで、暗黙の了解や友人関係、他人の気持ちと自分の気持ちは異なることを、ゆっくりと学んでいけるでしょう。

日常生活に取り入れたいSSTとは

空間認識能力

SSTの中には、やはり専門家のいる施設でないと実践が難しい方法や、本格的でママ一人では真似しにくいという方法もあります。一方で、さまざまな方法があるSSTだからこそ、日常的に家庭内でも取り入れられることも多いです。

ここからは日常生活で取り入れられるSSTについて見ていきましょう。

毎日の挨拶

「おはよう」「いってらっしゃい」「ただいま」などの挨拶は、人とのコミュニケーションをする上で欠かせないものです。ママも職場に行ったとき、人と出会ったときにまずは「こんにちは」と挨拶から始めますよね。

このあいさつは自然と出るものですが、子どもの中にはどの場面でどの挨拶が適しているのか何となく理解できない子もいます。そこで、毎日根気強く家族の中で挨拶を徹底して覚えましょう。

適切なタイミングで挨拶できるようになるには、「大人から積極的に挨拶をすること」「挨拶を強要しないこと」が大切です。何かをしながらおざなりに挨拶するのではなく、子どもと目を合わせてきちんと挨拶ができるとよいですね。

順番を作り守る

順番やルールを守るというのは、SSTでも特に教えたい項目です。公園の遊具を使う順番が守れない子や自分が一番じゃないと泣いてしまう子はよく見られます。一番であろうとするのはもちろん悪いことではないのですが、そうはいかないときもありますよね。

こうした順番にまつわるルールを身につける、望んだ結果じゃないときに切り替えて諦めるというのは、親が普段見せられる行動や姿勢です。日ごろから順番を守り、一番になれなくても大丈夫と子どもに繰り返し姿を見せましょう。

大人がロールプレイをするSSTがあるように、子どもは言い聞かせではなく姿を見てさまざまなことを学びます。根気が必要なことですが、基本として守りたい行動です。

おしゃべりタイムを作る

いくら専門家が多数いる施設でSSTを行っても、効果が見られるまでには長い時間がかかります。これはコミュニケーションの経験不足とも考えられるので、とにかく身近にいるママが子どもと対話をたくさん重ねてコミュニケーションを図りましょう。

「このときにどんな気持ちになった?」「この場面では○○って言えばよかったのかな?」など、子どもの気持ちを引き出しながら会話するのが大切です。会話は親子の相互理解が深まる簡単で大切な手段なので、日常的に繰り返しておきたいですね。

まとめ

子どもにとって重要なSST。SSTというと専門的な施設でしか受けられない印象もありますが、実は日常生活でも取り入れられるちょっとした工夫を指します。子どもの特性上、「うちの子はみんなと同じではいられない」のではなく、社会的なルールや生き方を身につけるのに、ユニークな方法が必要になるといった違いがあるだけです。近くにいるママこそが子どもの理解者となり、親子が暮らしやすくなるよう適切なトレーニングを選んでくださいね。

【参考】

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?支援の対象、方法、気をつけたいポイントについて【専門家監修】【LITALICO発達ナビ】

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?40代母親の子育て・発達障害の子どもに効果 – 臨床心理士・パーソナルトレーナーの小中学生復学支援・小学生・中学生家庭教育支援・ 不登校母親メンタルサポート

SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?支援の対象、方法、気をつけたいポイントについて(2016年11月13日)|ウーマンエキサイト

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。