アドラー心理学とは?子育てに活かす方法や考え方をご紹介

アドラー心理学 子育て

子育てには悩みがたくさん。「私の育児、このままでいいのかな」と壁にぶつかることはしょっちゅうあるでしょう。

今回はそんな育児の悩みをアドラー心理学で解決。アドラー心理学を聞いたことはあるけれど「どう子育てで活かせばいいの?」とお悩みのママに向けて、声掛けの例までご紹介します。

今よりも少しだけ子育てが楽になるアドラー心理学、ママの生活に役立ててみましょう。

アドラー心理学とは?3つの特徴を解説

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アドラーとは、オーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラー氏のことです。このアドラー心理学はフロイト、ユングに並ぶ「三大心理学」のひとつともされ、子育てだけでなく人材育成が必要なビジネスシーン、職場や学校での人間関係・対人関係を構築する私生活でも役に立つポイントがたくさんあります。

まずはアドラー心理学を知るために、この心理学が持つ3つの特徴をチェックしていきましょう。

大切にしているのは「共同体感覚」

アドラーが大切にしているのは、共同体感覚です。共同体とは他人同士が互いに尊重し合い、助け合って生きていくことを指しますよね。この感覚をアドラーは基本としており、親子関係に当てはめると「上下関係ではなく対等な関係が推奨される」と言われています。

一人ひとりが自分らしく生活でき、協力し合って関係していくのが理想的な親子関係です。もちろんママも「ママとしてあるべき姿」ではなく「一人の人間として」生きていくことが大切。この感覚を高めるためには、ありのままの自分を好きになり認め、他人にもありのままを受け入れて認める必要があります。

人間の幸せの条件を満たす

次に、人間の幸せの条件を満たすことです。アドラーは「幸せになるには勇気が必要」と考えており、少しの踏み出す勇気があれば人間は誰でも幸せになれると提唱しています。

勇気があれば、他人に依存せず自立できますよね。このように共同体感覚はありながら個として自分の主張、行動への責任を持ち、自立することこそアドラー心理学の求める姿です。

「褒めない」「叱らない」が基本

アドラー心理学では育児は褒めない、叱らないのが基本です。「じゃあ子どもの行動に対して何のアクションもしないの?」ではなく、

  • 褒めない……○○してくれてありがとう、助かったよと気持ちを伝える
  • 叱らない……親の言う通りにしないと叱る、怒ることを避ける

以上がアドラー心理学の考える子育てです。

仲の良い親子関係を築くあまり、親が子の言いなりになるのは違います。叱ると怒るには明確な違いがあり、これを混同しないように注意しておきましょう。

また、褒めるというのは難しいことというのも、当ブログではお伝えしました。

褒めるときに結果ばかりを評価しないように、ママがどう子どもの行動を受け止めて言葉を伝えたいかを優先すると、子どもの次の行動の勇気に繋がり好循環が生まれます。

アドラー心理学がもたらす子育てへのメリット

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アドラー心理学は子育てへの大きなメリットをもたらします。アドラー心理学の人気の理由を今一度チェックしてみましょう。

子どもの安心できる場所が「家庭」になる

共同体感覚が育つと、子どもは親を信頼し親も子を信頼できるようになります。互いを認め合い尊敬し合える関係というのは、親子というよりも親友そのものですよね。

自分のことを認める人と一緒に住んでいる家庭は子どもの安全基地になるでしょう。家庭で上下関係を徹底すると確かに子どもは言うことを聞くようになるのかもしれませんが、子どもにとって家庭は緊張する場でしかありません。

子どもの安心できる場所を家庭にするには、共同体感覚を大切にするとうまくいきそうです。

安心できるからこそ家の外へ冒険ができる、勇気が出る

家庭が安全基地になると、次は外に出る勇気が持てます。勇気とはアドラー心理学において「幸せになるための要素」というのは先ほどお伝えしましたよね。何も持たない状況から勇気を出すのはとても難しいのですが、家庭が安心できる場所であり帰る場所があると認識できれば、家の外に冒険するのも多少の失敗も乗り越えられます。

ママ自身も「怒りすぎ」が防げて気持ちが楽に

アドラー心理学では褒めない、叱らないが基本です。これは毎日怒ってしまう、褒め方が分からなくて子どもに気持ちが伝わっているか心配というママでも、気が楽になる方法ではないでしょうか。

子どもに叱らないように、怒りすぎないように気を付けるには、まず相手を知らなくてはなりません。ママと子どもの意見が異なるのは、相手の状況が把握しきれていない証拠でしょう。また、子どもの心に刺さる声掛けも心理学を学ぶと分かるようになるため、言い過ぎやしつけするタイミングもつかめるようになるかもしれません。

アドラー心理学の「勇気づけ」をする声掛けの例

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最後に、アドラー心理学から見る親子関係においてやっておきたい声掛けの例をご紹介します。これらはすべて子どもを勇気づける声掛けです。

アドラー心理学の考え方は分かったけれど、いざ実践するのは難しい、私生活の中でどう使えばいいのかピンとこないと悩むママもいますよね。以下の例を参考に、今日からでも始められるのでママの方から変わってみてください。

「○○ちゃん嬉しそうだね!ママも嬉しいよ」

こちらは褒め方の例。例えば子どもがテストで高い点を取ってきた、100点を取ってきたとしましょう。このとき、「100点が偉い」と結果だけ褒めてしまうと、次に90点を取っても全体でみると十分な成果であるにもかかわらず子どもは「100点じゃないから意味がない」と頑張る意欲を失ってしまいます。

このときやりたい声掛けは、

「○○ちゃん嬉しそうだね、ママもとっても嬉しい!」

というものです。子どもの気持ちを代弁したりもしくは客観視して「嬉しそうに見えるよ」と教えてあげたりして、ママ自身もそんな子どもを見られて嬉しいなと伝えてあげましょう。

「ありがとう、助かったよ」

お手伝いをしてくれたら、この調子で次もお願いしたいな、続いてくれると嬉しいなとママは感じますよね。効果的な声掛けには、

「ありがとう。すごくママ助かったよ」

というものがあります。お手伝いの出来不出来は関係なく、子どもがその行動をしてくれたらどう感じたかを素直に言葉にして伝えると良いですね。

また、ママの助けになったというのは子どもにとって勇気づけられるものです。人を助けてそれに感謝されると「他者貢献」という心情を獲得でき、これは勇気を出すことと同じように人間の幸せの条件とも言われています。

「昔はできなかったけど、今はできるようになったね」

テストの点にしろ運動の成果にしろ、比べるのは「お友達よりも上手だった」「きょうだいよりも上手だった」のではなくいつでも過去の自分だけにしましょう。

「昔は○○できなかったよね。でも今はできるようになったね!」

と過去を持ちだすことで、子どもにとって「自分は成長している」という自信につながります。例えば運動会のとき、上手に体操できていたねと褒めるよりも、前の運動会よりももっと大きな動きができていたね、倒立ができるようになったんだね!と伝えた方がより具体的で子どもの心にも残ります。

人と比べると、どうしてもその褒め方には限界がきます。また、比べる人がいなければそれ以上の上達も望めません。褒めることの目的は「連続して行動して欲しい」のか「次へのステップになって欲しい」のか今一度考えると、声掛けも充実するでしょう。

まとめ

アドラー心理学を子育てに活かす方法はさまざま。子どもの健やかな成長を促すだけでなく、ママの気持ちも楽になるメリットがあります。

ぜひ家庭にあった声掛けの方法をチェックして、これからの子育てに活用してみてくださいね。

【参考】

「すごい」「えらい」より効果的! 褒めず・怒らずに子どもを自立させるアドラー式子育てとは

アドラー心理学は子育てにも活かせる?『嫌われる勇気』著者・岸見一郎さんに聞く、対等な親子関係の大切さ|学習と健康・成長|朝日新聞EduA

子どもを勇気づけるアドラー式子育てとは?褒めない・叱らない・子どもを伸ばす声かけの方法! | コラム | 塾選び富山

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。