アドラーの心理学を親子関係に活かそう!今すぐ役立てるアドラーの心理学

アドラー 親子関係

アドラーの心理学、心の成長や勉強をしている方にとっては馴染みの深い学問です。分かりやすさと汎用性の高さから、アドラーの心理学はさまざまな分野で活用されています。

今回はそんなアドラーの心理学を、子育て中のママ向けに解説。アドラーの心理学から学ぶ親子関係の作り方、子育て方法をご紹介します。

アドラーの心理学とは?

ママの笑顔

アドラーの心理学というものを聞いたことはあるママは多いかもしれません。ですが、心理学の中でもアドラーが提唱するものは何なのか、いまいちわからない方もいますよね。まずはアドラー心理学とは何か、わかりやすくご紹介します。

育児にも対人関係にも使えるアドラーの心理学

アドラーの心理学とは、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーが提唱した心理学を指します。アドラーは自分の主張テーマとして「人は目的のもとで生きている」「幸せになるには勇気を持つ」と掲げています。

そんなアドラーの心理学はよくビジネスシーンで活用されますが、それだけじゃなく対人関係や親子関係、育児にも活かせるポイントがたくさん。心理学というと難しいイメージがあるかもしれませんが、アドラーの心理学は分かりやすく触れやすいことから、多くの方に人気があります。

親子関係では「対等な関係」が基本

アドラーの考え方の基本には、「親と子は対等な関係である」があります。アドラーは親子関係が正常に構築できない場合に、原因は「親と子は上下関係」になっている点を指摘しました。

親子は対等な関係であるというのは、ママである私達からすると「当たり前」と思うかもしれませんね。ですが、子どもはまだまだ未熟な存在。「ちゃんとこっちが指導しないと失敗してしまう」「良い子に育てないと」と親子関係の対等さにノイズが入ってしまうことも珍しくありません。

今一度、親子関係が上下関係になっていないかをチェックしておきたいものです。

  • 子どもは親の思うように育つもの
  • 子どもが言うことを聞かないのは、親のせい
  • 子どもは親の言うことに従わないといけない

こうした考えは、子どもの個性を見つめられない悪い例です。

アドラーとフロイトの違いとは?

フロイトとは、アドラーと同じオーストリアの精神科医です。フロイトも心理学の世界に大きな影響を及ぼし、同じように多くの方から支持を得ています。

このフロイトとアドラーはどんなシーンで心理学を生かすかが異なっており、フロイトは過去の行動が影響して今の行動が規定されるという説を唱えました。よく聞く「自我の芽生え」の自我を規定したのは、このフロイトです。

アドラーは人間関係、対人関係の心理学を提唱しているため、どちらも育児に活かせるポイントはあるけれど両者には違いがあるという点を頭に入れておきたいですね。

親子関係に活かす!アドラーの心理学

どうしてストレスがたまるのか

では、アドラーの心理学を親子関係に活かすポイントをチェックしていきましょう。この心理学を知っておくと、育児に行き詰まったときの解決ヒントになったり、親子関係の良好な築き方が分かったりします。

目的論「何のためにこれをするのか」

何のために今の行動をするのか、を意識するのが目的論です。アドラーの心理学の基本であり、人間の行動にはすべて目的が伴っていると言われています。ママが子どもにどんな関係を求めて、どうなりたいのか。まずは目的を一度明確にすると良いでしょう。

この記事を読んで親子関係について考えているという方は、少なくとも「上下関係を徹底したい」とは思っていないはずです。アドラーの考え方としてはどんな親子関係にも良し悪しを付けるのではなく、それぞれが「これがいい」と望めば問題はないと言われています。つまり、「友達みたいな仲の良い親子になりたいな」と望んだとして、周囲からいくら「ちゃんとしつけしないと」「親と子には違いを付けないと言うことを聞かなくなる」と言われてもそれは“問題のない考え方”です。

横の関係「子どもとママは共同体感覚」

次に、横の関係です。これは先ほどもご紹介したように、親子関係は上下ではなく横のつながり、対等な関係であるというのがアドラーの考え方です。

横の関係といっても、「仲の良い親子だから何でも許して良い」というわけではありません。互いに尊敬し合い信頼できる関係がベスト。社会的なルール、マナーを知らない子どもには「言うことを聞かせる」のではなく「正しい方向に導く」ようにしてゆっくり教えてあげたいですね。

縦の関係である上下関係だと、子は親にもしくは親は子に「承認されたい」という欲求が生まれます。一方で横の関係には承認が存在せず、対等な立場の共同体感覚が育つのです。

課題の分離「宿題をするのは子ども」

次に、課題の分離です。これは夫婦関係にも活かせるポイントで、「私の問題は私のもの。パパの問題はパパのもの」としっかり区別すると関係性はうまくいきます。パパが子どものお世話でうまくいかなくても、それは子どもとパパの問題でありママが口を出す必要はありませんし、ママが事態を収めるのが最善策ではないのです。

例え子どもが宿題をしなくても、困るのはママではなく子どもです。もちろん忘れているようなら声掛けは必要ですが、宿題を忘れて先生に叱られるのはママ自身ではありませんよね。必要以上に相手に介入せず、課題の分離を行って自分の問題と他人の問題を混同しないようにしましょう。

勇気づけ「子どもをサポートする声掛け」

最後はアドラーのテーマでもある「幸せになるには勇気が必要」という考え方です。困難を乗り越えるため、問題解決するためには勇気は大切な要素です。一歩踏み出すことができれば、問題は解決され健やかに生きることができるでしょう。

そのために、ママは子どもに勇気が出る声掛けを心がけましょう。

  • うまくいかなくても大丈夫
  • ○○が成功したね、これまで頑張ったからだね
  • 次はうまくいくかもしれないよね

こうした声掛けをママから始めることで、親子関係は変わっていきます。親子関係を変えたいのなら、子どもの変化を待つのではなく今すぐできる大人の意識を変えてみると良いのかもしれません。

友達のような親子関係でもNGなこととは?

分離不安 子ども

友達親子を目指していても、NGとなることはあります。最後にアドラーの心理学を正しく活かすために、気を付けておきたいポイントをご紹介します。

相手のことを尊重しない、支配しようとする

友達のような親子関係なのだから、相手には何を言ってもいい、家族なんだからどんな感情もぶつけていいかというとこれは違います。繰り返しお伝えしているように、相手を尊重せず支配しようとする、自分の思い通りに動いてもらう考えはNGです。

親しき仲にも礼儀ありという言葉があるように、相手の状況や心境を汲んだうえで関係性を築いていきましょう。

子どもに「言うことを聞かせる」

次に、子どもに言うことを聞かせるものです。これは明らかに上下関係であり、そもそも子どもが親の言うことをすべて聞くかというとそうではありません。

  • 今はこれはしたくない
  • ○○の方がしたい
  • 少し待って欲しい

子どもにもさまざまな言い分がありますし、これを無視すると先ほどの「支配しようとする」に当てはまりますよね。対等な関係であるからこそ、子どもの言うことを「それは関係ない」と否定せず一度聞いて受け入れましょう

親の言うことをきちんと聞く子が良い子かというと、それは「親の都合が良い子」でしかありません。ママと子どもは関わる時間が長いからこそ、互いに認め合っていけると理想的です。

まとめ

親子関係のお悩みは子育てにおいて尽きませんが、アドラーの心理学は分かりやすく簡潔に「何をすればよいのか」を教えてくれます。当たり前のことかもしれませんが、親と子の対等な関係に気付いていなかったというママもいるかもしれませんね。

アドラーの心理学はたった今からでも実践できます。良好な親子関係を築き、子どもと親は互いに安心できる存在になってみましょう。

【参考】

アドラー心理学とは? 【わかりやすく】フロイトとの違い – カオナビ人事用語集

アドラー心理学の子育てには「対等な関係」だけでなく「共同体感覚」の養成が必須 :家庭教師 長谷川満 [マイベストプロ神戸]

友達親子に憧れるけど問題はある!?アドラー的理想の親子関係を解説 – パパしるべ

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。