日々の寝かしつけに悩む毎日。夜泣きや寝ぐずりにより、赤ちゃんもママも睡眠不足になってしまうことがありますよね。書店やSNS、ブログ等でよく聞くようになったネントレに関する話題。「うちの子はネントレをして1人で寝られるようになったわ。」という話を聞く一方で、「ネントレは赤ちゃんを泣かせっぱなしにしておくのでかわいそう」「サイレントベビーにならないか心配」などという声を聞くこともあります。
ネントレにチャレンジしてみたい気持ちもあるけれど、ちょっとハードルが高そうだし、デメリットも気になってしまう。そもそも、ネントレをしないと寝かしつけの悩みは解決しないのでしょうか。
この記事では
- ネントレに興味はあるけれど、難しそうで踏み出せずにいるママパパ
- ネントレメソッドに縛られずに寝かしつけの悩みを解決する方法を探しているママパパ
に向けて、寝かしつけに生かせるネントレのポイントをご紹介します。
ネントレしないと睡眠の悩みは解決しない?~
ネントレとは?ネントレの考え方
ネントレという言葉に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?ネントレ=ねんねトレーニングのことで、赤ちゃんが1人で穏やかに眠りにつけるようになるトレーニングのことです。セルフねんねとも言われます。
人間はいつか必ず1人で寝ることができるようになりますよね。個人差はありますが、小学校高学年ともなると、1人で寝られる子が多いでしょう。しかし、赤ちゃんにとっては「1人で眠りにつく」というのはとても難しいことなのです。体内時計も定まっていないし、心理的にも身体的にも未発達の赤ちゃん。眠りにつくには、基本的にはママパパのサポートが必要です。
しかし、ネントレをすると、赤ちゃんでも睡眠のリズムを整えることができます。赤ちゃんが自然と眠りにつけるようになるのは、ママパパにとっても赤ちゃんにとっても嬉しいことです。
ネントレは難しい?
ネントレと聞くと実践が難しいイメージがあるママパパもいるのではないでしょうか。おそらく、赤ちゃんを泣かせ続けるイメージや、スケジュールや方法が細かく縛りが多いイメージが先行しているのかと思います。
しかし、ネントレには複数のメソッドがあります。赤ちゃんのスケジュールをコントロールしていく「ジーナ式ネントレ」、子どもとの距離を少しずつ離していく「フェイドアウトメソッド」、子どもと離れる時間を少しずつ増やしていく「タイムメソッド」などがよく聞かれます。
助産師や医師、睡眠のスペシャリストなど、ネントレの方法を提唱されている方はたくさんいて、少しずつ特徴が違っていることもあります。どれがよくて、どれが正しいということはありません。家庭環境や育児方針、子どもの個性等から総合的に判断して、合っていそうなものを選ぶのがよいでしょう。
ネントレをすると愛情不足になる?
「ネントレをすると愛情不足になる」という情報を耳にしたことのあるママパパもいるのではないでしょうか。米国の報告では、
7ヶ月で寝付きに問題があり、いわゆるねんねトレーニングを受けた362人の乳児のその後を5年間追跡調査したところ、トラウマを含め、精神的・心理的な悪影響は認められなかった。
出典:ママと赤ちゃんのぐっすり本「夜泣き・寝かしつけ・早朝起き」解決ガイド 愛羽文・監修西野精治よりp200
と報告されています。むしろ、赤ちゃんの寝かしつけによる悩みや睡眠不足によるママの精神的不安の方が問題となってくることもあるでしょう。
ネントレのメリット
ネントレの最大のメリットは、赤ちゃんが1人で入眠でき、夜泣きがなくなると、ママの睡眠時間や自由時間が確保しやすいことです。産後のママの体は、想像以上のダメージを受けています。赤ちゃんが産まれた瞬間から、お世話は休む間もなく続き、数カ月間寝不足が続きます。
特にワンオペ育児が続くママにとっては、睡眠時間も自分の時間もとれずに、心身ともに疲れてしまいがちです。また、ネントレが上手くいってくると、赤ちゃんの泣いている理由が分かるようになり、日中も含めてお世話しやすくなります。
日中ご機嫌な時間が増え、生活リズムが整ってくるので、ママの1日のスケジュールも立てやすくなります。また、授乳による寝かしつけに頼らないので、パパの育児参加もスムーズになります。
ネントレのデメリット
ネントレのデメリットは、セルフねんねを身に付けられるようになるまでに時間がかかる場合があることです。環境設定が上手くいっていなかったり、実践したネントレが赤ちゃんに合わなかったりした場合、なかなかうまくいかないこともあります。
また、ネントレ方法によっては、泣いている赤ちゃんを一定時間見守らなくてはいけない場合もあるので、激しい泣き方に耐え切れなくなってしまうママパパも多いです。また、日本では添い寝や授乳による寝かしつけが一般的な風潮が強いため、家族、特に親世代からなかなか受け入れてもらえない場合があります。
ネントレをしない方がいい・しなくてもいい場合
今の寝かしつけに満足している場合
今行っている寝かしつけが添い寝や添い乳、抱っこによるものだとしても、ママパパの負担がそれほど大きくなく、多少大変でも幸せを感じているのなら、無理にネントレをする必要はありません。
成長の過程で、いつかは必ず1人で寝られるようになります。「周りがネントレをしているから」という理由で無理にはじめる必要はありません。
発達・健康面に心配がない場合
ネントレを始めるのは、子どもの発達や健康面に問題がない場合にしましょう。特に、睡眠時の呼吸やいびきに問題がないか必ず確認をしておきましょう。
ネントレは、新生児期からゆるやかに始められるものもありますが、一般的には5~6か月が目安です。早産時は修正月齢で考えましょう。
家族内の協力体制が整っていない場合
ネントレは、ママかパパどちらか1人でやるものではなく、日常的に赤ちゃんに関わる人の理解が必要です。ネントレを始めても、人によって対応が変わってしまうと、赤ちゃんが混乱してしまいかえって逆効果です。
夫婦間ではもちろん、両親が同居の場合、ネントレの意義や方法を説明して、共通理解をもてるようにしましょう。
近いうちに引っ越しや移動がない場合
赤ちゃんは環境の変化にとても敏感です。どんなネントレでも、睡眠の環境設定はとても大切です。
せっかく慣れてきても、引っ越しで住居が変わると、また生活のリズムが崩れてしまいます。ネントレを始めるなら、近いうちに引っ越しがない場合にしましょう。
ママの職場復帰が直前にせまっている場合
ネントレにおいて、ママとのスキンシップはとても大切です。ママの職場復帰が近い場合、ママの心の余裕もなくなるし、物理的にママといられる時間が減ってしまい、どうしても不安定になりがちです。
赤ちゃんにとってもママにとっても変化が大きい時にネントレを始めても、上手くいかなないことが多いでしょう。働くママでもネントレは可能ですが、職場復帰後の生活に慣れてきた後に始めるのがよいでしょう。
兄弟が産まれたばかりの場合
兄弟が産まれると、今までの生活パターンががらりと変わり、下の子中心の生活にがらりと変わってしまいがちです。
下の子が産まれるということは、1歳以降からネントレを始める場合がほとんどだと思います。1歳以降のネントレでは、特にママパパの声掛けやコミュニケーションが大切になってくるので、下の子との生活が落ち着くまではネントレを始めない方がよいでしょう。
決まったネントレメソッドをしなくても自分で寝られるようになるポイント
睡眠環境をできる限り整える
ネントレにおいて大切な睡眠環境とは、具体的には光・音・部屋の温度と湿度・寝るときの服装・安全性の5つが整っていることです。
部屋を真っ暗にする、静かな環境にするなどは、一見簡単そうに聞こえますが、住居の立地や間取り、ママパパの仕事関係で意外と整えるのが難しい場合があります。全て整えようとしなくても、可能なものだけ意識して整えていきましょう。
日中の活動量を増やす
日中、特に午前中の活動量を増やすことを心がけましょう。太陽の光を浴びることによって体内のリズムも整いやすくなります。
適度に体力を使うことで、夜の入眠がスムーズになることが多いです。また、昼寝の時間が夕方にかからないようにすることも意識しましょう。
ママパパの心の余裕をつくる
赤ちゃんはママパパの精神状態を敏感に感じ取ります。ママパパの余裕がない状態だと、赤ちゃんの不安感が増し、ますます寝付けないことも。
どちらか一方の寝かしつけに頼るのではなく、できる限り協力、分担して赤ちゃんのお世話をできるようにしましょう。ママパパの心の余裕が、赤ちゃんの睡眠の土台となります。
子供に合ったねんねルーティンを見つける
絵本の読み聞かせ、安心できる人形やタオル、子守歌や音楽、ベビーマッサージストレッチなど、入眠時のルーティンを決めておきましょう。
月齢や好みによって違うので、その子にあったねんねルーティンを見つけるのがよいですね。ねんねルーティンが定まっただけでも、1人でねんねができるようになることもあります。
まとめ
型にはまったネントレをしなくても、いくつかのネントレ方法から自分たちにできそうなポイントだけでも実践していくとよいですね。いつかは1人で寝ることができるようになる日がきます。夫婦で協力し合って、焦らず寝かしつけやネントレと向き合っていきましょう。
ネントレについてはこちらのコラムでさらに詳しく解説しています▼
【参考文献】
愛波 文 (著)、西野 精治 (監修) 『ママと赤ちゃんのぐっすり本 「夜泣き・寝かしつけ・早朝起き」解決ガイド』 講談社2018
山本ユキコ 『赤ちゃんがぐっすり寝てくれる奇跡の7日間プログラム』あさ出版 2016