ペアレンティングとは、「親として子供を育てる」ことを指します。ママ、パパにとって大切なこの言葉は、よく育児書や育児サイトで目にするかもしれませんね。
ペアレンティングは親の基本ですが、行き過ぎた教育を行うと「ハイパーペアレンティング」に…。
子供に対して過干渉になっていないか、今回は子供をどんな立場で見守り、育てるのが良いのか、「ほどよい距離感」を詳しく解説します。
ペアレンティングとは?どんな意味?
そもそもペアレンティングとはどんな意味なのでしょうか。育児中たびたびよく目にするこの言葉、正しい意味をご紹介します。
「親として子供を育てる」こと
ペアレンティングとは、英語のペアレント(親)が動詞化した言葉です。Parentingの意味は「子育て、育児、育児技能」となり、そのまま親として適切な行動を指し「親として子供を育てる」全般のことを指します。
子供の育て方を指南したり、育児で受けるストレスの正しい解消法を学んだりすることを「ペアレンティングトレーニング」「ペアレンティングプログラム」と呼ぶこともあり、育児中のママ達にとっては実は馴染みの深い言葉です。
また、「ペアレント(親)」には子供を見守るすべての環境を指すこともあり、家族だけでなく地域や環境が一丸となり子育てを行うというイメージもあります。子供はたった一人で成長することはありません。ではご両親だけで育てられるかというとそうではなく、幼稚園・保育園・学校の先生やお友達、ご近所の環境の元で育ちますよね。
こうした子供の成長過程を支え、育てることをペアレンティングと呼びます。
親と子の円滑なコミュニケーションを指すことも
本来はペアレンティングとは「育てる」ことを指すのですが、不適切な養育方法は排除して、親と子の円滑なコミュニケーションそのものを指すこともあります。「良いペアレンティングが求められる」「ペアレンティングスキルが高い」というのは、円滑なコミュニケーションを指しています。
育児とは捉え方が難しく、子供が望むことをすべて叶えてあげるのが適切とは限りません。また、「子供のため」と思って親がやるすべてのことが正しいとも言えませんよね。子供にとって過不足ない育児であり、円滑なコミュニケーションが築けていることこそ、「正しいペアレンティング」と言えそうです。
ハイパーペアレンティングとは?過干渉な親になっていない?
ペアレンティングには気を付けなければならないことがあります。それが、「ハイパーペアレンティング」です。こちらも英語ですが、和訳すると「行き過ぎた育児」という意味に。
子供のためを思って、子供に対して過干渉になる親は多いです。行き過ぎた育児で子供が疲れるのはもちろん、実はママ・パパも辛い思いをすることがよく見られます。
「育児を頑張っているつもりなのに、なぜかうまくいかない」「育てにくさを感じる…」のは、ハイパーペアレンティングが起きているのかもしれません。ここからはハイパーペアレンティングを行う親に見られる4つの傾向をご紹介します。
子供に習い事や体験をさせすぎている
典型的なハイパーペアレンティングと呼べるのが、過度に習い事をさせる親です。1週間のうち子供が休む日はなく、習い事や予定を詰め込みすぎていないでしょうか。土日は「子供にいろんな体験をさせないと!」と、あちこち出かけているかもしれません。
複数の習い事が絶対に悪いわけではありませんし、お出かけの機会を与えるのは良いことです。しかし、子供に「いい子に育って欲しいから」と我が子の意思を無視してやみくもに習い事をさせるのは、間違いなく過干渉と言えるでしょう。
欲張って一度に子供に体験を与えても、処理しきれず疲れるだけ。子供のペースと興味を考えた上で、何をするのかを選択する必要もあります。
子供のスケジュールはすべて親が管理
学校や幼稚園など通学以外のスケジュールは、親がすべて管理していないと気が済まないこともあります。例えば…
「月曜日は習い事。火曜日は宿題をした後○○ちゃんの家に一緒に行って、水曜日から金曜日は塾にスイミングにそろばん。土日は家族で出かけるから、7時には起きなくちゃね」
先ほどの習い事をぎっしり詰め込むのと同じように、子供の行動を全部親が決めるのも、実はハイパーペアレンティングです。考えておきたいポイントは子供が望んでいるスケジュールが組み込まれているかどうか。親の都合だけで連れまわすのは子供を疲れさせるだけです。
また、子供にとって何もせず「ぼーっとする時間」は必ずしも悪ではありません。何もしない時間も子供の想像力を育て、無限のアイデアを育む大切なひとときであることを、親は頭に入れておきましょう。
子供の友人関係に口をはさむ
子供の交友関係に口を挟み、「○○ちゃんとは遊ばない方がいいんじゃない?」「付き合う子は選ばないとね」と子供を無意識にコントロールしていないでしょうか?
たびたび子供に危害を加え、トラブルの原因になるのであれば大人が介入しなくてはならないこともあります。ですが、子供同士で解決できる喧嘩やいざこざは、深い人間関係を育むきっかけになるのも忘れてはなりません。
「うちの子はこう育って欲しいから、お友達はこんな子でないとならない」このようにメリットを優先させて子供の友人関係を制限するのは、ハイパーペアレンティングの一例です。
子供に選択させない、先回りして失敗を阻止する
子供が何かを選んだとき、「でも」「だけど」ととりあえず否定していないでしょうか。また、子供に自由に選んでいいよ、と伝えたにもかかわらず思い通りにならなければ子供をコントロールしていたり。これはダブルバインドと呼ばれる不適切な呼びかけで、当ブログでもご紹介している「やってはならない子育て」です。
親が「こんな子になって欲しい」という理想だけが先行して、その通りにならない子供を自分の思い通りにさせようとしている証拠かもしれませんね。
確かに子供がいつでも正しい選択をするとは限りません。時には親が諭して正しい方向へと導かなければならないこともあるでしょう。ですが、失敗を恐れて子供の選択肢を除外し、子供に「失敗体験」を与えないのも、親の過干渉でしかないのです。
ハイパーペアレンティングを防ぐために
子供に対する育児の過干渉、ハイパーペアレンティングに「心当たりがある」という方もいるかもしれませんね。ハイパーペアレンティングは防ぎたい養育であるものの、その根底には親が子供を心配する気持ち、「良い人生を送って欲しい」と子供に願う気持ちが込められています。
子供とほどよい距離を取りペアレンティングスキルを上げるために、ここからは親として子供にできることをご紹介します。
選択するのはすべて「子供」という意識を
子供に選択肢を与え、選び取る機会をまずは与えましょう。お出かけする機会、習い事は本当はもっと子供の心とからだを育てるものです。「何がやりたいのか」を子供に尋ね、自分でやりたいことを選んでもらいましょう。
ここに親の気持ちを介入するべきではありません。子供が選ぶことは自分の選択肢に責任を持ち、何がやりたいかを考えるきっかけにもなります。
親は見守る、子供を信じる気持ちを忘れずに
本来のペアレンティングとは、子供と親の信頼感関係構築が重要です。子供のやることなすことに口出ししたくなるのは、子供を「子供扱い」していて「信用できていない」証拠でしょう。
まずは子供を信じ、見守ることが大切です。その後大人と協力しなくてはならない壁が乗り越えたら、親は「どうすればいいのかな?」と子供と一緒に考えてあげられるとベストです。
子供の行動に歯がゆさを感じるかもしれませんが、親は一歩引いた立場をつらぬき、見守ってあげることこそ適切なペアレンティングと言えます。
親自身の人生も楽しむ
過干渉がなぜ起こるのかというと、「子供のために」「子供を中心に」と親自身が自分の人生を楽しめていないからです。子供が生まれるとその子中心の生活にはなりますが、あくまで人生は自分だけのもの。過干渉は子供が疲れてしまうのも問題ですが、親自身への影響も深刻です。
親も楽しく自分のやりたいことを実現できるようにしましょう。自分の生き方に責任を持ちながら横臥する姿を見せるのは、子供にとっても学びが大きいものです。
まとめ
「子供のため」を考えすぎると起きてしまうハイパーペアレンティング。子供を心配に思うのはどの親でも一緒ですが、今一度本当に子供のためになっているのかどうかは考え直してみると良いでしょう。
子供との距離感を適切に保ち、親子が無理なく付き合える関係を築けるようにしてくださいね。
【参考】
ペアレンティング・トゥギャザー ~みんなで子育て~ プロジェクト – 福岡県庁ホームページ