療育やカウンセリング、病院などで取り入れられているソーシャルスキルトレーニング。SSTと呼ばれるこの方法は、社会の中で他人と関わり合いながら生きるスキルを磨くために行います。
特に発達障がいの子に対して効果があるといわれていますが、実はどんな子どもでも「お友達の気持ちを理解する」という点では大切な要素です。
そこで今回は、SSTを遊びながら行う方法10選をご紹介します。SSTというと専門の教材が必要なイメージがありますが、今回は最低限の準備でできる遊びをピックアップしました。
ソーシャルスキルトレーニングとは?

まずはソーシャルスキルトレーニング、通称SSTとは何かを説明します。
SSTを簡単に説明
SSTとは、社会の中で生きていくために必要な、他人を思いやったり関わり合ったりするための訓練を指します。普段私たちは無意識のうちに他者と話をし、礼節を持って付き合うことができますよね。しかし、中には他人とお話することが極端に苦手だったり、他人が考えていることや暗黙の了解が理解できない人もいます。
特に発達障がいや神経症のある子は、他者との関わり合いに対して特別なアプローチが必要です。SSTはこうした特別なアプローチを取り入れた訓練で、「一般的なことを理解するのが難しい」という子に対して効果的といわれています。
療育や病院などで取り入れられるSSTですが、最近では小学校などでも見かけます。家庭内でもやり方さえわかれば親子でSSTができるため、実は身近な存在です。
SSTは教材が必要?
「療育や病院で行うものなら、高い教材や特別なセミナーを受講しなくてはならないのでは?」と思うママも多いです。確かに、SSTは正しく理解するためのワークショップや、民間資格やトレーナーなど専門家もいます。
しかし、SSTの本質は実は教材や特別なカリキュラムは必要ありません。「その子に合うトレーニング」であることが大切なので、毎日の遊びの中や家庭でも取り入れられます。
資格がないとSSTをしてはならないというわけでもないため、ママが今日から真似することもできますよ。特に特性のある子の中には「複雑な教え方だと理解できない」「勉強のように強要されるのが苦手」ということは多いため、普段の暮らしや遊びの中で自然とSSTを取り入れるのがおすすめです。
次に、SSTを学べる遊びをチェックしていきましょう。
ソーシャルスキルトレーニングが学べる遊び10選

SSTが学べる遊びを10ご紹介します。ここでご紹介するのがSSTのすべてではないため、子どもが興味を持つものや楽しいと思ったものから試してみてくださいね。
また、遊びを始める前にインストラクションといって「この遊びで最終的に何をするのか」の目標をわかりやすく見せましょう。「点数が多いほうが勝ち」「おもしろかったらOK」など、何を獲得するのかを説明した上で遊びに入ります。説明が理解しにくいという子には、大人が実際に演じて見せることで、理解しやすくなりますよ。
最初から完璧にルールが守れなくてもOK。難しい場合はルールを変えたってかまいません。
すごろく
一つ目はすごろくです。すごろくには人生を送るものや特定の季節にまつわるもの、キャラクターになりきるものなどたくさんの種類があります。SSTを目的としたすごろくだと、
- 好きなひらがなを一文字書きましょう
- 何歳ですか?大きな声で答えましょう
- お手伝いを忘れてしまった!2マス戻る
- 両手を使ってウサギさんになりきりましょう
- 怒った顔はどんな顔?やってみましょう
などのその場で実践できる簡単な事柄がコマに使われています。
SSTとしてのすごろくの目的は、生活の中での運動や対話、生活習慣などを学習することです。難しいものではなく、より身近な題材だと楽しみやすいでしょう。こうしたすごろくはインターネット上でダウンロードできるものや、子どもの課題に合わせてママが自由に作れる空きコマありのものまでさまざまです。
「食事のあとに使うもの、なあんだ?持ってきてね」など、クイズ形式にして家庭ならではの遊びを楽しむのもおすすめです。
ボードゲーム
SSTのボードゲームとは、先ほどのすごろくやかるたなども含まれます。そのほかにもSSTならではのボードゲームがあり、購入したりダウンロードしたりして遊ぶことができます。
よく見られるのは感情を表すボードゲーム。ボードゲームのほとんどには「学校生活」「放課後」「休日」などの日常的なテーマがあり、ゲームを進めるとさまざまな出来事が起きて、そのときにどう対処しどんな気持ちになるのかを考えることができます。
他人のことを考えるのが不得意な子は、とっさの出来事に対応できず慌ててしまいますよね。ボードゲームで日常生活を遊びながら追体験することで、「こんなシーンでは他の子はこう思っているんだ」と相互理解のきっかけも作れます。
カードゲーム
SSTのカードゲームとは、トランプのようにして遊べるタイプが良く見られます。トランプは数字と4つのマークに分けられますが、SSTでは「悲しい顔」「嬉しい顔」など表情が描かれたものや食べ物や乗り物など、イラストが中心です。
カードゲームも遊びながら日常生活で起こることを学ぶきっかけになるでしょう。カードゲームごとに独自のルールがあるため、市販のカードゲームを購入すると気軽に遊べます。
かるた
普通のかるたと異なり、簡単な言葉と出来事だけが記されたのがSST向けのかるたです。かるたは大人が出題できるため、子どものペースに合わせた遊び方ができるのが楽しいですね。
かるたはたくさんのカードを集めた人が勝ちというルールですが、勝ち負けが苦手であればそのルールは設けなくても構いません。かるたで出題される出来事や事柄に対して、会話を楽しみながら続けるのがおすすめです。
読み聞かせゲーム
SSTでよく見られる読み聞かせゲームやトーキングゲームとは、カードを使ったボードゲームの一種です。遊び方はとてもシンプルで「カードを引き、カードに書いてあることに答えるだけ」。勝ち負けもなければルールも簡単なので、気軽に遊べるゲームです。
ただカードに答えるのが苦手な子もいます。そんなときはパスカードがあるため、パスをしてもOK。グループになって読み聞かせゲームをすると、人の話を聞く・自分のことをみんなの前で話すという訓練につながります。
どんじゃんけん

どんじゃんけんとは、二つの地点からスタートしぶつかったところでじゃんけんをします。勝った方はそのまま進み、負けた方は最初からに戻りスタート地点から新しい人がスタートするじゃんけんで進める陣取り合戦のゲームです。
どんじゃんけんで学べるのは「勝ち負けのときにどう感情を処理するか」です。負けることもありますが、そのときには「ま、いいか」と手を横に広げるなど気持ちが割り切れる方法を提案するのがおすすめです。安全に遊べるスペースがあれば体も動かせるゲームですが、室内でやる場合は机を使ってコマのようにして進めるなど、安全に遊んでみましょう。
実演ゲーム
実演ゲームとは、日常によくある出来事を劇のように演じてどんな感情になったのか、どういう声かけをすればよいのかを考えるゲームです。単なる劇かと思えますが、誰かに演じ切ることで自然と「他人のことを考える」ことができます。
実演ゲームはどんな設定で始めてもかまいませんが、まずは大人がロールプレイをしてどのような実演をするのかを見せてみましょう。そのあとで、「どういうことを考えるのか」をゲームに参加する全員に共有するのが大切です。
探偵ゲーム
探偵ゲームとは、例えば部屋の中で宝物を隠し、そのヒントをいくつか用意して実際に宝探しをするようなゲームを指します。探偵ゲームができる便利なキットも販売されていますが、手作りの探偵ゲームを用意しても構いません。
「いつも手を洗う場所はどこだ?」「手を洗ったあとや泣いたときの涙を拭くものは?」「毎日学校に持って行くもの」などヒントは徐々に確信に迫るように設定すると盛り上がります。ヒントが分かりにくければいくつでも用意してOK、もし見つからなくても子どもの推理を聞くだけでも楽しめるため、レベルを調整して遊んでみましょう。
かくれんぼ

かくれんぼとは、普通のよくあるかくれんぼと変わりありません。実はかくれんぼはルールが単純で分かりやすく「もういいかい?」「まあだだよ」という掛け声も子どもにとって分かりやすいといわれています。
相手の問いかけに対して、聞こえるように話す。鬼に見つかると「負け」で見つからず降参になると「勝ち」。このように遊びながらルールを覚えられるため、初めてのルールがある遊びに適しています。
負けると悔しい思いをするかもしれませんが、このときも「ま、いいか」と気持ちを切り替えやすくすることを提案できるとよいですね。
スポーツゲーム
スポーツとはドッチボールやサッカーなど、よく子どもが遊ぶ運動です。体を動かし遊べる点や、遊びながらルールを学ぶという目的が設定できます。
ただし、勝ち負けがはっきり出るスポーツは苦手という子も多いです。必ずしもスポーツはきちんとできなくてもよいため、子どもに合わせて適切なレベルを設定して無理なく遊ぶようにしましょう。
まとめ
少しだけ教え方に工夫が必要な、特性のある子や発達障がいの子。しかし、遊びを通じて楽しむのなら、大人もお友達もみんなで学習できます。ご紹介した遊びの中には親子で楽しめるものもあるため、雨の日にはカードゲームを外で遊ぶのならかくれんぼやスポーツなどを生活に取り入れてみてくださいね。専用のキットやSST向けのカードなどを用意するのもおすすめです。
【参考】
教室で手軽にできる!低学年向けソーシャルスキルトレーニング|みんなの教育技術
発達障がいの子どもが遊びの中で訓練できるソーシャルスキルトレーニング | 放課後等デイサービス みらいジュニア- weblio英会話