育児休暇を取る男性が6年連続で上昇!保障も充実した今どきの制度とは?

男性が育児に参加するための育児休暇制度について分かりやすく解説します。近年、育児休暇を取る男性会社員が増加傾向。6年連続で上昇しています。

女性に比べると、まだ少ないですが、将来的には男性も女性と同じように育児休暇を取得できる時代が来るのではないでしょうか。

とはいえ、「家族のために、育休を取りたい!」と考え、思い切って会社や上司に相談しようにも、なかなか口には出せないもの。男性が育児休暇を取りづらい職場の雰囲気が、いまだに存在するのも事実です。

そのため、話したところで、どうにもならないと思い、あきらめてしまっている男性も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では、

  • 育児休業を取得するための制度が知りたい
  • 育児休業制度では、どんな保障を受けられるのか?
  • 会社でなかなか育児休業をとれない場合は、どうすればいいか?

といった疑問にお答えします。

「育児休業を取って、妻の負担を減らしたい!」と考えている男性や「夫にも育児を手伝ってもらいたい!」と思う女性は、ぜひこの記事を参考にしてください。

育児休暇を男性が取るための制度を紹介

育児をするパパ
ここでは育児休暇に関係する制度についてお伝えします。昔に比べると男性が育児休暇を取るための制度や法律が、ずいぶんと整ってきました。男性でも育児休暇をとれる仕組みを理解して、育児休暇を積極的に取得していきましょう。

パパ・ママ育休プラス

パパ・ママ育休プラスは、育児休業給付金の受給期間を延長できる制度。適応させるための条件は、以下の通りです。

  1. 配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
  2. 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
  3. 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
    引用元:厚生労働省プレゼン資料「両親で育児休業を取得しましょう!」

一般的には、配偶者とは父親のことで、本人は母親のことです。わかりにくい場合は、配偶者をパパ、本人をママに置き換えて読むと理解しやすいでしょう。パパ・ママ育休プラスについても詳しく解説している、こちらの記事も参考にしてください。

育児休業給付金の支給はいつまで?延長あり?|期間や延長制度を徹底解説!

パパ休暇

出典元:厚生労働省のプレゼンテーション資料

パパ休暇は、以下の条件を満たせば育児休暇を2回取ることができる制度です。

  • 母親の産後8週以内に育児休業を取得していること
  • 母親の産後8週以内に1度目の育児休業を終えていること

育児休業をとれるのは、一人の子どもにつき原則1回までです。つまり、パパ休暇は2度の育児休暇という例外を、条件付きで認めた制度だと言えるでしょう。

子の看護休暇制度

子の看護休暇は、ほぼすべての労働者に適応されます。そのため、短時間勤務の社員や契約社員も対象内です。制度の内容は以下の通り。

  • 小学生未満の子ども1人につき年5日の看護取得ができる
  • 時間単位で取得できる

「子ども1人につき」であるため、小学生未満の子どもが2人であれば年10日の看護休暇を取得できます。

時間単位で取得が可能になったのは、2021年1月1日のこと。従来の半日単位の取得から、時間単位での取得が可能になりました。比較的に新しい決まりなので、会社が把握していないこともあり得ます。その場合は、ハローワークでも確認してみるといいでしょう。

育児休暇制度で男性が受けられる保障


男性でも育児休暇制度を利用して、各種の保障を受けることができます。ここでは、「育児休業給付金」と「社会保障の免除」についてお伝えします。育児休業の制度を利用することで、仕事を休むことによる家計の不安もなくなりますよ。

育児休業給付金

父親も育児休業給付金を母親と同じように受給できます。計算方法は以下の通りです。

計算項目 計算式
休業開始時賃金日額の計算 育児休業を開始前6ヵ月間の給料の合計÷180
育児休業開始から180日までの計算 休業開始時賃金日額×30日×0.67 (67%)
育児休業開始から181日以降の計算 休業開始時賃金日額×30日×0.50 (50%)

育児休業給付金は、はじめの受給から半年が過ぎたら貰える額が減ります。とはいえ、パパ・ママ育休プラスを適応させることで、夫婦共働きの場合は2人とも期間を延長しながら給付を受けることができます。

さらに、社会保険料も免除されるため、給料に近い額を手取りで貰うことができます。そのため、男性も積極的に育児休暇を取得していきたいところです。

育児休業有付近の計算法についての詳細は、下記の記事も参考にしてください。

育児休業給付金の支給条件や計算方法を分かりやすく解説

社会保険料の免除を加えると給与の8割をカバーできる

育児休暇中は男性でも、母親と同様に社会保険料が免除されます。社会保険料は給与の額や保険組合により異なりますが、おおむね14%くらいだと言われています。

そのため、育児休業給付金と合わせると給料手取りの70~80%を貰える計算になります。育児で仕事を休んでも、いままでの給与の70~80%を貰えるのであれば、育児休業による経済的な負担もずいぶん減らせるのではないでしょうか。

とはいえ、なかなか職場で育児休業を言い出せないとか、言っても取り合ってくれないなどで悩んでいる方もいると思います。そこで、次に育児休暇を勝ち取る方法をお伝えします。

育児休暇を勝ち取る方法


職場とうまく交渉したり、上司と良好な関係を築いたりすることで、育児休暇への職場の理解を得やすくなります。ここでは、育児休暇を取りやすくするための具体的な方法をお伝えします。

早めの相談と業務の引継ぎ

出産予定日の半年前には、育児休暇の希望を上司に報告しておきたいところです。さらに、「誰に自分の業務を引き継ぐのか」、「引き継ぐためにどのように準備するのか」を上司に分かりやすく説明できると完璧。育児休暇取得のためのハードルは一気に下がりますよ。

会社側のメリットを伝える

自分の希望を通す場合は、相手のメリットを語る方が効果的。そこで、育児休暇を社員に与えることで会社にはどういったメリットがあるのかを考えてみましょう。

たとえば、育児休暇を取る社員が会社内に増えると、会社のイメージが良くなりますよね。会社のイメージが良くなると、会社に優秀な人材が入ってくることが考えられます。

もしくは、家事関連の商品を扱っている会社であれば、子育て世代の支持を得られることで売上アップが期待できます。自分の希望を語るのではなく、相手のメリットを語ってみましょう。

自分の家族のことを上司と共有しておく

上司を味方にできると、育児休業を取得しやすくなります。上司を味方にするには、日ごろから自分のことをある程度はオープンにしておくことが大切です。たとえば、妻が妊娠したことを事前に報告をしておくと育児休業へも話を持っていきやすいですよね。

人間は、何も知らない相手には不信感を抱いてしまうもの。たまには、プライベートなことを話題にして上司と仲良くなっておきましょう。普段から良好な関係を築いていれば、上司もきっと相談に乗ってくれますよ。

まとめ

男性が育児休暇を取得する際に関係する制度は、次の3つです。

  • パパ・ママ育休プラス
  • パパ休暇
  • 子の看護休暇

仕事を休んでも、給与手取りの80%の保障を受けられます。ぜひ、育児休暇を取得して、子育てに積極的に参加してください。

職場の理解を得られない場合は、話し方を工夫したり、職場内での周囲に対する自分の態度を見直したりするのもおすすめです。自分が変わることで、育児休暇を取得するための突破口が開かれる可能性もありますよ。

【参考】

厚生労働省プレゼン資料「両親で育児休業を取得しよう取得しよう!」

⼦の看護休暇・介護休暇が 時間単位で取得できるようになります︕

育児・介護休業法のあらまし(令和2年11月作成)

日本年金機構|従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が育児休業を取得・延長したときの手続き

「パパ休暇」ってなに? 出産立ち合いは育休が使える? ママと子どもと自分のために、男性の育児休暇について知ろう

【専門家が解説】育休をとるためにまずやるべきことは? パパ・プレパパのための育休取得ガイド

ABOUT US
【監修】 公認心理師YUKA久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。