ハイリーセンシティブチャイルド、HSCと呼ばれる子どもがいます。これは子どもにある生まれつきの特性で、人一倍繊細な子を指します。
繊細な感性を持つからこそ、いろいろなできないことや一般的な育児とは異なることがあるため、ママの中には「HSCの子育てが疲れた」「子育てでイライラする」とストレスを感じてしまう方も。
今回は我が子はHSCなの?HSCの子育てでイライラしたらどうする?といった疑問にお答えします。
うちの子「HSC?」HSCとは
HSCとは人よりも数倍繊細で、敏感な子どもを指します。まずはこのHSCとは何か詳しく知っておきましょう。
ハイリー・センシティブ・チャイルドのこと
HSCとはハイリー・センシティブ・チャイルド(Highly Sensitive Childの頭文字を取ったものです。直訳すると「非常に敏感な子」「高度な繊細さを持つ子」となり、5人に1人の割合で存在すると言われています。
HSCはアメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏によって提唱され、
「感覚や人の気持ちに敏感で傷つきやすい子ども」
HSC(Highly Sensitive Child)ハイリー・センシティブ・チャイルド | 仙台の心療内科・精神科・美容内科マドレクリニック
と定義づけられています。HSCは特に子どもを現わす言葉であり、大人で特別敏感な感性を持つ方はHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)と呼ばれます。
HSPは生まれつきの特性であり、育ち方や外的要因で現れるものではありません。また、特性なのでしつけや言い聞かせでどうにかなるものでもなく、本人と周囲の大人がうまくHSCと付き合っていく必要があるでしょう。5人に1人なので、意外と珍しくないのも特徴の一つです。
HSCの特徴とは?
HSCはどんな子どもを指すのでしょうか。非常に敏感な子であるため、特に集団行動やにぎやかな場所が苦手という特徴がよく見られます。
子どもは成長とともに保育園や幼稚園、小学校で集団生活を始めますが、HSCだとなじむのに時間がかかり困難を覚えます。中には不登校や登園しぶりを見せる子もいて、ママとしては悩むかもしれません。
「人が大勢いる場所だとすぐに疲れてしまう」「大きな声を出されると必要以上に委縮する」「ちょっとしたことで傷つき、怖がってしまう」というのも特徴のひとつ。もしかすると、我が子の性格にも当てはまっているという方もいるのではないでしょうか?
HSCの子育てでイライラする!
HSCは生まれつきの特性であり、例えHSCによって生活に困難が生じても、子どものせいでもママのせいでもありません。ですが、人一倍敏感な子だからこそ、ママが理解できずに子育てでイライラする!ということもありますよね。
次は、HSCの子育てとママのストレスについて、深く考えていきましょう。
ママだって一人の人間。イライラするのは当たり前
HSCは治らないものであり、特性とうまく付き合う必要があります。さらに子どものせいでもないのですが、そう分かっていてもママがイライラするのは当たり前です。時には「周りの子はあんなにできているのに、どうしてうちの子だけ…」と周囲と比べて不安になるかもしれませんね。
この子育てのイライラは、ママだって一人の人間なので当然あって当たり前です。HSCの子でなくてもイライラすることはありますし、イライラするのはHSCに理解がない証拠というわけでもありません。
大切なのは、イライラや怒りの感情をまったくなくすことではなく、どうイライラを解消するかです。子どもや周囲に当たってイライラを発散するのではなく、あらかじめママがどんな時にイライラするのかを予測して、対策しながら毎日を過ごすと良いでしょう。
子育てはどうしても疲れるもの
子育てはどうしてもイライラしてしまいます。HSCじゃなくてもイヤイヤ期の子どもを持つママは「毎日叱ってばっかりで自己嫌悪」と悩むこともありますし、ママ自身の体調が悪くて余裕がなく、イライラしてしまうこともあるでしょう。
HSCだからと特別ゆっくり慎重に子育てするのは大切、それ以前に子育てはどうしても疲れるものという意識を持っておきましょう。
HSCは遺伝するものではないため、ママが子どもの気持ちをうまくくみ取れないかもしれません。子どもの考えによく耳を傾け、ママといるときは何も気を遣わなくても良い状態にしてあげるとベストですね。
HSCは言い聞かせではよくならない
HSCの子育てでイライラするママの中には、「子どもがこんなに怖がりなのは私のせいだ」「しつけできなかったから子どもがHSCになった」と自分のせいにしてしまうことがあります。しかし、説明しているようにHSCとは先天的特性であり育児のやり方や声掛け次第で引き起るものではありません。また、HSCは子どもの性格の一つなので、直すこともできないでしょう。
今一度、ママはイライラしても「自分のせいではない」ことを認識しておきましょう。同時に周囲にもHSCを説明して、理解してもらえるとより子育てのイライラは解決できます。
HSCの子育てとどう向き合う?
では、実際に我が子がHSCだと気付いたら、どんな子育てをすればよいのでしょうか。最後にHSCの子育てについて、詳しくポイントをまとめてご紹介します。
我が子の特性を知る、認める
まずは、我が子の特性を知り認めるところから始めましょう。HSCは一般的に普及されている言葉とはまだまだ言えず、この記事を読んで初めて知ったというママもいるかもしれませんね。幼稚園や保育園など集団生活になかなかなじめなかったり、大勢でわいわいする場所を子どもが嫌っていたりしたら、その子どもの意思を尊重しましょう。
まだうまく言葉が使えない小さな子だと、理由もなく泣いてママに教えてくれるかもしれません。大切なのは、決して周囲と比べないことです。例えば遊園地は子どもが喜ぶイメージがありますが、HSCの子にとって楽しい遊びの場所かというとそうではありません。こうした予想と違うことが起きても、子どもに無理強いをせず我が子の成長ペースを見守りましょう。
「みんながこう思うけど、この子はこう思う」ことを肯定してあげて、子どもがより楽しめる工夫をしてみてくださいね。
ママ自身自分に完璧を求めない
HSCの子育てはママ自身も気を遣うもので、「これは大丈夫かな?」「この言い方はダメだったかな?」と大変な思いをしがちです。そんな中、子どもをHSCのない子として育てないといけない、子どもを泣かせないように、刺激させないようにとすべて完璧に立ち回るのは不可能に近いでしょう。
ママ自身自分に完璧を求めず、家事も育児も「大体でOK」と寛容な心を持つとイライラも軽減できます。完璧に育児しようとするママはストレスもためやすく、また子どもにも同じように厳しさを与えがちです。お互いに許し合って「大体できればOK」の精神で、育児と向き合えると良いですね。
自己肯定感を高める子育てを
最後に自己肯定感を高める子育てを意識することです。自己肯定感とは「ありのままの自分を許し、認める力」を指します。自分のことが大好きでなくても良いので、失敗してもダメな部分がある自分でも「大丈夫」と肯定すると自己肯定感は育めます。
HSCの子どもにも、同じことが言えますよね。人より敏感でも、怖がりでもチャレンジする勇気が出なくてもママが「大丈夫」と認めてくれると子どもには心強い味方になります。人一倍繊細ということは、感性もその分優れていて「人にはわからない部分まで感じ取れる才能」がある子です。子どものこうした特性もすべて愛してあげて、認めてあげましょう。
まとめ
敏感で繊細、けれどもそれも優れた才能の一つであるHSC。HSCの子育ては確かにイライラすることもありますが、ママとしては子どもの特性を知り、認めてあげることが大切です。
子育てでイライラしても、決してダメなママではありません。ママも子どもも楽に幸せに過ごせるよう、日々の暮らしをもう少し気楽に考えてみてくださいね。
【参考】
HSC(Highly Sensitive Child)ハイリー・センシティブ・チャイルド | 仙台の心療内科・精神科・美容内科マドレクリニック