毎日子どもと向き合う中で「この子のために何を教えてあげればいいんだろう?」と悩むことは多いですよね。今、育児では「子どもの考える力」を伸ばすことが注目されています。
大きくなるにつれて、自分の意思を持つこと、自分なりに物事を解釈して乗り越える力が求められます。このとき、考える力があると大きな挫折にも負けず、幸せに過ごすことができるのです。
今回はスタンフォード・オンラインハイスクールの校長を務める、哲学博士の星 友啓先生著『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』を参考に、子どもの考える力って何?子どもの考える能力を引き出す方法を解説します。
- 最近、育児の目的や目標を見失いがちなママ
- 非認知能力を高めたいと思っているママ
- 今子どもにとって何を教えればいいのかな?と悩むママ
- 子どもに求められる「考える力」を親子で育む方法
- 最新の育児の考え方、子どもを伸ばす方法を解説
- 子どもの考える力、やる気を楽しく引き出すやり方
今求められている「考える力」とは?
今、世間は目まぐるしく変わっています。ママたちが小さなころにはなかった「英語学習」「プログラミング学習」は当たり前のものとして授業が始まりますし、幼児教育にも「目に見える数字の能力ではなく、非認知能力を身につけよう」と新しい考え方にアップデートされています。
変化を続ける時代を生きる子どもには、これまでの常識では少し足りないもの。特に、最新技術や情報を自分にとって心地よいものとして役立てる「考える力」が求められています。
この考える力とはどんな能力なのか、具体的にご紹介します。
コミュニケーション能力
ママにとっても「大切!」と頷けるのが、コミュニケーション能力です。特に社会人になってから意識する人も多いのですが、小さなうちから身につけておくと、今後の生活がより豊かになります。
コミュニケーション能力とは、周りの人と情報や意見を上手にやりとりする力を指します。
今は対面だけでなく、メールや通話、SNSを通じてさまざまな人とコミュニケーションが取れる時代です。どんな場面でも自分の意見を持ち、相手とのやりとりがスムーズになるような自己主張ができる能力、相手の意見を正しく受け取れる能力は、考える力のひとつです。
コラボレーション能力
コラボレーション能力とは、周りの人とうまく協力しながら、課題や問題に取り組む力です。
子どもがよく「YouTubeを見る」というママの声もよく聞かれますが、そこで人気のある配信者同士が企画などに一緒に取り組み、ともにエンターテイメントを提供するのが「コラボレーション」です。このように、今の子どもは自然と「誰かと一つの目標を作って取り組むこと」を体験しています。
コラボレーションは、想定していないことも起こります。一人では結果が同じだった遊びでも、誰かと取り組むとまた別の展開に行きつくでしょう。このようなコラボレーションは「相手を知り、自分の立場を明確にする。一つの目標に向かって人と協力する」必要があり、成長しても求められる能力です。
自国文化および異国文化への理解
グローバル社会を生きる子どもたちは、異国文化への理解が大切と考えられています。今は小学3年生から英語の授業が始まり、ママ世代と比べて外国語に触れる機会が多いのも特徴です。
同時に、大切なのが自国文化の理解です。海外のことを知るのも大切ですが、今の自国にはどういった文化があるのかを知ることで、より相互理解が深まります。
世界にはさまざまな価値観、世界観があるため、「自分とは違う」というお友達に出会ったとしても、オープンに受け入れて理解できると、将来に役立つ能力になるでしょう。
考える力を育むために知っておきたい4つのポイント
考える力には、
- 人と意見の交換ができる、やり取りができるコミュニケーション能力
- 人と協力し一つの目標へと向かうコラボレーション能力
- 自国文化と異国文化の違いを理解し、受け入れる能力
などが挙げられるとご紹介しました。
どれも納得できる能力ですが、ではどのようにしてこの力を育めばよいのでしょうか?
「考える力を育もう!」というと、私たちママは難しくとらえがちです。早期教育やインターナショナルスクールのような英語教育が必要なのかな?習い事を増やすべき?と思ってしまいますが、実は普段の生活で「親子のコミュニケーション」を少し意識するだけでよいのです。
『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』から、子どもの考える力を引き出す方法4つのポイントを見ていきましょう。
やる気を出すために「ご褒美」はNG?
考える力をさあ育もう!と思っても、子どもはなかなかママの思うようにはいきません。ご紹介したように、考える力はすべて前向きなもので、ママから「この能力を高めなさい!」と強要されても「違う、こう考えなさい!」と教えてもらっても身に付かないのです。
そこで、子どもの能力を引き出すのにポイントとなるのが「やる気」です。好きなことや興味のあることはどんどん吸収し学ぶ力を子どもはすでに持っています。このやる気を引き出すために、二つのモチベーションを知っておきましょう。
特定の遊びや習慣を「楽しい」「やりたい」から続けることや、その意欲
「給与があるから」「ご褒美がもらえるから」続けることや、その意欲
例えば、子どもがお花の水やりのお手伝いを始めたとします。最初はお花を育てることや観察に夢中になっていたのに、「1回につき100円あげるよ」とご褒美を作ってしまうと、モチベーションは内発的なものから外発的なものに変わります。
外発的モチベーションも、当然「やる気」であることには変わりません。しかし、「もっと良いご褒美が欲しい」と次から次に欲求が増えてしまい、結果として続かないのです。
子どものやる気を引き出すには、内発的モチベーションを軸に考えましょう。どうしても言うことを聞かないから、と簡単にご褒美を与えてしまうのは逆効果です。
また、子どもの「内発的モチベーションは何から生まれるのか」をママがしっかり知ってあげるのも大切なポイントです。
考える力の根底にあるのは「理解すること」
考える力を育む前に、たった一つやることがあります。それは「理解すること」です。
何かの問題を解決しようと思ったら、状況を理解しないと解決方法は考えられません。子どもが泣いているから泣き止ませるのはもちろんですが、「じゃあなんで泣いているんだろう?」とママも子どもを理解しようとするはずです。
ただ、この「理解すること」は学校教育などで教養を育てるように、サポートされているのが実情。とはいえ学校やお友達との関係性だけでは不十分であり、ママが日常的に少し意識して生活に取り入れるとよいでしょう。
- 子どもを理解する
- なぜ考える力が必要なのか、将来どんな役に立つのかをママ自身が理解する
この2つだけをまずは始めてみるのがおすすめです。
学力と感情コントロールはしっかりつながっている
これまで「考える力を付ける」と解説しましたが、「うちの子は頭がよくないし、勉強も苦手だから難しそう」と思ったママもいるかもしれません。確かに「考える力を身につける=ものごとを理解する」のは、基礎知識や教養が必要なもの。しかし、この考える力を身につけると同時に学力もつく、と脳科学の研究で解明されています。
学力の低さで「考える力」を諦めるのはまだ早いといえるでしょう。同時に、「考える力」を身につけるために、たくさんの勉強をして学力を養っても意味がありません。
場数や精神論では「考える力」は育ちにくい
これまで説明したように、考える力には身につけるためのメカニズムがあります。
なんとなく「子どもの能力」というと、「成長するにつれ自分で学ぶでしょう」「とにかく願い続けていれば能力は培えるはず」「考えられないのは、根性がないからだ!」と無理な条件を押し付けてしまいがちです。
しかし、これは全部少し間違った考えです。考える力は場数や精神論、子どもの人格や裁量に頼って身につけるものではありません。
『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』では、こうした場数や精神論に頼らない思考能力の身につけ方を解説しています。当ブログでもわかりやすく解説するので、ぜひ他の記事も参考にしてみてください。
まとめ
最近よく目にする「考える力」。これは、子どもには大人も想像できない可能性があり、それをママやパパ、周りの大人が認めて伸ばすことのできる能力です。
今回はなぜ考える力が求められるのか、どんな能力が今後大切なのか、「考える力」を育むための基本的なポイントを解説しました。特別な勉強や座学は必要ないため、ママの育児の中で「自分にとって心地よい考え」だと思うところを、ぜひ参考にしてください。