子育て支援員の資格について解説!保育業界で注目を浴びるそのワケは?

子育て支援員の資格や働き方について分かりやすく解説します。

子育て支援員は、保育士のサポートをするための資格。保育士不足の問題を解決するために2015年に作られました。指定の研修を受講すると、子育て支援員になることができます。

サポートとはいえ、自分の子どもに関係する職業です。どんな職業で、しっかりと専門知識を有しているのかなど、気になることもありますよね。

そこで、この記事では、

  • 子育て支援員の資格とは?
  • 保育士との違いは?
  • 子育て支援員の仕事内容は?

といった疑問にお答えします。この記事をご覧いただくと、子育て支援員がどんな人で、自分の子どもにどんな関わり方をするのかがわかります。ぜひ最後までご覧ください。

子育て支援員の資格とは


ここでは、子育て支援員がどんな職業であるかを解説します。さらに、資格取得のために必要な研修についてもお伝えします。

保育士になるには、最低でも半年以上の学習期間を経て、試験に合格して国家資格を取得する必要があります。

いっぽうで、子育て支援員は数日の研修を受けると取得できるため、比較的に手軽に取得できる資格といえるでしょう。

とはいえ、専門的な研修を受けているため子育てについての基本的な知識は身に着けています。保育士のサポート役としての活躍も期待されています。

必要性が高まる子育て支援員

子育て支援員は、保育の仕事に携われる人を増やすために、2015年に新しく創設されました。昨今の保育士不足の煽りを受けて、子育て支援員の需要も増加傾向にあります。そのため、各自治体でも子育て支援員の研修会は頻繁に行われているのです。

「保育の仕事をしたい」という気持ちがあれば、だれにでもなれる職業です。保育士や社会福祉士といった専門的な資格が取得条件に含まれないため、子育てがひと段落した育児経験が豊富な母親が担うことも。

誰にでもなれるとはいえ、国が定めた2種類の専門的な研修を受ける必要はあります。研修を終えると、「子育て支援員研修修了証明書」が発行されます。

以降で、子育て支援員になるために必要な研修の内容を2つお伝えします。

基本研修

基本研修は、すべての人が受講することになります。受講する主な目的は次の3つです。

• 子育て支援員としての役割の理解を深めること
• 適切な子どもへの関わり方を学ぶこと
• 子育て支援員としての自覚を持つこと

目的を達成するために、8科目8時間に及ぶ下記のカリキュラムを受講します。

1. 子ども・子育て家庭の現状
2. 子ども家庭福祉
3. 子どもの発達
4. 保育の原理
5. 対人援助の価値と倫理
6. 子ども虐待と社会的養護
7. 子どもの障害
8. 総合演習

基礎研修を受けると、子育て支援員として活動するために必要な最低限の基礎知識をマスターできます。基礎研修のあとは、各専門コースごとに違った内容を学びます。

専門研修

専門コースは、下記の4つに分かれます。コースによって、子育て支援の就職先も変わります。表には概要や活動場所も記しますので、参考にしてください。
コース名 概要 資格取得後の活動場所
放課後児童コース 放課後児童支援員の補助をするための知識を学ぶ 学童保育(学童クラブ)
児童館
社会的養護コース 保護者のない児童や虐待を受けた児童の世話をする保育士をサポートするための知識を学ぶ 乳児院
児童養護施設
地域保育 保育園の保育士を補助するための知識や、少人数の子どもを預かる小規模保育で働くための知識を学ぶ。 小規模保育園
事業所内保育園
一時預かり保育園
企業主導型保育園
地域子育て支援 地域子育て支援拠点や利用者支援事業で働くための知識を学ぶ。 地域子育て支援拠点
子育てひろば
表からも分かるように、子育て支援員の業務は、保育士をはじめとした専門職の補助が中心です。活動範囲もさまざまなので、子どもを公共施設に預ける場合は、親御さんが言葉を交わす機会もあるのではないでしょうか。

子育て支援員の研修は誰が開催するの?

子育て支援員の研修を開催するのは、都道府県や市区町村などの各自治体です。そのため、研修は、各自治体であらかじめ決められたコースが募集されます。つまり、専門コースを自由に選択できるのではなく、募集されている専門コースのみ研修を受けることができるのです。

各自治体の募集の中で特に多いのは、地域保育コースか、地域子育て支援コースです。そのため、子育て支援員は保育園や学童保育、子育てひろばで見かけることが多いと思われます。

では次に、保育士との違いについてみていきましょう。

保育士と子育て支援員の資格や業務内容の違い

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保育士と子育て支援員の主な違いは、資格と業務内容についてです。それぞれ、詳しく解説します。

資格による違い

保育士と子育て支援員は、国家資格と民間資格とで違いがあります。

国家資格は国の法律で定められた資格。保育士にしか行うことができない業務もあります。

対して、子育て支援員は民間資格で、自治体が指定する研修を受けると取得できます。

業務内容の違い

子育て支援員は、子どもの排せつ物の処理や食事の補助、外遊び中の子どもの監督についてのサポートを行うことはできても、保育士が行う業務をすべて担えるわけではありません。

たとえば、「子育て支援員は保育園のクラス担任になることができない」ことは代表的な保育士との業務内容の違いと言えるでしょう。

子育て支援員の資格でできる仕事内容

(image3)

子育て支援員の活動の場は、幅広いです。中でも、学童保育や保育園、子育てひろばでは多くの子育て支援員が活躍しています。ここでは、それぞれの施設における子育て支援員の業務内容を紹介します。

学童保育

学童保育では、子育て支援員は放課後児童支援員のサポートを行います。

放課後や学校の長期休み中に、保護者の代わりに小学生を預かるのが学童保育の役割です。学童保育には、放課後児童支援員という資格を持った育児の専門家が常駐しています。放課後児童支援員は、保育士や社会福祉士などの国家資格を有した人が取ることができる資格です。

放課後児童支援員の業務内容は、学童保育内の子どもたちのお世話に関係することです。例えば、勉強や遊びの見守りであったり、保護者との連絡や報告業務などがあります。子育て指導員の役割は、放課後児童支援員の手が回らない諸々の業務をサポートすることです。

保育園

子育て支援員の保育園内の役割は、保育補助です。小さな子どもの食事やトイレのサポート、お昼寝や外遊びの際の見守り、おもちゃの片づけなど保育士の業務の一部を手伝います。

保育士補助の場合は、必ずしも資格が必要なわけではありません。しかし、子育て支援員だと専門的な研修を受けているため、一般の人よりも質の高い育児サービスを提供できるのではないでしょうか。

子育てひろば

子育てひろばとは、子育て中の保護者が気軽に立ち寄って、子育てについて相談したり、悩みを打ち明けたりするための施設です。子育て支援員の活動の場としても注目されています。

全国各地にある子育てひろばによっては、子育て支援員を増員しようとしている施設もあります。 なぜなら、研修で身に着けた専門的な知識と豊富な育児経験による的確なアドバイスが、子育ての悩みを抱えた人の心の支えになるからです。

子育てひろばにいる子育て支援員に、悩みを打ち明けてみるのもいいのではないでしょうか。

まとめ

子育て支援員は、自治体が行う研修を受けることで取得できる資格です。子育て経験がある人が子どもの独立後に担うこともあります。

つまり、子育て支援員の中には、子育てについての経験が豊富な人も多いのです。子育てについて分からないことなどを質問すると、具体的な役立つ情報を教えてくれるかもしれません。または、子育てのストレスや辛い心情にも共感を寄せて話を聴いてくれることでしょう。

身近に子育て支援人がいる場合は、積極的に話しかけてみてはいかがでしょうか。

【参考】

子育て支援員とはどんな仕事?資格の取得方法や求人、給料などについて

「子育て支援員」研修について

学童保育とは?小学生の学童保育の特徴と幼児保育との注意点と違い!

「放課後児童支援員」の資格取得で学童保育に貢献!補助員から指導員になる方法も解説

乳児院とはどんな施設?果たす役割や現状、今後の課題など

子育て支援員とは?-新たな制度のご紹介-

助かっています!子育て支援員①

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ABOUT US
【監修】 公認心理師YUKA久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。