自己否定の原因を考えたことはあるでしょうか。自己否定とは「自分を否定する」ことを指しますが、ひどくなると思考の癖になってしまい自己否定を止めるのが難しくなります。
今回は自己否定とはなにか、また原因は何かを一緒に考えてみましょう。自己否定の根底を知った上で、乗り越える方法もご紹介します。
自己否定には原因がある?「自分は何をやってもダメ」が癖になる理由とは
「自分は何をやってもうまくいかない」「どうせやっても成功しない」。こんな気持ちが強く、自分の行動や考えをすべて否定してしまうのが自己否定です。
自分は何をやってもダメが癖になるには、原因があります。まずは根本的な原因をチェックしていきましょう。
自己否定は「自分を守る手段」だから
自己否定は一概に悪というわけではなく、時にはメリットとして働くこともあります。例えば難しい挑戦や失敗する可能性が高いことに取り組むとき、「まあ失敗してもいいや」と後ろ向きの意欲で取り組むと意外と力が抜けて、本領が発揮できることもあります。また、実際に失敗してしまったとしても「ほらね」と自分を安心させることもできるのです。
こうした自己否定は、自分の心を守る手段。心理学者の中でも「自己否定は自分が傷つかないための予防線」と呼ばれることもあるくらいです。
ただ、この自己否定を使った成功体験は自己否定を癖にしやすいものだと頭に入れておきましょう。自分を守る手段だとしても、行き過ぎたネガティブ思考はデメリットが目立ちます。
自分に嘘をついている
次に、自分に嘘をついている場合です。これはよく育児中のママに見られる状況で、
- ママだから子どもを好きでいるべき
- ママだから自分を犠牲にして家族のために尽くすべき
- ママだから趣味を持ってはならない
といった本質的な自分を消し、「べき思考」に当てはめて世間的に見た「良い母」を演じる方は自己否定がおこりやすいです。
なぜなら、誰でも個性は持っておりママだとしても「育児が苦手」「子育ては好きじゃない」という方はもちろんいます。その点を周囲と比べて「自分はできない」とネガティブに感じてしまい、ここから自己否定が始まることも珍しくないからです。
自己否定が癖になる過去がある
自己否定の原因として多いのが、「過去にそういう言葉がけをされ続けた」「自分は大したことない、何をしてもダメだと育てられた」という過去を持つケースです。
日本の文化は、謙遜したり周囲に「自分はまだまだ」と言い控えることが美徳とされる背景があります。だからこそ日本人は全体的に自己肯定感が低く、生き辛さを覚える方も多いと言われているのです。もちろんこれまでの育児を否定するわけではないのですが、今自己否定で悩んでいるママの中には、「自分自身もそのようにネガティブ思考で育てられた」という方もいるかもしれませんね。
確かに親からの言葉で、子どもは一気に自信を無くすこともあります。幼少期に言われたことを、大人になっても強く覚えている方もいますよね。こうした過去は自己否定癖の原因になりますが、自己否定こそ自分で否定して改善するのもいつからでもできます。また、自分がもらった言葉が「不適切」だと知っているママは、次は自分の子には「適切」な声掛けができるはずです。
自己否定の原因を考えて、自己否定を乗り越える方法
自己否定の原因を知った上で、自己否定を乗り越える方法を考えてみましょう。3つの方法にまとめたので、一つずつご紹介します。
他者と自分の違いを認め、受け入れる
自己否定を乗り越えようとすると、極端に「否定しちゃダメ!」と無理やり変えようとすることが思いつきます。確かにネガティブ思考をストップできれば良いのですが、自己否定とは誰しもやることであり、完全にゼロにはできません。
まずは他者と自分の違いを認めた上で、受け入れるようにしましょう。自己否定する自分もそのまま許してあげるのです。「自分はダメだと思っているんだな」「失敗しそうで怖がっているんだな」と冷静に受け止めることで、自身を客観視できます。
所属するコミュニティを見直す
次に、自分にかかるストレスを少しずつ軽減していきましょう。自己否定が止まらずどうしようもないとき、心理カウンセリングでは「やっていて楽しいことや、趣味はありますか?」と尋ねることがあります。楽しいことや夢中になれるものを考えている時は、自分への否定が止まるからです。
そこで、自分の環境を見つめ直し所属するコミュニティは「本当に自分を高めてくれるのか」も考え直してみましょう。
- 本当にママ友とグループで行動するのが幸せ?
- 本当にポジティブに活動できる友人関係?
- 本当に子どものための習い事?
もちろん育児をする限り、避けて通れないコミュニティはあります。そこに無理に所属するのがママとしてあるべき姿ではなく、「子ども同士の関係性は子どもに任せて、ママは自分の心地よい居場所を見つける」のもママとしてバランスの取れた行為です。自然と「べき思考」がここでも使われていないでしょうか?今一度考えなおしてみるのもおすすめです。
日記を付ける
ポジティブシンキングを作る基本として、今日1日の行動を反省する方法があります。振り返ってみてその時どう思ったのか、日記をつけてみてはいかがでしょうか。
日記を付けるときは、何か起きた物事を取り出すだけでなくその時何を感じたのか、どう気持ちが揺らいだのかもメモに残しておくと良いでしょう。起きたことに対して、「もしかするとこの時言われた言葉はこういう意味だったのかもしれない」「こうすればよかったのかもしれない」と前向きな気持ちも残しておきましょう。
今後、同じようなことが起こっても嫌な思い以外の感情もあるかもしれません。自己否定は自分に対する予防線ですが、このようなポジティブな予防線もあるため使っていきたいですね。
子育てママの自己否定、どう向き合う?
ここからはママが「育児中」という視点から、自己否定とどう向き合うかをご紹介します。子育て中に起こりやすい自己否定は、時に子どもへの悪影響として現れることもあります。正しく理解して、親子で前向きな感情を大切にしていきたいですね。
育児本を参考にしすぎない
自己否定をしやすい人の特徴として、「周りと比べて自分がそうでないことに後ろ向きな気持ちを抱いてしまう」というものがあります。育児本や育児サイトなど、今は子育てに関する情報が必要以上に溢れている状態。その「普通の子育て」と自分自身を比較しすぎないようにしましょう。
子育て中のママならみなさん分かっていることかもしれませんが、育児本というのはただの一例にしかすぎず、子どもの育ち方や何が良い子育てかというのは各家庭や子どもそれぞれで異なります。育児本だけを自分の芯にせず、たった今の子どもと向き合ってママなりの子育てをしてみてください。
「子どものために」を盾に自己否定しない
こちらも「べき思考」と同じように避けたい思考の癖です。「子どものために」「子どもが良い子に育つために」という理由で、ママ自身の考えを否定しないようにしましょう。
「本当はこうしたいけれど、子どもがいるからやめておいた方がいいよね」などの自己否定が癖になっていないでしょうか。確かに自制心は大切ですが、その制御する自己否定はもしかすると子どもにも向かうかもしれません。ママが笑顔で過ごしていると、子どもにとっても良い養育環境が作れます。今一度、ママ自身は自分を大切にする気持ちを持ってみましょう。
まとめ
自己否定の原因はさまざま。とはいえ、どれも原因を考えると改善方法も見えてきます。自己否定は考え方次第ではうまく利用できますが、子どもとママの自己肯定感を高めるためにも必要以上のネガティブシンキングは止めておきましょう。
できることから始めて、前向きな育児を目指してみるのがおすすめです。
【参考】
脳の活動低下を招く「自己否定」する人の特徴3つ | 読書 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
自己否定が止まらないのは病気?強い自己否定感の克服方法|オンラインカウンセリング うららか相談室