生まれたばかりの赤ちゃんはママに執着を見せませんが、そのうち、1日中一緒にいるママが少しでもいないと泣き出したり、人見知りしたりと変化を見せますよね。
この後追いや人見知りは「分離不安」と呼ばれています。大切な子どもの成長過程のひとつではありますが、「いつから始まるんだろう?いつまで続くの?」「子どもが泣くから何もできない…」とママも悩みに思うことも多いです。
そこで今回は、分離不安とはいつから始まるのか、分離不安への対策も詳しくチェックしていきます。
分離不安とは?子どもがママから離れない!
分離不安とはそもそもどんな現象を指すのでしょうか。まずは分離不安とは何か、子どもはどうしてママから離れないのか、姿を消すと泣き出してしまうのかを考えましょう。
分離不安とは子ども特有の性質
分離不安とは、簡単に言うと子ども特有の性質を指します。人見知りや場所見知り、後追いは決して珍しいことではなく、小さな子にはよく見られるものです。
分離不安がどうして起こるのかというと、赤ちゃんが成長し主な養育者であるママを認識し始め、次第にママに愛着を持つようになるからです。日中は仕事をしているパパだと愛着を持つまでもう少し時間がかかりますし、おばあちゃんやおじいちゃんでも、毎日一緒にいることがないと人見知りしてしまうかもしれません。
この分離不安は、「ママから離れると危険、不安」といった自己防衛本能が原因です。小さな子でも、自分の安全は「必ず確保しなければ!」と本能を働かせているのでしょう。成長過程の一つであり、ママに愛着を持った証拠なので、過度に心配する必要はありません。
分離不安はママとの信頼関係を築くことで、一時的に離れても不安に感じる必要はないと気付けるようになります。ママの姿が見えなくても、「きっとすぐに来てくれる」と信じる心が育まれるにつれ、次第に収まっていくでしょう。
暮らす環境が変わって分離不安が出ることも
これまで分離不安を見せない子だったのに、突然ママに執着するようになった。幼稚園や保育園に通うたび「ママがいい!」と泣き出して大変…。こんなケースもよく見られます。
分離不安は子どもの心の成長を表している特徴なので、例えば
- 引っ越しをして暮らす環境が変わった
- 幼稚園や保育園など新しいことを始めた
- 下の子が産まれた
といった環境の変化によって不安を覚える子もいます。こうした変化は大人も忙しくしている時期と重なるため、「こんな時に甘えないの!」と思ってしまうかもしれません。ですが、分離不安のある子に対しては愛情をたっぷり注いで、スキンシップやママと過ごす安全な時間を増やすことをおすすめします。
分離不安はいつから始まる?
では、表題にもあったように分離不安はいつから始まるのでしょうか。また、いつまで続くのかについてもご紹介します。
分離不安は0歳から始まることも
一般的には分離不安は生後8か月ごろから見られます。この頃の赤ちゃんはママと他者の区別がつくようになり、いつもお世話してくれるママに対して愛着を持つようになるでしょう。特に分離不安がひどくなるのは10か月ごろで、1歳半までは人見知り、後追いが続きます。
また、分離不安が収まるのは2歳ごろ。1歳を過ぎると育児の手もひと段落した、と思われがちですが、子どもの心の成長はその子それぞれなので我が子の様子を注意深く見守ってあげてくださいね。
一般的にはこのように0歳から始まりますが、子どもが不安に思うことが少なければ当然不安分離に気付かない可能性も考えられます。後ほど、「分離不安がないけど、これって大丈夫?」と不安に思うママに向けて解説しますので、参考にしてください。
2歳をすぎても分離不安が起こるケース
2歳ごろになるとひどい分離不安でも、「ママはどこにも行かない」「大丈夫、安心できる」と親子の信頼関係から子どもの後追いが収まります。ですが、2歳を過ぎたとしても、また1度収まった分離不安がぶり返すこともあるため、注意が必要です。
例えばこんなケースでは、子どもの精神状態が不安定になりやすいです。
- 下の子が産まれた
- お引越しした
- 小学校や幼稚園への入学、入園など
先ほどもご紹介したように、環境の変化から不安を覚える子もいます。とはいえこれも一時的なものなので、子どもの気持ちが慣れるまで優しくサポートしてあげるとよいでしょう。
分離不安症が疑われたら
多少の分離不安なら子どものほとんどが経験し、成長とともに乗り越えていきます。最初は幼稚園の玄関で「ママと一緒がいい」と泣いていた子も、園に入ってみんなと遊び始めると慣れますよね。
ですが、分離不安症の子は少し状況が異なります。離れるときに泣き叫び懇願しながら不安を訴え、またママがいないとずっとママを探すように。離れるときは再会することだけを考えているため、分離不安よりも程度がひどい状況と言えるでしょう。
分離不安症は極端に強いストレスが引き金となって発症します。「学校に行こうとすると腹痛が起こる」「不安で夜眠れない」などの症状が1か月近く続いたら、専門医に診てもらうようにしましょう。決して直らない病気ではないため、早めに対応できるとベストです。
分離不安がない…。これっておかしいの?
分離不安は子どもなら誰でも起こっておかしくないこと、とご紹介しましたが「我が子は人見知りしない」と不安になるママもいるかもしれません。そもそも分離不安で起こる人見知りの具合は子どもによって異なり、不安を機敏に感じ取って泣いて訴える子も、泣かない子もいます。
また、「ママ以外の人に抱っこされたら泣き出す」のは分離不安の典型例ですが、きちんと「抱っこされていないけれどママはここにいる」と認識できる子なら人見知りしないはずです。このように分離不安は個人差が大きく、子どもが育つ環境によっても「分離不安がある・ない」で分かれてくるため、あまり心配せず子どもの成長を見守りましょう。
分離不安が起きた子どもとの向き合い方
分離不安が起こると、食事はもちろんトイレもままならない!というママは多いです。「こんなに泣いて、ちゃんと幼稚園に行けるのかな?」と将来に不安を覚える方もいるかもしれませんね。
そこで、分離不安が起きた子どもとの向き合い方をチェックしていきましょう。
親子の時間を積極的に作る
最も大切なのは、親子の信頼関係を築くことです。分離不安が起きても「ママはいつも自分を大切に思っている」と子どもが思い直してくれれば次第に緩和されていきます。信頼関係はすぐに築けるわけではなく、長い間親子の時間を持ちゆっくり育まれるもの。特に人見知りをしている時期なら、親子の時間を十分に作ってくださいね。
例え赤ちゃんの時期を過ぎ、2歳以上になっても幼児期の親子の時間は大切です。寝る前のひとときをママとおしゃべりして過ごしたり、いつも手をつないだり遊んだりしているうちに、子どもも分離不安を忘れて安心できるでしょう。
離れるときは安心できる声掛けを
いくら8か月の小さな子だとしても、黙ってそばを離れるのはおすすめしません。「トイレに行ってくるからね」「ママはここにいるよ」「大丈夫だよ」と子どもを安心させる声掛けをしましょう。
離れるときや別々に行動するときは、「ママはおうちに帰るからね。迎えに行くよ」とこの先の予定を話すとベストです。今は言葉が理解できない子だとしても、ママが離れるたびに声掛けをしていると次第に慣れていきます。
分離不安は子どもの成長過程。ママも気楽に構えて
分離不安を心配に思うママ、子どもが自分から離れると泣いてしまう…というのは「ひどいことをしているんじゃないかな?」とママ自身もダメージが大きいものです。例えば保育園での登園しぶりが度々起こると、「働いている私のせいで」と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
しかし、分離不安は子どもの成長過程にすぎません。もちろん分離不安症という病気があることも頭に入れておくべきですが、ママに愛着を持ち「ママのそばがいい」と子どもが意思を持つのは心が成長の一歩を踏み出した証拠です。「今この子は大きくなっているんだな」とママも気楽に考えて、一緒に分離不安を乗り越えられると良いですね。
まとめ
赤ちゃんの後追い、人見知りといった分離不安。ママとしては育児の困難を感じる瞬間かもしれませんが、分離不安は子どもが成長したしるしです。いつからいつまで起こるのか、その対策方法もしっかり頭に入れておき、親子でもう一歩一緒に成長してみましょう。
【参考】
母子分離不安にはどう対応すればいい?!上手に褒めるポイントとは?|0歳からの幼児教室【ベビーパーク/キッズアカデミー】
分離不安および人見知り – 23. 小児の健康上の問題 – MSDマニュアル家庭版
分離不安症 – 23. 小児の健康上の問題 – MSDマニュアル家庭版
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