当ブログでもたびたびお伝えしている「子どもの睡眠」。毎日の忙しいスケジュールでは、なかなか子どもが十分な睡眠不足を作るのは難しいといわれています。
今回はそんな子どもの睡眠をしっかり守る方法、生活リズムの整え方をご紹介。脳科学の視点から睡眠についてじっくり考えていきましょう。
本記事は心理学者ウィリアム・スティクスラッドと教育者ネッド・ジョンソン著『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』を参考にしています。
- 子どもの睡眠不足が気になるママ
- 自分自身も寝不足、休憩不足になりがちなママ
- 夜更かしがやめられない方
- 子どもにとって必要な睡眠時間
- 睡眠によって得られる効果
- ママの睡眠不足を解消する方法
子どもに養って欲しい能力は「睡眠」で身につけられる

「睡眠は子どもの成長に大切」というのは、ママ達がみんな気付いている情報かもしれません。
まずはそんな睡眠はどんなメリットがあるのか、おさらいしていきましょう。
コントロール感が養われる
当ブログでもたびたびお伝えしているコントロール感。
簡単にいうと、コントロール感とは「誰かに指示されることなく自分で自分自身を管理できる力」です。さまざまな情報があふれる中で、特に現代の子どもは「自分が何を選ぶか」という能力が重視されます。
睡眠によってコントロール感が養われるのは、ママにとっても身に覚えがあるかもしれませんね。例えば子どもの授乳期、睡眠不足が続くとイライラして自分自身をコントロールできなくなります。
子どもだって眠たいときはグズグズしてしまうもの。抑えきれない怒りの感情や優柔不断になってしまう状況は、睡眠不足が引き起こしているのかもしれません。
学力・思考力が向上する
睡眠は子どもの学力・思考力にかなり影響するとさまざまな教育者・心理学者が研究の結果を発表しています。
睡眠制限療法の研究では、「六年生が普段より1時間長く眠るか、1時間短く眠るか」の実験が行われました。睡眠時間の短いグループでは、認知テストの結果「4年生と同等のレベル」になったのです。
あくまで一例ですが、たった1時間・30分の睡眠不足でも、子どもの学力は1~2学年分下がってしまいます。「頭が良くなって欲しいから睡眠・休憩時間を削って勉強させる」というのは、かえって学力を下げてしまうのです。
精神的に安定する
睡眠が十分だと情緒も安定し、精神的に丈夫な子に育ちます。疲れるとグズグズしてしまう、怒りっぽくなってしまうのは大人も子どもも同じです。なぜこうなるのかというと「前頭葉皮質と偏桃体のつながりが弱まり、感情や思考のコントロールを失うから」です。
深刻な睡眠不足は不機嫌だけでなく、PTSDやうつ病、双極性障害などの原因にもなります。
子どもが睡眠を十分にとれないときは?

睡眠はとっても大切。それはママにとっても分かりきったことかもしれません。しかし、増える学校からの宿題や課題、家庭でこなさないとならない自主学習やしつけ、ママ自身のライフスタイルによっても今の子が睡眠不足に陥ることは珍しくありません。
ここでは、現代の日本で生きる親子の生活から、子どもが睡眠を十分にとる方法を考えます。
そもそもわが子に必要な睡眠時間とは
そもそも自分の子どもに対して、必要な睡眠時間を把握しているでしょうか。
一般的には、就学前の子だと毎日十時間から十三時間の睡眠が必要です。足りない分は昼寝で補っても構いません。小学生の子だと最低でも九時間は必要とされています。
「じゃあ六時に起床するとして、二十一時には就寝しよう」と思っても、その通りにはならないかもしれません。理想としては二十時に就寝したいけれど、毎日は無理かもしれませんし休日には可能というケースもあるでしょう。
家庭によって睡眠時間の取り方はさまざまです。どうしても時間が捻出できない場合は、お昼寝を利用したり、夜のルーティンを見直してみるのもおすすめです。
1日のスケジュールを見直す
子どもの睡眠時間を確保するには最も簡単な方法があります。それは1日のスケジュールを見直すだけ。毎日「学校から帰ったら習い事。それから宿題を済ませて、習い事の課題を終わらせてからテレビを見る。風呂に入って就寝するころには二十三時近くに…」という過密スケジュールになっていないでしょうか。
すぐには変えられない1日のスケジュールですが、週に2~3日は理想的な睡眠時間を確保する日を作っても良いかもしれません。習い事で生活が圧迫されているなら、いくつか減らすのももちろん良い手段です。
小学生になるとどうしても学校の宿題などやるべきことに追われ、今の子どもたちは忙しくて余裕がありません。「さらに詰め込んで子どもの能力を高める」のではなく、「週に少しでいいから子どもが十分に寝る日を作る」のがベストな方法です。
朝に時間がないなら夜早く寝る習慣を
睡眠不足の原因を見ると、よくあるのが「学校に行く時間が早くて寝る時間がなくなる」というもの。朝はゆっくりしたいけれど、ママ自身も仕事がありますし子どもも時間通りに登校・登園しなくてはなりません。
この場合は、夜に早く眠るべきです。すぐには早寝の習慣が付きませんが、次第に慣れてくると睡眠時間も伸ばせます。
特に寝る前のテレビやゲームは入眠を妨げるので、就寝の1~2時間前には「何も見ない時間」が望ましいでしょう。こちらも1日のスケジュールを見直してみて、少しずつ適切な入眠習慣を取り入れてみることをおすすめします。
子どもの睡眠にママができること

子どもの睡眠に対して、ママが起こせる行動をまとめました。また、この記事では「子どもに対してできること」をお伝えしましたが、ママ自身にも言えることです。
睡眠が十分な状態で育児をすると、より心に余裕ができて何が最善かの判断が付きやすくなります。親子で一緒に睡眠の大切さについて考えてみましょう。
睡眠不足で起こることを子どもに知らせる
突然「ちゃんと寝なさい!」と言っても、子どもに睡眠の大切さはわかってもらえません。夜更かしは楽しいものですし、何も言わなければずっと夜遅くまで起きてしまう…という子も珍しくないでしょう。
睡眠不足で引き起こることは、乳児期の育児を経験したママならよくわかるはず。「すごく疲れて頭が痛くなっちゃうよ」「イライラして、喧嘩も増えるかもしれない」「今悲しい気持ちになっているのは疲れているからだよ」と声かけするだけで、子どもは「寝たほうがいいのか」と学べるのです。
睡眠の習慣が身についたまま大人になると、もちろん最適なパフォーマンスを発揮できる人になります。一方で睡眠を削って成功体験を詰むと「やっぱり寝ないで努力する人が偉いんだ」と間違った認識を持つかもしれません。
寝室などに「電子機器禁止区域」を作る
子どもの入眠を助けるために、寝室など寝るスペースに「ここからはテレビ、スマホ、ゲームをしない」というエリアを作ってみましょう。寝る前の電子機器の使用を避け、適切な睡眠がとれるようになります。
まだママと一緒に寝る子どもには必要ないかもしれませんが、自分の部屋を持つようになると子どものベッドに持ち込む端末が気になるものです。うっかり睡眠不足にならないように「布団に入ったらスマホは閉じる」などルールを作っておくとその後もスムーズです。
寝る前のルーティンを決めて実践する
「どうやったら眠たくなるかな?」と子どもに聞いてみるのも一つの手段です。ママ自身が「絵本を読んで電気を消して、お話をしたら寝る」と作っても良いのですが、入眠に適したものは人それぞれ異なります。
大好きなぬいぐるみにおやすみを言ったら眠たくなる子や、音楽を聴きながら寝るのが好きな子もいるかもしれませんね。こうした寝る前のルーティンは子どもと話し合って決め、実践してみましょう。
まとめ
子どもにとって必要な睡眠。今の忙しい現代を生きる親子にとって難しい課題かもしれませんが、家庭での過ごし方でも工夫すれば睡眠を十分にとることはできます。
ママにとっても睡眠は大切なので、親子で笑って過ごせるよう、ぜひ自分のケアにも目を向けてみてください。
【参考】
『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』 ネッド・ジョンソン、ウィリアム・スティクスラッド著