突然子どもが「キー!」「キャー!」と奇声を上げることがあります。
子どものこうした“癇癪”は珍しいものではありませんが、度々奇声を上げられると「周りに迷惑になるんじゃないか」「うちの子はどこかおかしいのかな?」「うるさくて私の気持ちが参りそう!」とママとしても悩みが増えます。
今回はそんな奇声を上げる子どもについて、一緒に考えてみましょう。子どもが奇声を上げる心理、どう言い聞かせすればよいのかを解説します。
奇声を上げる子ども、うちの子は変なの?
子どもが甲高い声を上げることを、奇声と呼ぶこともあります。この「キー!」といった声を上げるのは決して珍しいことではありませんが、あまりにも頻繁だとママとしても困ってしまいますよね。
まずは子どもの奇声でよく寄せられるお悩みをチェックしていきましょう。
突然の奇声に驚くことも!
静かに過ごしていたのに、突然「キャー!」と子どもが叫ぶとママとしても驚きます。この奇声は0歳の赤ちゃんにもみられることがあり、言葉が出てきた4~6歳の子も甲高い声を上げる場合もあるでしょう。
育児経験のあるママなら「奇声はよくあること」と受け止められるかもしれませんが、子育てが初めてのママ、これまで静かだと思っていた我が子が突然奇声を上げ始めたママは、驚き原因を探るかもしれませんね。
後ほど子どもの奇声を上げる原因を考えてみますが、奇声の他に
- 怪我など別の症状がある
- 発熱している、風邪を引いている
- 手足まで突っ張っていて明らかにいつもと様子が違う
などの症状がなければ、子どもの奇声は「子どもが意図して行ったもの」です。
周囲の迷惑になっていないか不安
キャー!と叫ぶ奇声は、いずれママも慣れてしまうもの。しかし、突然大きな声で叫ばれると周囲の方にとっては迷惑になることもあります。
お買い物中や児童館など施設を利用中など、子どもの奇声が周囲の迷惑になりそうと不安に思うママは多いでしょう。しかし、子どもの奇声はありふれたことで特に小さな子だと言い聞かせもうまくいきません。
この場合は、子どもをやめさせるよりも、周囲への理解を得た方が早いです。子どもがなぜ奇声を上げるのかを理解し、「慣れない場所なので子どもが声を上げるかもしれません。ご迷惑をおかけします」「最近楽しくなると声を出すようになりました。すみません」と一言お詫びをしておきましょう。
子どもの奇声は子育てをした経験のある親にとっては当たり前のことです。とはいえ、子育ての経験がない方もいれば、子育てを既に卒業してその頃の大変さを忘れてしまっている方もいるでしょう。開き直った態度ではなく、子どものためにも親として正しい対応を心がけてみましょう。
発達障害?と心配になる
奇声を上げる子どもは、しばしば「発達障害のサイン」と言われることがあります。確かに発達障害の中には奇声を上げる特徴も含まれるかもしれませんが、ポイントは子どもがどんな状況で奇声を上げているのかをチェックすることです。
0歳の赤ちゃんが奇声を上げるのは、伝えたいことがあるために大きな声でママを呼んでいるのかもしれません。面白くても「笑って表情で表す」ことが分かっていないと、「キャー!」といった奇声になるでしょう。
奇声=発達障害とは断言できず、また0~3歳の子どもでは奇声を上げるからだけで発達障害の有無は分かりません。例えば言葉の出が遅れていたりお友達と一緒に遊ぶのが難しかったり、他の気になることと総合的に考えた上で、専門家が判断しなければなりません。
なぜ奇声を上げるの?その理由を解説
なぜ子どもは奇声を上げるのでしょうか。奇声を上げる子どもの心理を考えてみます。
何かを訴えたいため
子どもの奇声のほとんどは、何か伝えたいことがあるけれど言葉にならず、大きな声となって表現されるものです。
- お腹が空いた
- 足、手が痛い!
- おむつを交換して欲しい
そんな思いがあっても、0歳の赤ちゃんは言葉を出せず、泣いて訴える以外手段がありません。赤ちゃんの奇声は、これまで泣くことしかできなかったけれど「大きな声を出して訴える」という成長のひとつとも受け止められます。
大きくなっても奇声を出す心理は同じです。例え3歳で言葉が使えるようになった子でも、自分の気持ちをうまく伝えられないときもあるでしょう。「僕・私はこう思っているのに、ママがわかってくれない!」というもどかしい気持ちが、奇声となって現れるケースもよく見られます。
奇声を上げることが楽しいから
特に赤ちゃんの奇声には、楽しくて声を上げ続ける場合も多いです。産まれたばかりの子どもは聴覚がまだ成長途中で、次第に耳も大人と同じように聞こえるようになります。このとき、自分の声を自覚すると「もっと大きな声が出せる!」と学んで遊ぶようにもなるのです。
大きくなってもこれは同じ。楽しくってはしゃぎたい気持ちが、奇声として現れることもあります。大きな声を出すと楽しい、なんとなくクセになっている、という子は奇声を上げることも多いかもしれませんね。
子どもが奇声を上げるとき、笑っていたり遊びの場面だったりすると、奇声そのものを楽しんでいるのかもしれません。
周囲の注意を引きたいから
奇声を上げると、周りの大人はどうなるでしょうか。一瞬で注目を浴び、ママは「どうしたの?大丈夫?」と気にかけますよね。これを利用して、誰かを呼びたいときや注目して欲しいとき、暇になってしまったときに奇声を上げる子もいます。
子どもの奇声に困っているママの中には、「下の子をビデオで撮影していたら、上の子がキー!と奇声を上げることが多かった」という方もいます。このとき奇声を上げた上の子の心理としては、「下の子ばかり注目されててずるい!私の方も見て」と訴えたかったのかもしれませんね。
奇声を上げる子ども、どうやってやめさせる?
さまざまな理由で奇声を上げる子ども。しかし、ママが頭に留めておきたいのは「子どもの奇声は決して珍しくない」ことです。子どもは意外とよく奇声を上げますし、どんなに言い聞かせしても気分が高まるとなかなかうまく抑制できないものではあります。
奇声を上げるのはママのせい、親のしつけがなっていないからだ、と思われるかもしれませんが、ママが完全に子どもをコントロールするのは不可能です。育て方次第で奇声をなくすことはできないので、子どもの気持ちに寄り添いながら奇声を少なくしていく声掛けをしていきましょう。
「うるさい!」「静かにして!」はNG
奇声を上げたとたんに、「うるさい!」「静かに!」と怒鳴りたくなるかもしれません。けれども、子どもに何かをやめて欲しいと注意するときに、声を荒げるのは逆効果。
特に奇声とは、大きな声を出します。それなのに、ママ自身が大きな声でヒステリックに叫ぶとお手本になりませんよね。さらに言葉を理解できない赤ちゃんには叫んでも思いが届きませんし、ある程度成長して言葉が分かった子にも「ママに怒られてびっくりした」という記憶しか残りません。
大切なのは、「なぜ奇声を出してはいけないのか」を子どもに理解してもらうことです。
- 周りのお友達がびっくりしちゃうから
- ママは大きな声苦手だなって思うよ
- 電車の中は小さなお声でお話しするところなのよ
さまざまな声掛けがありますが、子どもにも分かるように伝えられると良いですね。言葉にしても分からない場合は、人差し指を口に当てて「しーっ」とジェスチャーしたり抱っこや手をつなぐなどスキンシップで教えて声を小さくさせたりするのがおすすめです。
原因を理解し、一度受け止める
奇声をやめさせるには、まずその原因を突き止めるところから始めます。子どもはなぜ奇声を上げたのでしょうか。
- 楽しかったから、気分が盛り上がったから
- ママを呼びたかったから
- 思い通りにならず癇癪を起こしたから
さまざまな理由があると思いますが、「静かにして!」と言う前に「○○したくて声を出したんだね」と子どもが訴えたいことを言葉にして伝え返してみましょう。また、一度子どもの気持ちを受け止めるのは大切です。「今忙しいんだからうるさくしないで」と頭ごなしに叱るのではなく、「○○だから奇声を上げたんだね」と思いを素直に受け止めてあげてください。
その上で「大きな声を出さなくても分かるからね、大丈夫」と声掛けをしてあげましょう。赤ちゃんがお腹が空いている、眠たいのに眠れない、不快感があると奇声を上げる場合は、その要因を取り除いてあげるのもポイントです。
奇声は子どもが「訴えたいことがあるのに言葉にならない」状態。その伝わらない不安を解消してあげる対応ができると理想的です。
奇声を上げられる状況に行き、気持ちを発散させてあげる
言葉を尽くしても奇声が止まらないこともあります。奇声はいくら子どものこととはいえ、ママにとってもうるさくストレスが溜まるものですよね。そんな時は、一度奇声を思い切り上げられる状況に連れて行き、ガス抜きをする機会を作るのも大切です。
例えば屋外の公園など、周りに迷惑がかからなければ思い切り声を出して遊んでもOK。レジャーなどでからだを動かし声を上げて遊ぶと、子どもにとっても気持ちの発散になるかもしれません。
まとめ
奇声を上げる子どもは決して珍しいことではありません。奇声を出すのは子どもの特徴のひとつであり、ママの育て方が悪いわけでも発達障害が直接かかわっているとも言い切れません。
いつかは奇声を上げなくても感情の整理ができるようになるので、子どもの奇声とうまく付き合っていけるとよいですね。
【参考】
なぜ子供は奇声を上げるの?理由について年齢別に解説します | 赤ちゃんと子育てのあるくらし|piquale(ピカーレ)
子どもが”奇声”を上げる理由とその対処法 | 保育のお仕事レポート